クトゥルフ神話TRPG・リプレイ
■ 『 犬は宿りて街駆け巡る 』 2ページ ■
2022年8月21日




 ●シーン5

 朝凪高校。近隣にある公立高校である。
 休日ではあるが、部活動に勤しむ生徒の姿がちらほらと見受けられるだろう。校庭からは息の合った掛け声が響いてくる。

格/部活動の真っ最中ですね。
KP/皆さん、<目星>ロールをどうぞ。
実散/(ころころ)30、成功。
格/(ころころ)92、失敗。管楽器の音、聞こえないかな〜……うわ、野球部うるさい。
草摩/(ころころ)7、成功。天鴻が反応するJKを探す。
天鴻/誤解を招く言い方やめて!?(笑)

 <目星>→実散、草摩が成功。
 変わった形のバッグを持ち歩いているグループを見つける。
 どうやら楽器ケースのようだ。吹奏楽部の部員で、午後の練習は無いのか、これから帰る様子のようだ。

草摩/おっ? 彼女達がか。
実散/では漆黒のポメラニアンを解き放ちます。
KP/えっ!?(一同笑)
実散/「わあ〜! 俺の『マロン』! どうしたの〜!? 誰かその子を捕まえて〜!」って解き放ったオニキスを追うように叫ぶ。その黒いポメラニアンの名前はマロンです。
草摩/ああ、女子高生に同名の犬を拾わせて自然に接点を作るつもりなのか。
格/うめえ……すご……(笑)
KP/(オニキスになって)「にゃ、じゃなかった、わうん!」
草摩/(オニキスになって)「我はマロン! わん〜!」
格/しゃべるな!(一同爆笑)
草摩/オニキスはあの女子のもとへ行く! そして、前で、止まる! (オニキスになって)「クーンクーン!」
実散/うまいぞオニキス! いやマロン!(笑)
KP/(女子高生になって)「えっ? あのワンちゃん、こっち来るよ!」「よしよし、こっちおいで〜! わあ、ふわ……ふわ?」 SANチェックします。
実散/SANチェックさせちゃった!(笑)
KP/(ころころ)02でクリティカル!?
格/ダイスえらい!(笑)
実散/犬好きだからOKだったのかな?(笑) そこの子、ごめ〜ん! うちの愛犬マロンを捕まえてくれてありがとう〜! 助かった〜という顔で普通に彼女達のもとへ近寄ります。これは不審者ではないでしょう。
草摩/いや、すげえ……(笑)
格/天才。マジで尊敬してます。
KP/「えっと、お兄さんのワンちゃんですか? かわいいですね〜」
実散/そうなんだよ〜。名前はマロン! えへへ、かわいいでしょ?
草摩/真っ黒の犬にマロン。焼き栗かな?(一同爆笑)
KP/「マロンちゃんって言うの?」「早紀のとこの子と同じ名前だね〜」
実散/えっ、同じ名前のワンちゃんがいるの? 奇遇〜! 君達の知り合い? どんな子?
KP/「あの子、おっきい犬飼ってて、いつも部活の前に散歩に行ってるんだよね」「何だっけ……なんとかシェパード? だっけ?」
実散/シェパード! 大きいワンちゃんだから散歩するの大変そうだね。その早紀ちゃんは……もうお帰り?
KP/「早紀って今日来てない、よね?」「パート練習のとき、いなかったよ。先生も連絡貰ってないって言ってた」
実散/えっ……。
KP/「あ! あたし、事故って噂聞いたよ」「交通事故。なんか今日の朝うちの近くでちょっとした騒ぎがあって、早紀もそこにいたって」「えー、でも警察とか救急車とか来てなかったんでしょ? SNSでちょっと見たよ」
草摩/ほう……?
KP/「顧問の先生が家に電話したけど、ほら、早紀のお父さんとお母さんって共働きだから、連絡つかなかったんだって」「え、じゃあ早紀どうしちゃったのかな……」
格/ふむ……。
KP/「事故が遭ったのどこなの?」「えっと、ほら、駄菓子屋さんの近くの……」「あ、あそこか〜! あそこ横断歩道はあるけど信号無いから危ないよね」「早紀もあそこ散歩コースだって言ってたよね。朝は車が結構通るから気を付けてるって言ってた」
草摩/さっきの道だな。
実散/さっきたかひろくんは怯えた道だね。
KP/もう一回行ったら、駄菓子屋さんが見つかるでしょうね。話が一段落すると、女子高生たちも「さようなら〜」と言って帰っていきます。
実散/じゃあね、助けてくれてありがと〜! お礼を言って去りましょう。
格/ニコッ。実散さんの積み上げた信頼を崩さないように黙っておこうと俺は思ったのでした。
草摩/いい笑顔だ。水分を取りつつ帰れよと手を振る。
KP/「あのお兄さんたち、格好良かったねー?」「私、あの赤いスーツのお兄さん好みだな〜」「私は眼鏡の人が良いな〜! 頭良さそう!」「黒いスーツのお兄さん、ミステリアスな感じで良くない?」
草摩/フッ、罪作りな俺達……。
格/オニキス……いやマロン、頑張ってましたよ、いい子いい子〜。はい早く行きましょー!
実散/(オニキスいやマロンになって)「皆、名演技だったぞ! わんっ!」


 ●シーン6

KP/では、交差点から少し離れたところに小さな駄菓子屋さんがあるのを見付けます。

 駄菓子屋。
 通りに面した古き良きといった感じの駄菓子屋。ちらほらと子供も入っているようだ。
 カウンターには優しそうな老人が座っている。

KP/<目星>を振る、おじいさんに話しかける、などが出来ます。
草摩/とりあえず<目星>だ。(ころころ)32、成功。
格/(ころころ)22、成功です。
実散/よし!(ころころ)24、成功。

