アナザーワールドSRS・リプレイ・狂気の使者は我にくる
■ 『 第2話 』 1ページ ■
2015年8月23日




 ●プリプレイ

GM/『アナザーワールドSRS〜狂気の使者は我にくる』第2話を始めましょう。
あゆむ/キャラクターレベルが8になりましたので、いっぱい特技が取れましたね。
ルリチカ/何度も「防御が弱い」と言われてしまったので、そこを補ってきました!
GM/何度も言ったんだからGMも戦闘面を充実させてきました。記憶継続プレイだから一気にレベルが3も上がって大変だったよね。記憶が消えるループものなら1レベルだけだけど、困難を経験して新たな感情を得ている皆さんは強くなっていきます。さて皆さん、レベルアップ報告をお願いします。

▼PC1:月見里 桐久雄(キャラクターレベル8)
 クラス[闘士3/異端者1/イレギュラー4]
 新規に[異端者]クラスを追加。
 闘士より、主特技≪軍神の知恵≫、副特技≪浸蝕≫を取得。
 異端者より、主特技≪鬼の肌膚:物理≫、副特技≪抉る幻≫を取得。
 イレギュラーより、主特技≪ハスター≫、副特技≪パミュートメモリ≫を取得。

▼PC2:叶 あゆむ(キャラクターレベル8)
 クラス[領域遣い4/世界遣い1/アーティスト3]
 新規に[世界遣い]クラスを追加。
 領域遣いより、主特技≪大地の守護者≫、副特技≪武装粒子≫を取得。
 世界遣いより、主特技≪逆転運命≫、副特技≪禍福のさざなみ≫を取得。
 アーティストより、主特技≪アメノウズメ2≫、副特技≪アトリビュート≫を取得。

▼PC3:晩間 日葵(キャラクターレベル8)
 クラス[狂戦士8]
 狂戦士より、主特技≪迷わぬ戦士≫ ≪鋼化≫ ≪鋼化2≫、副特技≪百鬼夜行≫ ≪狂舞3≫ ≪狂舞4≫を取得。

▼PC4:二木 ルリチカ(キャラクターレベル8)
 クラス[感応力師6/聖職者1/異端者1]
 新規に[異端者]クラスを追加。
 感応力師より、主特技≪念動障壁3≫ ≪肉体復元3≫、副特技≪過去視≫ ≪覚醒具2≫を取得。
 異端者より、主特技≪鬼の肌膚:霊力≫、副特技≪背徳の従者≫を取得。

ルリチカ/前回の戦闘で防御があったので、桐久雄とルリチカが2人とも[異端者]になって≪鬼の肌膚≫を取得してみました。
桐久雄/ルリチカを真似してオレも[異端者]になりました。
GM/……[異端者]って、真似できるもんなんだ。
日葵/男子がどんどん人間をやめていく。
桐久雄/いや、ひまちゃんには敵わないからな?(笑) 防御だけじゃなく火力も上げてみたんだけど、【MP】が全然増えてくれなかったんだよね。そこだけが不安だな。
GM/でも、支援してくれる人達がいるから平気でしょ?
桐久雄/ですね! 安心して突っ込んでいきたいと思います!
GM/『ぬ』が[世界遣い]になったのも大きな変化だね。
あゆむ/……『ぬ』じゃないし! ぬは元々名前にないし!(一同笑)
GM/それにしてもルリチカは≪背徳の従者≫を取ったんだ。PCではなかなかいない珍しい特技を取ったなぁ。
ルリチカ/副特技枠で取得できる蘇生系の特技が欲しかったんですよ。なるべく使わない方向で進めていきたいですね。
あゆむ/使うなら高坂さんに積極的に使っていこうよ。
ルリチカ/高坂さんをサーヴァントにできるなんて興奮しますね!(一同笑)
GM/……早速ですが、第2話シナリオのパーティーハンドアウトをご用意してきました。まずは読み上げます。

【レギュレーション】
 キャラクターレベル8で開始。
 全員記憶持ち越しプレイ。記憶保持によるループの代償は発生しない。

【ハンドアウト:PC1〜PC4】
 コネクション:龍の聖剣   関係:信頼

 龍の聖剣の導きによって、時間を跳躍した。
 5月4日11時。4人が初めて出会った小屋の前で意識を取り戻した君達。
 龍の聖剣は「邪神召喚による世界の終わり」を語る。このままだと世界が消滅してしまうという。
 再び君達は、死の匂いが満たされつつある24時間を駆け巡ることになった。
▼セカイのイベント:邪神召喚を止めるように画策する。
▼NPC:龍の聖剣

 人外。超越的な話題をする金髪の幼女。とってもふしぎ。
 君達に世界のこと、時間跳躍のことを教えてくれる。


GM/ロリが世界のことを教えてくれるので、ここで[世界遣い]知識が手に入るものとします。
日葵/あゆむちゃんが勉強してくれました(笑)
GM/始めに、前回のラストで読み上げました第2話のオープニングを再度出しますね。

「……相当、大変ってことじゃないですか。貴方がここに来るなんて」

「調査のために足を運ぶことだってある。それにな、このことを調査する適任の人材はどこを探しても……俺と高坂さん、ときわさん、この3人ぐらいしかいないんだ。なら俺が直接動いた方が早い」

 教会の書庫にて。
 堅苦しく乱れのないシャツ姿の男性が、本棚を前に大量の資料に目を通しながら高坂と言葉を交わしていた。


あゆむ/よしっ!
ルリチカ/よしっ!
日葵/「堅苦しく乱れのないシャツ姿の男性」のときに、みんなガッツポーズをしました(笑)

「だからって、わざわざ総支配人自ら……。少しレベルの高い能力者でチームを編成しますよ、その方が……」
「高坂さんならそう言ってくれると思った。では、すぐに編成会議を。出来れば早い方がありがたい。50人もの人間がいなくなっているんだ。近いうちに恐ろしい何かが動き始める」
「そうですね。今はゴールデンウイーク中だから……明後日の5月5日までには、なんとか人を集めましょう」


桐久雄/5月5日じゃ遅いんですよ! アカーン!(笑)

