クトゥルフ神話TRPG・リプレイ
■ 『 花園アフター 』 1ページ ■
2021年11月7日




 ●プリプレイ

 ――それは『庭師は何を口遊む』セッション終了、約1時間後のことだった。

草摩/教会で弟を殺して俺も死のうと思ってた。
格/ちょっと!? トモさんの爆弾魔ー!?(笑)

 ココフォリアでのオンラインセッションが終わって感想を話している最中、突然の爆弾発言を投げてきたプレイヤーがいた。
 「何を言ってるの?」と参加プレイヤー達に問い詰められた問題発言プレイヤーを囲んで、翌日、TRPGスタジオにて特別会場が設置された。


草摩/あの、昨日のセッションは本当ありがとうございます。
実散/いえいえ、正直な感想を書いてくれてありがとね。…………で?
草摩/なんで「みちるを殺して俺も死ぬ」って思ったかというと。
KP/はい。
天鴻/はい。
格/はい。
草摩/ラスボス戦をやってるとき、草摩が的場を殺そうとして、皆さんに止めてもらったじゃないですか。
KP/ええ……。
草摩/突っ込んでいくキャラロールをして、終わったときKPに「的場を殺してたらバッドエンドになった」と言われて、「自分一人のロールでみんなをバッドエンドにさせたかもしれない」ともうと、本当に申し訳なくて。
実散/うん……。
草摩/普通に中の人が「死にてえ……」ってなったんですよね。そこから反省しました。
実散/そっか。何事も経験だね。
KP/そうですね。TRPG人生で一度は通過する道ですね。
草摩/「死にてえ……」ってなったので、「よし死ぬか!」ってエンディング前の休憩中に思いまして。
KP/お、おう。
草摩/「エンディングで自殺しよう!」って思いまして。
格/わぁい!(笑)
天鴻/待って!(笑)
KP/行動力があっていいですね(笑)
草摩/でも「俺が死んでみちるが生きてるの嫌だな。一緒に死にたいな」と思いまして殺すことにしました。
天鴻/世界はそれを無理心中っていうんだぜ!(一同爆笑)
格/普通に殺人じゃないですかー!(笑)
草摩/で、格と天鴻がエンディングシーン……南の墓の前でやり取りをしているとき、2人の会話を邪魔しないで草摩は縄を持ってるロールを挟もうとしてたんですよ。
実散/殺す気満々!?(笑)
天鴻/そんなのポイしなさい! 縄なんてどこで買ったの!?
草摩/ドンキです。
実散/ホームセンターでもなくドンキホーテかよ!?(笑)
KP/ドンキの縄なら脆そう! 偏見です(笑)
草摩/殺すなら絵になる綺麗な教会にしようと思って「教会に行く」って言ったんですよ。でも、格と実散がワインセラーの店の情報を話してたじゃないですか。
実散/ラインしてたね。
草摩/「せっかくワインを飲んでる人に嫌なニュースを聞かせたくないな〜」と思ったので自殺をやめました。
実散/格くんとのラインが俺の命を救った!?(一同笑)
天鴻/まさにライフラインじゃん!(笑)
格/ライフライン!?(笑)
KP/リアリティがある理由〜!(笑) 何気ないラインが自殺を思い留まらせるんだよね……!
草摩/そのやり取りを見て、無理心中は諦めて、違うロールにシフトしました。それがあのエンディングシーンです。
天鴻/意図しないところで双子の命を救っていた……「今日は解散!」とかしなくて本当に良かった!(笑)
格/よくギリギリのところで思い留まっていただけたなぁって……本当にギリギリのところで(笑)
実散/ありがとう2人! 実在する銀座の某ワインセラーにありがとうって言っといて!(笑) マジで自殺する人を踏み留まらせた絆の力って凄いな……。
天鴻/死ぬキッカケも、死ぬのを止めるキッカケも、本当に些細な理由なんだよな……。草摩さん、コンボが決まりすぎでは?
草摩/奇跡ってあるんですね。
KP/素敵な奇跡ですね。
草摩/そんな訳で、真剣に死ぬ予定だったけど直前で変えたエンディングシーンの真実でした。
KP/なるほど……解説ありがとうございました……。
実散/ありがとうございました、なんやこれ?(一同爆笑) ……せっかくなのでそのイフのエンディングを今から再現ロールしてみましょうか。「実散がいたるくんにラインを送ったことを兄ちゃんに言わなかった世界線」ですね。
草摩/俺が運転して教会に向かっていたから、助手席の実散がラインを見せてもらわなかった世界線とか。
天鴻/「1.草摩にラインの事を知らせる」「2.草摩にラインの事を知らせない」っていう選択肢が見える!(笑) 今日はバッドエンド回収のターンですね。
実散/きっと幸くんがバッドエンド後のルート解説ミニコーナーをしてくれる。
天鴻/「教えて! 神童先生」!
草摩/エンドコーナーぐらい女性のシーンが欲しい(笑)
KP/なるほど、相模原先生か。相棒は泉さんで。泉さんと相模原さんは仲良しだった設定なんですよ。
実散/後半になると南さんが途中加入するやつだ! 絶対スタンプ集めにいくー!(笑)


