クトゥルフ神話TRPG・リプレイ
■ 『 劇場版 同居人 』 1ページ ■
2021年12月11日




 ※このリプレイには、性的表現を含んだ18禁要素・同性愛描写が含まれております。ご留意ください。


 ●プリプレイ

 時は、『花園アフター』で数をこなした夜中のオンライン飲み会 真っ最中の出来事……。

プレイヤー4・トモ天丼/この前、「花園双子でやってほしい」「やらないで」「ごめん。やっぱやらなくていい」って言われたシナリオ『同居人』……。
プレイヤー1・マーサー/うん。めっちゃ思わせぶりなオススメ方をされた『CoC』のシナリオね?
プレイヤー4・トモ天丼/買いました。
プレイヤー1・マーサー/買ったの!? 読んだの!?
プレイヤー4・トモ天丼/だって「トモ天丼さんが遊ぶには荷が重い」ってプレイはしない方がいいと言われたのに存在を知らされたら、気になって……読み物として楽しもうかなって。
プレイヤー1・マーサー/勇気あるな!? 『同居人』通過者のピロ先輩いわく「イガさんが好きそうなシナリオです」ってことしか知らないけど、読んでみてどうだった?
プレイヤー4・トモ天丼/ネタバレが無い程度に率直な感想を言っていい?
プレイヤー1・マーサー/ネタバレしなければ……。
プレイヤー4・トモ天丼/イが付いてガが付つ奴にやってほしいと思いました。
プレイヤー1・マーサー/そんなに!?(笑) 私はイガちゃんのシナリオ傾向が大好きだから、やはり『同居人』通過するべきなのか……! あ、もしかして私とイガちゃんの2人プレイなら『同居人』って遊べる?
プレイヤー4・トモ天丼/多分?
プレイヤー1・マーサー/トモちゃん、KPできる!? ピロ先輩やきりあきさんに見学に来てもらってサブKPをしてもらってさ!
プレイヤー4・トモ天丼/オンセツールの使い方とかまだよく判らないけど、KPするだけなら……。
プレイヤー1・マーサー/今すぐイガちゃんのDMしてくる。早朝3時だけど。

 数分後。

プレイヤー1・マーサー/返事が来た。
プレイヤー4・トモ天丼/早っ!?
プレイヤー1・マーサー/「おはよう! 朝4時に何してるんだい?」って画像付きのDMが来た(一同笑)

 という訳で.
 『庭師』でHO4をしていた
トモ天丼がKP、プレイヤーがマーサーイガによる『同居人』が立卓される。
 その席にはセッション見学者という名の
サブKPとして、きりくあきとピロも参戦することになり、実質5人卓として始まったのだった。



 クトゥルフ神話TRPG 『同居人』
   シナリオ製作者:餐題奇劇 様 シナリオ販売サイト



 平穏な日常を過ごす探索者の下に、一件の依頼が入る。
 「誘拐された娘を助けてほしい。」
 そこから、すべてが崩れ始めるのだった。
 【_____植えつけ、宿し、孕め。狂気を______】




トモ天丼(以降、KP、または草摩)/それでは、見学者2名をお迎えしての『CoC』オンラインセッション『劇場版 同居人』を始めます……だんだんKPするの、不安になってきた……泣きそう……。
サブKP・きりあき/不安になりますよね、わかる……。
KP/オンセをする人、尊敬します。今日までずっと準備していたから褒めて(笑)
サブKP・きりあき/凄い! 偉い!
サブKP・ピロ/KP用にご相談&ネタバレトーク用DMグループを作ったから、そっちでアドバイスしますよ!
プレイヤー1・マーサー/皆さん、団結した相談をしてらっしゃる……(笑) セッションが終わったらそのネタバレトークを読みたいなあ! KPも『21's Gun』ができたんだから緊張しないでやろうね。
KP/めっちゃ緊張してる。
プレイヤー5・イガ/今日は酒を飲んでセッションするなよ?
プレイヤー1・マーサー/いつも酒を飲んでセッションしてるけど、KPの今日はお酒を飲まずに正気でやろうな(笑)
KP/今日は酒を飲んでないです。まだ何も開けてないです。指が震えてるぐらい緊張してるので、先にプレイヤーだけで事前オープニングシーンをやってもらえませんか?
プレイヤー1・マーサー/以前、相談していたシーンだね? いいよー。……お願いだから指の震えを止めて頑張って(笑)


 ●新宿 某歓楽街・某ビル・某店

 どこにでもあるような路地の小さな店。
 普段なら「OPEN」の看板を出しているバーの前には、「貸し切り」という小さなボードが下げられている。
 客が来ない店の店主は、悠々自適に客側の椅子に座って寛ぐ。
 テーブルには自分が飲むための酒瓶とシェイカー。無造作に置かれたグラス。スマートフォンを眺めながら、今夜ただひとりの来客を待っていた。
 ――高校時代の後輩、花園 実散を。


プレイヤー1・マーサー→実散/お邪魔しまーす。お久しぶりです、ユリちゃんセンパイ。
プレイヤー5・イガ→百合人/いらっしゃいませ〜。ミチルちゃん、おひさ〜!

 剛力 百合人(プレイヤー名:イガ)
 職業タイプ:[ホスト]
  STR:17  CON:11  POW:12  DEX:14
  APP:12  SIZ:16  INT:13  EDU:13
  HP:14  MP:12  SAN:60
  アイデア:65  幸運:60  知識:65
  ダメージボーナス:+1D6  不定領域:46
 回避:83  キック:56  応急手当:60  聞き耳:80  精神分析:50  図書館:65  目星:80  言いくるめ:40  信用:11  値切り:35  経理:20  心理学:9
 職業:バーの店主  性別:男  年齢:34  身長:190cm  体重:85kg  出身:埼玉  髪色:染めたピンク  瞳色:黒
 持ち物→iPhone、財布、指輪やピアスなどアクセサリー、化粧品

▼剛力 百合人(ごうりき・ゆりと)の設定
 新宿n丁目でバーの店主をしている男性。
 長い髪で、化粧をし、スカートを履き、店では「一人称:アタシ」を使用する男性。
 花園 実散とは、高校時代に先輩と後輩の仲だった。
▼剛力 百合人(ごうりき・ゆりと)の秘匿ハンドアウト
 あなたは、から始まるこのハンドアウトは【  ネタバレのため、全カット  】。
 【   リプレイ『劇場版 同居人』エンディングシーンまで、ハンドアウト未公開とする  】