 5月3日。もうすぐ正午。
 腕時計を確認した彼は、手早く資料を戻した。すぐにスーツの上着を羽織り、苦々しく背表紙に刻まれた名を睨む。

「…………『機関』もまた、とんでもない置き土産をしてくれたものだ」




 アナザーワールドSRS 『狂気の使者は我にくる』 第2話



 ●オープニングフェイズ1/PC1〜PC4

GM/ここは小屋の庭。君達は金髪碧眼ツインテールの女の子と対峙しています。……確かに一度5月3日24時を過ごした。空にはおっきいドクロがいた筈だけど、見上げる青空にはもそんなのありません。
日葵/そんなこたぁなかった。……本当に時間を巻き戻してきたんだな。
GM/携帯電話の時計を見ればより実感できるでしょう。龍の聖剣と名乗る少女は、邪神が召喚されてしまうと世界が消滅してしまうかもしれないということ、この世界では時間を巻き戻すことができるということ、今後の時間跳躍はそう簡単にできないことを説明してくれます。
桐久雄/何やらヤバイ匂いしかしないぜ。
GM/(龍の聖剣になって)「貴方達が一番真相に近い人間。貴方達が違った動きを見せれば、あのような世界にはもうならない。……いきなり重い荷物を背負わせてしまってごめんなさい……」 話し終えて役目を終えた彼女の姿は、少しずつ消えていきます。
あゆむ/龍の聖剣の手をぎゅっと握ります。……お疲れ様、ありがとうございます。大変そうなのにわざわざ私達のために……いえ、私達のためってことじゃないんでしょうけど! 必ず応えます!
ルリチカ/チャンスくれてありがとな、頑張るよ!
GM/その言葉に安心したように微笑んで、彼女は消えました。姿が完全に見えなくなる前に彼女は、「貴方達には辛い未来が待っている。どうか、貴方達が幸せになる未来を探して。世界を救ってほしいけど、貴方達が救われなければ意味が無いから……」と呟きます。
あゆむ/そしてぬーんと突然生えるあゆむの[世界遣い]設定(笑)
日葵/話の途中で急に覚醒したな(笑)
桐久雄/ふおお……なんだか凄いことになっちまったな?
GM/そうだね。小屋の庭で4人が見つめ合っていると、ぶいーんと車がやって来ます。
あゆむ/ぶいーん?
GM/車から高坂が「あゆむちゃん、大丈夫か!」と出てくる。あゆむちゃんの元へ駆けつける朝の出来事を、世界はそのまま繰り返しているようです。
あゆむ/高坂さんイズノットデッド!(一同笑) 高坂さん、血とか吐いてませんか!?
GM/「俺は吐血芸なんてできないよ」
あゆむ/誰だったらできるの!?(笑)
ルリチカ/誰か吐血芸なんてできる人はいたっけなぁ?(笑)
桐久雄/……いるじゃん、異端刑務所のモブが。
日葵/まだお前が出るの早いから! 今はまだそのときではない!(一同笑)
GM/「で、お前ら……大丈夫だったのか? あゆむちゃんが変質者に襲われているものだと思ったけど」
あゆむ/それは誤解です! あっ……き、桐久雄さん! こちら、高坂さんっていう方でして、と唐突に自己紹介をし始める(笑)
桐久雄/は、初めまして。オレ、月見里 桐久雄っていいます!(笑)
GM/「ふむふむ、丁寧なお子さんですね?」
日葵/誰の子だ(笑) 事件の重要参考人と出会えたんだが、というところまで早送りをしよう。
GM/了解、自己紹介は省略します。高坂は桐久雄に「事件について君に協力してほしいんだけど」と話をし始め……。
桐久雄/はい、協力させてくださいっ! 絶対オレ、力になるんで! よろしくお願いします! 情報とかバシバシ探してきます!
あゆむ/若干、食い気味だ(笑) 高坂さん、桐久雄さんって凄いんですよ。日葵さんみたいに強いんです、なかなかいないと思いませんか?
GM/「それは凄い。よく誘拐犯もこんな強い[イレギュラー]を誘拐できたもんだ
あゆむ/ですよね、GMもよくそんな敵を用意してくれたもんだ(一同爆笑)
GM/高坂は桐久雄の協力に「とても心強い」と歓迎します。でも……「親御さんが心配しているだろう。一度警察署に行こうか?」と善意で提案をします。高校生が2日間家に帰ってないのだから当然の対応だね。すると桐久雄くんは、「警察に行かない方がいいんじゃないか、行きたくないな」という感情が湧き上がっています。
日葵/あっ。来たか、このターン。
桐久雄/……周りに目配せします。
ルリチカ/今回のループはどうしよう。……警察署、行っちゃう?
あゆむ/もしかしたらいきなりクライマックスフェイズの可能性もあるかもよ。
桐久雄/それはそれで面白いな(笑) 判断材料にするためにも一度行ってみるのもいいよね。……高坂さんに判りましたって頷きます。親も心配してるかもしれないし!
GM/高坂は桐久雄くんに「車に乗ってくれ」と促します。「では、他の3人は先に任務を頑張ってくれ」
日葵/ああ、面倒はちゃんと見ておく。
あゆむ/……あの。私が警察に同行することってできますか? 一応、私も犯人の目撃者ですし……。
ルリチカ/あ、そうだね! さすがに4人全員で同行すると変だけど、あゆむちゃんなら一緒に行くのもアリ……かな?
日葵/警察だけじゃなく高坂さんへの説明も、叶がするべきだよな。
桐久雄/それに前回≪ミネルヴァ≫で助けてもらったから、ぬんがいてくれると心強い! ……そういや、オレの持ち物って一つも無いんですか?
GM/無いね。このリプレイを18禁にしたくないので衣服は無事ですが、持ち物は無いし身につけているアクセサリーも若干消えています。
ルリチカ/……無一文な桐久雄に千円ぐらいお小遣いを渡しておきますね(笑)
桐久雄/ありがとう! 財布が見つかったら後で返すからな、赤い水でふやけてるかもしれないけどー!(笑)
GM/高坂はあゆぬちゃんが来ることに賛成してくれるよ。では日葵ちゃんやルリチカに「資料を読み込んでおいてくれ」と頼んだところで、桐久雄とあゆぬちゃんの2人を連れて車を警察署へ発進させます。
あゆむ/よろしくお願いします。
日葵/判った。そちらこそ頼んだぞ。
桐久雄/行ってきまーす!
GM/ではでは……オープニングの段階で警察に行くという、特別挿入イベントに参りましょう。


 ●ボーナスフェイズ/???