 <目星>→実散、格、草摩が成功。
 店の前の道路の端に何かが落ちているのを見つける。
 近づいてみると何かの毛のよう。その付近に黒い染みが点々と付いているのも見受けられた。

KP/毛は<知識>か<生物学>、黒い染みは<医学>で調べられます。
格/(ころころ)8、成功。
実散/ごはんもりもり元気いたるくん〜! 出目が良いね!
格/お昼御飯が美味しかったのが勝因ですね!
草摩/夕飯も楽しみにしような。

 <知識>→格が成功。
 茶色いその毛は、手触り的に犬の毛だと判る。
 ふと、元気なく下がってる天鴻の尻尾に目が行く。……「似てる」と思った。

格/でしょうね〜。
草摩/<医学>で振る。(ころころ)47、成功。

 <医学>→草摩が成功。
 黒い染みは血痕のようだ。
 量から察するに怪我をしているようだが、致死量という程ではないように思える。

草摩/致死量という程ではない!
格/生きてるかも……!
実散/生霊説、出てきた!?
KP/致死量って程ではないけど、もし怪我をしたまま何も処置してなければ人でも犬でも危ないかもしれませんね。
草摩/なるほど。ラムネを買いながら、店員さんに話し掛けよう。ここ、事故でもあったんですか?
KP/「ああ、今朝の事故ね、大変だったねえ。いきなり車が突っ込んできて。女の子が轢かれそうになったんだけど、大きな怪我はしてなかったみたいだよ。ワンちゃんが守ってくれたからだねえ」
草摩/……そうだったんですか、ここスピード違反多いみたいですしね。さっき俺達もあって……。
KP/「危ないよねえ、信号付けてくれればいいんだけどねえ」
草摩/犬の方は、無事だったんですか?
KP/「えっとね、ワンちゃんも女の子も車と接触した時に気絶しちゃったみたいで。でも助かったんだ、丁度お医者さまが通りがかって、女の子はこのまま診察しますって病院まで抱えて運んでくれたんだ。ワンちゃんは大怪我だったけど、僕と運転手さんで近くの動物病院に連れて行った」
草摩/どっちも助かったんだ……。
実散/近くの動物病院というと……?
KP/はこべ動物病院。あそこが一番近いから、そこに連れて行ったんだ」
実散/……もしかしたら本物のマロンくん、そこにいるんじゃない?
KP/「女の子の方は……どこだったかな、お医者さまが経営してる病院って言ってたかなあ。ちゃんとは覚えてないんだけど」
格/なるほど……。朝から大変でしたね……ご無事で、元気な姿を見せてくれたらいいですね。
KP/「そうだね、見た感じ大きな怪我してた訳じゃなさそうだからすぐ退院できると良いねえ。事故っちゃった運転手さんはすぐ警察に通報してくれてたけど、その間にお医者様が病院に連れて行っちゃったから事情聴取しなきゃって言ってたし」
実散/お医者さんが非常に気が回る良い人だといいんだけどね〜。
草摩/医者だからな。判らんぞ。
KP/妙な説得力を感じる。
格/謎の説得力がある。
草摩/なんでもできるかもしれないしマッドサイエンティストかもしれない。
実散/兄ちゃんどうしたの、自己紹介なんかして。
草摩/ラムネ4本買ってみんなに渡す。……どうする、この先?
格/ラムネいただきます。動物病院がいいのではという気がしますが。医者の方は正確な場所が判らないので、名前が判明しているはこべ動物病院の方を推しますね。
実散/俺もはこべ動物病院行きに1票! ラムネ瓶キレイだねー!
草摩/天鴻もそれでいいか?
天鴻/……うん? ああ、どっちが良いかな……。天鴻は駄菓子屋の話を聞いてから気がそぞろ、といった風です。
草摩/天鴻。理由は判るが自分の意識をしっかりしろ。キスするぞ。
実散/そうだよたかひろくん、お外でキスされたくないならしっかり起きて。
天鴻/斬新な脅し文句。そっと格の後ろに隠れます。隠れきれない。
格/誰がチビだ。脛を蹴ります。
天鴻/いたっ!? ひどい、もうちょっと労わってくれてもよくない!?(笑)
格/ほら、動物病院! 行くんでしょう! 行きますよ〜! 引きずっていく!
天鴻/動物病院、なんかやだ〜!
実散/なるほど、動物病院に行きたくないのはそういう理由か(笑)
草摩/みちる。天鴻が自我を失ったらキスするぞ。いいな?
天鴻/何の確認だよ。
実散/今日の兄ちゃんはそういう<精神分析>がしたい気分なんだね? いいよ〜。
天鴻/よくねー!? っていうか本人の了承を取れー!?
格/虎穴に入らずんば虎子を得ずでーす! ずるずるずる〜!


