アナザーワールドSRS・リプレイ・狂気の使者は我にくる
■ 『 第3話 』 3ページ ■
2016年1月10日




【行動値】
 桐久雄:20
 あゆむ:20
 日葵:17
 ルリチカ:16
 SP×2:14
 アキ子:8


あゆむ/ぬんは……セットアップに何もできないので、「しゃーっ!」と威嚇しておきます。
日葵/か、可愛い!(笑) 日葵は≪自己再生≫を使用。(ころころ)イエーイ、【HP】を15点回復します。
ルリチカ/ルリチカは≪空間知識≫を使用します。
GM/SPはセットアップで≪黄金の身体≫を使用。アキ子は≪突然変異≫を使用。覚える特技は[狩人]の≪零力射撃≫。ファンブル化にする特技を覚えます。
あゆむ/ぐあー!? きっつい!

 第2ラウンド、メインプロセス開始。
 桐久雄とあゆむは同じ【行動値】のため、相談の結果……あゆむから先に行動することにした。


あゆむ/全員に≪レイリン≫を使用します! 命中クリティカルをお下げください!
桐久雄/次は桐久雄のターン! ≪シヴァ≫+≪ヘル≫+≪デスブリンガー≫でSPを攻撃、SDは2つ使います。(ころころ)よし、命中クリティカル!
ルリチカ/味方のクリティカルと聞いて!(ころころ)≪戦術指揮≫でダメージ+7!
あゆむ/≪ルー≫を使用、ダメージ+14!
桐久雄/ダメージロールを振ります!(ころころ)げ、出目が1・1……。なあ、ダメージロールって≪悔改めよ≫で振り直しできるよな? 正直出目が低すぎる。
ルリチカ/よし……それならダメージロールに≪悔改めよ≫!
桐久雄/落とす出目を出そう!(ころころ)算出し直して、74点のダメージになります!
GM/……SP1体、撃沈! ≪悔改めよ≫のおかげで死にます!
あゆむ/やったー! 押し込めたー!(笑)
日葵/次は私のターンです! マイナーアクションで≪百鬼夜行≫を使用して【物理防御点】と【霊力防御点】を入れ替えて、【霊力防御点】を25点にします。
桐久雄/[魔術師]相手だから賢明だ!
日葵/メジャーアクションでアキ子さんに≪征圧術≫を使用して攻撃します!(ころころ)命中……22だ。
GM/(ころころ)回避失敗、当たります。
日葵/≪特攻≫します。(ころころ)良いんじゃないか……37点の物理ダメージです!

 ルリチカは≪興奮剤≫で全員の【MP】6点回復、≪肉体復元≫で【HP】34点回復した。

GM/SPは≪魂を纏う腕≫という遠距離攻撃手段を持っていたんですが……先ほど≪破却打ち≫で破壊しました。
桐久雄/そういやそうですね。ということは、次は物理ダメージかな?
GM/いえ、≪蒼の衝撃≫で攻撃します。≪撃滅≫+≪破却打ち≫で桐久雄を攻撃するよ。
ルリチカ/≪破却打ち≫で≪蒼の衝撃≫を壊すのか……なんて前のめりな戦い方(笑)
GM/こいつら、クローンの鉄砲玉なので自らを使い捨てのような攻撃をしてくるんだよ。(ころころ)命中21だ。
桐久雄/(ころころ)回避20です。……素直に当たろう、耐えられはします!
GM/SPは≪殺界≫を使用。ダメージに令呪を使います。
あゆむ/えっ。
GM/SPの攻撃が初成功だからね、ようやくダメージに令呪が使えたよ!(ころころ)83点の霊力ダメージをどうぞ。
あゆむ/……それを食らったらきつい。≪大地の守護者≫を使用、ダメージを0にします! 今のは無かったことに!
GM/了解です。右手が使い物になくなっていたSPだけど、今度は左手が使い物にならなくなります。次が……アキ子さんのターンだな。≪毒の魔弾≫+≪這いよる混沌≫+≪魔導書≫で、あゆむを攻撃!(ころころ)……命中37だ。
日葵/さあ、来たぞ……!
あゆむ/ハハハ、我の令呪はもう尽きる!(笑・ころころ)回避17だ……。
ルリチカ/あ、それなら令呪を使えばピッタリ避けられるね。令呪で避けてー!
GM/マジで? 避けられちゃった! なら……≪EP:二回行動≫でアキ子はもう一回動きます。今度は≪愚者どもの手≫+≪暗黒の渦≫で、ぬんを攻撃!(ころころ)……命中38です。
あゆむ/二回目だ! 頑張れ!(ころころ)回避18です。ぴ、ピッタリ20差ですね。
ルリチカ/それなら令呪を使おう! 最後の令呪でピッタリ回避!
GM/んんー……この攻撃は何としても命中させておきたい。最後の≪機関「チルドレン」≫を使って、命中48にします!
桐久雄/……ここで桐久雄の≪プロパゲイト:禍福のさざなみ≫があるよ! 1が出たら桐久雄にダメージ20点が入るやつ、いきます!
あゆむ/そ、そういやそんなの持ってたね(笑)
ルリチカ/ダイス振り直しができる≪悔改めよ≫は既にこのラウンドは使っちゃったよ。
桐久雄/1が出たらみんなで死にましょう。(ころころ)……5、成功。だからぬんの回避に+20!
あゆむ/ということは、回避58になりました!
GM/それだとアキ子の命中は届かない。完全に避けきりました!

 クリンナッププロセスに移行。日葵は毒の効果で、1点だけダメージを受けた。
 アキ子は≪紅蓮の指≫を自身に使用し、三度目の正直ということであゆむを攻撃を仕掛ける。


GM/あゆぬんに命中!(ころころ)命中クリティカルが出ました!
あゆむ/≪逆転運命≫を使用! その命中を振り直してください!
GM/(ころころ)……命中38になりました。
あゆむ/(ころころ)18です。でもクリティカルじゃないからダメージは減ってる……でも死ぬよ!(笑)
日葵/ぬんを≪カバー≫する! ダメージロールの際は≪鋼化≫使用します!
GM/ダメージロール直前に≪銀色の剣陣≫を使用するよ。(ころころ)ひまちゃん、霊力ダメージ95点食らって!
ルリチカ/≪念動障壁≫をコロコロします!(ころころ)19点カッキンして!
桐久雄/≪檻触手≫を使用!(ころころ)11点軽減!
日葵/それなら……日葵は【HP】59点で立ってます。
あゆむ/強い、みんな頼もしい……!