 ●教会

実散/いたるくんとたかひろくんの会話を邪魔しちゃいけないと思った双子は、こっそり南 玲子の墓地から去る。そのまま兄ちゃんは教会に車を運転するのであった……。
草摩/そして、さっきの選択肢になる。実散はラインを俺に見せなかった。
天鴻/きっと草摩さんの運転を邪魔しちゃいけない、とか思ったのかな……。
実散/兄ちゃん、もう教会に入れるんだねー?
草摩/ああ。俺は無言ではなく普通に話しています。態度は普通ですね、でもコートの内ポケットに縄を隠しています。
実散/普通に振る舞ってるんだ……。そうして2人は教会に入る。兄ちゃん、話って何?
草摩/暫くはエンディングシーンのやり取りをする。
実散/……兄ちゃんは、殺してないよ。もう一度言っておくね。兄ちゃんは殺してない。だから兄ちゃんも安心して。
草摩/ここから分岐かな。
実散/え、えぐい急降下なルートですね……?(笑)
KP/実散さんの言葉は素通りしてたんだな……。
天鴻/覚悟が決まっちゃった兄ちゃんには、届かなかったんだな……。
実散/よーし兄ちゃん、気持ちを切り替えよう! これから飲みに行く? 兄ちゃんの部屋とか久々に行きたいかな〜!
草摩/俺の部屋、汚部屋だから。
KP/そうなの!?(笑)
実散/掃除しなよ!(笑) 俺は無印良品で家具を揃えてるよ! 3年ぶりに俺の綺麗な部屋でも来る〜?
草摩/俺はヴィレヴァンで家具を買うタイプなんで。
実散/ヴィレヴァンで家具は売ってないやろ!?(一同笑) 兄ちゃん、ヴィレヴァンとかドンキとかごちゃごちゃしたお店が好きなのね……?
草摩/そう、部屋に行こうよと言っている実散は教会から出ようと俺に背を向ける。
実散/行こうよ〜って兄ちゃんい背を見せちゃう。
草摩/みちる、と声も掛けずに、何も言わずに、背後から縄をすっと通して、ぐっと締める。
実散/う!?
草摩/締める。
実散/う。
草摩/締める。締める。
実散/う、ぐ。
草摩/締める。締める。締める。締める。締める。締める。締める。締める。締める。締める。締める。締める。締める。
実散/兄ちゃんの腕に爪を立てる。
草摩/俺は泣いてる。
実散/ガリガリと爪を立てる。
草摩/俺は死のうと思う。そう口に出す。
実散/ぐ、う。
草摩/迷惑を掛けた。怒られたから。申し訳ないから。もう居られないから。
実散/ううう、うう、ぐ。
草摩/そもそも、俺が、発端だろ。どう考えたって、この事件の最初の原因は。俺が殺したんだ。
実散/ぐうう。
草摩/俺は、死ぬべきだから。俺は、俺は死のうと思う。
実散/…………ぅ。
草摩/でも、俺が死ぬのにお前が生きてるの、おかしいだろ?
実散/………………。
草摩/なんで俺達は同じ所に居ると思う? 同じ所に一緒に居るべきだからだ。なんで同じ班で働けたと思う? 一緒に居るのが当然だからだ。
実散/……………………。
草摩/同じ高校に行って、同じ警察学校に行って、同じものを目指して、同じ零課に行って、じゃあ、俺も死ぬなら、お前も死ぬよな? そういうものだよな!?
実散/…………………………。
草摩/俺は、殺したから。俺が、相模原を殺したから。お前も、相模原を殺した。そこまで同じなんだ。
実散/………………………………。
草摩/どこまでも同じなら……判ってくれるよな? 泣きながら、言います。
実散/…………。泣きながら、叫びながら首を絞めている草摩は、気付いていない。「俺が死ぬのにお前が生きてるの、おかしいだろ?」と言った頃から、とっくに弟は事切れてることに。
草摩/…………。
実散/死んでいる人の首をずっと絞め続けてる。
草摩/う。……ううう、うえええええん……。
実散/もう実散は何も言わないよ。
草摩/…………。教会の中へ引き摺っていく。相模原が吊るされていた場所の下へ、実散を座らせる。
実散/泣いて眠ってるように座らされる。
草摩/俺も隣に座る。泣きながら座る。……格と天鴻のことを思い出して、ごめん、申し訳ない、今から死んでお詫びを、ごめんなさいと身勝手に心の中で謝罪する。
実散/じゃあ……首を絞められたときに実散は暴れて、そのときに大事な栞とハーバリウムが地面に落ちている。栞は涼ちゃんの思い出の品、ハーバリウムは涼ちゃんを見立てたものだよ。
草摩/あ……栞とハーバリウムを見る。
天鴻/ハーバリウムは、カシャンと瓶が割れてオイルと花が散っていると良いな……。
草摩/ずっと格達に謝りながら泣いていたけど、割れて出てきた綺麗な花を見て、笑う。……相模原。殺した俺は、お前に謝っても謝り切れないけど、こればかりは良いことしたと褒めてくれ。みちると再会できて良かったな。
実散/狂人特有の、論理の飛躍……!
草摩/褒めてくれ。俺、いいことできたなぁ……! 褒めてくれ……褒めてくれるな……最期に謝罪だけじゃなくて、いいことできて……! 弟の隣に座りながら、自分自身で自分の首を縄で絞め続ける。
実散/自分で締めるの!?
草摩/割れたハーバリウムを見たおかげで泣きながら、笑いながら、死ぬまで、締め続けて、弟の隣で、泣きながら、終わる。
KP/……もう既に草摩さんは、不定の発狂をしていたんだね。
天鴻/不定の狂気になっていたら、そりゃ自分が死ぬまで首を絞め続けられるよな……。
実散/…………。
草摩/…………。
実散/…………。いやあ、兄ちゃん。これはもう……ちょっと馬鹿、ってレベルじゃないよ。……とんでもない馬鹿。
草摩/…………。
実散/俺を殺して、謝罪して済むと思うの? この後の処理どうするのさ? こんな俺達を発見する残されたいたるくんとたかひろくんの心も何も考えていないなんて。