 ●シーン7

 はこべ動物病院。モダンな雰囲気の動物病院だ。
 現在は来客は無いらしく、受付には看護師が一人座っている。

KP/もし何か尋ねるなら、交渉技能……<信用>、<言いくるめ>、<説得>などで振って頂く、もしくはロールプレイで何とか聞き出してみてください。
格/さくっと行きましょうか。シリアスな顔で突撃します。すみません! 今朝がたこちらに運び込まれたシェパードなんですが……! 無事ですか!?
実散/ポメラニアンを胸に抱きながら、心配そうな顔で飛び込みます! マロンくんも早紀ちゃんも大丈夫なの……!?
KP/「えっ!? あ、ああ、今朝の事故の。えっと、皆さんは……?」
格/<説得>を振ります。(ころころ)96、ファンブル。あっ、駄目だ。
KP/ファンブルなので、このままだと「なんだこの不審者……」という扱いになりますがどうしますか? グワッ?
実散/<説得>で(ころころ)54、成功。判定成功した俺はその場で涙をぼろぼろぼろぼろ流します。
KP/「えっ!?」(笑)
草摩/親身な顔でみちるの肩を抱きます。
実散/不審っぷりを涙で有耶無耶にします。ご、ごめんなさい……その、事故だと聞いて、動転して、説明がおぼつかなくて……。
格/一生実散さんについていきたいのでサイバー犯罪対策課に異動してほしい。えーと、失礼しました。親類と知人の集まりなんですが……飼い主にもちゃんと連絡がつかなくて。こちらに運び込んでくれたという駄菓子屋の店主に話を聞いて、急いでやってきまして。それで、マロンは無事なんでしょうか?
草摩/(オニキスになって)「クゥーン……」
KP/「あのシェパードの……。ああ、飼い主のお嬢さんは『通りすがりの医師の方が治療のために連れて行った』と聞いてますが、実はちゃんとお名前とかを聞けてなくて……。マロンくんって言うんですね。ちょっとお待ちください、先生を呼んできますから」 そう言って受付の看護師さんは席を外します。
実散/ヨッシャ。
草摩/(オニキスになって)「ヨッシャ」

 扉の向こうは治療室になっているらしく、せわしなく動き回る獣医やケージに入れられた動物の姿がちらりと見える。
 そして部屋の中央、診察台らしき場所にぐったりと横たわる犬の姿が君達の目に留まった。

実散/いた……!
格/元気がなさそうだけど……生きてる。
KP/その途端、糸を切られたかのように天鴻がその場に倒れこむ。
実散/兄ちゃんキャッチして!
草摩/DEX19でキャッチする。
格/さすが草摩さん!
草摩/天鴻を守ると約束しただろ。倒れさせない。
格/これは絆チェック!(笑)
KP/では……床に倒れ込む前に草摩さんに受け止められた天鴻は、程なくして目を覚まして、きょろきょろと周囲を見回す素振りを見せます。
格/白南さん……。
草摩/……大丈夫か?
実散/平気、だよね?
KP/深くかぶっていたフードが取れ、隠していた犬耳が露わになります。ぴるぴるとその耳を震わせると……。

 「……ああ、やっと出てこれた! ずっと何も出来なかったらどうしようかと思ったあ!」
 その口調は、普段の雰囲気とは明らかに異なっている。

草摩/……天鴻では、ない?
格/マロン。
天鴻/なあに? 首をこてん。
実散/かわいいー!(笑)
格/……マロン。飼い主の匂い、追えたり……するか?
天鴻/匂いなら追えるけど、車で連れて行かれちゃったから……ちょっと頑張らないと。あ、でも早紀ちゃんを連れ去ったヤツの臭いならよく覚えてるよ! 凄く嫌な臭いだった!
草摩/嫌な?
天鴻/今朝、ご主人と散歩してたときに、あの怖いクルマがぶつかってきたのは聞いたでしょう? その時にご主人を連れて行ったヤツ、すごく変な臭いがしたんだ。そう、なんか、人間じゃない臭い。
草摩/人間じゃない臭い?
天鴻/危ないヤツだと思う。ボクはご主人を助けたくて……でも、身体が痛くて動けなかった。
実散/動けなかったから……たかひろくんに?
天鴻/それでも助けなきゃと思って、気が付いたら、痛い身体から抜け出してたんだ。それでなんか波長が合うこの人の中に入ったまではいいんだけど、どうしても意識がふわふわして……キミたちがボクのことを調べてるのは分かったんだけど。
格/……なるほど。白南さん、ちょっと隙だらけじゃないですか? ことが片付いたらシメなきゃ。
天鴻/シメられる!(笑) キミたちに迷惑を掛けるつもりはなかったんだけど……ごめんなさい。
格/……構いませんよ。俺たち、正義の味方なので。
草摩/ああ。説明してくれてありがとな。
実散/しっかり説明できてごめんなさいが言えるマロンくんはえらいね〜!
格/凄く頭の良い子だ。早紀ちゃんも自慢だったでしょうね。
天鴻/ボクの身体はまだ動けなくて、この人の中から出るのも難しい。だからお願いだ、早紀ちゃんを助けてくれないかな。そうしたらボクも自分の身体に戻れると思う。
実散/お願いオッケー! 早紀ちゃんを助けてあげるね!
天鴻/ほんと?
格/いいですとも! 我々にお任せあれ!
草摩/マロンも助けてやるからな。
天鴻/ありがとう! 尻尾ぶんぶん。
草摩/それはともかく、自我を失った天鴻にはキスを後でする。
実散/今はしないの?
草摩/マロンにするのではなく天鴻にしなきゃだろ?
天鴻/「身の危険を察知」って気持ちが伝わって来たんだけど、なあにこれ?(一同笑) ……動物病院を出たらまたボクはふわふわしちゃうと思うから、後のことはお願いするよ。
格/ああ……本体が近くにいたから意識がハッキリしたんですね。
実散/マロンくん。何か手掛かり、何でもいいから判ることあったら教えて。
天鴻/えっと、ボクも事故の時のことはあまりはっきり覚えてなくて……。あっ、あの早紀ちゃんを連れ去ったやつ、『みごし』とか何とかって言ってた気がする!
実散/みごし?
格/ミ=ゴ氏?(笑) すみません、看護師さん! この辺りに『みごし』とかいう名前の病院ってありませんかね? スマホに今まさに情報が入ってきましたみたいな顔で言います。
KP/(看護師になって)「みごし……? ああ、見越さんね! ここからちょっと離れたところにそんな名前の病院がありますよ」
実散/見越病院。
KP/「個人の医院みたいですよ。ああ、そう言えばマロンちゃんを運んできた運転手さんがそんなこと言ってたわね」
草摩/……行ってみるか。
格/なるほど、ありがとうございます。早紀ちゃんがそちらの病院に運ばれたようですので、これからそちらに行ってみます。マロンくんのこと、どうかよろしくお願いします。
KP/「その……マロンちゃん、あまり容態が良くなくて。大変申し上げにくいのですが、今日中に意識が戻らなかった場合、回復は見込めないかもしれません」
草摩/……お伝えしておきます。
KP/「はい、よろしくお願いします」 時計を見れば時刻は夕方。あまり時間はないようです。
実散/タイムリミットは、今日。早く戻ってこようね。
格/では、失礼します。そして行きましょう、見越病院。
KP/動物病院を出ると、天鴻がはっとした顔で、辺りを見渡します
格/お目覚めですか? あとちょっとで草摩さんにキスされるところでしたよ。
天鴻/あっぶねー!?(笑)
草摩/天鴻、DEX対抗ロールしてもいいんだぞ?
天鴻/DEX対STRにならんか。
実散/ほらほら、対抗ロールしてないで病院に行くよ〜!


