クトゥルフ神話TRPG・リプレイ
■ 『 欠落コディペンデント 』 3ページ ■
2022年5月15日




 ●シーン10:3F

KP/という訳で、2人は地下まで戻ってきて呪いの短剣を回収したりSAN値回復したりして、エレベーターで再び3階に向かうのであった!
草摩/いっぱいみちるを吸った。
実散/吸われた。では3階に到着ー!
KP/2人がエレベーターを降りると、エレベーター前の広いスペースで2人の男が立っているのに出くわします。
実散/黒田くんと白波さん……。
草摩/どういうお出迎えだ? 俺達を歓迎してくれるのか?
KP/(黒田になって)「クソ。大人しく寝てりゃいいものを」 黒田は壁に手をついて立ち、エレベーターから降りて来た2人を憎々し気に睨みつける。右足と左足で違う靴を履き、右足の膝から下はズボンが吸いきれないほどの血液で汚れている。黒田の後ろには白波が控えています。
実散/歩きにくいなら動かない方がいいんじゃない? 不格好だよ。
草摩/交渉する気はあるか?
KP/「…………」
草摩/俺はあるぞ。みちるの臓器を戻させてもらう。それは俺のだ。
実散/※俺のです。
KP/「そいつの臓器はもう白波のものだ」「黒田。いっそ殺してしまう?」
草摩/みちるのものだ。つまり俺のものだ。殺してしまうのか、俺達を?
KP/「そっちの赤いスーツはダメだ、アンタの臓器と繋がってる。黒スーツは……いいか。殺してもすぐ新しいのを狩ればいい」「分かった。きみに従う」
草摩/何度でも言うぞ。みちるのを返してもらう。みちるを害するお前達を許さない。屍は死んでいろ。屍なんだから。生きているみちるのために元に戻れ。
KP/2人は憎悪と羨望の入り混じった目で貴方達を見ます。「うるさい。あんた達に俺達の何が分かる」
草摩/お前達はみちるのかわいさが分かるか?
実散/はい?
KP/「は?」 きょとんとする黒田&白波。
草摩/お前が隣の男を大事にする理由も、俺には分かるようでいて分からない。分かる気が無いなら話す必要なんて無いだろ。
KP/「……それもそうだ。何を話したって、あんた達に俺達の事は理解できないだろうし、俺達だってあんた達の事は理解できない。ただ、分かるのは」
実散/分かるのは?
KP/「あんた達が良い相棒関係なんだってことだけだ。……妬ましいぐらいに」
草摩/見せつけてやるか、みちる?
実散/こら、兄ちゃん。煽らないの。
KP/「黒田、もういい。さっさといつも通り終わらせよう」「そうだな、相棒」
草摩/みちる、さっさと終わらせよう。
実散/そうだよ、兄ちゃん。どんどん煽るの良くない。……まずは、あの子達を落ち着けよう?
草摩/みちるは優しいな。好きだ。
実散/俺もだよ。頑張って!
KP/黒田はナイフを手にし、貴方達2人に襲い掛かります! 黒田はDEXは17です。白波は戦闘には参加しません。……マジか?(笑)
草摩/みちるの臓器を守ってくれてるんだ。白波は優しいな。ありがとう白波。好きだ。
KP/そうじゃないけど、そうなんだよな(笑)
実散/唯我独尊ポジティブなの? もー、兄ちゃん! そんなこと言ったら敵が煽られて本気で来ちゃうでしょ!
草摩/これがNTRか?
実散/NTRの心得も判ってないのに言うんじゃないよ! イガちゃんに教わりなさい!(一同笑)
KP/内臓取られた(NTR)。
実散/ある意味NTR卓だった? イガちゃん呼ばなきゃ……。
草摩/なあ、天の声の天鴻。黒田を殺しちゃダメか?
KP/(天の声になって)「ダメですよ!」
草摩/分かった。今日も天鴻は良い声だな。
実散/たかひろくんありがと〜!(笑) それじゃ、俺は先制射撃準備をするね!
草摩/武器なんて捨ててかかってこいよ。狙うなら俺にしろ。
KP/とりあえず先にDEX17の黒田が撃つね。「あの黒スーツさえいなければ、あとはどうにでも出来る」 銃口を草摩さんに向けて撃ちます。<拳銃>70%以下成功で(ころころ)77、失敗! 黒田の銃弾は草摩さんから僅かにそれた!
草摩/みちる、行け!
実散/実散も撃ちます!(ころころ)32、成功。お得意の拳銃をくらえー!
KP/黒田、避けます。<回避>は34%以下で成功。(ころころ)65、失敗。
実散/ごめんね(ころころ)2点ダメージ! 不格好な足を撃つ!
KP/容赦ない〜。「うっ!」「黒田!」
草摩/バランスを崩せ。そこを俺が蹴る。<キック>で攻撃。(ころころ)24、成功! 帰ったら天鴻と百合人先輩から足技の訓練をしてもらおう……。
KP/初期値でも当たったな!? 黒田、<回避>を試みます!(ころころ)38、失敗。
草摩/みちるの射撃が効いたな。念仏でも唱えるか?(ころころ)ダメージ6点! 天鴻アタック! 百合人蹴り!
KP/殺意が高い!(笑) 「ぐあっ!」 草摩さんの渾身の蹴りを受けて、黒田の小さめの身体が床に崩れ落ちる。
実散/あ、黒田くんって小さいんだ。かわいいねえ。
草摩/小さいみちるに言われるなんて……。
実散/みーっ!(笑)
KP/「黒田! 黒田! 大丈夫か!?」 ……えっとですね、黒田のHPは10点でした。現在HPは2点です。黒田のHPが3以下になった時点でイベントが発生します。