 ……なのに、最後の最後で、俺と俺の大切な涼ちゃんを会わせてくれようとしてくれるんだよね。
 たとえ身勝手な自殺と殺人でも、やっぱ俺のこと考えてくれる。
 我儘で、ちっとも理知的じゃない。自分の勝手な理論で弟を殺す狂人だ。でも……「俺のことが大好き」を見せつけてくれるなんて。
 …………そういうの、卑怯じゃない?


草摩/ハーバリウムが割れてなきゃ相模原の演出をしなかったですね。
実散/ハーバリウム、割ってくれてありがとう……。
天鴻/割れた方が綺麗かなって思ってやったら、こんな展開に繋げるとか思わないじゃん……(笑)
KP/絵にはなりますね。素晴らしいスチルだと思います。
草摩/これは二次創作です。
実散/そう! これは『庭師〜花園班』の二次創作です!(笑)
草摩/残された2人を蔑ろにする言動を、今日は敢えてさせてもらいました。本当にごめんなさい。本来の俺はするつもりは一切ありません。
KP/バッドエンドおいしい〜! これを踏まえての本編ありがと〜!(笑)
実散/これはあくまでバッドエンドパロの二次創作だからね〜! ねえ、ここで俺が魔法の呪文を使っていいかな?
草摩/魔法、使えるんだ?
実散/魔法を使うね〜! せーのっ!