 ●シーン8

 見越医院。君達が辿り着いたのは、真新しい建物の病院だ。
 個人経営の病院らしく小ぶりだが、全体的に装飾は少なくどちらかというと研究所のような印象を受ける。
 入口の扉を確認すると「休診」と札が掛けられていた。しかし、不用心にも鍵は掛かっていないようだ。

KP/病院の前に立った天鴻がぐるると唸る様に「……嫌な臭いだ」と言います。
実散/嗅覚が凄いね、たかひろくん?
格/失礼します。どなたかいらっしゃいませんか〜。おや、いらっしゃらない? ちょっと入らせていただきますね〜。
草摩/格、俺も顔負けなDEXだな(笑)

 待合室に人はおらず、電気も灯っていない。
 突き当たりに扉があり、そこが診察室になっているようだが、ここの扉も開け放されている。
 その奥にはさらに扉がある。ここは閉められており、上に「処置室」と札が掛けられていた。

KP/<聞き耳>ロールをどうぞ。
格/(ころころ)67、失敗。何も聞こえない。
草摩/(ころころ)7、成功。
実散/(ころころ)96、ファンブル!
KP/ファンブルの実散さんは耳障りな音に嫌な気分に、なんだか神経を逆なでされるような気持ちなりました。SAN値マイナス1点です。
実散/ううっ、気味悪……!

 【現在SAN値】
 実散:90→89(1点減少)


KP/<聞き耳>に成功した草摩さんは、扉の向こうから微かな機械音と人のいる気配がするのに気付きます。
草摩/人が居る。何か動かしてる。みんなに伝える。
格/警戒します。
草摩/警戒した俺が前に出て、行く。いつもなら天鴻が前に出るだろうが、俺が行く。
実散/兄ちゃん、気を付けて……!
KP/天鴻は「ぐるるる」と扉の向こうを威嚇するように睨みつけています。

 処置室に入ると、処置室というよりは研究室に近いものだった。
 そこかしこに様々な機械や器具が立ち並び、表面に並んだ小さなランプが一目では理解できないシグナルで点滅している。
 部屋の奥には分厚いカーテンが掛けられ、その裏からはぶん、ぶんと低い振動が伝わってきていた。
 中央には手術台があり、そこには少女が横たわっている。
 傍らには医療器具が並んでいる。そのうち一つを手に取って、ふんふんと鼻歌を唄う男の後ろ姿があった。
 君達が入って来たのに気づくと、男は振り返らずに声を掛けてくる。

KP/「おや、こんなところまで入ってくるなんて悪い子たちだ」
格/声は掛けましたよ。……奥に聞こえるように張り上げてはないけど。
KP/「ああ、そうだったのか。すまないね、夢中になっていて聞こえなかったよ。……今日はこの女だけだと思っていたんだがねえ。実験台の方から転がり込んで来るなんて、とんだ幸運……」
草摩/ふっ、やはりそういうことか。
格/患者……とすら呼ばない訳ですか。へえ。
KP/ピンク髪に白衣の男――見越は、愉悦に歪んだ顔をしていた。が、君達の姿を目に留めるとその笑顔を凍りつかせた。
実散/どしたの?
KP/君達を、いや、天鴻を指差し、一転して酷く狼狽しながら後ずさる。「な、ななななんだお前は!? 人の姿こそしているが物凄く、ものすっごく嫌な気配がするぞ!? そうだ、犬だ、あの生き物だ! 犬が来るなんて聞いてないぞ! な、なんてことだ!」
格/マロンが来たことに驚いてるのか? その子の飼い犬は優秀ですからね〜。地の果てまで貴方を追いかけるでしょうね……。

 見越はそのまま後ずさり、床に置いてあった器具に躓いて後ろに倒れる。
 その身体に分厚いカーテンが絡まり、ばさりと外れる。それによって奥にいたものが露になった。
 それは人の背丈ほどもある、甲殻類のような生き物だった。
 背には羽根のような膜があり、ぶん、ぶんという音はそこから発せられていたようだ。
 本来は頭があるであろう場所には渦巻き状の楕円体があり、そこから生えた小さな触手を不可思議なリズムでうねらせている。
 ピンク色の身体を持ったその生き物は、どこか焦ったように数組の関節肢を蠢かせていた。SANc(0/1d6)