GM/時刻はお昼12時ぐらい。ごく普通の一般市民も行き来する平和な警察署に到着しました。
ルリチカ/特に目立った変化はありませんか?
GM/とある異端犯罪者が「ヒャッハー! 捕まっちまったぜー!」と牢屋にブチ込まれたぐらいで何事もありません。
あゆむ/……あの声、なんか聞き覚えが……(笑)
桐久雄/(いきなり異端犯罪者になって)「ヒャッハー! 壁にラクガキをしただけで牢屋にブチ込まれるなんて思わなかったぜぇー! これが芸術だって警察の連中は全然理解してないぜぇー!」(一同笑)
日葵/第1ラウンドの最初に捕まったのか。捕まってすぐ脱獄するなんて凄い神経をしているな、あいつ(笑)
GM/高坂が「今日は平和だと思ったが、警察でも色々あるみたいだな……」と言いながら署に入っていきます。なお、難しい手続きは全て高坂がしてくれます。2日前に親御さんが出してくれた失踪届けの処理とかいっぱいね。
桐久雄/高坂さんっていい人だなぁ。大人は頼りになる!(笑)
GM/という訳で、警察署でやるべき作業は全て高坂がしちゃいました。桐久雄くんは本人がしなきゃいけないサインを書くぐらいで、あっという間に終えてしまいます。……高坂が手続きで一度去って行きます。
桐久雄/何事も無く終わ……。
GM/「あら? あらあらあら?」 桐久雄は女性に話しかけられる。
あゆむ/えっ?
GM/桐久雄が声がした方に振り返ると、そこには背が高く、着物姿で目の細い女性が立っています。彼女が誰なのか【意志】で難易度は6で思い出せるよ。
桐久雄/(ころころ)達成値14で成功です。
GM/なら余裕で覚えているね。名前は、明日田アキ子(あすた・あきこ)さん。お母さんのお友達だ。
桐久雄/お母さんのお友達?
GM/うん。上品で優雅なお着物を着た女性で、建設業の人。明桜建設(あきざくら・けんせつ)の社長であり、テレビでも出ているような団体の会長をしている、お母さんのお仕事関係の人です。
あゆむ/お母さんのお仕事関係って……禍々しい響きだな(笑)
GM/残念ながら桐久雄の両親がヤクザという設定だからそうなってしまっただけだよ(笑) ごく普通に一般人の家庭設定でもお友達のつもりで出す予定でした。
桐久雄/ややこしい設定にしてすみません!(笑) あ、明日田さんじゃないですかって言いますね。
GM/「まったく、こんなところにいたの!? お母さんが心配してたわよ!」
桐久雄/あっ……そ、そっすよね。
GM/「早く帰ってあげなさい! いえ、私が送ってあげるわ!」
桐久雄/えっ。
GM/「お母さんは本当に心配していたのよ。おばさんがお節介なの覚えているでしょう!?」 桐久雄のお母さんと同い年ぐらいの女性は、遠慮なくぐいぐいと桐久雄の腕を引っ張ります。
桐久雄/で、でも……友達も一緒だし。
GM/「まあ! 今まで女の子と一緒にいたっていうの!? ダメじゃない、そんなことでお母さんを心配させちゃ!」
桐久雄/す、すみませーん!(笑) お、オレ、一人でもちゃんと帰りますし!
GM/「帰らなかったじゃない!」
桐久雄/ぐぐっ!(笑)
GM/「まだ貴方は17歳。それに、大事な時期じゃなくて?」
桐久雄/ぐぐぐっ! ……なすすべなく言われっぱなしだな(笑)
GM/【理知】で交渉判定をどうぞ。明日田アキ子さんは「帰るわよ!」と強制的に桐久雄を車に乗せるという迷惑なおばさんロールをします。難易度は15。
あゆむ/おばさんロール強くない!? 結構難易度が高いよ!(笑)
GM/高いよ。なにせ重要な判定だからね。
ルリチカ/桐久雄の【理知】は2じゃん。2D6で13を出せばいいんだよ!
日葵/サイコロの限界を試さなきゃダメだな(笑)
桐久雄/いっそサイコロを割るかー!(ころころ)そう簡単に割れないっすね! 達成値は11っす。
あゆむ/ちょ、ちょっと、待って! あと達成値4も必要? えっと……。あのさ、「警察に行かない方がいい第六感」って何だろうね?
桐久雄/……何だろうね?
GM/明日田アキ子は桐久雄を車に乗せて連れて行こうとしているだけだよ。
あゆむ/……嫌な予感がするのは少年らしい悩みと言えば確かにそうだけど(笑) ま、まだ警察の話はあるんじゃないかな? それを終えずにいきなり「お家に帰りましょう」は不自然じゃないかな?
桐久雄/た、確かに。
あゆむ/……まずは一発、≪ミネルヴァ≫を使おう!(ころころ)やった、5です!
桐久雄/ぬんが目力で「ここはダメ!」と伝えてくれたので、達成値が16になりました!
GM/桐久雄くんは、アキ子おばさんの剣幕に本気で折れかけていた……でも?
桐久雄/「自分にはやるべきことがある! ここで調べなきゃ意味が無い!」と思って、「すみません! 行けないんです!」とハッキリと言います!
GM/成功ですね。けどキャラロールをさせてください。(いきなり低い声になって)「……はぁ? 行かないのぉ? お母さんが心配してるのにぃ?」
桐久雄/ぐっ!(笑) 確かに母さんには悪いことをしてる自覚はあります。でもそれ以上に今やらなきゃいけないことがあって! 警察が絡んでくるぐらいのことなんです! 親父の家業にも関わることなんで……今ここで事を荒立てる訳にはいかないんです!
GM/(物凄く機嫌が悪そうに舌打ちをする)
桐久雄/ひぃっ!?
あゆむ/……2人の間にぱっと立ちます! あ、あの、警察でお話がまだありまして、お母様にはこれから連絡をしようということなので、その、ご心配をおかけしまして……と、なんとか場を取り持つようにします!
GM/(ころころ)
日葵/……え、何の判定?(笑)
GM/おばさんは言い返したら更に言い返してくる人で、2人の話を理解する雰囲気がありません。しかし桐久雄くんが抵抗し、あゆむちゃんが≪ミネルヴァ≫で後押しをしたせいか……時間を稼いだ君達の元に高坂が戻ってきます。
桐久雄/た、高坂さん!(笑)
GM/第三者の大人の男性の介入により、アキ子おばさんは「しょうがねえな」とその場を諦めます。高坂の顔を見ると何かを言われる前に「失礼」と去っていきました。
あゆむ/た、助かった〜!(笑) お、大人の力凄い。そして怖い!
桐久雄/ああ、オレはぬんがいなかったら完全に折れていたよ……(笑)
GM/アキ子おばさんはそのまま運転手がいる高級車に乗り込みました。物々しいスーツ姿の男性らが数人、車を守っています。その物々しさは、まるで武装した集団のようにも見えました。
あゆむ/武装?
GM/車に乗り込んでいたら、東京湾に沈められていたかもしれない系。
桐久雄/…………。オレもついにそんな経験をするときが来たか。
あゆむ/み、身に覚えがあるんですか?(笑) ちゃんと今のうちにお母さんにご連絡しておかないと駄目ですよ!
桐久雄/うっすうっす!(笑)
GM/高坂も「手続きは今ので全部終わったから、実家に連絡を入れた方がいい。声を聞かせてあげようよ」と電話を促してきます。
桐久雄/はい。携帯で家に電話をします。
GM/電話には、君に理解のあるおじさまが出てくれました。(落ち着いた声になって)「……桐久雄様。さすがに2日間連絡を入れないのはやり過ぎです」
桐久雄/お、おじさん! すんませんしたっ!
GM/「……貴方のお母様はですね、塞ぎ込んでいらっしゃったんですよ。貴方のことをとても心配している母親の顔をなさっていました」
桐久雄/か、母さんが?
GM/「ええ。『他の者には決して失踪したなど言うな』と口酸っぱくして対応をなさっていましたが、実際は貴方のことを気にかけておりました。今のところ誰にも門外していませんが、月見里組に悪い評判が立つ前に早々にお帰りください」
桐久雄/そっすよね……重々反省しております。オレの代わりに謝っておいてくれるとありがたいです……。
GM/「それは貴方がやるべきことです。早く帰ってきてあげてください」 なお、家に帰らなくてもシナリオは進みます。
桐久雄/おじさんごめん! ぜ、善処します!(笑)
日葵/日本人の便利な言葉だな(笑)
桐久雄/……母さんや父さんのこと、よろしくお願いします。
GM/「承知」 電話が切られます。
あゆむ/お、おじさんカッコイイ……(笑) その電話の内容を横で聞いていました。これで全部解決しましたかね?
GM/うん、全部終わったよ。……それと桐久雄くんは、なんだか胸がスッキリしたのを感じたね。不安でたまらなかったことから解放された気分だ。
桐久雄/おお……? 一体何だったんだ?
GM/それでは、これからミドルフェイズを始めていきましょう。