    ◆

実散/……起きて、兄ちゃん。
草摩/えっ!?
実散/人のベッドを真ん中で使うな〜! 兄ちゃんのヴィレヴァンのあれこれだらけの汚部屋じゃなくて俺の部屋で飲んだんだから俺の部屋ルールで寝ろ〜!
草摩/夢オチだ!?(一同爆笑)
天鴻/悪夢から目覚める展開だ!(笑)
KP/なるほどね!(笑)
実散/魔法の呪文「バッドエンドの同人誌の最後の数ページで目が覚める展開」だよ! ここは実散が住んでるマンションです。無印良品だらけの部屋です。部屋の端々にドライフラワーとかハーバリウムがあるよ。
草摩/…………。
実散/ていうか、家主の許可も取らずベッドの真ん中で寝るな〜! ……うわっ、ねえねえ兄ちゃん! いたるくんからラインが来たよ! たかひろくんがめっちゃ良いワインを買ってくれたんだって〜!
天鴻/「俺が買いました」という死んだ魚の目をした天鴻の写真付きです(笑)
草摩/…………。
実散/兄ちゃん見て〜。あそこのお店、良いよね。今度一緒に行こう、久々にさ。……この3年間、ずっと兄ちゃんは俺に付き合ってくれなかったしさ。
草摩/…………。
実散/理由は判るよ。この3年間、俺のことを避けてたからでしょ。でもその誤解は解けた。だから今からまた仲良く……。
草摩/みちる。
実散/なに?
草摩/俺の隣、座ってくれ。
実散/うんしょっと。座ったよ?
草摩/夢の中の教会で2人で隣り合って座ったときみたいに、また弟を隣に座らせる。そして……着けっぱなしのネクタイを、締めるのではなく解きます。
実散/締めるじゃなくて、解く。
草摩/…………。
実散/……え? 隣に座ったけど、用件は? 何も無いの?
草摩/……………………。
実散/だんまり!? いいかげんにしないと2人に愛想つかされるよ!? っていうか俺と銀座に行こうよの返事は!? 行きたくないの!? そんなに俺のこと嫌いー?
草摩/好き。
実散/…………。あっそう……膝の上にスマホを落として、大人しく座っておきますね。
草摩/……うん。
実散/同人誌、終わり。
KP/朝チュンか(笑)
天鴻/おいくらですか? 財布を出す。
実散/初めて出したコピー本なのでお気持ちで〜!(笑)
天鴻/OK! 諭吉だ!(笑)
草摩/この諭吉でななパフェを買おう。
天鴻/もっと良いもん食えよ!(笑)
草摩/お付き合いいただきありがとうございました。……なあ、みちる。
実散/なーに?
草摩/エロールやりたい。

 (一同爆笑)