 第3ラウンド、セットアッププロセス。
 桐久雄はアキ子に≪異形の触手≫を使用。命中し、アキ子の【行動値】を6も減少させることに成功。その後、ルリチカは≪空間知識≫を使用した。
 メインプロセスであゆむは≪レイリン≫を使用し、全員の命中クリティカル値を減少させる。


桐久雄/頑張ってヤクザとキルキルしちゃうぞー! ≪ヘル≫+≪デスブリンガー≫、SDを減らすのが大変になってきた……。
GM/そろそろハーデス様の力が欲しくなってきたか。
桐久雄/オレ、≪ハーデス≫持ってないんですよ。だからSD回復手段無いんです。
あゆむ/[イレギュラー]のゆたかさんが「≪ハーデス≫は使えるぞ!」って叫んでるよ!(笑)
GM/そのゆたかさんなら今頃あっちでヤクザと「てやんでえバカヤロウコノヤロウ!」「国家権力ナメんな!」ってやり合ってます。
桐久雄/ゆたかさん、片手間にSDを投げて!(笑) SD2個使用でSPに攻撃します。(ころころ)命中20!
GM/(ころころ)回避20で同値避けだ。
ルリチカ/≪叱咤激励≫……じゃなくて、コストが安い≪悔改めよ≫で! なんならクリティカルが出るかもしれない!
桐久雄/(ころころ)クリティカルは出なかったけど成功だ、命中28で当てます! ダメージロール直前に≪インドラ≫を使おう!(ころころ)ここで2D6で6ゾロが出るとは!? 65点の物理ダメージです。
GM/まだ生きてます。次は、ひまちゃんのターン!
日葵/日葵は≪撃滅≫+≪征圧術≫で、アキ子さんを攻撃!(ころころ)おお、クリティカルです! 普通に6ゾロクリティカル!
あゆむ/すっと≪ルー≫の準備! ダメージ+12!
ルリチカ/クリティカルと聞いてガラガラッ!(笑) ≪戦術指揮≫!(ころころ)……2点追加。低かった、だから≪上級感応力≫を入れて+7!
日葵/これは≪特攻≫の分!
あゆむ/これはクリリンの分!(笑)
GM/しかしジョナサンの方が強い!(一同爆笑)
日葵/≪戦術指揮≫に令呪を乗せて+20! ……そうすると、合計で92点の物理ダメージ!
GM/ひゃあ!? ついにひまちゃんが100点近いダメージを出した! ……まだアキ子さん生きているけど、相当痛い!

 ルリチカは≪興奮剤≫+令呪で全員の【MP】26点回復、≪肉体復元≫で【HP】47点回復した。

GM/残ったヤクザさんのターン。しかしスキルウェポンは無い。となると、やれることといったら自爆だ。
あゆむ/ジバニャンか。
GM/ジバニャンのジバは自爆じゃない!(一同笑) SPは≪無限の解放≫を使用。範囲選択特技だけどPC達がみんなエンゲージバラバラだからあまり旨味が無いんだよね……。
ルリチカ/旨味が無いのに自爆をするしかない……可哀想。
桐久雄/両手がもう使えないんだよね。人間魚雷ってやつか(笑)
GM/でも≪撃滅≫を使ってダメージアップはするよ。(ころころ)あ、命中クリティカル。
桐久雄/(ころころ)あぁー、当たりますよそれは!
GM/≪殺界≫+令呪を使用。自爆が終わったら彼は死亡するよ。≪無限の解放≫は属性を選べるので、桐久雄を対象だから霊力ダメージを選択する。
日葵/が、頑張って! 日葵は桐久雄と『供給』してないから≪カバー≫の射程が届かない!
GM/ダメージロールいきまーす。(ころころ)おっ、霊力ダメージ125点だ。
桐久雄/どう足掻いても≪念動障壁≫を弾けない! 桐久雄は死にました!
ルリチカ/う、うーん……確かに≪念動障壁≫では無理だけど……。【正気度】減らしたらイケるんじゃね? ≪異端堕ち:蘇生≫をしようかな。
日葵/いつもの!(笑)
GM/おまたせ!(笑) ルリチカの【正気度】は10で、≪異端堕ち:蘇生≫は【正気度】を2D6減少だね。
ルリチカ/ぬんの≪トランキライザー≫も≪コネ「レジスタンス」≫もどっちも使用済みだけど……2D6で10以下が出ればOKの一発勝負か。
日葵/えー、怖い……。
あゆむ/嫌な予感がする……。ひまちゃん、このパーティーは正気じゃない人が多いよ。
日葵/私も【正気度】が4しかないがな。
桐久雄/狂気卓らしいな!(笑)
ルリチカ/……万が一ルリチカが狂化したとしましょう! でもひまちゃんの令呪が残っています!
日葵/それだっ! このラウンドでも令呪を残しているんだからイケる! ……いこう!(笑)
あゆむ/レッツ異端堕ち!(笑)
ルリチカ/桐久雄が【HP】0で戦闘不能になった後、イニシアチブプロセスで≪異端堕ち:蘇生≫をします!(ころころ)……よし、【正気度】7減少。桐久雄、起きて!
桐久雄/起きました! 【HP】11点で生き返ります。……みんな、目がグルグルし始めたね!(笑) 
GM/なお、≪異端堕ち:蘇生≫で蘇った対象は未行動になる。
あゆむ/……やったぁ!?(笑)
桐久雄/喜んで行動します! アキ子さんに攻撃します!
GM/ついに桐久雄がアキ子さんに来てくれたね。今のアキ子さんは、ひまちゃんの蹴りと蹴りと蹴りを受けている状況だよ。
日葵/蹴りまくりましたね(笑)

 桐久雄がSDを3つ消費した命中判定を行ない、成功する……が、アキ子が≪突然変異≫で覚えた≪零力射撃≫を使用。命中判定をファンブル化させた。
 その後、アキ子は≪法則拡大≫+≪這いよる混沌≫でエンゲージ内にいる桐久雄と日葵に攻撃を宣言した。