 ●ミドルフェイズ1/ルリチカ 『AF判定:桐久雄』×『MAP:警察署』

ルリチカ/警察署で得られるかんざしを≪過去視≫でしてみたい。それに今の時間帯なら特命課の人も生きているだろうし、話をしてこよう。警察署でシーンを立てます。
GM/ルリチカが警察署に来て桐久雄くん達と合流するのかな?
あゆむ/そうですね、迎えに来てくれたことにしましょう。
GM/まだ平和な警察署を訪れるルリチカのシーンを始めます。ルリチカは前々から教会のエージェントとして活動している人なので、特命課とは何度かお話をしたことあるんじゃないかな?
ルリチカ/はい。特命課に≪興奮剤≫という名のリポDを差し入れに持っていきます。
あゆむ/(いきなり特命課のゆたかになって)それはありがたいな!(笑)

 警視庁 能力特命課
 異能力関連事件担当の独立捜査課。
 第1話でも記載したが、
あゆむのプレイヤー・すずかは、特命課の検視官・佐久間 ゆたか(画像 右)の中の人である。

GM/特命課のゆたかさんが現れます。「教会から使いが来るとは聞いていたが、早速来てくれたか。ありがたい。これから血まみれになる勢いで資料をまとめようと思っていたところだ」
ルリチカ/血まみれだなんて、そんなそんな冗談じゃない……(笑)
あゆむ/(ゆたかになって)「もう既に血管が切れそうだよな」
GM/(特命課の狛になって)「そんなこと言わないでくださいセンパイ! オレが情報を足で稼いできますから! ……ゴールデンウイークの失踪事件のおかげで半年前の事件の進展が期待できますし、明日か明後日になれば十分な情報を持って教会に行けそうっす!」
日葵/明日や明後日だと遅いんだよー……(笑)
ルリチカ/……すみません。先日見つかった小野 喜行の遺体の状況についてお聞きしたいんです。
GM/特命課は資料を出してくれます。
ルリチカ/……この、遺体が手にしていたアクセサリーというのは?
GM/「これだ」と、透明な袋に入った貴重品を渡してくれます。
あゆむ/(ゆたかになって)「そうだ。君、確か≪過去視≫を持っていたよな? ちょっと頼まれてくれないか?」
ルリチカ/はい、すぐに! その場で≪過去視≫します。
GM/代償を払えば自動成功します。……ルリチカは目を閉じ、とあるビジョンを見た。それはガタンガタンと電車に乗る風景だ。
桐久雄/ああ、オレのかんざしだから……オレの記憶のようなもんか。
ルリチカ/これが、5月1日に起きたこと……。
GM/座席から見える夜景は、あの電車に乗ったことある者なら見覚えがあるものだ。だが、いきなりシーンは変わる。電車は赤黒い空間に入っていった。そして……大勢の人達が、阿鼻叫喚になりつつ見たことのない四足歩行の毛むくじゃらの獣に追い詰められていく。
日葵/獣……?
GM/獣に追いかけまわされ、何人かの人々が見せしめのように食い殺されていく。恐怖のどん底に陥れられた大勢は、建物の奥に連れて行かれ、無理矢理赤いプールに落とされる。
ルリチカ/プールに……。苦々しい顔になりながらも≪過去視≫を続けます。
GM/色んな人達が赤い水の中で苦しんでいく。……またシーンが変わります。誰かが、どこかを走っている。
ルリチカ/走っている? どこを?
GM/竹林だ。
桐久雄/……竹林……。
GM/こんな声を聞こえてくる。「どうしてこんなことをするんだ!? しっかりしろ! 正気を保て! おい、こいつを止めろ!」 それは争いの声だ。
あゆむ/…………。
GM/その声は間違いない、オシユキだ。いや、喜行だ。
桐久雄/お、オシユキ……!(一同笑)
GM/かんざしの視界がぐるんぐるんと揺れる。なんでこんなに視界が激しい? きっと……このかんざしを着けている人が暴れまくっているからだ。そしてかんざしはガシリと掴まれる。視界は土と接する。……かんざしが喜行の手に握られ、動かなくなったことによってシーンは終了する。
ルリチカ/…………。
GM/≪過去視≫で判るのは、喜行はこのかんざしを着けていた人物と戦っていたということ。「なるほど、喜行はこのかんざしの持ち主に殺されたんだ」……と思います。
ルリチカ/……ゆっくりと目を開けます。
GM/すずか。ゆたかさんのキャラロールをお願い。
あゆむ/うっす。……ゆたかはコーヒーを淹れて、ルリチカの前に出します。
ルリチカ/苦々しい顔のまま……順を追って説明をします。あの、竹林ってこの辺りだとどこにありますか?
GM/(狛になって)「竹林? それならN神社にあるっす。あっ、N神社って線路沿いに近いっすね!」
あゆむ/さすがは足で稼ぐ男、頭に地図が入っているのか。有能な狛だ。可愛いな。本物がいない所でデレておこう!(一同笑)
ルリチカ/……被害者は線路沿いのゲイトから抜け出して、直接竹林の方に行ったのかもしれません。被害者……喜行と、加害者……喜行を殺した人物は、2人とも2225事件で誘拐された人物のようです。喜行がその人物を連れて一緒に逃げ出してきたようですが、竹林に来たところで……喜行は殺されました。喜行を殺した人物は、一緒に逃げてきた人物で……操られているようでした。
あゆむ/(ゆたかになって)加害者は意識が無いまま、小野喜行を殺したと?
ルリチカ/はい。犯人は、自覚が無いかもしれません……。
あゆむ/ゆたかはカリカリとメモを取りながら冷静に聞いています。
GM/(狛になって)「じ、じゃあ! 小野喜行くんは……助けた人に殺されたってことっすか!? ううっ……!」
あゆむ/狛をコツンと小突く。
GM/(狛になって)「イテッ!」
あゆむ/(ゆたかになって)「……俺はこのかんざしから何も見えなかった。俺の能力は『異端に殺されたもの』からしか情報を読み取ることしかできないからな」
ルリチカ/は、はい……ゆたかさんは[霊媒師]ですもんね。
あゆむ/(ゆたかになって)「ということは、喜行を殺したものは異端ではないってことだ。……そう持ち主にも伝えておいてくれ」
桐久雄/……うわぁ(笑)
日葵/うわぁー! この人、カッコイイー!(笑)
GM/(狛になって)「せ、センパーイ!」 ゆたかさん大好きー!(笑)
ルリチカ/あ、ありがとうございます! 慰められてしまった!(笑) そ、それはそれとして別の話なんですけど、2225事件に関わっている少年を先ほど救出しまして。
あゆむ/(ゆたかになって)「ほう?」
GM/(狛になって)「その話ならついさっき聞きました! ほんの1時間前に失踪届けが取り下げられましたっす!」
ルリチカ/あの子、色々微妙な時期らしいので……先に俺が調べてあげようと思いまして、彼の情報を貰いたいです。
GM/では、この辺りでAF判定を始めましょう。公の場所で桐久雄について調べる判定を始めてください。
ルリチカ/始めに、特命課の人達に「これ飲んでください!」と≪興奮剤≫を渡す。
あゆむ/(ゆたかになって)「これさえあれば夜までに血反吐を吐いておけば何とかなるな!」(笑)
GM/(狛になって)「うっす! 血を吐きながら仕事するっす!」
ルリチカ/そこは血を吐かないで頑張ってくださいよ!(笑) 何か異常はないか、警察の現状を≪空間知識≫で把握します。
GM/一番ホットな事件は、異端アーティストが血反吐をバラまいて捕まったところです。
日葵/今頃、現場復旧委員会が壁を白く塗り直しているところですね(笑)
ルリチカ/迷惑な異端もいたもんだ!(笑) ……先ほど見た≪過去視≫を思い出しながら、「だから前回のループで桐久雄は苦しんでいたのか」と思います。……早く何とかしないと。月見里組についての資料を貰って、いるものといらないものを≪最奥の記憶≫で適切に仕分けしていきます。途中で警察犬に「ワン!」と≪バベルの唄い手≫で挨拶をしておきます。
あゆむ/可愛い!(笑)
ルリチカ/ワンコに挨拶をしていたら資料を落としそうになったので、≪悔改めよ≫で無かったことにする。そんな警察犬が、じっとルリチカの足元を見ています。そこには普通の人には視えない……[霊媒師]なら視える、小さな犬が何匹かいて警戒しています。≪鬼の肌膚:霊力≫の演出です。
GM/おお、犬神か。
あゆむ/カッコイイ。そりゃ霊力ダメージも通らんわ。
ルリチカ/それと、えっと……。
桐久雄/なに? 何をするか迷ってる? 脱走しようか? 脱走しようか?
ルリチカ/やめて!(笑) 心を落ち着けるために中指に嵌めている≪空と心のリング≫をいじりながら深呼吸をする。それで≪霧暴き≫資料を読んで桐久雄のことを探ってみよう。
GM/これで特技を9つ使ったので、難易度が18も減少だね。現在難易度は7だよ。
ルリチカ/ファンブルが出なければ成功だ。(ころころ)大丈夫、成功した!
GM/おめでとう。桐久雄について調べると、以下のことが判るよ。