実散/わ〜、やっぱりミ=ゴさん!(ころころ)12、成功。
格/(ころころ)65、失敗。
草摩/(ころころ)96、ファンブル。
格/スーパーで買ったクリチケを叩きつける! 心配かけないでください、俺に!
草摩/クリチケを使って振り直す!(ころころ)15、成功。
KP/ミ=ゴの姿を見て一瞬びっくりしたけど、そんなこと無かったぜ。
実散/兄ちゃん! よく見て! 以前「居酒屋で会った」って言ってたでしょ!
草摩/あ、本当だ。居酒屋で会ったミ=ゴだ。
格/どういうこと!?(笑)
KP/「居酒屋!? 知らんぞ!? 別の個体だ!」(笑)
草摩/それとは別人……いや別ミ=ゴか。
KP/「想定外だ、想定外だぞ! あのような生き物に私の研究所を荒らされるなど! せっかく病院のふりをして様々な実験を行っていたのに! こうなったら全員纏めて始末するしかない、一刻も早く! でなければ私の研究はおしまいだ!」
草摩/わん!
KP/「ヒエッ!?」
草摩/わん! わんわん! がるるる! わん!
格/…………。ユーチューブで犬が吠える映像を大音量で流す。
実散/渾身の犬ロールする兄ちゃんと、知的で文明的な攻撃をするいたるくん。
KP/ではミ=ゴが怯えている間、皆さんはこの部屋に対して<目星>をすることが出来ます。成功したら何か武器とか見つかるかもね!
格/(ころころ)27、成功。
草摩/(ころころ)79、成功。
実散/(ころころ)わー! 00、ファンブル!
格/ひえっ。スーパーで買ったクリチケを使いますか!?

KP/クリチケの取り扱いがあるスーパー、通いたいな(笑)
実散/みんなとの戦闘を邪魔するのは申し訳ない。スーパーで買ったクリチケを使って振り直します!(ころころ)91、成功。今日は出目が高い!(笑)