日葵/回避判定をします。(ころころ)おっしゃ、6・6でクリティカル!
桐久雄/さっきは残念だったけど、先に≪零力射撃≫を使わせたと思おう。3D6で回避判定振ります。(ころころ)嘘やん。1・1・1でファンブル。
日葵/私が桐久雄の回避を吸っちゃった!?(笑)
あゆむ/3D6ならファンブルは出なくなるよねって言ってたのに!?(笑)
GM/まさかのファンブル失敗と、お見事ひまちゃんはクリティカル回避! ダメージロールにいきます。(ころころ)霊力ダメージで111点を与えよう。
日葵/ノーリソースで≪カバー≫ができます! 超面白い!(笑)

 日葵へのダメージは、日葵自身が使用した≪鋼化≫、ルリチカの≪念動障壁≫、桐久雄の≪檻触手≫により無事生存。
 その後は≪EP:二回行動≫で、もう一度アキ子が桐久雄と日葵に対して命中判定。≪叱咤激励≫+≪大地の勅命≫と、≪ミネルヴァ≫+≪大地の勅命≫で……なんとか桐久雄だけでも回避に努める一同。
 どうにかこうにか日葵だけがダメージを受けることになった。


GM/ダメージロールいくよ。(ころころ)うわ!? 20D6振ってるのに9個も1が出た!
あゆむ/(振ったダイスの山を見て)うわぁ、全部1がこっち見てる! 「こんだけいたら俺は仕事しなくていいだろ」って思ってるダイスが多すぎる!(笑) これはひまちゃん生き残れるかも?
GM/期待値が全然期待できない!(笑) ……霊力ダメージ89点です。最初より50点近く下がったよ!

 ルリチカが≪念動障壁≫+令呪を使用し、日葵は【HP】16点で生存した。
 クリンナッププロセスでアキ子は≪紅蓮の指≫で≪這いよる混沌≫+≪異端堕ち:射程拡大≫で再度、桐久雄と日葵を攻撃した。


GM/常にGMは「異端堕ちを使ってもいいんじゃない?」ってオススメしておくよ。≪異端堕ち:クリティカル値減少≫なんて【正気度】を1D6点減らすだけで使えるんだしさ。
桐久雄/桐久雄の【正気度】は5なんですよ。運が悪かったら死にます!
日葵/日葵も【正気度】は4なんでギリギリです(笑)
GM/えー、でも運が良ければ完璧避けられちゃうでしょー? 運が悪かったら死ぬけどー……って、魔鏡様がお雑煮を食べながら囁きます。
桐久雄/お正月だからってお雑煮しまって!(一同爆笑) それにラストバトルで永続狂化したらバッドエンド直行じゃないですか、やだー!

 2人とも回避は、失敗。
 日葵は桐久雄を≪カバー≫。2倍の実ダメージを受けて……戦闘不能になった。


日葵/日葵、倒れます! ……後は任せた! ぽてん。
あゆむ/うわー! ひまちゃんごめんー!
ルリチカ/ひ、ひまちゃん……! 頑張る!
桐久雄/頑張ろう! これで、ようやくクリンナッププロセスが終わったね。

 第4ラウンド、セットアッププロセスに移行。
 セットアッププロセスに何をするか相談しているときに、ルリチカは……。


ルリチカ/GM。≪神託≫を使ってアキ子さんのデータを聞き出すことはできますか?
GM/えっ? ……おお、この場で≪神託≫を使うのか!

 ≪神託≫
 「世界の声」や「神の声」など、超越的存在の声を聞くことができる[聖職者]の副特技。
 GMが指定した難易度の【意志】判定に成功すれば、「非常に信憑性のある情報」を聞き出すことができる。


GM/[世界遣い]の≪電波受信≫は判定無しだけどどうでもいい話を聞く副特技だけど、≪神託≫は判定ありで有力情報ゲット特技なんだよね。……難易度10で可能とするよ。
ルリチカ/コストを払って使います!(ころころ)よっしゃ、達成値13で成功しました! 質問ですが、【HP】どんだけ減ってますか!?
GM/ひまちゃんに蹴られ続けて、即死圏内です。ひまちゃんは気絶してるけど、彼女の働きのおかげで勝利は目前だと言えます。
日葵/アキ子さんの【防御点】を考慮しないで考えると……日葵は合計で192点与えている計算になります。
あゆむ/つまり、「無難に攻撃しろ」だって!(笑)

 桐久雄はセットアップで≪異形の触手≫を使用し、アキ子の【行動値】を3減少。ルリチカは≪空間知識≫を使用した。
 メインプロセスになって、あゆむは≪レイリン≫を使用しクリティカル値を減少させた。


桐久雄/桐久雄は≪シヴァ≫+≪ヘル≫+≪デスブリンガー≫で攻撃! 命中いきま……あっ。≪地獄の兵具≫の効果が発動して【命中値】がめっちゃ上がる。
ルリチカ/あっ、本当だ!?
あゆむ/≪シヴァ≫でシバくぞ!(笑)