実散/お久しぶりです。どれぐらいぶりになりますかね?
百合人/偶数が出たら高校卒業以来、奇数は出たらミチルちゃんの就職祝いぶり。(ころころ)6。アタシの高校卒業以来ね! アタシに会いに来てくれるなんて嬉しい〜! だいぶ久々なのにミチルちゃんたら変わらないわねー!
実散/わりと会ってなかった……(笑) すみません、なんだか気を遣わせちゃって。お店を貸し切りにしてくれるなんて良かったんです?
百合人/いいのよアタシがミチルちゃんといっぱい話したかったんだから! 他のお客様を相手にしてたんじゃ久々のミチルちゃんを堪能できないでしょ? 何飲む? てかミチルちゃんってお酒得意な方なの?
実散/ありがとうございます。職場の飲み会はチーフの俺が幹事してますよ。とりあえずビール……ってバーでそれは無いか。ユリちゃんセンパイが薦めたいカクテル、お任せでいただけますか?
百合人/えー、どうしよっかなー。モスコミュールでいい?
実散/味がお店によって凄く変わるやつだ。せっかくだしユリちゃんセンパイの味をいただきますね〜。
百合人/ミチルちゃんは甘党っぽいから甘めにしちゃおっかな〜! アタシ達が付き合ってたの1年ポッキリだったから何もかも懐かしいわね〜。
実散/ポッキリって……。そっか、高校1年生と高校3年生なら一緒に学校を通えるのは1年だけか。
百合人/母校、今でも残ってるのかな……ビリヤード愛好会。
実散/愛好会ですからね。部活動に昇格してなきゃ無くなっちゃってそうですけど。ネットで母校検索してみて確かめてみます? 偶数が出たら今も母校で存続してる……(ころころ)6!
百合人/へー! まだ残ってるんだ、あんな飲みサー!
実散/飲みサーって……高校の部活でしょ。
百合人/実際アタシ、部室で飲んでたよ! 部室なんでもアリだったじゃん! 月1でビリヤード場に行くだけで、基本は毎日部室で好き勝手するサークルだったからねえ!
実散/俺、ポリスメンなんですけど……。
百合人/時効だよ時効!
実散/……居心地は悪くなかったですね。いま思えば良い思い出です。
百合人/というかさ、なんでミチルちゃんはあの愛好会にいたの? そんなにビリヤードが好きなキャラだったっけ?
実散/えー、それは……俺、子供の頃は病弱キャラだったんですよ。小中時代は自宅と病院を行き来する生活を送るぐらい体が弱くて。今だって季節の変わり目になると体調を崩して寝込むぐらいです。
百合人/マジで? 治ってないじゃん。
実散/小学生の頃は殆ど登校できてなかったし、学校行事なんて出られる訳なかった。だから高校生になれたら……何かしら部活動は入りたかった。でも運動部は無理だし規律の厳しい文化部も難しいから……何かしら人との繋がりが持てそうな、緩いサークルを探してたんですよ。
百合人/そっか。それがアタシらのサークルだったかー。
実散/それに……兄ちゃんと、ちょっと離れてみたかったのもあるし。
百合人/なに? 花園 草摩と喧嘩でもしていた時期なの?
実散/ユリちゃんセンパイもご存知の通り、兄ちゃん、俺の保護者だったから。幾分か健常者に近づいて高校生活も送れるようになっても、病弱でずっと自宅のベッドに居た俺を知っているんですよ。そりゃあ、付きっきりになりたがるじゃないですか。
百合人/あはは、いい兄ちゃんだねえ〜。
実散/……いつまでも兄ちゃんに頼りっきりなのは、嫌だったんです。俺だってプライドありましたから。子供の頃からずっと兄ちゃんは弟の面倒を見ることで自分のアイデンティティを保っているようだったけど……それは思春期の俺には、つらいことでした。
百合人/ふーん……。
実散/だから……別に喧嘩してた訳じゃないけど、些細な反抗として極小サークルに身を置きたかったんですよ。
百合人/極小サークル! 言うねえ!(笑) 花園 草摩から離れたくなる。わかるわかる。あいつ学年違うのに高校で超目立ってたもん。あんなの四六時中いっしょにいたらミチルちゃんの気が滅入るのわかる。
実散/目立ってましたか……。
百合人/別に「格好が派手」とか「事件を起こす」とかじゃなくて、あいつ恐ろしく目立つんだよな。
実散/良かった、俺が知らないだけで兄ちゃんは事件を起こしてたかと思った……(笑)
百合人/事件の1つや2つや3つや4つ起こしていてもおかしくないキャラだったけど。高校1年にして全校バレンタインチョコ獲得ランキングトップ3に躍り出たときは、さすがに3年界隈でも大騒ぎだったわよ?
実散/なにその平和なランキング(笑) 確かに兄ちゃんはめっちゃ女子からモテてた気がしましたけど……勉強は無駄にできたし、かけっこ1位だし、コネクション関東平野並みに広かったし。
百合人/クラス外の女子からモテるけど、奇想奇天烈を知ってるクラス内の女子からは「花園兄はナイワー」って言われるやつじゃない? ……ミチルちゃん、本当に兄ちゃんのコト好きね〜。
実散/……そう、見えますか。
百合人/見える見えるー。めっちゃくちゃ楽しそうに話すじゃん〜! ……さてと、お酒も入ってテンション上がってきたなら、ミチルちゃんのご相談ゴトなんでも聞きましょうかね?
実散/…………。
百合人/ミチルちゃん、何も無しにアタシのトコに遊びにくる訳ないでしょ? ミチルちゃんのために貸し切りにしたんだから、今夜は好きに話しちゃいなよ〜!
実散/…………。現在……お付き合いしている人が、その、おりまして。
百合人/マジで? ……おめでとー! どんな子? カノジョの写真ある? 見せてー!
実散/男性との性生活についてご相談したいです。
百合人/……あ? はい?
実散/その……本当に、恥ずかしい話なんですが。ご相談できる相手、他に、いないんですよ……。俺、数ヶ月前まで、女の子が好きで女の子としか付き合ったことないんで……。
百合人/……それで、こういう街で、こういう仕事してるアタシを頼ってきたと?
実散/相談料は払います……言い値で助けてください。
百合人/そっか〜。とりあえず、おめでとう! アタシのカワイイ後輩が真剣交際を始めたとかそんなの嬉しいに決まってるわよ!
実散/センパイ、いい人……。
百合人/でも、よくあの花園草摩が交際許してくれたねー! 女の子でも兄ちゃんチェックがいちいち入りそうなのに! それともなに? まだ兄ちゃんにはナイショにしてるの〜?
実散/……兄ちゃんです……。
百合人/あ?
実散/俺の相手……兄ちゃんです。兄ちゃんに性的に弄ばれています……そもそも始まりは兄ちゃんにレイプされたのが発端で!
百合人/…………。このご時世、色んな価値観を認め合うもんだけどさ。さすがに近親相姦のホモの強姦はヤバない?
実散/俺もそう思います!(一同笑) ……あの、ユリちゃんセンパイ、やっぱ引きましたか?
百合人/…………。ミチルちゃん、アタシ達ってさ。偶数でしてる、奇数でしてない。(ころころ)5、奇数。……別れ話、してたっけ?
実散/……え?
百合人/ていうか元カレのアタシに相談を持ち掛けてくるとか、ミチルちゃん怖いもの無し〜?
実散/え!?
百合人/あのとき童貞卒業させてくれてありがとな〜! あの頃のアタシ達、よく防音性皆無の部室でよくヤろうと思ったよね〜!
実散/えええ!? 実散と百合人ってそういう関係でいくのぉ!? 別にいいけど!(笑)
百合人/あの後、部室でデキるってことが判って女子達と何回かヤってた!
実散/センパイ、野獣ですか?
百合人/野獣先輩とか言うな!(笑) あのときのミチルちゃんのおかげでアタシ、歌舞伎町デビューしよーって思ったんだからね。いわばミチルちゃんがいたから今のアタシがあるってワケ! ミチルちゃんはアタシの人生を変えた運命のヒトなのよ!