 <目星>→実散、格、草摩が成功。
 道具箱のようなものから見たことの無い形をした銃のようなものを、3つ発見する。

KP/電気銃(改)を手に入れた! 拳銃技能で使用、ダメージは普段使っている拳銃と同じものを使用して構いません。実散さんは、もしかしたら以前似たようなものを手にしたことがあるかもしれません。
実散/光線銃っぽいな〜。いたるくん、兄ちゃん! これ! しゅたっと銃を投げ渡す。
草摩/しゅたっ。
格/光線銃を受け取りました。構えます。ポケットの中ではワンワングルルワオーンとまだ鳴いています。
草摩/わんわんわんわんわんわん! 草摩は口から鳴いております。
KP/天鴻ですが、ミ=ゴを威嚇して脅すことが出来ます。特に指示が無ければ、天鴻は威嚇するつもりです。威嚇が必要なければ<キック>で蹴るのも可能です。
草摩/格、みちる。天鴻に威嚇してもらうのと<キック>してもらうの、どっちが楽しい?
格/光の速さで楽しい方を回答します。
実散/半分の確率で楽しいことしましょ。
KP/はーい(笑) では、戦闘開始! ミ=ゴのDEXは16です! 速いぞ!
実散/えー!? DEX16以上の人間がいるとは思えない……!
格/しかし草摩さんには勝てない!
草摩/令和のDEX19と呼ばれた俺です。先制射撃をする! ……対象はミゴ1体だけだよな?
KP/はい。
草摩/ピンクのみたいなやつも当たるの?
格/ピンクの航みたいなやつ!?(一同爆笑)
KP/ピンクの航がこいつですよ!(笑)
草摩/後で壁ドンさせろ。撃ちます。(ころころ)<拳銃>81で成功。お前、好きだ。撃ちました。
KP/「こいつ意味わからないこと言い始めたぞ!? サイコパスか!?」(一同爆笑・ころころ)<回避>92で失敗。意味判らないこと言ってくるので怖くて避けれませんでした!
草摩/壁ドン待ってろよ。(ころころ)3点ドンです。
実散/DEXは13の実散が先制攻撃します。わんわーん!(ころころ)18、わおん! 成功!
KP/<回避>!(ころころ)26、成功。当たらなかったブーン!
実散/いたるくんにパス!
格/はい、撃ちます。(ころころ)83、失敗です。残念!
KP/では天鴻が唸ります。<POW×5>ロールで(ころころ)30、成功。威嚇に成功したのでこのラウンド間、ミ=ゴは全ての判定にマイナス10%の修正がつきます。
格/上手に唸れましたね〜。
天鴻/ウウ〜! バウワウ!
実散/かわいい〜!
KP/では改めまして、1ラウンド目。草摩さんから!
草摩/好きだぞ。撃ちます。(ころころ)66、好きなので当たりました。
KP/「好きなのに撃つとか普通におかしくないか!?」(笑・ころころ)<回避>89、失敗!
格/草摩さんってすぐ怪異を口説くんだなあ。
実散/口説かなかったこと、あまり無いよね。
草摩/研究するなら俺にしろ。俺が色々教えてやる……。(ころころ)2点ダメージ、ドン。
KP/では次のターンは、ミ=ゴ! ミ=ゴは犬が怖くて近付きたくないので、攻撃対象から天鴻を外します。
実散/もっと怖いものができないうちになんとかしようね、ミ=ゴさん。
KP/もうすでに草摩さんが怖い(一同笑・ころころ)ダイスの結果、格くんに攻撃することにしました。
格/動画の音量を上げました。
KP/イヤー!?(ころころ)16、命中成功!
格/<回避>します。(ころころ)えっ、01クリティカル。
草摩/出目が良いな、格!(笑)
KP/華麗に回避した格くんにクリチケを捻じ込んでおきますね!
実散/またあのスーパーご贔屓に!
格/また行こう、あのスーパー!(笑)
実散/実散の番なので撃つ!(ころころ)36、成功。えへへ、どうだ〜!
KP/<回避>!(ころころ)81、失敗。
格/さすがですよ、実散さん!
実散/射撃は俺の特技! てやー!(ころころ)8点ダメージ!
KP/「ぐあっ!?」 ごっそりやられました。これは、ショックロールか。55以下で成功します。(ころころ)27、成功! まだ立ってる!
実散/やったか!?
格/ふふ、生存フラグ(笑)
草摩/わんわんわん!
KP/「犬のように鳴くなあ〜!」 では、格くんの攻撃どうぞ!
格/はーい、<拳銃>。(ころころ)16、成功。よしっ。
KP/<回避>。(ころころ)あ、避けた。11で成功。
格/うーん、回避がうまいな。
草摩/後でペットショップいっしょに行こうな、お前に似合う首輪を買ってやる。
KP/「首輪!?」(笑) ここで倒れてはいけない、身の危険を感じたミ=ゴの抵抗が強い!
草摩/天鴻の分だけでなく、お前の分もやるよ。
天鴻/なんか……ちょっとあいつに同情しそう。
格/白南さん、もっと心を鬼にして。
実散/犬としての気持ちを前に出して!
格/犬としての気持ちを!?(笑)
KP/では、ミ=ゴは怯えているので先制射撃が可です。
草摩/撃ちます。何色の首輪がいい?(ころころ)27で成功。
KP/<回避>!(ころころ)31、成功! ブゥーン! 必死!
実散/ミ=ゴさん、必死に避けすぎじゃない?(笑)
格/犬でなくて、草摩さんに怯えてる可能性が出てきてるな(笑)
実散/ミ=ゴさんに当たって!(ころころ)わー!? 99でファンブル!? 今日の俺、出目がたかーい!
格/クリチケいります!? どうぞ!
実散/(ころころ)63、成功! 暴発は嫌だよ〜!
KP/<拳銃>ファンブルは<幸運>で判定してもらって、失敗したら暴発してもらうつもりだからな。では<回避>……。(ころころ)13、成功!? 待って!(笑)
実散/凄いね、ミ=ゴさん!?(笑)
格/ミ=ゴ、必死すぎる!(笑)
草摩/そんなに俺のコトを……?
KP/「違うわいッ!」(一同笑)
格/可哀想……では、格も撃ちます。(ころころ)81、失敗。んんー、当たらない。武器の命中になると途端に出目が上がるのやめてもろて!?
KP/では次に、天鴻が威嚇をします。(ころころ)58……あ、失敗した。ちょっとミ=ゴへの同情の念が出てしまったな……。
草摩/天鴻、かわいい鳴き声だな。もしかして嫉妬で気を引いてる?
天鴻/違うよ!?(笑)
実散/兄ちゃんってほんと前向きだよね、メインプロセス頑張れ〜。
草摩/みちる。好きだ。(ころころ)<拳銃>05、本気を出してクリティカルさせました。
実散/すごっ!?(笑)
格/実散さんに応援されて精度が増す草摩さん、「わかる」って感じが凄い!(笑)
KP/えっと、クリティカルの効果は必中とダメージ倍、どっちがいい?
草摩/必中で撃つ!(ころころ)2点ダメージ!
KP/ミ=ゴは勢いに押されて回避できなかった。もうだいぶへろへろですが、ショックロールにはちょっと足りなかったな。
実散/もうちょい! がんばろ!
KP/だが先にミ=ゴのターンだ!
草摩/愛しているなら俺に来い。
KP/1:草摩さん、2:実散さん、3:格くんに(ころころ)1!?(一同笑)
格/愛してるんだ……?
KP/「違うぞ! 断じて違うぞ!」
格/否定してるけど? 素直になれないだけで? 本当は……?
草摩/今なら判る、お前が何がしたいか、手に取るように。そう、その少女を誘拐したのは俺の気を引くためだったんだな?
KP/違うが?(ころころ)28で成功した死ねぇー!
実散/ミ=ゴさん、よく30%成功の値で成功できてるよね(笑)
草摩/<回避>(ころころ)47、成功。寄ってきた腕を引いて壁に押し付けます。
実散/伝家の宝刀! 壁ドン!
格/伝家の宝刀なんだ……(笑)
草摩/顎クイします。欲しかったんだろ……?
KP/いらないが!?(一同笑) 「おい! そこの赤いの! どうにかしろコイツを!」
実散/ただいま組み付き状態で回避不可状態ですか?(一同爆笑)
格/ふふ、容赦がない! 大好き(笑)
KP/えっと、STR対抗しよっか……?(笑)
草摩/STR16+愛の力で対抗します。
実散補正を入れるな!(笑)
格/草摩さーん 頑張ってー
草摩/みちる! 格! 天鴻! 俺に愛ある応援を! STR16+みちると格と天鴻の愛をくらえ!
KP/こっちが抵抗するからミ=ゴが振りますね! 25%以下で成功!(ころころ)77……失敗。「うわ、この人間力が強い!?」
実散/はい、<拳銃>。(ころころ)55、成功。(ころころ)7点ダメージ。兄ちゃん壁ドン組み付きありがとー! 大好きー
草摩/俺も。みちる。好きだ。
KP/ミ=ゴは実散さんの銃弾を受け、床にずるずると倒れ込みます。4点オーバーで倒れました。
実散/ねえ兄ちゃん、お家にピンク髪の人2人目欲しいの?
草摩/あ、百合人先輩もピンクだった。キャラ被りだな。残念だが同居は諦めてもらう。すまんな、ミ=ゴ……俺達は一緒になれない……。
実散/気が狂った会話か?
KP/一方的に言い寄られて、一方的に振られるの何?(笑)
格/キャラ被りが理由で振られるミ=ゴくん、可哀想……(笑)