 貴方達2人の連携攻撃を受け、黒田が床に膝を付いている。
 それでも戦意を失わない黒田は二人を憎々し気に見上げ、傍にいた白波は青白い顔で黒田の名を呼んでいる。
 「くそ……!」 よろよろと黒田が立ち上がろうとしたそのとき、彼らが背にしていたドアが開く。
 高価な靴をカツンカツンと鳴らしながら歩いてきたのは、初老の男。埃島だ。

実散/おじさん!
草摩/生きてたのか、おじさん。

 「お前……どうして」
 彼が現れた途端に、急に空気がぐっと重くなったように感じられた。指一本、動かせない。
 埃島は貴方達に目もくれずに、倒れた黒田へとまっすぐに歩み寄る。
 そして手に持っていた青銅製のナイフで、ためらうことなく服ごと黒田の胸を引き裂いた。

実散/うわ。
草摩/みちるを庇って立つ。血が飛び跳ねるといけない。みちるは綺麗好きなんだから。

 「な、あっ」
 目を閉じたままの黒田は、何の反応もせず、ぱたりと床に横たわった。
 不思議なことに、血も出ない。けれど臓器は重みで押し出され、どろりと床にあふれてくる。
 「あ、ああ、くろ、だ……?」
 埃島はあふれてきた臓物のなかから心臓をつかみ取ると、繋がっている血管を手際よくナイフで切った。
 そこでやっと、身体のほうに残された血管から鮮血があふれ出した。
 埃島が手に握った心臓は、切り取られてもなお僅かに脈動している。臓物が散らばって辺りが血に染まっても、心臓だけは血を一滴も零さないまま弱々しく動き続けている。SANc 1/1d4+1。

実散/何してるの……。(ころころ)14、成功。
草摩/白波達にとっては予想外のことをしているのか?(ころころ)100、ファンブルだ。
KP/グワッ!?(笑) 振り直してえ!?
草摩/センキューアヒル。クリチケを使ってもう一回ロールする。(ころころ)10、成功。後でアヒルもエジプト料理を食べような( ε )-☆Chu!!
実散/アヒルちゃんもご飯いっぱい食べようね!
KP/グワ〜ッ!(笑)

 【現在SAN値】
 実散:85→84(1点減少)
 草摩:54→53(1点減少)