実散/……俺の四畳半より狭い青春コネクションの中でこの手の性癖に理解がある人は、センパイ以外に思いつきません。だから相談に乗ってくれると……。
KP/「ごめんくださーい」
百合人/あ、誰か来た。KP、自我を取り戻した?
草摩/草摩が乱入する。
実散/兄ちゃんが来た!?(笑)
百合人/いらっしゃいませー。すみませんが本日貸し切りなんですー。看板に貸し切りって書いてありましたけど日本語読めない人ですかー?
草摩/ゴリ先輩、お久しぶりです。相変わらずの肩幅で森の守護者みたいですね。
百合人/あはは、ダメージボーナス+1D6を味合わせてやろうか?
実散/に、兄ちゃん……来ちゃったの? 確かに俺「今日は高校時代の知り合いに会ってくるね!」って言ったけど……なんでここ特定してきたの?
草摩/アイデアと幸運と図書館とナビゲートで全部クリったら店まで来られた(一同笑) ゴリ先輩、これ土産です。
百合人/あらありがと。一応気が利くのね?
草摩/ティファールのフライパンです。
実散/なんで!?(笑)
百合人/手土産にするには重くない!?(笑) 物理的に! あと値段的にも!? そこは普通にお菓子とか茶葉とか酒とかあるでしょ!? いや飲食店に飲食持ち込むなだけど! カチコミか!?
草摩/ゴリ先輩とこうして出会うのはゴリ卒業式以来ですね。
百合人/ゴリ卒業式とかいう新単語を作るな。
草摩/俺が卒業式の音響機器を乗っ取って校長の話REMIXにしちゃったことでありがたい話を聞けなくしてごめんなさい。
実散/なんで校長先生をパーリナイしたの?
百合人/なんで校長先生に公務執行妨害した?
草摩/今の俺ならしっかり録音して後日頒布しますね。子供だったので甘かったです。あれ、ゴリ先輩の卒業式ってスーパー忍者大戦と重なってた日でしたっけ?
百合人/スーパー忍者大戦って何よ。知らんよ。
草摩/……一般人には言ってはいけない話だった。忘れてくれ。
百合人/ねえミチルちゃん、こいつ<精神分析>するべき? 不審者としておまわりさんを呼んでいい?
実散/残念ながらこの人がおまわりさんなんですよ、残念ながら……(笑)
草摩/ゴリ先輩。俺、みちると話したいんでトイレでも行ってくれませんか。
百合人/斬新な「席外してくれませんか」だな!? アタシが店主なんですけど!?(笑)
草摩/ゴリ先輩ってトイレ行かないんですか? もしや人類ではない? 保健所に通報します? 俺が捕獲して学会に発表しますよ。ユリトユリトユリトって学名を付けます。
百合人/喧嘩がうまいな花園草摩ァ!
実散/兄ちゃん! 高校時代のセンパイに失礼なことしないの! そもそも社会人として他人に危害を加えないの! あと全然『同居人』始まらないよ!?(一同爆笑)
草摩/人間は殺さないぞ。天鴻と格と約束したからな。俺は今日も人間を殺してない。
実散/えらいね兄ちゃん今日も殺してなくてえらいね! 次は相手を怒らせない会話を覚えようね!?(笑)
草摩/醒ヶ井さんも最近「今日も殺さなかったんですね、えらいですよ!」って言ってくれるから自己肯定感が高まる。
実散/醒ヶ井さんいつもありがとうございます!(笑)
草摩/醒ヶ井さんはいいぞ。俺が作った料理を一瞬固まった後に笑顔で食べてくれる。小さくてかわいい。あとめっちゃ良い香りしそうな立ち絵してる。
百合人/一瞬引いてるじゃねーか!(笑)
実散/いつも醒ヶ井さん兄ちゃんをありがとうございます! 毎月のように振り込みたい!(笑) たかひろくんといたるくんに嫌われる前に兄ちゃんは衝撃的な発言のペースを落とそうか! じゃないとマジでいたるくんが転属届を出されるからね!? いたるくんの中の人が「零課やめようかな」って言ってたよ!
草摩/それは悲しい。俺、格のこと、好きなのに。ずっと一緒にいたいのに。天鴻にも嫌われたくない。理解してほしい。
実散/兄ちゃんが頑張ってるの知ってるからね〜(笑) 俺は認めるからねもうちょっと頑張ろうね〜。
草摩/みちる、好きだ。キスしていいか。
実散/そういうのはお家に帰ってからって約束したよね!?
百合人/家に帰ってからならいいんだ……(笑)
草摩/みちる、かわいい。2人きりになりたいから一緒にトイレ行こう。店主、ここで俳句でも詠んでいてくれ。
百合人/待ってるのはいいけど俳句オーダーはヤだよ!? せめて酒注文して!
草摩/みちる。
実散/ぜーはー。なーに……?
草摩/俺は心配だ。みちるが。抱きつく。
実散/うー……あのさ、そういうのはお家に帰ってからって毎日言ってるよぉ〜。
草摩/俺はずっとみちるのことが好きだ。ベッドの上で苦しんでいた姿も好きだ。俺の見舞いの花を貰って笑ってくれた顔も好きだ。高校も、大学も、零課に来た今も、ずっとお揃いで好きだ。
実散/はいはい……。もしかしてだけど、兄ちゃんはジェラシーか何かで追いかけてきたの?
草摩/……相模原は、良い女だった。俺も居心地が良かった。最高の仲間だった。
実散/兄ちゃん。……それ以上は言わないでほしいな。俺、感情が昂るから。涼ちゃんのことを話されると、正気でいられなくなる。
百合人/涼ちゃんって……『庭師』で亡くなった元カノ、だよね?
草摩/俺は『庭師』を追いかけている中で……みちるが相模原と付き合っていたと言われたとき、正常な判断ができないぐらいパニックに陥った。正直に言えば、悔しかったんだ。悲しかったんだ。
実散/…………。
草摩/相模原は本当に良い女だった。強くて、咄嗟に俺を庇うだけの勇気もあって。……みちるが惚れるのも判る。判るけど! 判るけど、俺は……!
実散/兄ちゃん、落ち着いて。深呼吸しよ。……今も、怖くなっちゃった?
草摩/…………。俺のこと、嫌いになったか?
実散/兄ちゃんを嫌うなら32年前にやってるよ。抱き締め返しながら言います。ねえ、兄ちゃん。俺は……醒ヶ井さんのこと、嫌いだと思う?
草摩/醒ヶ井さんは凄く良い先輩だ。みちるも会ったら絶対好きになると思う。優しいし、頭良いし、めっちゃ良い香りしそうな立ち絵だし。
実散/判るよ、きりあきさんのキャラは良い匂いしそう。……兄ちゃんが絶賛する零課の憧れの女性。俺とユリちゃんセンパイは、そういう仲。それと同じだと思ってほしいな。
草摩/…………。ごめん、みちる。また俺、突っ走った。……また天鴻達に怒られる。
実散/怒るかどうかは本人に訊いてみないとね?
草摩/みちる。キスしたい。みちるを食べたい。
実散/家に帰ってからって言ってるだろ〜。
草摩/みちるが好きだから、全部、食べたい。お前がかわいい。味わいたい。一つになりたい。全部食べてしまいたい。……食べちゃダメか?
実散/だーかーら、そういうエッチなことはマンションに帰ってから!
百合人/あのさー。小さな店だから全部聞こえるんですけどー? ……アタシの話、していい?
草摩/いいよ。
百合人/アタシ、NTR好きなの。
実散/……え?
百合人/じゃ、ミチルちゃん何から話そうか! お酒追加する?
実散/……あの、なんすか、さっきの不穏な一言は。
草摩/みちるはあげませんよ。
百合人/いいよ、くれなくて。勝手に貰うだけだから。……兄ちゃん、知ってる? ミチルちゃんの、初めてを奪われたときの顔。
実散/は?
百合人/知らないよね、身内には見せない顔ってもんがあること知ってる?
実散/う……ちょっと、あの、後々に響くような会話はヤメて!(笑)
草摩/俺は勝ちますよ。何故なら……。
百合人/何故なら?
草摩/シーンを終わらせます!
実散/強制終了!(一同爆笑) オープニング長くね!? 長すぎてごめんねー!(笑)