 『AF判定:桐久雄』×『MAP:警察署』
▼失踪届けは昨日(5月2日)、両親が提出した。
▼今まで月見里 桐久雄は警察のお世話になったことはない(月見里組と警察の抗争などの設定は、特に無し)。
▼特に何も無いと判り、警察署を出ると……(後述)


GM/大変申し訳ないんだが、ご両親が警察に厄介になっているなどの設定はございません。ヤクザという設定を頂きましたが、月見里 桐久雄のお家はクリーンです。ぶっちゃけて言うと、「PC1の家庭に問題は一切ありません」という設定です。ごく普通の中流家庭の設定でも事件性はありません。
桐久雄/すみません、ややこしい設定を付けて!(笑)
GM/ヤクザって設定だからきっと何かあった方がそれっぽいんだけど、これ以上設定を重くして意味深にしてもプレイヤーが管理しきれないから無しでいくよ。
ルリチカ/桐久雄自身は白って判った。ふう、良かった……。だとしたら、警察をそこまで避ける必要性って無いってこと?
GM/無いと思うよ。
桐久雄/つまり……。何だろうね?
GM/ルリチカは後ろめたいことが無いと安心して、資料を閉じます。特命課の狛が「夜には資料をまとめられると思うんで、またご連絡しますね」と笑顔で言ってくれます。
あゆむ/(ゆたかになって)「今夜は無事帰れるかなー!」(笑)
日葵/どう見てもフラグですね!(笑)
GM/警察署を出るルリチカ。……とある車の存在に気が付きます。
ルリチカ/はい?
GM/車の中にはグラサン、スーツ、強そうな男達。一人だけ上品そうな着物の女性の姿も見える。彼女は携帯電話で誰かと連絡をしていました。
ルリチカ/……何を話しているかは聞こえる?
GM/苛立たしそうに「……あの子……」「どうする……」「なんとかして……」と聞こえてきます。
日葵/……それって……?
GM/でも女性は車を出てきます。
ルリチカ/あっ……。
GM/ルリチカと目が遭うと、目の細く背の高い彼女はペコッと会釈をする。そのまま警察署に入っていきます。そしてその女性をスーツの男達が「お待ちください、アッコ様……!」と追いかけていきます。【意志】判定難易度は8に成功すると、彼女の名前が判ります。
ルリチカ/……ワガママお嬢様に振り回されるSPの図か?(笑・ころころ)12で成功です。
GM/彼女が明桜建設の社長・明日田アキ子だと判りました。きっとテレビ番組に出演してたから顔を覚えていたんだろうね。桐久雄くんのお母さんの年頃だから40代、美女だ。
桐久雄/美魔女ってやつだな!(笑)
日葵/美人がこんなところで何をしているんだろう? なんで警察署に頻繁に出入りしているんだ?
ルリチカ/美女がいた話なんて、事件に関係無いからみんなに話を出来ないよ……(笑)