KP/埃島は片手で心臓を揉み、無理やり動かしながらほくそ笑む。「ああ、良かった。ギリギリ動いてますねぇ」
草摩/何をしている?
KP/「何って、見てのとおりですよ。狂犬を処分する手間が省けました。お礼を言いますが、ちょっとやりすぎですよ。もう少しで彼の心臓が止まってしまうところでした。そうなっては本当に無価値ですからね」
実散/意味が分かんないよ! 説明して! ワケワカランのダンスを踊っちゃうよ!?
草摩/教えてくれるまで2人で踊るぞ。
KP/新手の儀式をするんじゃあないよ(笑) 「教える義務は無い、と言いたいところですが、貴方達はこの狂犬を大人しくさせてくれた恩がありますからね。なに、ただこの男の心臓を我らの神に捧げる必要があったので、新鮮な内に収穫したというだけの話ですよ」
実散/その2人を毒牙にかけたのは、「我らが神の儀式」をするため?
KP/「我らの神は汚れた臓物と新鮮な心臓をお望みですので」
実散/半年間彼らに狩りをさせ続けて放置したのも、あくまで儀式のため?
草摩/飼われていたのか、この2人は。
KP/にこりと埃島は肯定するように笑う。……白波は汚れた内臓製造のために毒を飲まされ、黒田は内臓収集と最後に心臓を捧げるために生かされてました。白波は内臓を交換してもすぐ毒に侵されて交換する必要があり、埃島はその毒に侵された内臓を集めていたのです。毒漬け内臓の養殖ですね。
草摩/内臓マシマシ注文……替え玉……。
実散/ラーメンみたいに言うんじゃないよ(笑)
KP/「では、必要なものも回収できましたので私はこれで失礼します」 紳士的に礼をした埃島は足元に転がった黒田を跨いで歩きながら、Dの部屋へ戻どっていきます。

 埃島がこの場から離れて少しして、貴方達は身体の動きを取り戻す。
 黒田はすでに事切れており、辺りには血や臓物に由来する悪臭が立ち込めていることだろう。
 「……ろ、だ、」
 白波は去っていった埃島にも、声を掛ける貴方達も眼中に無いかのように、ただ目の前で倒れている男の身体を揺する。
 壊れたように黒田の名前を叫びながら、白波は崩れ落ちた。
 「くろだ、くろだ……! いやだ、いやだよ、おいていかないでくろだ、だめだよ、いかないで、やだ、まって」
 黒田の身体はぴくりとも動かない。

草摩/……白波。どうだ? さんざん利用されて、一緒に生きたかった黒田まで殺されたぞ?
KP/「あ、う……」
草摩/一緒に生きたかった黒田まで殺されたぞ? いいのか?
実散/……良くないよね。
KP/白波は、ぼんやりと……うつろな目を貴方達に向けます。
実散/何か恨み言ない? ここで黒田さんの名前を呟いてるだけでいいの? 憎いとは思わない? 君達をこうした元凶は誰?
KP/「……誰が、黒田を、こんな」
草摩/見てただろ?
実散/君に毒を飲ました人、覚えてるでしょ?
草摩/黒田に刃を向けた奴、覚えてるだろ? 憎くないか?
KP/「埃島……あいつが、僕達を、こんな風にしなければ……」
実散/うん。黒田の命を奪ったのはあいつだ。
草摩/お前の臓器を奪ったのはあいつだ。なのにここで泣いてるだけか?
実散/ここで縋って泣いていて、空しくない?
草摩/そこで泣いていていいのか?
実散/そこでぼうっとしているだけで、満足?
KP/「くろだ、くろだを、生き返らせなきゃ」
草摩/どうやって?
実散/どうするの? 黒田は心臓が無い。さっき奪われた。
草摩/心臓を取り戻せば、いいんじゃないか?
実散/そうだね、取り戻そう。
草摩/本来の持ち主にあるべきだ。取り戻そう。黒田のためにも。
実散/取り戻そう! 黒田に戻そう! おじさんを倒そう!
草摩/俺達、悪魔みたいだな?
実散/俺もそう思う。
KP/KPもそう思う。「取り戻して、くれるのか……? 黒田の心臓……取り戻してほしい。僕が君らにこんなことを頼める筋合いじゃないけど、君達にしかもう頼めない……黒田の心臓を取り戻して、埃島の内臓を手に入れられたら、そこの人の内臓は返すよ
草摩/ありがとう。
実散/君は黒田の傍にいてあげて。心臓を戻す場所、ちゃんと守ってあげて。……ちぇ〜。白波さんにおじさんを殺してほしくて説得してみたけど、難しいか〜。
KP/白波は動けないですね。黒田の傍から離れたくないようです。
草摩/残念だ。……それじゃあ、埃島を追うか。俺も殺したいが、天鴻と「殺さない」って約束したしな……。
天鴻/約束を守ってくれる草摩さん、好き。
草摩/天鴻、俺も好きだぞ。証拠隠滅用にバラバラ死体にするのなら任せろ。
KP/任せるな。