 ●エンディング

 見越を倒すと、異形のものの姿も消えてなくなる。
 残っているのは低い稼働音を立てる数々の機械と、少女が寝かされている手術台、。してぴくりとも動かなくなった見越の身体だった。

 ■探索箇所
 【見越の身体】 【周囲の機械】 【手術台】

草摩/医者なので見越の身体を診ます。
格/おれは機械を<コンピューター>で調べますね。
実散/俺はおまわりさんの顔になって手術台の早紀ちゃんを助けるよ〜!
KP/では、最初に見越の身体を調べる草摩さん……<医学>または<目星>でどうぞ。
草摩/<医学>で(ころころ)82、成功。もうお前のことをピンクの航とは呼ばない、お前は白衣の百合人先輩だ。
格/そうかなあ?
実散/違うよ?
KP/百合人さんから「訴訟!」って言われそう(笑)

 <医学>→草摩が成功。
 見越の身体はぴくりとも動かず、脈が無い。
 それどころか、撃たれた個所から血が流れていないのも気付く。SANc(0/1)

草摩/SANチェック。(ころころ)05、クリティカル。
KP/見越の胸ポケットからクリチケも見付けました。
草摩/動いてないな、と思って胸からクリチケを貰いました。
実散/追い剥ぎじゃん(笑)
KP/傷口を調べると、裂けた皮膚の下に覗くのは赤い肉ではなく、金属の塊とそれに這わせられた細かな配線であることに気付きます。
草摩/……メカ?
格/メカ!?
KP/つまり、見越はミ=ゴが人として活動するために使用していた人型ロボットだったんだよ!
草摩/そんな、機械の身体でありながら人間の俺を愛してくれていたと!? なんて感動的な!
格/そっち?(笑)
実散/なんでそうなる?(笑)
KP/愛してないが!?(笑)
草摩/ありがとう、ミ=ゴ。さようなら、ミ=ゴ。良さげなパーツは持ち帰ります。スーツケースに身体を詰めるだけ詰めよう。
KP/ひどい!(一同笑) 職質されたらアウトなんだよなあ!? あとどこからスーツケースを出したの!?(笑)
格/いつも車に空のスーツケースを積んでいるとか……どうして?(笑)
KP/百合人さんが泣いちゃうでしょ!? スーツケースに人間を入れてるの見られたら「とうとう死体を一緒に埋めることになったわね……」っていつもの怯え顔しちゃうでしょ!?
格/「とうとう」?(笑)
KP/それに、実散さんはどうなんですか!?
実散/ん〜……。今日の兄ちゃんは頑張ったからいいよ!
草摩/ああ。勝手に車内やスーツケースを開ける人がいなければ泣く人は生まれない。犯罪はいけないな……警官として注意しないと。これからも俺は刑事として頑張る。
格/はい?(笑)
草摩/次は格。判定頑張れ。
格/あ、はい?(笑) 機械を<コンピューター>で判定します。(ころころ)73、成功。

 <コンピューター>→格が成功。
 周囲の機械は稼働を続けているようだが、何の機械なのかはよく分からない。
 現代の技術では再現不可能な機械であることが分かる。
 辛うじて読み取れるのは、どうやら人間の身体を使って何かしらの実験をしていたようだ。SANc(0/1)

格/わ〜、機械は興味深いですね!(ころころ)SANチェックは33で成功。この辺どうなってるんだろうな、この素材はなんだ? 配線になって? いや……?
実散/笑顔で作業が楽しそう〜。
KP/ではでは、最後に手術台を調べる実散さん。手術台には寝かされている少女と、傍らに鞄が置かれているのが分かります。

 ■鞄
 中にはスマートフォンと財布等の小物、犬の散歩に使うのであろうビニール袋や玩具のボール等が入っている。
 また、学生証が見つかる。朝凪高校のものだ。少女の顔写真の隣に「根岸 早紀」と名前が書かれている。

KP/少女……早紀には多少の擦り傷はあるが、目立って大きな外傷はない。麻酔などで眠らされているようですが、身体を揺すれば目を覚ますでしょう。天鴻は、寝かされている少女を心配そうに見つめています。
実散/……兄ちゃん! 今からお医者さんになって! 「この子はもう大丈夫だよ〜」ってこの子とみんなに言って納得してもらえるお医者さんになって! じゃないと、大騒ぎになっちゃうよ。
草摩/ああ、俺が診たことにすればいいのか。分かった。誘拐した医者なんていなくて、保護して無事に帰した医者になろう。
格/ごそごそ。あっ、白衣がありましたよ。草摩さんが白衣を着た。部屋も綺麗。よし!
草摩/見越はスーツケースに詰めた。よし。
KP/入れたんかい(笑) 身体を揺すれば、少女は「ううん……」とゆっくり目を覚まします。ぼんやりと定まらない視線で周囲を見回し、ふと大柄な男性の方に目を留めた。

 「あれ……マロン……?」
 ふわふわと夢見心地の声で彼女は呟く。
 「マロン、だあ……どうして、ここにいるの……?」
 まだはっきりと意識が覚醒していない少女は、天鴻の方を見てふんわりと笑う。

 その声を聞くと、天鴻はおずおずと両手を差し伸べ、早紀の片手を優しく握った。
 「……ボク、だよ。ボクだよ、ご主人、キミを守りたいから、ここまできたよ。ここにいるよ」
 天鴻――否、マロンは震える声で答える。
 「……よかった、よかったあ……。ありがとう、みんなのお陰で、彼女を助けられた」