 鼓膜をつんざく音がした。
 それは一切の躊躇が感じられない、空を切り裂く様な高い音。


実散/ほわ?

 焦げ付いたゴムが路上に真っ黒な線を引いて、誰ぞやの肢体が空中に舞い上がった。
 どさり、ずざざざ、地面に柔らかな肉が落ち、酷い布すれの音がする。
 一体、何が起こったのだろう。瞬く間の出来事を、その場に居た誰もが理解を拒んだかのようで、世界が静止した気がした。
 永遠に思えた静寂の後、皆の意識を引き戻したのはそこに広がった真っ赤な色彩と醜悪に匂い立った鉄臭さ。
 「おい、大変だ、人が、目の前で人が轢かれた! 誰か、誰か救急車を!」
 叫びが、怒号が、悲鳴が、この空間を満たしたのだった。


百合人/いきなりシーンが血生臭くなった……?

 『美味しい、楽しい、甘美な食事の時間が始まろうとしている。
 生皮を剥ごう。柔らかな乳房を吸い、艶めかしい黒髪をはぎ取ってしまおう。震えるままに肉を躍らせ、細部に至るまで犯しつそう。さぁ、宴の時間だ』



 ●マンション

KP/朝、実散は起きる。マンションの自室、ベッドの上に実散はいた。
実散/朝か……うー……起きなきゃ。
KP/現在、実散は長く有給を取って長期の休みを貰っている。今まで休みなしで働き続けたからだ。零課の者達も「まとまった休みを取ってしまえ」と賛成してくれたため、望むならさらに3〜4週間ほど休暇を取ることも可能だ。
実散/起きよう……あ、でも出勤しなくていいんだった……うー。
KP/兄が朝ご飯を作っているようで、朝食の良い香りが漂ってくる。リビングからはニュースの音がする。兄がつけたテレビの音だろう。しっかりと聞きたいなら<目星>か<聞き耳>をどうぞ。
実散/<目星>します。(ころころ)80のところ、80ぴったりで成功。俺、寝起きが悪いの?(笑)

 ▼「女性連続生皮剥がし死体遺棄事件」
 非常に猟奇的な内容で、全身の表皮を剥がされた女性の遺体が発泡スチロール、段ボール、一斗缶などに詰められた上、遺棄されているという。
 加えて遺棄現場周辺には血液がばら撒かれた様子があり、遺体一部が必ず欠けている。
 今まで発見された遺体は4件。犯行は8月から一ヶ月おき、十日毎に起こっている。
 全て10代、20代のうら若い女性である。被害者女性が誘拐されるその瞬間また死体遺棄をするその場、不審者の目撃情報さえ無く、非常に隠密で巧妙である。
 よって犯人の身元は特定できず捜査は難航している。

実散/……うえー。酷い事件だなー。
KP/気味の悪い事件が起きているようだ。現場は実散が住んでいる場所の隣町だ。
実散/判りやすく嫌な事件が起きてるねー。ニュース、違うのに変えたいな。起きよ……お休みの日ぐらい、どうでもいい番組が見たいし。
KP/景色が、いや、視界が反転した。
実散/おわ?

 その豊かな彩りにあったはずの眼前は、コールタールをぶちまけたかの様に常闇に変化した。
 配置された家具の輪郭線が、浮き立つように七色に発光して見えた。
 刻々と時計の針が回り、カチコチと時を鳴らす。おもむろに意識が昏迷し、さながら直接脳髄を揺らされるような感覚。それはある種酔いに近かった。
 やがて酔いは治まり、漠然と意識だけがどこかへ遠のいていった。
 しかし、それもほんの束の間。ぽーっとした「自身」は自分自身という型へと嵌っていった。