 ……という訳で。
 ここから先は、花園 実散と花園 草摩の絡みを描いた
18禁セッションが始まるのであった。


    ◆


草摩/……なあ、みちる。
実散/なーに? いたるくんへのライン返信を終えて、膝の上に置いていたスマホをテーブルの方へポイッ。どうしたの、兄ちゃん?
草摩/……一緒がいい。居るなら、一緒がいい。
実散/何の話? ……夢の話かな? 兄ちゃん、一人で会話をしないでって俺いつも言ってるよね〜?
草摩/今日。墓参りが終わった後。教会に行って。お前のことが嫌いだったって告白して……。
実散/うん。
草摩/でもお前は俺のこと、嫌いにならないでいてくれた。お前と一緒に居ると、俺は助かる。
実散/あはは、俺には兄ちゃんを嫌う理由が無いからね。好感度が落ちることなんて無いよ〜。……きっとたかひろくん達も判ってくれるんじゃないかな。許してくれなんて言うのはムシが良すぎる話だけど。
草摩/うん……。
実散/ナイーブなのは判るけど、兄ちゃんはいつも通りの兄ちゃんに戻って大丈夫だよ。今まで嫌っていた俺への「嫌い」の正体も判ったことだし、3年前の兄ちゃんになってOK。
草摩/……みちるは、俺のこと、幻滅しないでくれた。お前は俺を、受け入れてくれた。
実散/うん。俺は兄ちゃんの言動を応援する。
草摩/酒を飲んで見たさっきの夢の中でも、みちると一緒にいる夢だった。
実散/えへへ、良い夢でも見たのかな〜?
草摩/しゃらくさい。
実散/は?
草摩/もう説明とか面倒だ。
実散/まだ何も説明できてませんけど?(笑)
草摩/みちる、一緒になりたい。
実散/今も一緒じゃん〜。
草摩/顎を乗せていた肩から、首元に唇を寄せる。耳にキスする。
実散/…………。嫌うよ?
草摩/好感度は落ちないんじゃなかったのか。
実散/……何してんのー? 誰かさんとお間違えではありませんかー? 酔ってらっしゃいますねー? 兄ちゃんも秘密にしてるだけでお付き合いしてる人がいるんじゃないですか〜?
草摩/ううん。だから、許してくれたお前とがいい。肩に手を回して、腕に抱く。抱いて、ベッドに寝転がせる。耳に、キスする。
実散/……あのさー? 兄ちゃん、倫理観が無いって色んな人に怒られなかった?
草摩/はい。
実散/素直か(笑) 弟に手を出したら、そりゃもう倫理観が無いってまた思われるよー?
草摩/ただの弟だったらそうだけど。
実散/えっ、俺は普通にただの弟だよ!? 実の双子でしょ!?
草摩/ただの弟だったらそうだけど、大事な弟だから、そうじゃない。
実散/その理屈はおかしい!(一同笑) マジで兄ちゃんの論理がデフォで破綻しとる!? 俺にその倫理観に付き合えっていうの? 俺は兄ちゃんよりは社会性あって立場ある普通の男のつもりだったんですけど〜? 真面目な弟にその罪を背負わせるの〜?
草摩/……受け入れてくれたから。暴走した俺、受け入れたのはお前だから。お前にもっと受け入れてもらいたい。お前だってそうだろ。
実散/「お前だってそうだろ」? 何が〜? 倫理観が無い同類として俺と兄ちゃんの同じ土俵に上がれってこと〜? 双子だからそこまで同じにしろって〜?
草摩/お前だってそうだろ。お前の好きな「生きている人」は俺の筈だ。相模原じゃなくて。
実散/…………。
草摩/ダメか? 受け入れてくれないのか。
実散/……ちょっとそれ、デリカシーが無いんじゃないかなぁ。好きな女の子のことで泣いてる弟を、今日その目にしておいて、「涼ちゃんのことよりも俺の方が好きだろ」は……怒ってもいい?
草摩/ああ、怒ってくれ。口が悪かった。俺は口が悪い。頭も悪い。切り出し方も整え方も悪い。
実散/みんな悪いね。
草摩/そこを補ってくれる弟がいたからこうなってしまったのかもしれない。
実散/……自分のアレ具合、俺のせいにするの?
草摩/だから今、必死になって……口説いてる。どこまでも悪い俺を、それでも受け入れてフォローしてくれる弟に、出目もファンブルもシンクロするみちるに、もっと受け入れてもらいたくて……強硬手段に出ようとしている。
実散/強硬手段?
草摩/俺はお前みたいに論破なんてできないから、お前を手に入れようとするためなら……今から力でモノにするぐらいしか思いつかない。
実散/レイプだ!?(一同笑) ちょっと! 警察官! 刑事さん! おまわりさん! 近親相姦の強姦兄ちゃんとか最低では!?(笑)
草摩/嫌だろう? お前は嫌だと言うなら俺を受け入れてくれ。QED。
実散/QEDぃ!?(一同爆笑) 「俺を近親相姦のレイプ犯にしたくなければ、同意しろ」!? それで論破したつもりだ!? 俺が折れるしかないじゃーん!?(笑)
草摩/みちるはよく口が回るな。感心。
実散/ここで俺への好感度を上げるの!?(笑) 兄ちゃん、よく刑事になれたね……いや社会人になれたね……いや大人になれたね……いや人間になれたね……? 
草摩/ダメなのか? もう強姦しかないのか……。
実散/その日本語はヤメようか兄ちゃん!(一同爆笑) ……立ち上がります。兄ちゃんを振りほどいて、立ち上がって上着を着ます。
草摩/あっ……。
実散/そのまま鞄も持ちます。外に出ようとします。
草摩/おい……。
実散/……俺、3年間、この部屋に、誰も入れてないんだ。兄ちゃんが本当に久々のお客様なんだよ。こんな風になるとは思ってなかったさ。だからね、俺、何も用意してない。……ドンキ、行ってくる。ゴムとかローションを買ってくる。
草摩/……あ……。
実散/そこまで用意して、しかも俺から用意するとか……同意だねえ? そんなの、まるで俺からやってください〜ってお願いしてる感じだね。買ってくるよ。はい、兄を強姦魔にしない方法、論破〜!
草摩/俺も行く。……一緒に行きたい。
実散/2人でドンキに行こうか。
草摩/うん。ななパフェも買う。
実散/……セブンも寄れって? ドンキで買えるアイスにしなよ。めんどくさいな〜。
草摩/終わった後に食べたら美味いから。
実散/……もー。ってことで、ドンキへ一式お買い物に行きます。