 ●シーン11:最後の部屋

 ドアが開いた瞬間、ひどい腐臭が鼻をついた。
 同時に煌々とした炎の灯りに照らされた広い部屋の様子が目に飛び込んでくる。
 部屋の中央には祭壇が置かれ、祭壇の両脇にはパチパチと音を立てて火の粉を舞わせるひときわ大きな篝火が一対くべられている。
 地下で見た部屋のように、部屋中が楔形文字や象形文字でおおわれており、祭壇の前には棺とほとんど同じサイズの長方形をした極彩色の櫃が置かれている。
 そして、その櫃の前で埃島が熱心に何かを唱えている。朗々としたその声は貴方達を気にも留めずに紡がれ続ける。

KP/もし埃島の方に近付こうとすれば、また不可思議な術で体を動かなくさせられるでしょう。
実散/どうやっておじさんと戦えばいいんだ……?

 「おいで下さいませ、聖なる神トートよ」
 埃島の声が響く。ねっとりとしたその響きがやがて終わると、部屋に垂れ篭める重たい空気がより一層の重みを増す。
 「さあ、私にその神々しいお姿を見せてください」
 そう、埃島は恍惚とした表情で神を呼び出そうと両手を掲げる
 ぐしゃり。湿った打撃音と共に声が止まる。
 何かに押しつぶされた。頭が潰れ、首が180度ねじれた状態で床に崩れ落ちている埃島の姿。

実散/や……やったぁー! 勝手に死んでくれたぁー!
草摩/やったぞ天鴻! 俺が殺さなくて済む!
実散/そうだね、たかひろくんの約束も守れる! 死んでくれて良かったー!
KP/ここで喜ぶPC達とは(笑)

 わずかに痙攣している様子で息があるのは分かるが、どう見ても助からないのは素人目にも明らかだろう。
 祭壇の前に揺らめく影がある。
 2メートルはゆうに超える大男だ。細く長いくちばしをもつ鳥の頭、篝火に照らされた褐色の肌。古代エジプトらしい意匠のアクセサリーで身を飾り、手からは血を滴らせている。その血を器用に細いくちばしで舐めとりながら、男がこちらを見る。

草摩/確かにこれはアヒルじゃないな。
実散/アヒルちゃんが「鳥違い!」って怒るのも分かるよ。
KP/感想がおかしいな!(笑) 召喚されたトートの姿を見たふたり。SANc 1/1d6。
草摩/はい。(ころころ)87、失敗だ。
実散/(ころころ)01、クリティカル成功。
KP/ねえ実散さん!?(笑)
草摩/みちるのバースデーパーティーに呼んだの、覚えてないか?
実散/俺の誕生日会に来てくれた子だね。
KP/またお友達かよ。

 【現在SAN値】
 実散:84→83(1点減少)
 草摩:53→51(2点減少)