 ≪地獄の兵具≫
 血が熱くなるときこそ真の力を発揮することを表わす[異端者]の副特技。
 【HP】が【幸運基本値】÷2以下になった場合、【命中値】に+10。


桐久雄/≪地獄の兵具≫が発動するので命中は26で振る!(ころころ)……34で当てます! SDは尽きているので、≪インドラ≫だけでダメージを上げる!
GM/(突然魔鏡のカケラになって)「ねぇねぇ異端堕ちにダメージをアップさせるやつがあるんだけど……」
桐久雄/絶対使わんッ!
GM/「伊達巻おいしい!」(一同爆笑) じゃあダメージロールどうぞ。
桐久雄/オレは良い出目を出す!(ころころ)ほらな……65点の物理ダメージです!
日葵/ど、どうだー……?
GM/…………。はい、オーバー8点で戦闘不能になりました。桐久雄くんの決死の一撃によってアキ子は倒れます!
あゆむ/やった!
日葵/勝った!
ルリチカ/良かった!
桐久雄/ありがとうーっ! あっぶねー!
あゆむ/わあああ、終わったぁ……みんな脱力しちゃった(笑) リソースは使い切っちゃったし、≪ソウルデバイス≫も無くなったし、ギリギリだったー……!
桐久雄/SDが無いって、どうやって攻撃したんだ?
GM/純粋に強化の無いナイフそのもので刺したんじゃない? ……アキ子の体の中央、お腹にナイフが突き刺さっています。彼女は「ギ、ギ、ギエエ……!」と人とは思えない叫び声を上げているよ。
日葵/65点のただのナイフって一体……(笑)
GM/「ワタシが……ワタシが、キサマごときにマケるなんて、アリエナイ……!」 獣が断末魔の雄たけびを上げる。
桐久雄/……誰かに褒めてもらいたいからって人を傷つけるなんて許せない。それに……お前は一人だけど、オレには仲間がいるんだ。負ける訳ないだろ!
GM/「キサマァ……! 神ヨ! 今こそ降臨を! ハヤくコイツらにそのチカラを……!」 狐は最後に一撃を桐久雄に食らわせおうとする。けど、何も魔術は発動しない。そのまま蒼い昇華の光になって彼女は消えていきます。
あゆむ/おお、[稀人]の光だ……。
桐久雄/……目を閉じる。声を掻き消すかのように、ナイフを一振りする!
GM/蒼い光は完全に掻き消え、5月の明るい青空の中に全て消滅していきます。……では、シーンのカメラを明桜建設前に向けましょう。
日葵/おっ。
桐久雄/(突然ヤクザになって)「おうおうコマしたろかぁー!? 単なる紙じゃねぇかぁ、そんなん一突きなんだぜぇー!?」
あゆむ/(突然ゆたかになって)「オイオイこちとら国家権力だぞー!? 来いよ、公務執行妨害で逮捕してやんよぉ!」(一同笑)
GM/突如、明桜建設の数人がピタッと止まります。口には出しませんが、「あれ? 俺達何をしてるんだ?」という顔になりました。
ルリチカ/おー?
GM/教会のエージェントおよび特命課など能力者一同はその反応に察しがつきます。「今、洗脳とかの諸々が消える瞬間を見てしまった」と。
日葵/な、なるほど(笑)
GM/[魔術師]で[異端者]なアキ子によって洗脳され良いように扱われていた達が、正気に戻った瞬間ですね。でも一般の警備員やヤクザや警察官はそんなこと判らないので、押し問答を続けています。
あゆむ/(ゆたかになって)「……はい! という訳で! 一回解説をしたいと思うのでどっか広いところに行きましょうか!」
GM/「お、お願いしまーす」「一旦落ち着け落ち着けー!」 冷静になることができた「普通の明桜建設の人達」は、警察の言うことを聞くようになりました。
桐久雄/よ、良かったー!
GM/……一方その頃。教会の心霊治療医院会の手術室では。
日葵/あっ!
GM/長時間に及ぶ令呪刻印の除去手術。難航していた手術ですが……君達の戦闘が終えた頃、オペ室の「手術中」というライトが消えます。
あゆむ/……良かった……。
GM/そうしてカメラはPC達のいるシーンへと戻ってくる。……押し問答が終わった鶴瀬が君達の元へやって来ます。乱れたスーツやネクタイを直しながら。
日葵/可愛い!(笑)
桐久雄/ネクタイを掴まれたときのレスポンスが見たいですな!(笑)
GM/それはブルーレイ特典をお楽しみに(笑) 鶴瀬は昇華されていく蒼い光の残骸を見て、「……諸悪の根源である異端を倒したか」と尋ねます。
ルリチカ/はい。異端だった……明日田アキ子を、俺達の手でなんとか倒しました。
GM/「ありがとう」 鶴瀬は深く頭を下げます。そしてすぐに倒れたひまちゃんを≪創まりの熱≫で癒すので、戦闘不能だったひまちゃんは【HP】1点で起き上がってください。
日葵/はーい。大丈夫でーす!
GM/「二木。晩間の治療を。異端の証拠を追ったり証拠隠滅するのも大事だが、まずは全員の傷を診よう」
ルリチカ/は、はいっ! 演出で全員を≪空間知識≫+≪肉体復元≫!
GM/そうしている間にも、特命課は異端によって悪の会社にされていた明桜建設の調査を始める。騒ぎは次第に沈静化していく。……一旦、教会に戻りましょうか。
日葵/はい。
GM/教会に戻った君達のもとに、高坂がやって来ます。(高坂になって)「あゆむちゃん! ……手術、成功したよ!」
あゆむ/あ、ありがとうございますっ!
GM/「彼の意識が戻ったら事情聴取をするが、まだそれには早い。しかし早く5月1日に失踪した人達を探さなければ……。あゆむちゃん達は何か知ってないか?」
あゆむ/……あ、そういやそのこと忘れてたね!? 駅の近くから奴らの基地に行けることを話します!
ルリチカ/実は線路沿いにゲイトがあるんです! 情報をベラベラ話します!
GM/ありがとう、その情報を聞いた高坂は捜索隊をゲイトがあるという場所へ向かわせます。君達の証言のおかげで隠れ研究所を発見できるでしょう。少しずつ事件は解決していきます。……時間を置いて、それぞれのエンディングにいきましょうか。