格/俺たちは当然のことをしたまでですよ。ねっ!
実散/うん!
草摩/そう、君は交通事故に遭ってしまい(中略)という訳で無事だから、このまま帰りたまえ。お代はいらない。あと、お世話をしてくれたはこべ動物病院に寄って帰るのだ。そこにマロンがいる。
KP/「……あれ? マロン、さっきまで居た気がしたのに?」
草摩/マロンと一緒に動物病院に行き、動物病院からマロンと一緒に帰るのだ。
KP/「えっと……?」
実散/いきなり歩くのは難しいよね? 先生! 車を出してあげましょうよ!
草摩/先生は車を出せる。この診療所はお休みだ。よし車に乗ろう。早紀を動物病院まで送ります。
KP/はい。では、全員車に乗ってはこべ動物病院まで移動しました。彼女は「ありがとうございます!」と言って病院の中へ入っていく。
格/いえいえ。お大事に〜!
実散/ちゃんと本物と再会してね〜!
天鴻/……本当に、みんな、ありがとう。無事にご主人が戻って来たから、ボクもこれで自分の身体に戻れるよ。
格/はい。早く戻って、御主人を安心させてあげてくださいね。
実散/ちゃんと怪我治してからまたお散歩するんだよ?
草摩/お大事に。
天鴻/うん。この身体の人にもありがとう。「ごめんなさい」って伝えて欲しい。
草摩/いっぱい伝えておこう。
実散/安心してね。あと今後、無茶は早紀ちゃんのためにしないように気を付けなよ!
天鴻/わん!
格/おりこうさんですね。
KP/マロンが一声鳴き、それと同時に、天鴻の身体がぷつんと糸が切れたように崩れ落ちます。
実散/……兄ちゃん!
草摩/天鴻をキャッチ。
格/さすがです!
天鴻/……うーん……?
草摩/目覚めのキスを……。
天鴻/顔が近い!(笑)
実散/おはよー! ……もう、終わったよ。
天鴻/あー……うん、終わったんだな。良かった。
格/おはようございます。人間に戻った感想はどうです?
天鴻/うん、良かった。
草摩/もう安心してくれていいぞ。これで夏野菜天が食べられるな?
実散/たまねぎも長ネギもいけるね!
格/良かったですね。
KP/すると、ドアの向こうから「わっ! マロン! 良かった! 無事だったんだね!」という喜びの声が聞こえます。もしドアを開けて病院の待合室を覗くなら、元気になったマロンに優しく抱き着く早紀ちゃんの姿と、御主人に抱かれて嬉しそうなシェパードの姿を見るでしょう。
実散/……ふふっ。かわいいかわいい姿を再確認して、俺達は去ろうか。
格/はい、そうですね。
草摩/車に全員乗せて、スピードを守りながら走っていきます。
実散/安全運転でね〜。あ、業務スーパーに寄ってクリチケ搬入されてるか見て帰ろうよ。
格/段ボールに雑に入れてあるクリチケ。
KP/ありがたみが無いな!(笑) ドアの向こう……自分たちを覗く4人の姿を見て、大きな犬は「わん!」とお礼を言うように声を上げるのでした……。

 後日。君達が街を歩いていると、犬を連れ歩く少女の姿があった。
 マロンと早紀だ。怪我はすっかり回復したようで、飼い主の方を度々振り返りながら嬉しそうに尻尾を振っている。
 早紀の方も「マロン、待ってよう」などと笑いながら、1人と1匹は通りの向こうへと駆けていった。


『 犬は宿りて街駆け巡る END・1「キミを守るために」 』

 ■クリア報酬
 クリアSAN値回復:1d6
 マロンを手助けした:SAN値回復1d3
 ミ=ゴを目撃した:<クトゥルフ神話>+1
 犬と戯れた:<他の言語:犬語>+1


草摩/やったー! <クトゥルフ神話>技能は上がった!
KP/嬉しそう!(笑)
格/犬語が……上がった?(笑)
実散/たかひろくんだけは犬語+1じゃなくて1d6〜1d10ぐらい増やしていいのでは?
格/確かに!(笑) セッション中にちゃんと通訳して犬語を使っていましたもんね。
天鴻/じゃあ、1d6振ってみていいですか?(笑)
実散/せっかくなので1d10+1でどうぞ。
天鴻/(ころころ)9。つまり、犬語が10も上がった!?(一同笑)
草摩/めっちゃアップした!(笑) ワンチャン成功できる技能値だな。
実散/犬だけにワンチャン。
天鴻/だれが上手いことを言えと!(笑)
実散/犬語ゲットは嬉しいな〜。(ころころ)ううん……一方で実散はSAN回復が最小値だったりする。
KP/実散さん、今日は全体的に出目が悪かったね?
実散/なんかね、ずっと抱いてるオニキスがね、「我は……猫がいい……」って唸っているからかな?
草摩/オニキスの怨念のせいか(笑)
KP/抗議していたのね(笑) もう猫に戻って良いのよ!
草摩/ぽんっ。目が1d10個の猫に戻ったな。(1d10ころころ)お、目が3つだ。上出来だ。
実散/惜しい! でもお上手! さすがオニキス〜!
格/(オンセツールにログインし直しながら)すみません、今ネット回線が不調だったので再ログインしました。なので運良くオニキスの目がいっぱいのシーンをピンポイントで見逃しました(一同爆笑)
実散/(オニキスになって)「ふふふ、あやつはまだ我のことを猫と信じているな。ヨシ!」(笑)




花園班4人旅行へ続く

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