KP/草摩さんも大してSAN減がらないし! もう伝統芸の域!(笑)
草摩/あとはアザトースやヨグソトースレベルが出ないとSANは激減しないな。
実散/アザトースやヨグソトースレベルでも01クリティカルが出したらどうしよう。
KP/では……呼び出されたトートは、埃島を圧し潰した拳についた血を舐め取りながら、不機嫌そうに目を細めます。「まことにくだらぬ。まともな供物が心臓だけではないか。何故いつもいつも、毒で穢した臓物ばかりを贄にするのか……」
実散/えっ、欲しいのでは?
KP/「そんなことをするのは、あまたある教団の中でもここだけであるぞ。文字が読めぬのか? よもや、誤訳したのではなかろうな」
実散/注文ミス?
草摩/エグチを頼んだ筈が別物だった?
KP/そうそう。「エグチが欲しいな」「ご注文のチキンクリスプです!」みたいな感じ。
実散/クレーム対応しなきゃ!?(笑)
KP/元々の経典には「新鮮な臓物を捧げよ」って書いてあったのに、埃島のご先祖様……トート新教を立ち上げた人が「毒で穢れた臓物を捧げよ」に誤読しました。トート新教は儀式のたびに穢れた臓器を捧げてた訳です。そりゃ何度もオーダーミスされたら怒るわ。
草摩/せめてダブルチーズバーガーにしてほしかったよな、ごめん。でも黒田の心臓はあるから飲み物のコーラだけは飲んだのか……怒っていいぞ(笑)
実散/怒っておじさんをプチっとしてくれてありがと〜!
草摩/俺達も大喜びだ。ありがとう( ε )-☆Chu!!
KP/何か知らんが感謝されてるな我。まあよい。老いてはいるが、清廉なはらわただ」 トート神は埃島の身体を仰向けて、細いくちばしで布地を切り裂き、痩せた腹を引き裂き、臓物を貪り始める。埃島の新鮮な臓物を美味しく頂いているトートですが、これだけでは当然足りません。だって今までずっと美味しくない臓物を捧げられてたし。
草摩/おこだもんな。
実散/おこおこだもんね。毒物アレルギーがあったらどうするの! 本社の社員さんが謝らなきゃでしょ!
KP/この『食事』が終われば、きっと次は貴方達にその目が向くに違いない。ですが2人の手元には、最後の希望である『呪いの短剣』がある。この短剣で切りつけることさえできれば、トートは退散できるだろう。

 ■クライマックスイベント、オペレーション:”ネゴシエーター&アタッカー”
 神を相手にする、最後の戦いだ。
 2人はそれぞれの得意分野で力を合わせて挑むことになる。
 
KP/技能の配分、キャラクター性などに応じて「ネゴシエーター」と「アタッカー」に役割を分担しよう! トートの気を反らす役と、隙を見て短剣を刺す役に分かれてもらいます。

 ■ネゴシエーター
 DEXに関わらず、ターンの一番最初に<POW×5>で判定する。
 成功でトートを引き付け交渉することができる。失敗すると次のラウンドから早速戦闘開始である。
 トートは1d3ターンの間、このPCとの対話に応じる。
 次のターン以降、交渉技能に成功で+1ターンずつトートとの戦闘開始を遅らせることができる。
 伸ばせるターンが終了すると、生贄とみなした貴方達を相手に戦闘が開始する。
 ただし、アタッカーがしくじるとトートがその場で激怒する。
 ここでネゴシエーターがもうひと踏ん張り交渉技能を成功させることで、トートは再びネゴシエーターとの会話に集中する。

KP/神的には「どうせ食うしな、ちょっとぐらいお喋りしてもええやろ」ぐらいの気持ちなんでしょうね。
草摩/俺が開いたパーティーでもこいつ、気難しかったしな。
実散/気難しい子だったから俺の誕生日会だけどトートくん好みのお料理をたくさん用意したんだっけ?
草摩/ああ、あのときのトートくんはお腹いっぱいで帰っていったぞ。
KP/神話生物を満足させる料理作れる草摩さんって何?
実散/兄ちゃんてばおじさんよりも満足させる召喚してるじゃん。
草摩/おじさんは三流だったんだ。俺のエジプト料理なら満足させられるぞ。

 ■アタッカー
 交渉中のネゴシエーターの背後に寄り添うように立ち、神妙に話を聞いているフリをしながら交渉中のPCの脇からトートを刺すことができる。
 <DEX×5>、もしくは技能<ナイフ>で判定。失敗すると盾にしていた交渉中のネゴシエーターが1d3のダメージを負い、トートが激怒する。
 すかさず行うネゴシエーターの交渉技能が失敗すると、その場で戦闘開始となる。
 また、戦闘で「何もしない」ことを選択するとトートが油断したという扱いになり、次のターンの技能値に+10できる。
 <ナイフ>で判定した場合は失敗してもネゴシエーターにダメージが入らないが、やはりトートは激怒する。

草摩/使用する能力がDEXとPOWなら分かれやすい。俺がナイフを持ってアタッカーだな。
実散/ネゴシエイターが俺で、アタッカーが兄ちゃんだね。身長2メートル以上あるから俺の声、聞こえるかな〜。俺の誕生日会に来たときは1メートルだったよね!
KP/ちっちゃくてかわいい(笑) 役割分担が決まったとこで、オペレーションスタートします!