 ●エンディングフェイズ1/ルリチカ 〜決着〜

ルリチカ/やりたいことがあるんですが、いいですか? あゆぬちゃんとの『契約』を解除したいです。
あゆむ/は、はいっ? その心は?
ルリチカ/≪背徳の従者≫で無理矢理結んだ『契約』なので……なんていうか、この一連の事件の傷跡のように感じてしまうんです。今後また一緒に事件を担当することになって『契約』を結ぶならそれとして、一回解除したい!
あゆむ/……堅実な人だなぁ(笑) そうですね、ケジメをつけましょう。ではルリチカさんのお呼び出しに応じます。
GM/傷を癒し、落ち着いた頃……夜の18時。今までのループだったら大量の能力者が死に絶える時間。しかし教会に残る君達は何も事件が起きないことに安堵する。血を吐くルカちゃんもフォイもいない。アイザックさんも元気どころか研究所捜索のため働いています。
あゆむ/どうやら捜索も巧くいってるみたいです……これで一段落ですね。お疲れ様でした、ルリチカさん。
ルリチカ/こっちこそ色々ありがとうね。……今回の件は解決したって思っていい。だから『契約』を解除しよう。ぬんと握手をする!
あゆむ/はい、ありがとうございました。晴れやかな気持ちで解除します!
GM/同意した途端、2人の刻印が消えていく。キャラクターシートの契約欄に書いたお互いの名前を削除してください。
あゆむ/GMが珍しい台詞を言ったぞ(笑) 令呪も良し悪しですよね。助かる事例と助からない事例がありますから……。
ルリチカ/そうだよ。令呪の存在によってあゆむちゃんはあんなに苦しんでいた。なのに俺が無理矢理『契約』を結ばせたって、そのままにしておく訳にはいかないじゃん(笑)
あゆむ/ルリチカさんは本当に優しい人ですね(笑)
GM/そんなやり取りをしていると、ルリチカのもとへ高坂が一時的な報告をしに来ます。君達が教えてくれた隠れアジトに生存者がいなかったこと、5月1日に誘拐された人達の遺体で≪贄の儀式≫をする計画があった証拠や儀式に必要だった聖骸布や薬品、禁書を発見したと伝えます。全て回収して然るべき組織に送られたとのことです。
あゆむ/……うん。
GM/(高坂になって)「あれだけ大掛かりな準備をされたアジトがこの街にあったなんて驚きだ。しかも100人もの魂を使って儀式が行なわれていたら……とんでもない事件が起きていたに違いない」
桐久雄/……その被害を、オレ達は2回も見てきたんだ。
GM/「鶴瀬総支配人は『最低限の被害で済んだ』と喜んでいたよ。……そう、たった100人の犠牲で済んだんだからな」 高坂は、悲しさを呑み込もうとする怖い顔で言います。
あゆむ/コワ坂さんだ。
日葵/コワ坂さん、とは?(笑) 珍しい顔だな……判るけど。
GM/「もし儀式が執行されれば数十万人以上の人間が死ぬかもしれなかった。それどころか地球が破壊されるレベルの犠牲を払うかもしれなかった。それを100人で止めてくれたんだ。鶴瀬総支配人は感謝していたよ。今は後処理で追われていくが、後で大々的に表彰されると思う」
ルリチカ/100人も死んでいて良かったと言いたくない。……でも俺は、ここにいるみんなが生きてるから良かったって言いたいな。こうして高坂さんも生き残ってくれたからね(笑)
日葵/うん。深呼吸をしてくれてありがとう、高坂さん!(笑)
GM/「みんなを生かしてくれたのは、全部ルリチカくん達のおかげだ。重要参考人を確保することもできた。これなら全容が明かされる。それに……1人でも救えたことを心から喜ばないと。彼の様態が安定したら事件解決に協力してもらう。決して無理矢理吐かせたり酷い目にさせたりはしないよ」
あゆむ/高坂さん、優しいな……。
GM/「だって、生き残ってくれた人だから。……また新情報が出てきたら随時ルリチカくん達に伝えに行く。もう暫く2225事件に付き合ってもらうよ、覚悟しておいてくれ」
ルリチカ/はい、よろしくお願いします! ……失ったものは大きいけれど、それでも生きていける日常があるのは尊いことだなって噛み締めます。暫くは治療の日々を送りましょう。


 ●エンディングフェイズ2/日葵 〜永久の別れ〜

GM/ひまちゃんのエンディングシーンをしましょう。……君、【HP】0になったよね。せっかくだから夢歩きをしない?
あゆむ/夢歩き! 夢歩きだ!(笑)
日葵/はい! ……でも、されたら絶対泣く!(笑)
GM/ひまちゃんが【HP】0から1に回復してもらう数分のこと。明日田アキ子のお狐様マジックによって気を失った君ですが……。
桐久雄/お狐マジック! 一気にゆるくなっちゃった(笑)
GM/……君は、上も下も右も左も判らないような渦の巻いた空間に立っている。
日葵/今まで日葵はウズマキの中に最悪の状況下でないと入ったことしかない。まず「やべぇ!?」って思いますね(笑) こ、これはまたループするのか!? けど他の3人がいない……!?
GM/独りぼっちの暗闇の中で慌てる君。周囲にいくつか渦が巻いていて、その一つに飛び込めば戻れるかなって察します。
日葵/3人に依存するようになったのですぐに戻ろうとします。前までの日葵だったら「守るために戻らなきゃ!」だったけど、今は「寂しいから戻りたい!」と思うようになりました。
あゆむ/か、可愛い……(笑)
GM/帰ろうと思う君。でも誰かいることに気付く。
日葵/…………。
GM/誰か判らないけど、誰かが異空間の中にいる。3人のことが大好きな君は、今すぐにでも帰りたいだろう。でも、どうする?
日葵/……周囲を見渡す。誰がいるのか、見定める。
GM/「あれ? 早く帰りたいって思うんじゃないの? 本気で帰りたいって思わなきゃ帰れないよ。早く目を覚ましてあげないとみんな心配しちゃうよー」 男の子の声がする。
日葵/……その声は、聞き覚えがありますか。
GM/忘れる筈がない男の子の声だよ。
日葵/……早く戻りたい。そう思う。……けど……。
GM/「ほら、強く思いなよ。そして早く戻りな。大事な3人なんだろ?」
日葵/……大事な3人、だけど……。
GM/「『寂しがり屋の日葵ちゃんはすぐに戻ろうと思った』! ……じゃないの?」
日葵/ああ、思った! 思ったさ! 思ったけど……! 何か、お前がここで私に声を掛けてきたのは……意味があるのか。
GM/「敢えて言うなら俺が会いたかっただけ」
日葵/意味あるじゃん!?
GM/「帰り方は簡単。強く『帰りたい!』って思ったら速攻あっちに戻れる。だからひまちゃんはすぐにでも帰れるんだ。でも……死人と出会うなんてこんな機会でもないとないでしょ? だから止めてみた」
日葵/……まったく。死んでからも私に迷惑を掛ける気か。
GM/「けど、もういいや。なーに【HP】0になってるんだよ! 早く起きた起きた!
日葵/果てしなくうぜぇ!(笑) 死んでから改心する人間はいるけどお前は変わらんなぁ! ……けど、一つだけ頼みがある。桐久雄のことなんだが。
GM/「うん?」
日葵/桐久雄を助けてくれたのは、お前なんだろう?
GM/「そりゃあ、俺強いですから」
日葵/腹立つな。レベル12になった私にそれを言うか(一同笑) 桐久雄は……お前のことで物凄く思い悩んでいた。助けてくれたお前を殺してしまったことに。……たとえ桐久雄に聞こえてないとしても、お前の口からあいつを許してやると言ってやってほしい。
GM/「何言ってんの? 許すとか許さないの問題? そもそも誰が許さないって言ったよ?」
日葵/…………。
GM/「まぁ、もしあの子に言伝ができるなら『気にするな』って言っておいてくれ。ひまちゃんだってこれから俺のお葬式でメソメソ泣くだろうから大変だと思うけど……」
日葵/泣かねーし!(笑)
GM/「なんで泣かないの!?」
日葵/泣かねーよ! 泣いたらお前絶対天国で「やーい泣いてやんのー!」とか言うだろ!?(笑) ……必ず伝えておく。私はもう行くから。じゃあな。
GM/パチッ。君は目を覚ます。
あゆむ/ひまちゃーん! 【HP】1で蘇ってー!(笑)
ルリチカ/ひまちゃん! ≪肉体復元≫するよー!
桐久雄/ひまちゃん生きてて良かったー! わちゃくちゃー!(笑)
GM/……彼と会話なんて、今後一生無いでしょう。彼との会話は自分が作り出した都合の良い妄想なのか? それとも超越的な力が働いた奇跡なのか? それは、ひまちゃんが好きに決めていい。
日葵/…………。桐久雄。
桐久雄/はいぃ!? な、何だよ?
日葵/都合の良い妄想だと思ってくれて構わないんだが、喜行が「気にするな」ってさ。
桐久雄/……良い夢を見てんじゃねーよぉ! 良かったね!(笑)
日葵/……ああ、良かった。