KP/実散は、自分を取り戻す。
実散/なに、今の、感覚……? 伸びをして、周囲を見渡します。何も無い……かな。気のせい?
KP/隣に百合人がいる。
百合人/ミチルちゃん! おはようのキスいる?
実散/え!? ……おはようございます?
百合人/あれ? てっきり「なんでセンパイがここにいるんですかー!?」って真っ赤で慌てると思ったのに!
実散/……俺、センパイをお持ち帰りしましたか。そういう現場ですか?
百合人/真っ先にそっち思いつく? ノリノリだね〜! 朝チュン現場にしてあげてもいいけど? てかミチルちゃんずっと休みなんだよね、朝からヤリたい放題じゃん!
実散/なんでセンパイがここにいるんですか?
草摩/おはよう、実散。
実散/おはよう兄ちゃん……兄ちゃんが暴れていないってことは、ユリちゃんセンパイを招いて大丈夫なシチュエーションってことだよね。
草摩/みちる。ゴリ先輩がいる理由は……話せば長くなる。俺がゴリ先輩の店を爆破したのでしばらくここに住むことになった。
実散/は?
百合人/は?
サブKP・ピロ/は?
サブKP・きりあき/は?
実散/思わず全員で聞き返しちゃったけど、は?
草摩/知っての通り、俺は料理が得意だ。今もみちるのために朝ご飯を作っている。
実散/うん……?
草摩/それを自慢したくてゴリ先輩の店でゴリ先輩に爆弾おにぎりを作ることにした。爆弾の部分を作成する判定にクリティカルが出て爆発した。
百合人/何してくれてんのオレの店に!?(一同爆笑)
サブKP・ピロ/プラスチック爆弾でも仕込んだの!?(笑)
サブKP・きりあき/それ、クリティカルではなくファンブルなのでは!?(笑)
草摩/その処理を天鴻に押し付け、事なきを得た。
実散/たかひろくんに何させてんの!?!(笑)
草摩/と思ったが、天鴻は格を呼び「草摩さんに仕事をいっぱいしてもらう刑」を執行した。結果、今日から俺は残業三昧の職務に襲われることになった。
実散/格くんに粛清されてる!(笑)
百合人/当然の仕打ちだよ!(笑) オレの店爆破とか何してくれてんの!?
草摩/いいんだ、俺は頑張れる。醒ヶ井さんも「いっぱいお仕事する花園さんは偉いですよ!」って褒めてくれた。
実散/兄ちゃんの中の醒ヶ井さんって甘すぎじゃない!?(笑)
草摩/醒ヶ井さんはいいぞ。俺が作ったトマトひき肉ズッキーニカレーをいつも困った顔で食べてくれている。
実散/よそ様のPCをいつも困り顔させてるんじゃないよ!?(一同笑)
草摩/という訳で、俺は仕事を頑張る。みちるは長期休暇だが、俺は身を粉にして働いてくる。ところでみちる、休みの間に俺からの頼まれ事をこなしてくれないか。
実散/頼まれ事?
百合人/何よ、いきなり。
草摩/俺は警察署に出勤しなきゃいけない。俺の爆弾おにぎりが新宿を爆破をしたので超残業コースなんだ。俺が天才なばっかりにすまないな……。
百合人/ミチルちゃん、このサイコパスなんとかできないの? 逮捕とかできないの?
草摩/天才罪で逮捕するハメになる天鴻達が可哀想だと思わないのか?
実散/零課から前科者が出る羽目になるいたるくん達が可哀想だと思おうよ!(笑)
草摩/誘拐された知り合いを助けてやってほしい。
実散/……はあ?
百合人/……凄いこと言うねえ。
草摩/昨日。交通事故があった。知り合いは車に轢かれ、その娘が車に乗せられ誘拐されたんだ。知り合いの名前は鬼嶋 礼二、娘の名前は鬼嶋 凛という。
百合人/鬼っぽい名前だ……。
KP/ここで名前が出てくるだけのキャラだから忘れてもいいよ。
百合人/カッコイイ名前だからてっきりラスボスだと思ったのに!(笑)
KP/そうだ、その前に……花園家のことを1から話そう。花園 実散と花園 草摩の両親は、2人が23歳のときに死んだ。社会人になって独り立ちするってときに事故死したという設定だ。
実散/…………。そうだったね。
KP/子供の頃の実散は病弱で、自宅と病院を行き来する生活を送っていた。その後、揃いの高校に進学し、警察学校にも通っている。ちなみに以前読ませてもらった花園双子の小説には「2階建ての庭付き一軒家」に住む花園双子が描かれていた。ここから導き出される設定は、「花園家の実家は太い」。
百合人/確かに!
実散/子供が2人もいて、病気の子を病院に通わさせられて、ストレートに大学進学させている庭付き一戸建て持ちの家。金持ちだね!?
KP/しかも『庭師』セッション内で「親から貰ったオカルト本」が登場する。このことから「魔導書があってもおかしくない、書庫がある家」だと判る。
実散/そうだね!? わりと俺達の実家、凄い家だった!?
KP/両親が事故死した。その両親はご丁寧に保険に入っていてくれていた。だから兄弟は困窮することなく今の生活ができている。
実散/……感謝しなきゃだ。
草摩/俺達はでかい実家を離れることにした。しばらくは人を頼って俺達兄弟一緒に暮らしていたけど、『庭師』のKPに「3年以上別居してください」と言われたので別居することになった。
実散/それが双子PCにすることの第一条件だったからね!(笑)
草摩/……そんな訳で、実家は売りに出された。それでも俺にとっては20年以上過ごした我が家だった。
百合人/そうだね。
草摩/あの庭は俺の遊び場だった。毎年ひまわりや朝顔も育てたし、花壇の世話も毎日やっていた。2階のベッドで寝てるしかできなかったみちるに綺麗なものを見せてあげたくて、毎日庭を……。
実散/……うん。
百合人/そういうとこ、兄ちゃん良い奴だよなあ……。
実散/俺が寝ているベッドに花をブチまけるのは勘弁してほしかったけどね。
草摩/寝ているみちるのベッドを花畑にするのが俺の趣味だったんだ。……話を戻そう。俺はあの実家が恋しくなって、久しぶりに実家に行ってみたんだ。あそこには違う家族が住んでいた。
実散/……へえ。
草摩/鬼嶋 礼二さんという精神科医の家になっていた。外科医と精神科医をしている人だった。
実散/お医者さんが中古のお家を買ったんだね。
百合人/あのさ……外科医と精神科医って凄くね? 真逆だろ? どっちも資格を取るのって確か凄い大変なんじゃ?
実散/そうなの?
KP/草摩も<医学>と<応急手当>と<精神分析>を持ってるけど凄い?
百合人/超スゴイ!
草摩/……俺が育てていた花壇は綺麗なままだった。娘の凛が引き継いでいてくれた。庭の花を見ていたら、礼二さんから声を掛けてきてくれて。事情を話したら、凄く良くしてくれた。
実散/兄ちゃんのコミュ力、凄い。
草摩/礼二さんは庭で家庭菜園をして、トマトやインゲンを栽培してた。料理、ご馳走になった。何回も。そこからずっと知り合いだった。
百合人/凄い良い人だ。思い出の庭がそのまま良い人に使われていて良かったね。
草摩/凛とも友人になれた。毎年チョコを貰ってる。礼二さんの年は俺達より少し上だから、兄のような父親のような……そういう知り合いになれた。かじっただけの俺とは違ってプロの精神科医だし、俺の理解者にもなってくれたんだ。
百合人/兄ちゃんの理解者か……。
草摩/そんな礼二さんが昨夜、車に轢かれた。
実散/…………。
草摩/事故は酷いものだったらしい。彼は救急車に運ばれる中、俺に電話してきた。重症でも、俺に伝えたいことがあるからって。俺は偶然にもそのときちょうど休憩中だったから、すぐ電話を出ることができた。
百合人/ラッキーだった……。
草摩/地面に伏した礼二さんは、「お父さん、お父さん!」と悲痛な声を上げながら乱暴に車に押し込まれていく凛を、ただただ見てるしかなかったという。『お願いします。どうか娘を助けてください。私の大切な……育て上げた娘を』 そう電話で必死に訴えてきた。
実散/……う。
草摩/俺は今すぐにでも礼二さんの頼みの、凛救出に向かいたい。でも、仕事はする。言われたから。天鴻達にこれ以上嫌われたくない。やれって言われたことはやる。
実散/……兄ちゃん。
草摩/でも礼二さんの願いを聞いてやりたい。凛を助けに行ってやりたい。
実散/兄ちゃん。分かった。俺が探してみるよ。
草摩/……みちる、ありがとう。俺も自分が抱えている仕事が終わり次第そっちに行く。
百合人/2人とも真面目だな。
実散/助けない訳にはいかないよ、これ。
KP/ぶっちゃけ言うと、草摩の仕事は特にセッションとしては意味がありません。PCの行動の邪魔をしないため 理由をつけて出番を排除してるだけです。例えば……犯人が見つかって逮捕するときに出番を与えてくれると嬉しいです。
実散/なるほど、あくまでフレーバー。
百合人/ねえ、礼二さんには会えないの? どこの病院に入院してるとか……。
KP/重症で今は面会できる状況じゃない。ちなみにセッション内で出番は無い。
実散/そっか。事故現場はどこ? 俺が見てくるよ。