 埃島の死体が半ば食い漁られたころ、異形の神の視線が貴方達の方へ向けられる。次の獲物を見定めた目だ
 神を相手にしても余裕の笑みを見せられるのは、信頼できる片割れが傍にいるからだろう。
 なら、貴方達に怖いものはない。例えそれが神と呼ばれる存在相手だとしても。

KP/ミッションスタート! まずは、実散さんの交渉判定からです。<POW×5>で判定をどうぞ。
実散/敵意は無いよ〜の顔! どうもPOW18の俺です!(ころころ)88、成功。末広がりで縁起の良い数字ですね〜! インフィニティ!
KP/やだ、POWカンストしてる……(笑) どうトートに話し掛けます?
実散/とりあえず……真面目な顔になります。ごめんなさい。怒らせるお呼び出ししちゃってごめんなさいと誠実に謝ります。しょぼん。
KP/「ふむ? 我を穢れた供物で呼び出した愚か者はこの老人かと思っていたが」
実散/呼ばれたのに嫌な食べ物ばっかでテンションテンサゲだよね。俺は良い会場でお会いしたかったよ! それができなくてごめんなさい。……内容は無くても話をしてこちらを意識させる。あくまで「話し掛ける」ことが目的なので。
KP/「ほう、殊勝な心掛けだ。この愚か者とは違うようだ」 トートは実散さんの謝罪に幾分か気を良くしたようです。では1d3を振ってください。
実散/(ころころ)2、よし!
KP/まず2ターン、実散さんとの話に気が向きます。次に……トートのDEXは18なんですが。
草摩/おっと、なんとDEX18か。これは俺も勝てないかもしれないな。
KP/そこに神話生物より速い男がいるんだよな。
実散/えええー!? そんな、DEX18より早い人間がいるのぉー!?
KP/花園ぉ〜! 草摩ぁ〜! プロレスの入場アナウンス風に。
草摩/そう、セクシー草摩とは俺のことだ。参上!(ころころ)<DEX×5>、7で成功。
KP/出目が良い(笑) 草摩さんは実散さんがトートに話しかけている隙に素早く死角に回った! トートは草摩さんの動きに気付かない!
草摩/刺す。
KP/切っ先はトートの褐色の肌に音もなく刺さる。刺さったところから血がほとばしる代わりに、砂像が崩れるかのようにトートの身体が徐々に崩れていく。「……はは、ははは、面白い。こうも見事にしてやられるとは思わなんだ」 さらさらと崩れながら、トートはくちばしをかたかた鳴らして笑う。
実散/ごめんなさい。ごめんなさい……ね? 謝罪します。
草摩/憎くてしている訳ではない。申し訳ない。生きる為なんだ。みちるがな。
実散/兄ちゃんもだよ。
KP/「神を前にして動じぬ胆力。神をも出し抜くその素早さ。いや、天晴れとしか言いようがない」 騙し打ちされた形ですが、それ以上に貴方達の行動に大きな興味を持ったようです。
草摩/会うなら良い会場で招待したかった。あの三流を見た後だと余計にな。次に貴方を呼ぶときはしっかりと良い生贄を捧げて呼ぶ。約束しよう。
KP/生贄を用意するな。新鮮な人間の臓物を用意する気か〜!
草摩/ああ。会いたいときは用意させてもらうよ。
実散/……そこはハッキリ言うんだ?
草摩/嘘はつきたくない。
KP/「はははは、では貴様が捧げる供物を楽しみにするとしよう。再び正しい手順で喚ばれるまで、しばしの休暇だ」
実散/寛容な御心に感謝致します。
KP/「貴様達が捧げてくれても構わんぞ。少なくとも、そこに転がっている愚か者が用意したものよりは美味かろうよ」
草摩/考えておきますが、臓物を用意するなら一等品がいいでしょう? 今はそれを用意できない。なので次回をお楽しみに。いずれまた。
KP/「我を満足できるだけのものが用意出来たら呼ぶが良い。その時は主らの望みの一つでも叶えてやらんでもない。ではな。生者以外、手土産に全てもらってゆくぞ」
草摩/ありがとうございます。決してそのお言葉、忘れません。
実散/ありがとう!(^ε^)-☆Chu!!