 ――渦の巻いた空間にて。金髪碧眼ゴシックロリータの少女が、とある渦に向かって手をふる青年に声を掛けた。

「今のが……最期の言葉でいいの?」
「感動的なことを言っちまって、この場でひまちゃんに泣かれたら困るし?」
「あっそう」

あゆむ/これにはロリも困惑顔(一同笑)

「それに、ひまちゃんもあの子も、あゆむちゃんもルリチカも、『気にするな』で立ち直ってくれるだろ。……だって『たった3回』で未来に進めたんだ。何度やっても失敗した俺とは大違いなんだから、何を言っても前に突き進んでくれるさ」
「そうね。彼女達だったら、これからも未来を歩み続ける。もう狂気の神は降臨せずに済んだのだから」
「凄いよな。俺が代償を払った甲斐あったわ。何度やっても桐久雄が狂った『警察署にトラウマを植えつけられた』なら、俺の仕事は終わりでいいだろ!」


日葵/喜行、ループしてたの!?
GM/考えてみてください。『警察署に行ってはいけない!』って第六感が働いた……これって『AW』では何て言いますか?
ルリチカ/デジャブ判定……あっ。
GM/デジャブ判定なら始さんも今回やってましたよね。過去のループで起きたことを思い出すということを。……第1ループにそれが起きたということは?
ルリチカ/あああー!? 第1ループ以前にもループしてなきゃデジャブ判定が発生しない! じゃあ……喜行が気付かせてくれたってこと!?
あゆむ/そ、そうだよ……有利になるにはループの代償が必要で、バッドエンド回避の第六感なんて有利になること……早々起こせない。じゃあ喜行は……以前の世界で警察署で起きた事件を体験したことがある?
GM/はい。桐久雄と喜行は一緒に逃亡し、5人でミドルフェイズを始めることがあったという設定です。けれど警察署に行くたびにアキ子に出会う。狂化される。バッドエンドへ。そんな世界を何度も繰り返していました。
桐久雄/あ、ああ……。
GM/しかも、誘拐された喜行はPC1の桐久雄と同じく『イベントキー:誘拐』を持っています。【正気度】判定に失敗して狂化バッドエンドにいく可能性は2倍でした。
あゆむ/それは……確かに、詰みやすい(笑)
GM/リスクが高すぎる5人パーティー。高確率で2人のどちらかは、逃れた先の神社で死ぬ。ロリはまず喜行に「ループの核にならないか?」と声を掛けました。そして喜行は、数回続いたループ生活の中である結論を出しました。

「確実に俺が早く死ぬ運命にすることで、あの子の体が安定する時間を設ける。そうすれば俺達5人がいた世界より、4人の生存率は格段と高くなる」
「……さすがに
『死』というペナルティは代償として重すぎるわ。そのおかげで月見里 桐久雄に100%デジャブ判定を発生させるぐらいのメリットを、私も設けることができた」
「まあ、色々試行錯誤したけどそのおかげで邪神召喚が解決できたんだからいいじゃん。俺は成仏するよ!」
「あっ、ちょっと! …………本当に呆気なく消えちゃった」

 呆然とする龍の聖剣。彼女の前には、もう誰もいない。
 大した捨て台詞も言わず、小野 喜行はあっという間に消滅した。それが彼の正真正銘、最期だった。


あゆむ/……仏か!?(一同爆笑) 善人か!?
GM/善人だよ。
日葵/凄い善人だ! 惜しい喜行を……オシユキを亡くした……。
桐久雄/凄い人だった……達観してた。一体どれだけループしたんだよ……(笑)