    ◆


実散/……真夜中のドンキに行って、必要なもの一式、買ってきてしまった。
草摩/帰ってきて、シャワーを浴びて、待ってる。
実散/……え、本当にするの? 俺達、兄弟なんですけど? 理由をつけて兄を犯罪者にしないようにしたけど……ああ、色々と思い出してきたぞ。そうだ、「この兄を……俺の居ないところに行かせてはいけない……!」と思ったのが原初の記憶!
草摩/ベッドで待っているぞ。
実散/……ハッ、顔が作れていない! いつもの笑顔に戻って俺〜! ヘラヘラしていた方が俺っぽいし、好かれやすいでしょ。イライラしてたらダメだね、社会的地位のある大人として!
草摩/みちる……仮面を被っているキャラなのか?
実散/俺をそういう設定にしたのはエンディングシーンの兄ちゃんだよ(一同笑) よしっ、涼ちゃんのスマイル完了! ……うん、やっぱ可愛い! いいね俺、涼ちゃんに笑顔を教えてもらった甲斐がある〜!
草摩/マジか……そういう設定なのか(笑)
実散/あはは、兄ちゃん待った〜? ごめんね、無駄にシャワー長くて〜。えへへ、ドキドキしてきちゃったから遅くなっちゃった〜。
草摩/…………。先に言っておきたいことがある。
実散/なーに?
草摩/俺は今日、俺の前では泣いてもいいって言った。今もその気持ちは変わらない。笑ってなくていい。変わらず、みちるでいてくれ。
実散/…………。そういうの、卑怯じゃない?
草摩/みちる。……買ってきたばかりのローションを仕込む。その指で、脇腹を触る。
実散/くすぐるなよぉ。直に触って? 直接俺に触れたくないってこと〜?
草摩/塗れたみちるの腰に掌を乗せる。
実散/ん……。
草摩/さする。掌が上へいく。腰から脇腹へ。脇に4本の指を入れ込む。
実散/くすぐったいなあ……。
草摩/……体の洗いっこみたいだな?
実散/そうだね、石鹸で遊んでるときみたいだね。何十年前も話だよ。
草摩/楽しい。……やっぱりお前と一緒にいるの、楽しいな。石鹸遊びのときみたいだ。
実散/幼き兄弟の良き思い出と、成人男性同士のセックス半ばレイプをいっしょくたにするのはどうかな〜?
草摩/お前と一緒にいるの、やっぱり悪くない。……もっと一緒に居たくなる。
実散/……うう。
草摩/両脇腹に手を挿し込んで、真正面から胸元に顔をうずめる。足の間に体を入れ込みながら、無い胸に顔を押し当てる。
実散/……俺が仰向けで、頭を抱き込んでいる。乳首でも舐めようとしてるのかな、この人……。
草摩/うん。
実散/うっ、舐めた……。舌の感触が伝わってくる。右側の先端部に、ぬめっとした感触。悪くはない。悪くはないけど、まず日常生活で体感できるものじゃないからやはり変な感じはする。
草摩/舐める。
実散/うう……。その、そう簡単に胸を舐められても、すぐ気持ち良くなる男は、早々いないよ?
草摩/でも舐める。
実散/……あははー、もしかして、これから俺を調教するつもりで舐めちゃってるのかな〜? それは……長い時間かかるから無駄じゃないかな〜?
草摩/じゃあ、毎日しようか。
実散/……毎日。俺の家、来て、舐めて帰る生活でも始めるの? 日本の現役刑事が?
草摩/毎日お前と一緒になれる理由ができたな。
実散/…………。ずるい……。それは……ずるい返しだよ。
草摩/舐める。
実散/んんっ……。悪くはないけど良くはない。でも、くすぐったさと恥ずかしさと……敏感じゃなくたってそれなりに性感帯を丁寧に蝕まれている。そうなったら、微かにでも喘がずにはいられない。
草摩/努力の勝利だな。
実散/もっと違うとこに努力してよ、兄ちゃん……。
草摩/じゃあ、逆だ。右をやったなら左で声を上げさせる。
実散/うううう〜……。