 もう身体のほとんどが柔らかな砂になったトートの笑い声が大きくなる。
 最後まで残っていたそのくちばしの先が砂になった刹那、強い風が巻き起こる。
 砂嵐をまともにうけた貴方達は目を閉じるだろう。息もできないほどの激しい風の中、次第に意識は遠のいていく。

草摩/……トートくん、パーティー盛り上げ上手の面白い奴だろ?
実散/うん、トートくん、面白いね。……ふわぁ、なんか眠くなってきた〜。


 ●エンディング

 ――貴方達が目を覚ますと、そこは荒涼とした砂地だった。
 体を起こしてみれば、商業ビルが立ち並ぶ街中の景色に、ぽっかりとビルひとつ分だけあいた空き地に倒れていたことが分かる。
 砂漠のような目の細かい砂が敷き詰められた空き地を見て、通り過ぎる人達が不思議そうに振り返る。
 通行人「あれ、ここってこんな空地だったっけ?」
 空き地を出て少し歩いてみれば、そこが貴方達の暮らす街であることが分かった。お互い散々な目に遭ったが、それぞれなんとか家に帰ることができるだろう。

実散/……ふえ? ほええ? 俺達こんな砂地でおやすみしてたの?
草摩/サウナ気分だな。
KP/起き上がろうとすれば、実散さんは身体が重くなったことで少しバランスを崩すかもしれない。腹にあったはずの傷跡も消え、触ってみれば確かに内臓が戻っている感じがする。
実散/うわっと!? またバランスが……戻って、悪くなった〜!
草摩/みちる? 戻ったのか?
KP/弾力のある、ちゃんとした身体の感触がします。
草摩/みちるの腹を触る。あるな。俺のだ。
実散/※俺のです。……うん、トートくん、戻してくれてありがと。
草摩/黒田と白波は……全部連れていかれたのか。
KP/そうですね、生きている人間以外は全てトートが攫って行きました。
草摩/そっか……黒田の心臓を、ちゃんと黒田の身体に返してあげたかった
実散/うん……しっかり白波のもとに戻してあげたかったな。
KP/トートが真っ先に食べたのは黒田の心臓だったので難しいですね。黒田の心臓のみが、トートの望む供物だったので。
実散/注文通りのコーラだもんね。
KP/コーラだけ合ってたならコーラを飲むしかねえ。白波も、万一助かっていたとしてももう狂気に陥っていた状態でしたので、常人としての生活は無理だったでしょう。
実散/どうにしかして白波さんや黒田くん、探偵事務所の人達を……弔うことはできないかな
草摩/……蒼井探偵事務所に連絡しよう。消えてしまったことを信じてもられなくても、伝えてやるんだ。
実散/そっか……少なくとも刑事達の家族は、彼らがどこに行ったか探していた。
KP/彼らが持っていたスマホや名刺などは手元に残っていてOKですので、探偵事務所へは連絡が取れます。探偵事務所から黒田を探していた妹に連絡すれば、コンタクトを取ることは可能でしょう。
草摩/信じてもらえなくても。話すか。
実散/話そう。ご家族も事務所の人達も、トートくんが連れ去ったなんて信じられなくてもさ、「もう彼らには会えないよ」って区切りをつけてあげないと……ずっと探し続けちゃうよ。
草摩/「生きているかも」という希望を持たせないのか?
実散/……生きていると信じたいならそれでいいよ。でも、俺は弔いたいな。すぐにお墓を作れとは言わないけどさ。じゃないと中途半端な希望を持って、延々と無いものを探し続けちゃうから。ところで今の日にちは?
KP/丸1日は確実に経っているでしょうか。
草摩/……まずは職場に電話かな。連絡無しに居なくなって迷惑を掛けたと連絡しよう。
実散/そうだね、たかひろくんに色々話そう。訳アリだから聞いて聞いて〜って!