(1)川 (2)田畑   (3)道路 (4)田畑
(5)事件現場 (6)田畑 (7)平たい山 (8)狭い道路
(9)住宅地 (10)駅 (11)警察署 (12)森

KP/礼二さんが轢かれた事故現場は(5)のT字路だ。<アイデア>を振ってください。
実散/(ころころ)17で成功。
百合人/(ころころ)52で成功。どっちも成功したよ〜。

 <アイデア>→実散、百合人が成功。
 隣町と言えば、例のおぞましい事件の起きている場所であると気付く。もしかしたらそれが関わっているのかもしれない。
 早急に解決をしないと……凛が巻き込まれているかもしれない。そう思った。

百合人/凛ちゃんって何歳?
草摩/今年で12歳だ。俺と仲良しな女の子で……凄く心配だ。
実散/兄ちゃんに懐いてそうだね。……俺が出来る限りのことをやってみるよ。凛ちゃんを探せなくても、手掛かりぐらいは警察に持っていく。
百合人/ねえ。「オレ達が出来る限りのことをやってみるよ」に訂正してくれる?
実散/……え? ユリちゃんセンパイも、手伝ってくれるんですか?
百合人/行かない理由ある? ここで暫く同居するのに家で寝てろって?
実散/センパイがいてくれると助かります。俺が気づかないとこ、いくらでも指摘してくださいね。
百合人/まかせろ〜。現職刑事には敵わないと思うけど!(笑)
草摩/…………。じゃあ、俺は出勤してくる。
実散/……どうしたの、兄ちゃん?
草摩/行ってらっしゃいのキスは?
実散/しないよ。
草摩/なんで?
実散/ユリちゃんセンパイがいるからで〜す。
草摩/ゴリ先輩消えて。
百合人/直球に酷いな!?(一同笑)
草摩/ゴリ先輩を消しました。
実散/消されたの!?(笑) キスしないよ! そういうのはミッションクリアーしてからするって約束したよ!
草摩/家でもみちるとできないとか、拷問か? あ、あとみちるの好きな苺のチーズプリンタルトを朝のうちに作って冷蔵庫に冷やしておいたので食べていい。それと冷凍庫に夕飯もあるからレンジであっためて食べ……。
百合人/お母さんかよ!?(笑)
実散/いつもありがとね! お仕事行ってらっしゃい!(笑)
KP/草摩は泣きながら出勤しました。
実散/……行ったねー。
百合人/これで2人きりになったね、ミチルちゃん!
実散/さーて、探索開始ですよー!
百合人/ミチルちゃんつれなーい!
KP/ここで<目星>をお願いします。
実散/(ころころ)43、成功。
百合人/(ころころ)72、成功。

 <目星>→実散、百合人が成功。
 机と地面の隙間に、くしゃくしゃになった一枚の紙が挟まっているのを見つける。
 その紙に書かれている内容を読もうとするだろう。
 しかしながら、読み取ることはできない。一体どういう事だろう、と困惑が脳を支配するに違いない。確かに黒い文字の羅列が並んでいる。

実散/んん?
百合人/……なに?

 書かれている文字の上にまるで靄がかかっていて、ノイズが走っているかの様。さながら脳がその文章を認識する事を拒んでいるかのように思える。
 当然である事が当然のように出来ないというのはあまりにも不可思議であり、貴方は恐怖するかもしれない。SANC(0/1)。

実散/SANチェック。(ころころ)63、成功。
百合人/(ころころ)86、失敗!

 【現在SAN値】
 百合人:60→59(1点減少)


実散/……なにこれ?
百合人/なにこれ? 判らん。兄ちゃんのもの?
KP/誰のものか判りません。でもとりあえず、この家にあった紙です。
実散/……これ、持ち歩くべき?
百合人/判んない。燃やしておく?
実散/大事なものだったら嫌だな……どうにかして読むとかもできない?
KP/現状はできませんね。探索は12月7日から開始されます。1日に出来る行動は、午前と午後の2回まで。相談どうぞ。
百合人/紙は現状放置しかないのかな……?
実散/センパイ、どっか行きたいところある?
百合人/今の状態だと、事故現場に行くしかない気がする。2手に分かれる?
実散/2人プレイだから、どうだろ。失敗したら情報を貰えないの怖い。失敗率を高めるよりは確実に成功させたい。ひとまず情報源である事故現場に2人して行こうか。
百合人/まずは1日目午前、事故現場の(5)に向かうか。


 ●犯行現場

 現場は閑静な住宅街である。洋風な建物が基調とされ、その建物一つ一つが屋敷のように大きく感じる。
 まるで欧米諸国を思わせる光景だが、恐らくここら一帯は高級住宅街。上流階級が住むに値する地域なのだろう。
 だが、違和感を覚えるのはそこには立ち入り禁止と促された、黄色いテープが赤いコーンを支柱に貼られているからだろうか。
 どうやらその囲まれているT字路が現場のようであった。テープの淵には昨日の今日という事もあって、多くの野次馬が現場内を覗いている。
 恐らく連中は近隣住民だろう。現場内は幾つかパトカーが駐車されており、今まさしく現場検証が始まろうとしている所だろう。