 ●エンディングフェイズ3/あゆむ 〜笑顔〜

GM/あゆむちゃんのエンディングシーンをしましょう。……無事、始さんを救済することができました。手術は終わって数日後、彼と話ができるようになったと連絡が入ります。
あゆむ/プロデューサーさんがいる病室に、容体が落ち着いた頃に行きたいです。
GM/魔術的な手術は緊急の外科手術とは違い、悪い部分を取り除いたらすぐ退院できます。ですが彼はたとえ【HP】や【MP】は満タンでも、【正気度】1で生き残っていた状態。個室で精神の療養をしなければなりません。
ルリチカ/うん……。
GM/しかも重要参考人だからね。警察も教会もどっちも厳重にマークしています。だけど……高坂が「あゆむちゃんだってお話したいだろ?」と、30分だけ面会時間を作ってくれました。
日葵/高坂さん! 良い人だなー!(笑)
あゆむ/いつもありがとうございます!(笑) ……プロデューサーさんがいる病室にノックして、失礼します。
GM/個室。監視カメラ付き。外には見張り。だけど2人きりでお話ができます。
あゆむ/5月の半ば……天気の良くて過ごしやすい気温の日に、小さな花束を抱えてお見舞いしますね。お疲れ様です、具合はどうですか? 普通な感じで訊きます。
GM/始の体は焼け爛れた火傷痕だらけで、声すら補助用具が無ければ出せません。だけど微かな音をお腹から出して会話が可能です。機械音で「良くなってきたよ」と頷きます。
あゆむ/だいぶ喋れるようになったんですね! 努めて前向きに振る舞います。あの、暫く外出もできないだろうから華やかな物を持ってきました! 花瓶に活けますね!
GM/「…………」 花瓶に花を挿す姿を見ている彼は、無言だ。
あゆむ/え、えーと……。何から話していいか、なんですけど……。
GM/「何から話していいか、なんだが」
桐久雄/言ってることが被った。仲良しだ(笑)
GM/「……あゆむは、俺が誘拐されて酷いことをされていたって報告は聞かされたのか?」
あゆむ/……頷きます。凄く大変な目に遭っていたんですね。
GM/「誘拐犯に捕まって、共犯者にされたんだよ」 大人が子供に判りやすく説明するかのように、語ります。「……50人誘拐して殺した犯人に、『お前も我々の仲間になれ。やらないなら死ね』って言われたんだ。俺はその片棒を担がされた。脅されてやらされたとはいえ、実行犯になった。……数万人を殺す計画すら加担されるところだった」
あゆむ/……はい。よろしくない業務連絡をするときと同じ言い方に、ちょっとだけ懐かしいと感じてしまいます(笑)
GM/「……でも、数万人を殺すテロ事件をやらされそうになった日に……もう会えないと思ったあゆむに、あの駅で再会できた。あそこであゆむが俺を見つけてくれなかったら……俺はこうやってまた話をすることもできなかった。探してくれなかったら、もう、二度と……」
あゆむ/……はい。
GM/「……もう仕事に復帰はできないだろう。そもそもお天道様の下を歩けない。……見つけてもらえなくても、俺は既に戻れなくなっていた」
あゆむ/…………。
GM/「それでも、戻れなくても、戻りたかった。見つけてもらったって元の生活に帰れないって判っていても、見つけてもらいたかった。『帰ってきていい』って言ってほしかった。許してほしかった、認めてもらいたかった! ……お前に見つけてもらって、良かった……」
あゆむ/…………。
GM/「あの時間、あの場所で、見つけてもらえて、欲しかった声を掛けてもらえて、良かった……。すまない、俺ばっかり話している」 機械音は、カスカスで聞こえなくなる寸前に謝ります。あゆむがAちゃんやBちゃんに比べて物静かな性格だと知ってる彼は、君に言葉を譲ります。
あゆむ/今まではきっとそうでしたね。……プロデューサーさんの言葉に、ふるふると首を振ります。プロデューサーさんは、私が見つけたって言いましたね。
GM/うん。
あゆむ/一度目は、見つけることもできませんでした。……1ループ目のことを話しますが、伝わっているか判らない。
桐久雄/……ああ……。
あゆむ/二度目は、見つけたけど手を放してしまいました。でも、その手を私の代わりに取ってくれた人がいました。だから私ももう一回手を伸ばそうと思えました。やっと、やっと捕まえることができたんです! ……ニコッと笑います。
日葵/わ、わあ……!(笑)
あゆむ/ですから、私一人じゃできなかったことなんです。……私の素晴らしい仲間なので、今度プロデューサーさんに紹介させてください!

 ……始は、あゆむの笑顔を見て言葉を失う。
 そして「戻ってきて良かった」と呟いた。
 「そうだ、その笑顔があったから……『その笑顔を多くの人に届けたい』と思っていたから、あの仕事をしていたんだっけ……」

 あゆむの笑顔を真正面から受け取った彼は、本来の仕事を思い出す。
 「会わせてくれ、いつか……お前の大事な仲間に。必ず……」


あゆむ/始さんの優しく手を握って、頷きます。戻ってきてくれて、本当に良かった……。本当は「良かった」で済ましちゃいけないことはいっぱいあるって判っています。でも、私は「良かった」って言います!
GM/あっという間に面会時間は過ぎていく。今度彼と話せるのは、いつになるやら。でも2人は笑顔で再会を約束したでしょう。
あゆむ/……面会時間を終えたら、3人に連絡をします。今日あったことを、3人にすぐお話したいですから!


 ●エンディングフェイズ4/桐久雄 〜未来へ〜

桐久雄/あゆぬんの面会が終わって、その後にみんなで集合してご飯を食べたり、色んな話をしました。
あゆむ/うん。
桐久雄/そして夜、どっぷり日が暮れて……終電も間際の時間、22時20分ぐらい。桐久雄は一人で駅のホームにあるベンチに座っています。自分の携帯電話を使って、家に電話を掛けます。
GM/家に電話か。
桐久雄/あれからまだ家には帰ってません。
ルリチカ/帰ってないんかい!?(一同笑)
GM/さっきぬんのエンディングで「5月の半ば」って言ってたよね? ということは2週間も帰ってないんだ。……いつも通り電話におじさんが、出ません。電話を出たのは、女性です。
日葵/……あっ!?(笑)
桐久雄/か、母さん……ですか?
GM/(桐久雄の母になって)「ええ、貴方の母です。おじさんが出ようとした電話を奪って母が出ました」
日葵/お母さん、電話を奪った!(笑)
桐久雄/……ご、ご無沙汰してます、お母様(笑)
GM/「ここでお父様が出なかったのは感謝しなさい」
桐久雄/それな(一同爆笑) まずは母さん……ごめん。全然帰れてなくて。
GM/「後で土下座しなさい。つまりは早く帰ってきて直接顔を合わせろということです」
桐久雄/ちゃんと今から帰るから! ……父さんを呼んでおいてほしい。伝えたいことがあるって。もう話したいことは決まっているんだ。ずっと話していなかった……進路の話がしたい。
あゆむ/家族会議だ。
桐久雄/覚悟を決めるのに2週間は必要だったんですよ! ルリチカやひまちゃんと相談したり、ぬんに応援してもらったり!(笑) ……帰ったら土下座でも何でもするからさ。オレの話を聞いてよ。オレの、友達の話もさ。
GM/お母様は、了解してくれます。
桐久雄/電話を切って、電子掲示板を見上げる。……22時25分の電車は、もちろん無い。滑り込んできた電車はいつも桐久雄が乗っていたもの。その電車に乗り込んで、ゆっくりドアが閉まる。
GM/心にあるのは両親への謝罪や恐怖ではなく、自分が決めたことを告げるという絶対の意思。覚悟は決めた。電車が走り出す。桐久雄の将来に向かって……。