 貴方達は日常を勝ち取った。
 そしてきっと、この先も何度も困難に打ち勝って生きてゆく。手を貸しあい、共に背中を預けあいながら。

実散/……勝手に献花でもしちゃおうか
草摩/花。そういや買って帰るんだった。
実散/花、買って帰ろう。質素なものでもいい。兄ちゃんが好きな派手なやつでもいい。ちょっとでも彼らのことを想う花、買おう。
KP/少し先に、花屋があります。貴方達が先日外回りに出た際に見つけた花屋です。「いらっしゃいませ、何かお探しですか?」
草摩/アネモネ、ありますかね。
実散/アネモネ?
草摩/花言葉が「安寧」「心穏やかに」なんだ。「静かに眠れるように」祈りを込めたい。……それに、みちるみたいなかわいい赤い花だ。いつも通りの俺っぽい買い物だろ?
実散/わあ……かわいい、小さな花……。この花に、彼らが静かに休めるように祈ろう。
KP/店員さんがアネモネで花束を作ってくれました。赤と青、白と濃い紫色のブーケです。
草摩/あいつらの墓はまだ無い。砂場に置いてもいいが……。
KP/アネモネのブーケを手に二人は花屋を出ます。すると、初夏の一陣の風がビルの間を吹き抜けていく。ふわり、とブーケから花びらが数枚舞う。
実散/あ、持っていかれちゃった。
草摩/綺麗だから欲しくなったのかな。
KP/赤色と青色と、白色と黒っぽく見える紫色の花弁が、細かな砂塵と共に舞い散っていく。空に舞った花はあっと言う間に2人の視界から消えていく。献花はきっと、2組のバディに届いたでしょう。
実散/……どうぞ。貴方達のために買ったんだから。……半分は俺へのプレゼントだろうけどね。
草摩/ああ。俺はみちるが一番大事でみちるしか見てないからな。
実散/嘘だ〜、兄ちゃんは色んな人を見てるしみんなに「好きだ」って言ってるじゃん〜。
草摩/俺はみちるしか見てないぞ? 嘘ついてない。
実散/何回「天鴻。好きだ」って鳴いたと思ってるんだよ〜?
草摩/それは本当だ。嘘じゃない。みちるが大事。これも嘘じゃない。どれも嘘なんか言ってない。みちるに寄り添いながら歩いていく。
実散/こらっ、お外でキスはダメって言ってるだろー! そんな風にイチャつきながら歩いていく……。


 クトゥルフ神話TRPG
    『 欠落コディペンデント 』   END A


 ■報酬
 生還……2d6
 トートを退散させた……1d6、クトゥルフ神話技能+1
 実散の臓器を元に戻した……1d3
 トートの呪いを受けた……2d6




実散/あっ、さくくんからラインだ。
KP/さくくんライン?
草摩/何か送ったのか?
実散/……えっとね。さっきさくくんに「俺は男だけど、本当にメイド服が似合うと思う……?」って相談ラインを送ったんだけど。「大丈夫です!」って熱烈な返事が来た。
草摩/だろうな(一同爆笑)
実散/という訳で……に、兄ちゃん、その……メイド服、似合うらしいから……まあ、いいんじゃないかなって……。
草摩/ピッ。注文した。アマゾンお急ぎ便で。
KP/DEX19の有効活用。
草摩/トートくんより速いぞ。さく、ありがとう。後で写真を送る。
実散/刺激が強い写真を相変わらず送られ続けるさくくんであった……(笑)
草摩/メイド服も色々買ったからな。天鴻もどうだ?
天鴻/メイド服を着るのは実散さんだけでしょ!?(笑)
草摩/天鴻。明日うちに来ないか。エジプト料理、食べに来い。レシピ、調べたからな。明日作るぞ。楽しみだな。
実散/絶対うちに来たらメイド服コスプレに巻き込まれるぞ。




『 欠落コディペンデント 』

END


→不思議な兄に出会う『美味しい貴方の作り方』に続く

TRPGリプレイページ・トップページへ戻る