百合人/とりあえず<目星>してみていいですか。(ころころ)49、成功。
実散/<目星>しよー!(ころころ)62、成功。

 <目星>→実散、百合人が成功。
 探索者がバリケードテープの淵にまで進んでいくと、中から一人の警察官が貴方達の侵入を差し止める様にやって来る。
 「ダメダメ! 検証中なんだから一般人がこれ以上入ってきたら駄目だよ!」
 彼は眼鏡をかけた誠実そうに思える警官だ。

実散/一般警官だ。実散の知り合いではないですか?
KP/知り合いじゃないです。でも交渉系技能で好意的に接してもらうことはできる。
百合人/ミチルちゃんって刑事なんでしょ? 刑事手帳を見せてババッと中に入っていくこととかできないの?
実散/持ち歩いてはいるけど、思いっきりプライベートだからなあ……。
KP/零課って有名なのかな、名乗ったら判るもんなのか。せっかくだしKPが<幸運>ロールしてみよう。(ころころ)19……おっ。実散が名乗ったら知ってそう。
実散/マジで? 世間狭いな(笑) どうも〜、花園班の花園 実散です〜!
KP/「ん……? 今、花園って言ったかい……?」
実散/はい、花園 実散ですけど。
KP/彼は考えて、「いや、何でもない」と言った。終わり。
実散/……なーに? それ何でもないって顔? 言いたいことがあるなら言ってごらんよ〜!
KP/「うーん……すみません、変な意味ではないんです」
実散/現場、ちょっと見ていい? もちろん気付いたことがあればそちらのお教えするから! キミ、お名前なんだっけ? 見たことある顔だよね〜!
KP/「堂島です」
実散/堂島くん。見ていいかな? って言って見るよ。
KP/「へ、変に荒らさないでくださいね、花園さん……!」と言いながら堂島は許してくれます。
実散/許してくれるんだー。堂島くんに<心理学>を振ることはできますか?
KP/いいですよ。<心理学>オープンでみちるが振ってくれていいです。
実散/喜んで自力で振ります。(ころころ)23、成功。

 <心理学>→実散が成功。
 堂島は、かけている眼鏡を親指と中指でくいっと上げなおして視線をそらした。
 一瞬眼鏡の隙間から彼の眼が垣間見え、中央の黒目は貴方達を捉え直した。
 その視線に種々の感情が宿っているのがわかる。それらは、負の感情といっていい。猜疑心、不信感、驚愕、落胆、そして、憐憫。これらを内包し、貴方達という人間を推し量っているかのように思えた。

百合人/負の感情……?
KP/現場内の情報があるのは……調べられそうな場所は「電信柱」、「アスファルト」、「血痕の残された場所」だ。
百合人/ミチルちゃんが顔色を見てる間、オレは電信柱を調べてもいい?

 ▼電信柱
 T字路の曲がり角にそびえている電信柱。
 付近の地面をよく観察してみると、急激なカーブの熱により出来たタイヤ痕が残されているのに気づく。

KP/<追跡>、もしくは<ナビゲート>どうぞ
百合人/<追跡>で。(ころころ)45で失敗。
実散/えっと、俺もやってみていいですか?(ころころ)<追跡>……55で失敗。
KP/無理でした。でも知識の半分でふれます。<運転:自動車>、もしくは<知識1/2>でどうぞ。
実散/こっちなら! <知識>で!(ころころ)12で成功。
百合人/やったー! さすが刑事!

 <知識>→実散が成功。
 このタイヤに合致する車の機種は大型のバンであり、荷物を詰め込むのには充分なスペースが後方に確保されているだろう。

実散/ふむふむ。じゃあ次、アスファルト調べます。
KP/<目星>どうぞ。
実散/<目星>なら(ころころ)1でクリティカル! これなら刑事を名乗れる〜!(笑)
KP/クリティカルが出たらクリチケ、判定振り直し券1枚配布します。

 <目星>→実散が成功。
 何やら光を反射する鉄片のような物が転がっている。
 拾い上げてみれば、3センチ四方の小さな機械の破片の様に思える。表には銀色の塗装が施されていて、光を反射していたのは裏側の鉄の面だ。
 恐らくこれは、車のフロント部分の破片だろう。衝撃で軽く剥げ落ちたのかもしれない。

実散/これは……堂島くんに渡そう。これ、犯人の車のものかと思うよ。
KP/「あ、ありがとうございます!」 めっちゃ嬉しそうにします。
実散/クリチケもって上機嫌です、ふんふん。次は……「血痕の残された場所」を調べよう。

 ▼血痕の残された場所
 擦れたような血の跡が薄く広がっている。恐らく車に突き飛ばされた鬼嶋 礼二が地面を転げまわり、皮膚を傷つけてしまったのだろう。
 服の繊維が点在して、それなりの衝撃であった事がうかがい知れる。

KP/<目星>どうぞ。
実散/(ころころ)80で成功。
百合人/やるじゃん〜。(ころころ)54で成功。
実散/センパイもやる〜!

 <目星>→実散、百合人が成功。
 繊維に混じり、金色に照りかえる長い繊維を一本見つける。それは若干迂曲して、艶やかだ。探索者はこれが髪の毛だと察せるだろう。
 草摩が撮った写真で見せてもらえた凛も、この様に金髪でウェーブロングでは無かった。もしかすると犯人は特徴的な髪型かもしれない。

百合人/あらま。ミチルちゃん、これ髪の毛じゃない?
実散/髪の毛ですね。血痕の上なら犯人なのかな? DNA鑑定をしてもらおうかな。堂島くんに渡します。
KP/「凄い! ありがとうございます! 今調べ始めたばかりで助かるなあ!」
実散/かわいいかよ(笑) 堂島くん、しっかりしてね〜。じゃなきゃ俺らが全部調べ上げちゃうよ?
KP/「助かります!」
百合人/助かりますじゃないんだよな(笑)
実散/あのさ、堂島くん。ちょっとばかり助けたのでこっちも助けてほしいんだけどさ。
KP/「はい!」
実散/最近危ない連続殺人起きてるじゃん? なんでもいいからお話してくれることない? 俺、担当の捜査班じゃないから具体的に教えろって言えないんだよね。だから、堂島くんの優しさに頼るしかない。お願い〜!
KP/「住宅街の方に行けば犯行を見ている人もいるんじゃないですかね? 聞き込みとかあっちでしないとなあ」
実散/ふむふむ。
KP/「世間を騒がせている生皮剥がし事件もありますよね。女の子の被害者も多いし、関係あるんじゃないかって思う人も多いようで……」
実散/あれって、今回の引き逃げと関係あると思う?
KP/「僕は今回の誘拐事件に、何というか違和感を覚えてまして。なんていうんだろうな……」 頭を掻いて悩む様子を見せます。<アイデア>どうぞ。
実散/何か想うことがあるの?(ころころ)19、成功。
百合人/やるじゃん。(ころころ)55、成功。

 <アイデア>→実散、百合人が成功。
 今までに発生した4件の死体遺棄事件は女性が誘拐されるその瞬間も、死体を遺棄するというその瞬間でさえ一切の目撃情報が無いという事だ。
 だからこそ警察側の捜査が難航しているわけである。
 しかし、今回の誘拐事件は、白昼堂々明らかに人目につくような場所で行われている。
 仮に同一犯だとするのならば、これまでの計画性、隠匿性を全て投げ捨てるような行動であることに間違いはない。なぜだろうか。

KP/みちる達のプロファイル脳がそう言います。成功したら<心理学>または<精神分析>がロールできます。
実散/<心理学>!(ころころ)90で成功。ギリセ!