 アナザーワールドSRS・リプレイ
  〜 『狂気の使者は我にくる』 〜





END

GM/これにて長期キャンペーン『アナザーワールドSRS〜狂気の使者は我にくる』、おしまいになります。お疲れ様でしたー!
一同/お疲れ様でしたー!
日葵/わー、ありがとうございましたぁー!
あゆむ/ああ凄かったー! ありがとうございますー!
GM/『狂気の使者』というタイトルの話をします。これは邪神であるユウストタディアス、機関の申し子である明日田アキ子、拷問の中で狂気に支配されていった榊原始、そして……。
桐久雄/書道アーティスト!
あゆむ/そっちじゃない!(一同爆笑) 桐久雄でしょ!?
ルリチカ/彼は彼で狂気だけど、そっちじゃない!(笑)
GM/いつ狂化するかもしれないという爆弾を抱えたPC1、月見里桐久雄のことを意味するタイトルでした!(笑) 『4版』ルールを使った長期シナリオをやりたいというテーマで、【正気度】、邪神について、異端堕ちを全面に出した話をやりたかったんですよ。
桐久雄/最後までたっぷりでしたね!
GM/最後に明かしましたが、喜行はループしていたという設定でした。でも残念ながら「自分がいない方がみんな死なないね?」と気付き、PC達に置き土産をして任せることにしたんです。
ルリチカ/そういやGMは「バッドエンドはいっぱいある」とか「強制クライマックス移行コースがある」って言ってましたね……。
GM/警察に行ってアキ子に狂化されてバッドエンド、高坂の死を目撃してバッドエンドなどなど……ショッキングな出来事はなるべくPC1の前でやろうとしてました。喜行の死を知った瞬間とか、始さんの過去を見た瞬間にも【正気度】判定をさせてたでしょ? でもGMの予想以上にぬんが≪ミネルヴァ≫で桐久雄の狂化を何度も止めてくれたのが凄かった。
桐久雄/ぬんは女神だったなー!(笑) でも2D6で10は出ねーよ! 無理ゲーだろ!?
ルリチカ/いや、PC1の【理知】と【意志】がそこそこあれば期待値で成功できるから……(笑)
あゆむ/【正気度】判定が面白かったー! 高レベルの[アーティスト]ってめっちゃ使えるね! ≪ミネルヴァ≫が楽しい!
日葵/何をしても強かったですね! 支援がありがたかったです。
あゆむ/正しく[イレギュラー]と[アーティスト]の関係をできたね。楽しかったなぁ〜。
GM/ループものシナリオが好きで『AW』を作った製作者としては、ぬんのエンディングシーンの台詞が大好きだ。「一回目はダメだった。二回目は……」ってくだり、ループものぽくて良いな。
あゆむ/あれは言ってて「その通りだな」って自分で思いました。……マジで2ループ目にあゆむの口から「プロデューサーさん、戻ってきて」って言えなかったんですよ。でも、桐久雄が言ってくれて私も言おうと思えた。桐久雄は私にとってもアイドルだったんだよ!(笑)
桐久雄/俺は何度もぬんに救われた。一生応援する!
日葵/私もずっとあゆむの追っかけをする!(笑)
GM/情報量の多いシナリオなので後で『狂気卓』シナリオ全容を公開するね。このボリュームのキャンペーンシナリオは、『ドロリア』以来なんだよ。
あゆむ/(←『ドロリア』の参加プレイヤー)プレイしていて懐かしい気分になりました!(笑) 
GM/簡単に、情報収集の仕掛けを説明すると……。

【マップの解説】
 駅:始に関するイベント。
 教会:儀式や機関に関する資料。
 小屋:アイテムゲット。
 警察署:公の情報ゲット。
 神社:事故現場&儀式の現場。
 PC達が決められるマップ:鶴瀬に関するイベント。
 ※「PC1を調べるAF判定」を行なうと、アキ子が登場したり明桜建設の話が出る(警察署で桐久雄のことを調べたらアキ子の影、小屋で桐久雄のことを調べたら明桜建設のおじさんが登場、など)。
 ※始、アキ子、高坂、鶴瀬は基本的に2人以上マップに登場しない(第1ループで駅に高坂を連れて行ったから始が登場しなかった。高坂無しで駅に行った第2〜3ループでは始がホームに登場)。


GM/高坂と鶴瀬は一定時間が過ぎると死ぬけど、PC達が生かそうとすると情報を話すという舞台装置として活躍してもらいました。
日葵/喜行はシーンには登場してないけど凄く重要で良いNPCだったし、メイアさんもたった一言の台詞が印象深くって……つい泣いてしまいました(笑)
桐久雄/NPCがいっぱい出ましたけど、登場するとシナリオがどんどん進むから楽しかったです!
あゆむ/鶴瀬は好きなキャラクターだったので……登場するたびに凄くテンション上がった……(笑)
GM/大手企業が電車や建物を堂々使って暗躍しているところに殴り込みをするとなったら、ただのPC達には荷が重い。だから『4版』のNPCパーソナリティーズで正式採用になった鶴瀬総支配人と、特命課のゆたささん&狛さんをメインNPCとして使いました。
ルリチカ/権力って最高だな! ゆたかさんがいてくれて本当に良かったー! めっちゃ好き!
あゆむ/(←ゆたかの中の人)ありがとうございます。ゆたかは身近な国家権力キャラなんでどんどん使って!(笑) 本人がいないところでデレるけど、狛もカッコイイだろう!? 桐久雄はそのうち特命課に就職してね!
桐久雄/はーい、就職しますー! まずは大学進学だー! ≪強化手術≫という名の猛勉強をするぞぉー!(一同笑)




END

『狂気卓』シナリオ全容

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