 ●ミドルフェイズ2/日葵 『AF判定:高坂』×『MAP:シャノアール』

日葵/まだ一回も『MAP:シャノアール』でのシーンを立てたことがなかったですね。せっかくなので高坂さんとシャノアールで会いたいです。
GM/ついに喫茶店シャノアールでのイベントが来たか……。日葵ちゃん達は高坂が来るのを待つ間、お昼ご飯でも食べていようかね。ゴールデンウイークはまだクーラーを動かしていないから若干暑い。ここで涼むのもありだよ。
あゆむ/コーヒーゼリーを食べよう。
桐久雄/オレはコーラフロートを注文しよう!
日葵/月見里の分は私が……いや、全員の分は私が払おう。
桐久雄/わーい、ごちそうさまです!(笑)
ルリチカ/働いている人は強いなぁ(笑) じゃあ俺はレアチーズケーキを頂くよ。
あゆむ/ごめんなさい、おいしく頂きます(笑)
日葵/気にしないでくれ。腹が減っては戦が出来ぬと言うしな。
GM/暫くすると、高坂が「遅くなってごめん」とお店に入ってきます。
日葵/いや、こちらも今来たところです。
GM/高坂は「コーヒーを」と注文。席に着いて話をする訳だけど……まずはAF判定をしようか?
ルリチカ/そうだね。高坂さんのAF判定の難易度は、現在10まで下がっているけど……。
日葵/私の【理知】は1だ。特技を3〜4個使っておくと安心するな。
桐久雄/高坂さんにひまちゃんと神社で手合わせしてもらったんだって話そう! 高坂さん、聞いてくださいよ! 日葵さんってメッチャ強いんですよ! 色んな人を巻き込む攻撃があって……!
日葵/≪破壊者の孤独≫か。
桐久雄/そうそう、それとアレが凄くって! あと何だっけ、足技でゴォーッて回るやつ!
日葵/≪乱舞≫のことか? ……桐久雄のアシストがうますぎる(笑)
桐久雄/それ! それがヤバイんすよ! アレのおかげで木が2〜3本ぐらい倒れちゃって〜!
GM/ぬんだけじゃなく、桐久雄もアゲマンなのか(笑)
あゆむ/私もアシストしよう(笑) 日葵さんって色んな特訓しているんですよね、ほら、何て言うんでしたっけ、なんとか手術って……。
日葵/ああ、≪強化手術:体力≫だな(笑) そもそも私は戦うことしか脳が無い。他にも戦闘用に脳を作り変えている≪単一化≫があって……。
桐久雄/やべえな、ひまちゃん。肉体改造バリバリじゃん!(笑)
ルリチカ/でもそれってただの≪単一化≫じゃないよね?
日葵/≪単一化2≫のことだな。……それと、前回のループで自分には防御力が無いことを実感した。みんなが警察署に行っている間に鍛錬をして【物理防御点】を上げる≪狂舞≫を取得しておいた。
桐久雄/いつの間に筋トレしてたの!?(笑)
日葵/それでもう難易度が12も減ったから、難易度は1になった。判定しよう。(ころころ)成功だ!
GM/高坂は日葵ちゃんの凄さをみんなから聞かせてもらって感心します。(高坂になって)「まだお前達、出会って1時間ぐらいしか経っていないのに仲良しなんだな」
あゆむ/……一体いつ神社に行ってたんだって言われたら、答えられなくなるね(笑)
GM/でも高坂は「少ない時間の中で鍛錬をこなす日葵ちゃんは凄いなぁ。仕事が早いのも知ってるよ」と好意的に解釈しています。
日葵/高坂さんはいい人だなぁ(笑) ……こんな私とも対等に渡り歩けたんだ。月見里は素晴らしい自衛手段を持っているぞ、と高坂に報告しておこう。
GM/「なるほど。桐久雄くんは将来有望ってことか」
桐久雄/ほ、褒められるとすっごい恥ずかしい! おかしいな、オレはひまちゃんのことを褒めていた筈なのに!(笑)
あゆむ/2人とも仲良しですねー(笑)
GM/日葵ちゃんの仕事の早さと、桐久雄くんが信頼できる人物だと判った高坂。おしゃべりをしながら和やかなシャノアールの昼食光景。……そんな高坂が、チラッと違う席を見る。
あゆむ/違う席?
GM/別のお客さんのテーブルを見たよ。
日葵/ん?
GM/「……日葵ちゃんは、桐久雄くんのことを信頼できるって言ってくれるんだよね? 教会のエージェントとしての話を彼にしていいと思うかい」
日葵/ああ。たった1時間話しただけでこんなに信頼できる人間だと思ったんだ。このメンバーの仲間であると言おう。
ルリチカ/桐久雄が信頼できる人間というのは日葵ちゃん個人の意見じゃないですよ。俺もそう思います。何よりやる気があるしな!
あゆむ/お家に帰らずに手伝ってくださっているというだけでも、私達にとってありがたいですよね。
日葵/ここは桐久雄を褒める会だな。
桐久雄/み、みんなやめろよー! オレが溶けるだろー!(笑)
GM/「そうか。失礼」と高坂は席から立ち上がり、とある席の方へ向かいます。「……総支配人、こっち来ませんか?」
桐久雄/ぶっ!?
あゆむ/……えっ!?
日葵/うそぉ!?(笑)
GM/君達に背を向けて座っていたスーツ姿の男性が、高坂の声に「いいんですか?」と尋ねる。それに対して「宜しければ」と答える高坂。
ルリチカ/え? も、もしかして……そっちのテーブルに、鶴瀬総支配人がいらっしゃったんですか!?(笑)
GM/はい。
桐久雄/えええええ!?(笑) えっと、あの人って誰ってみんなに訊くよ……。
ルリチカ/鶴瀬総支配人。教会で、めっちゃ偉い人な。
桐久雄/一番偉い人がいるってヤバくない!?(笑)

 鶴瀬 総支配人
 PC達が所属している退魔組織『教会』日本支部 総支配人。
 異端事件の救助と解決への能力者派遣のシステムを生み出した創始者一族の生まれであり、かつて自身も教会のエージェントであった叩き上げのトップ。日本刀と和弓の2つのスキルウェポンを扱う戦士として、物凄く強いことでも有名。
 ……GMは後々知ったことだが、
どうやら今回のセッションに参加した中の人達は鶴瀬に対する好感度がとっても高かったらしい。

あゆむ/お、お初にお目にかかりますですよ!?(笑) ……チラッと見ていいですか。
GM/何を。
あゆむ/何を注文してたんですか?
GM/ピラフ。
あゆむ/後で人に会っても困るカレーやシャツに飛び移る汁物ではない、さすが俺の鶴瀬!(一同爆笑)
ルリチカ/忙しいのに僅かな空き時間を食事にあてている! さすが総支配人!(一同笑)
日葵/(携帯電話を取り出して)すみません、ツイッターで「鶴瀬総支配人に会えた」って呟いてきていいですか!?(笑)
GM/なんでこんなに歓迎ムードなんだ?(笑) 鶴瀬はこの喫茶店シャノアールが[領域遣い]の≪テリトリー≫扱いの個室を用意してくれると知っているから、「すまないマスター、個室の準備を」と呼びかけ……。
桐久雄/キャー!? カッコイイー!(笑)
GM/いや、ただ手を上げて発言をしただけだよ!?(笑)
桐久雄/でも「総支配人」って響きだけでカッコイイですよ!
GM/とは言っても鶴瀬という男は叩き上げの現場の人なので、上層部っぽい偉そうなことはしないというキャラで……。
あゆむ/Tポイントカードとか持ってるでしょ?
GM/持ってるよ。その方がお得じゃないか。
ルリチカ/ポンタカードも持っててください。
桐久雄/ナナコカードも持ってていいですよ!
GM/でも買うときはゴールドのエポスカードの一括やで、ポイントが一番貯まりやすいから。……だからなんでこんな話になってるんだ?(一同笑)

 GM、本格的困惑。レアNPCの力を思い知る。
 ……そうして、他の客には一切話が聞かれない≪テリトリー≫相当の個室に通される4人。
 鶴瀬「自己紹介をさせてもらおう。退魔組織『教会』の総支配人をやらせてもらっている鶴瀬だ。今はオフの時間だから気楽に話し掛けてくれて結構」