 <心理学>→実散が成功。
 今回の事件、わざわざ礼二を轢いて重症を負わせて、娘を堂々と誘拐している。
 今までの計画性を破棄する程に事件を起こしたなら、何らかの深い私怨が見え隠れしているのがわかる。

実散/プロファイラーっぽい仕事した! 兄ちゃんは今頃職場で検死官的な仕事をしていることでしょう……。
百合人/っていうか、なんで兄ちゃんに警察官になったの?
草摩/みちるが警察官になるって言ったから。
百合人/じゃあ、なんでミチルちゃんは警察官になったの?
実散/……昼間のテレビって、ニュースバラエティが終わると、だいたい刑事ドラマとか科捜研の女とかやってるじゃないですか。自室とか病室にこもりっきりだと、そういう番組しか見ないんですよ
百合人/ということは、ミチルちゃんてば刑事ドラマに憧れて刑事になったってやつ? ドラマで見ていた仕事がそのまま夢叶ったとか超頑張ったね!
実散/……ありがとうございます。良い仕事だと思いますよ。
KP/ここで出る情報は以上かな。では、堂島が……実散にゆっくりと近づく。
実散/はい? どうしたの、堂島くん?

 そうして両手を実散の肩に置き、まるで労うようにこう言葉を発する。
 「頑張れ」
 その後は何事もなかったかの様に、元の調子に戻り、「それじゃあ僕は署に証拠を送りに戻らないとだから」と足早にパトカーへと向かった。


KP/<目星>どうぞ。
実散/なに?(ころころ)46、成功。
百合人/なに?(ころころ)58、成功。

 <目星>→実散、百合人が成功。
 彼はパトカーの扉を開け、何か車内から書類のような物を取り出し読んでいるようだ。
 探索者はそれに見覚えがある。遠目からでも靄が掛かっている様に見えるそれは、あの読み取れない紙に非常に酷似していた。

実散/あれ……!?
百合人/あれ、何持ってるの?

 貴方達は、唐突に悪寒が背中を這いあがる様な気味の悪い感覚を覚える。
 正体はすぐさま理解できるだろう。誰の視線だ。ねっとりと貼りつくような陰険さを持ったそれは、貴方という人間を内側から覗き込もうとする下世話な物だった。
 方向は貴方の真後ろからだ。そして貴方の右側からだ。そして貴方の左側からだ。右斜め後ろから。左側斜め後ろから。

実散/なん……なに……?

 隙間が無いかの様に、ふさぐかのようにびっしりと多くの視線だった。
 背後にいるのはいったい誰だろう? それは野次馬達の視線である。
 数十名を優に超える人々の眼球が、先程の気色悪さを伴いながら一斉に貴方達に向いていたのだ。SANC(1/1d3)。

実散/(ころころ)クリティカル!
KP/クリチケあげる。それとみちるはSAN値を減らさなくていいや。
百合人/(ころころ)こっちも成功……。成功したけど減った〜。

 【現在SAN値】
 百合人:59→58(1点減少)


実散/で。……何?
百合人/うん。なにこれ?
実散/……<心理学>、できます?
KP/視線から読み取れる感情は、前述した堂島の心理学結果の後半とほぼ同じである。PCが野次馬に話しかけに行くのなら、彼らは蜘蛛の子を散らすように去っていく。その間にも堂島はパトカーで去ってしまったようだ。
実散/いなくなっちゃった!
百合人/なーにー? 何かオレ達に御用ー?
KP/彼らは蜘蛛の子を散らすように去っていく。
実散/ただの野次馬? ほんとに?
KP/普通の一般人でただの野次馬に見えます。それ以上のことは調べることはできません。
実散/……きっとユリちゃんセンパイが格好良すぎてみんな見入っちゃったとかですかね?
百合人/そうかも。もしくはミチルちゃんが可愛すぎてみんな凝視していたのかもね!
草摩/みちるはかわいい。そう古事記にも書いてある。
実散/いつの間にか俺のかわいさは歴史に刻まれていたか。
草摩/古事記! もっと自信を持てよ!
実散/古事記にキレないで!?(一同爆笑) ……聞き込みするなら住宅地かな?
百合人/近いのは住宅地だな。このまま歩いてこうよ、かわいいミチルちゃん。ていうかミチルちゃんって服装オシャレだよね〜!
実散/もうっ、いきなりなんですか……。どう見てもヴィジュアル系なユリちゃんセンパイには敵わないと思いますけど?
百合人/あながち野次馬達がミチルちゃんがかわいすぎて凝視してたのは間違いじゃないかもよ〜?
草摩/みちるはかわいい。そう源氏物語にも書いてある。
実散/紫式部も俺のかわいさのファンだったのか。……住宅地に向かいながら、センパイのおかげですよ、って呟きます。
百合人/えっ、なにそれ?
実散/……センパイは覚えていないかもしれないですけど。俺が高校1年のとき、3年生のセンパイと……一緒に服を見に行ったんです。
百合人/そんなことあった気がする。いや、そんなんいっぱいありすぎだろ。
実散/俺、高校生で、ようやく学生らしいことができるようになったんですよ。……学校の知り合いと買い物に行くの、初体験だったから。よく覚えてます。服装を気遣おうと考えるようになったの、あれがキッカケです。
百合人/……へ〜。オレとの初デートを覚えていてくれたなんて、嬉しいねえ!
実散/……デートって言い方は、その、なんだろ……うー。
百合人/デートじゃん。あー、なんかオレも思い出してきた! ミチルちゃんってば可愛い服を着てたから、ちょっとカッコイイ寄りにオレがコーディネートしてあげた! 兄ちゃんとキャラ被らないようにミチルちゃんのオリジナルティを重視したコーデしてあげたわ!
実散/だいたい親は……俺達双子を揃えたがる節がありましたから。でも俺は、俺の独自性ってやつを選んでくれるセンパイが、好きでした。
百合人/……過去形? 「今もセンパイのこと好きです〜」って言ってくれたら嬉しいんだけどなあ?
実散/…………。もちろん、好きですよ。さっぱりしたとこ、俺は好みです。
百合人/ありがとー。ミチルちゃんは何歳になってもカワイイわー。
KP/シーンを変えたいです。次のシーンに行ってください。
百合人/オレは真剣にNTRをしているのでKPは邪魔しないでくれますか?(一同笑)