ルリチカ/お心遣いありがとうございます。そ、それでは自己紹介を……。
GM/(鶴瀬になって流暢な口調で)「二木 ルリチカくんは書庫で司書のアルバイトをしていると評判は聞いている。晩間 日葵さんはいつも君の華麗な戦歴は見させてもらっているよ、今回は急な仕事だが最大限教会はサポートをするつもりでいる。叶 あゆむくんは新人だったね? せっかくの昼食を害すような話をしてしまうかもしれないが肩の力を抜いてリラックスしてくれ」
あゆむ/はぁん!(←萌えて倒れる中の人)
日葵/ここは死人が出るシャノアールだ!?(一同笑)
桐久雄/お、オレは……2時間ぐらい前から教会に関わることになった月見里 桐久雄っていいます! まだ全然何も判らない若造ですが……!
GM/「そんなに緊張しなくて大丈夫だ、私だって判らないことの多い未熟者だから」
桐久雄/かっけー!?(一同爆笑) じ、事件のこととかあんまり覚えてないけど、力になれるように頑張るんでよろしくお願いします!
GM/桐久雄くんの言葉に力強く頷きます。……さて、まずは高坂が話をします。(高坂になって)「実は鶴瀬総支配人は、とある事件を追っている。その相談があってN市に来てもらっていたんだ。その件については明後日までにチームを編成する予定だ。ゴールデンウイークはエージェントを集めるのもなかなか大変でさ」
日葵/大変ですけど……明後日からじゃ遅いよな(笑)
ルリチカ/あの、我々と同じことを調べている人がいるとは思っていたんですが、と教会の書庫の話をします。事件について調べようとしたら書類がある程度まとまっていたのは……。
GM/鶴瀬が答えます。「実際に数時間前まで私が調べていたからな。それでだろう。私は邪神について調べていた」
ルリチカ/邪神……ユウストタディアスですね。
GM/「2225事件を任せた二木がユウストタディアスに辿り着いたということは、この事件と邪神は関連性があるということか。なら尚更ここで君達と話をしておくべきだ。席を設けてくれてありがとうございます、高坂さん」
ルリチカ/……はぁん……(笑)
あゆむ/はぁん、情報判断が的確な鶴瀬……ありがとうGM!
GM/だからなんでそんなに歓迎ムードなの!?(一同笑・鶴瀬になって)「君達は、『機関』については知っているか?」
あゆむ/きかん?
GM/『機関』の知識ですが、[聖職者]か[処刑人]の人は自動成功です。それ以外のクラスの人は、【理知】難易度10の判定に成功すれば知っています。桐久雄は……機関について覚えているという設定なので、自動成功でOKです。
あゆむ/(ころころ)あ、成功。知ってた。
日葵/(ころころ)失敗。長くいるけど知らなかった!
桐久雄ルリチカ/自動成功です。
GM/高坂が機関について説明をします。「機関とは、数年前に解体された超人類能力開発研究所のことだ。能力研究を行なっていたと言えば聞こえはいいが、実際は能力者を使っての非人道的な実験や研究を繰り返していた。認可されていない薬物が日常的に使用され、能力者や稀人の人身売買が蔓延り、力を追い求めるあまり異端の神『欺く神』を信仰するようになった……邪教と言える」
桐久雄/……う、うん。
GM/「機関が解体されて数年が経過した。だが近年、新たな動きを見せるものが多くなってきた。一度凍結されたプロジェクトを誰かが引き継ぎ始めたりな」 ……数十年前に地下鉄で事件を犯した某教団がいましたよね。その教団が名前を変えて信者をまた増やしているという話は聞いたことがありませんか? カリスマ性のある集団は、また復活しちゃうんだよって話ですね。
日葵/ああ、聞いたことあります。
あゆむ/絶対的な何かに憧れちゃうっていうのもありますよね……。
GM/「機関は魔術結社をいくつも持っていた。5人ぐらいの少数チームでも支部は成り立つし、儀式は行なえる。その魔術結社の一つに、恐ろしいプロジェクトを立ち上げたものがある。プロジェクトの名は、『冥王顕現計画』
あゆむ/か、カッコイイ名前ですね!?(笑)
GM/『イベントキー:冥王顕現計画』を配布します。「『冥王顕現計画』は、『冥王組』と呼ばれる少人数の魔術結社が行なっていた。プロジェクトの内容は、邪神を召喚するための素材を集めるというものだ」
桐久雄/素材集め?
GM/「機関は『欺く神』信仰の集団だったが実際の活動内容は能力者開発であり、儀式を行なうことが目的の連中じゃない。……一方で冥王組は、実行部隊なんだ。機関の中の、邪神をこの世界に呼び出すための部署だ」
日葵/な、なるほど……。
GM/「機関がまだあった時代に、冥王組は『ユウストタディアスの禁書』を所持していたという噂があるほど活発に動いていた。そして機関が解体された訳だが……先日、とある場所で未だ教会でも回収できていない『ユウストタディアスの禁書』に書かれていた魔術を使われた痕跡があると報告が入った」
桐久雄/つ、つまり……?
GM/「おそらく解体されたと思われていた冥王組の生き残りが『ユウストタディアスの禁書』を持っていたのだろう。ようするにこれは邪神召喚を目的にした冥王組が、邪神召喚のための魔術を使っていたということであり……」
ルリチカ/冥王組が活動を再開して、邪神召喚の準備を進めていたってことですよね。そんな、もし邪神が召喚されたら……?
GM/高坂が答えよう。「邪神が召喚されたら街一つではなく、日本が壊滅する恐れもある。……なので今週中には必ず調査隊を編成するようにと話を進めていたんだ。鶴瀬総支配人は、今の立場になる前に機関解体に尽力していたエージェントでな。機関に関しては教会の中で誰よりも詳しいと言える。だから総支配人自ら出向いたんだよ」
日葵/今週中に編成か。それだと、駄目なんだよ……(笑)

 『AF判定:高坂』×『MAP:シャノアール』
▼鶴瀬総支配人が現れる。鶴瀬総支配人は『機関』の魔術結社『冥王組』が進めている『冥王顕現計画』の調べをするために独自に動いている。
『イベントキー:冥王顕現計画』を入手。
▼冥王組は『ユウストタディアスの禁書』を所持していた。冥王組の目的は、邪神召喚の準備を進めること。


あゆむ/……鶴瀬総支配人に、小屋で見つけたものを言いますか?
ルリチカ/それがいいね。実は……桐久雄が発見された小屋でこのような物がありましてと『イベントキー:瓶の粉』であるジップロックを渡します。
GM/ビニール袋に入った瓶だっけ?
ルリチカ/この瓶に「ユウストタディアス」と書かれていたんです。月見里がいた小屋にこんなものがあって、それで俺達も邪神について調べていたんです。
日葵/確か瓶の中身は、『ユウストタディアスの血』と言われている粉だったな?
あゆむ/儀式に必要な……凄く飛べる何かだった筈です(笑)
GM/鶴瀬はそのジップロックに入った瓶を見て深刻な顔をする。「冥王組の目的は、邪神召喚の儀式に必要なものを集めることだ。禁書を使って『ユウストタディアスの血』を開発していたとは聞いていたが、おそらくこれが……」
桐久雄/か、完成させちゃった物なんだ?
GM/「数年かけて開発していたという噂は聞いたことがある。だがまさか完成していたとは。これは粉状ではあるが、おそらく水に溶かせば血液のようなドロドロのものになる。この血を服用すれば、儀式に最適な素体になるだろう」
あゆむ/う、うえぇ……本当に大変なものだったんですね、これ。
GM/「……瓶の中身を見せてもらえるか?」
ルリチカ/はい、どうぞ。ジップロックに入れたまま渡します。
GM/ビニール袋を受け取ります。瞬時に[感応力師]である鶴瀬は、自分の周囲だけに小さな結界≪還り名≫を張ります。
日葵/おおっ?
GM/儀式の材料である物を調査するにあたって、君達に被害が出ないように結界を張って瓶の粉を調べ始めます。[感応力師]の≪最奥の記憶≫で過去の脳内に記憶したデータベースを検索し、[狩人]である彼はどんな細かいことも見逃さない≪痕跡発見≫や≪神域の眼≫で瓶や成分を調べ上げていきます。彼は一人で探索も戦闘もするタイプなんです。
桐久雄/す、すげぇ!(笑)
あゆむ/動きが早い……!(笑)
GM/そして……「うわ、ヤベェ」という顔をします。その後は瓶をジップロックに戻すのではなく、厳重に厳重に瓶自体を抑え込む結界を張り、霊的な封印を施してしまいました。「……よし」
ルリチカ/え、えっと……?
GM/「これで『ユウストタディアスの血』を吸い込むことはなくなった」
日葵/……吸い、込む?
GM/「瓶の蓋が緩んでいた。中身が出てたんだ」
桐久雄/……え?
GM/どうやら蓋でしまっていると思っていた瓶が実はゆるゆるで、中から粉が飛び出ていたらしいです。
あゆむ/あ、あぶね!?(笑) これって長く持ち歩いていたらヤバイ物ですか!?
ルリチカ/ジップロックで保存していて正解だよ!?(一同笑)
GM/「決して服用自体は危なくないと思うが、この血を服用した者は儀式の材料になる。粉を摂取する人間が多くなれば多いだけ、『儀式の適合体になる』ということだ。この瓶を長く放置していた場所に行ってしまったら、そこの空気を吸い込んだだけで儀式を行なう適合体になってしまうだろう」
あゆむ/え、えっと……?
GM/「この瓶はどこで拾ったんだ?」
ルリチカ/地図を出して小屋の場所を言います。
GM/鶴瀬が高坂が話し始めます。「高坂さん、この小屋を教会が捜索したことは?」「いえ、無いです。俺も小屋には入ったことはありません」「持ち歩いていた彼らが無事だということは、人体に悪影響は無いだろう。適合者を生み出すこと自体は……別に問題は無いからな」
桐久雄/も、問題は無いんですか?
GM/(鶴瀬になって)「それは持ち歩いていた君達が証明している。……このユウストタディアスの血は、儀式に使う生贄を作るだけではなく、儀式を行なえる最も最適な人間を作るという効果もある」
日葵/最適な人間?
GM/「例えが難しいんだが……邪神の召喚儀式は非常に難しいものなんだ。儀式を行なえば、行なった人間が死んでしまうぐらいには。だが儀式に最適な人間になっておけば、その跳ね返りを防げる。たとえ『効果:相手は死ぬ』でも効果が発動しなくなる
あゆむ/儀式に最適な人間になれば、死ななくなる……?
桐久雄/……あっ! これってもしかして、「粉を吸い込めば血を吐いて死なない」ってことじゃね!?
日葵/そうかも! だって儀式をする人が死んじゃったら、その後に何もできなくなるし……。
GM/じゃあ全員、【幸運】判定難易度10をしてみて。
あゆむ/(ころころ)12で成功しました。
GM/あゆむちゃんは思います。……桐久雄が誘拐されたあの小屋に訪れたのは、自分と、駆けつけてくれた日葵さんとルリチカさんだ。「そういえば私達って、小屋に充満していた粉を吸い込んだんじゃないの?」
あゆむ/…………。小屋に……いましたね。
桐久雄/確かにGMは意味深な沈黙をロールしてましたけど。で、でもその後にオレ達は小屋の外へ……。
ルリチカ/いいや、日葵ちゃんとルリチカは小屋の庭までやって来ていたよ。……うん。小屋の庭でオープニングフェイズをしたんだった。
日葵/そうだ、私達は確実に放置していた粉を吸い込んでいるな。
ルリチカ/そして……高坂さんは小屋には入らなかった。車があったから、遠くから声を掛けてきてた……。
あゆむ/だとすると……第1ラウンドが終わった直後に私達だけが死ななかった理由って、「私達が儀式の適合体だから」?
桐久雄/そ、そういうこと!?
GM/この辺りで鶴瀬は退散しようか。鶴瀬の携帯電話が鳴って「それではこの辺で」と席を去って行く。……次に、高坂の話をしましょう。
ルリチカ/そうだ、高坂さんに外園メイアのことを訊きたかったんだ。
GM/高坂に外園メイアの写真を見せると、「確かにこの女性は1週間前の4月に、討伐された女異端犯罪者だね」と答えるよ。
日葵/心当たりはありますか?
GM/それは首を振る。「報告書は一応作ってもらったんだが、未だに神社の事件の詳細と女異端犯罪者の正体が判ってない。現在は誰も調べる者がいなくて放置していた事件だったんだ」
あゆむ/神社って、あのN神社ですか。何らかの儀式をしていたところをエージェントに見つかって討伐されたって聞きましたが、どのような儀式だったんですか?
GM/「魔法陣を描いて、その上に2名の市民を寝かせていた。通りすがりのエージェントが事情聴取をするため近付いたら、それだけで儀式を始めようとしていた女は襲いかかってきた。エージェントとの戦いの中、女は死んでしまって……何も事情を問い質すことができないままな」
ルリチカ/……『神域で数名を使って儀式を行なう』。『ユウストタディアスの魔眼』の効果を設定するもの……だっけ?
あゆむ/でも、そこで女の人が死んだってことは……儀式は失敗に終わっていると思っていいんですか?
GM/「それは判らない。犠牲者になるようだった一般市民2名は助かっているから儀式失敗だとは思うが」
あゆむ/……外園メイア自身が生贄になったというのは?
桐久雄/あ、それもあるのか……。そもそも外園メイアは去年の2225事件で失踪した人なんだよな? 誘拐された人がなんで儀式をしているんだ?
ルリチカ/うーん……まだ情報が足りないな。次のシーンで神社に行ってみるか。