草摩/親指と人差し指で突起を摘まんで、露出させるようにさらりと尖らせる。
実散/ちょっと痛い〜……。
草摩/それから大事に舐める。実を舐めるように。それをずっと続ける。舐めて、掴んで、口で覆って。
実散/やぁっ……。
草摩/脇腹を濡らしたローションかのように、胸元を唾液で満たす。
実散/……枯れる〜。
草摩/ははっ。だいぶ、俺の色にさせられた、気がするな。俺の、まみれだ。
実散/その言い方に、ちょっとゾクリとする。
草摩/嫌か?
実散/……兄ちゃんなりの独占欲、ってやつなのかな。他人の唾液べとべとなんて気持ち悪いに決まってるけど、俺の身体が自分のものに染まって、悪い顔で笑うなんて、そんなに……俺のこと好きなのかなって考えてしまう。
草摩/うん。
実散/即答なの?(笑) ……そんなことで嬉しい? そんなことして、嬉しくなるもの? じゃあ、それ以上のことしたら、この人もっと嬉しくなって……笑っちゃうのかな。……くそ、見てみたいなんて、それは兄ちゃんの思うつぼなのに。歯ぎしりする。
草摩/悦くなってきたか?
実散/ど、どうかな……くすぐったいだけだよ。
草摩/じゃあ、今夜はこれで終わりでいいか?
実散/は? ……ちょっと、さすがに終わりは早すぎない? まだ何もしてないじゃん? わざわざ真冬の真夜中にドンキへ行ったのに何もしないで終わるの?
草摩/続き、してほしいか?
実散/……うー! ずるいー!
草摩/お前を味わった。結構何分も経った。だから、今夜はこれで終わり……で、いいか?
実散/そのとき、実散のアイデアロールが成功する! 「この男! 乳首責めして俺の気分を昂らせておきながら! ストップをかけて……おねだりモードにするつもりだと!」(一同爆笑) そうだろ!?
草摩/そうだよ。
実散/もうー!? 訴えるよ!? そして勝つよ!? 被害者である俺が弁護士席で勝つよ!?(笑)
草摩/続き、してほしいのか?
実散/ううううう!
草摩/続き、どうする?
実散/……に、兄ちゃん……もっと……したい……なあ。してほしいな。その、胸だけじゃなくて……違うところ、触っても……いいんだよ?
草摩/ああ、そうだな。
実散/今のままじゃ、子供の時の……石鹸塗り合ったお風呂と同じようなもんじゃん? 俺達、同意のうえで、セックス、してるんだからさ? ね……?
草摩/唇に口づける。
実散/あぐ。
草摩/右手で髪の毛を掴んで、顎を上を向かせる。自分の舌を滑り込ませて、みちるの舌を自分のもので引っ張り出させる。巻き取るように喉を攫う。
実散/ご、強引……! んうううううう……ちょっと……激しいんだけどぉ。
草摩/堪えきれなかった、とでも思ってくれ。
実散/もっと……優しくキスして……。
草摩/……あっ。
実散/あ? ……何? 聞き返します。
草摩/……やっと、口にキスできたな。俺達。初めてじゃないか?
実散/…………ぬうううう〜っ!(笑) 初めてぐらい……もっと計算しなよお!
草摩/判った。もっと色んなキス、してやる。違う角度から舌を取る。上顎も、舌の裏も、歯の並びまで。全部、胸みたいに、他人の舌と唾液で埋める。
実散/呼吸困難で肩で息をする。そ、そろそろ、やめて、息が……。
草摩/キス、やめない。
実散/重たく上から圧しかかってくる兄のキスから……なかなか逃れることができない。だから赤い顔で、目尻に苦しさで涙が貯めながら、助けてよぉ……と悲鳴を上げるようにキスから逃れる。
草摩/……泣いた顔。やっぱり良い。
実散/に、兄ちゃん……もっと人間になりな。ケダモノと同意の上でセックスはできないよ?
草摩/俺が見たかったもんだ。それが見たかったんだ。……みちる。
実散/……なに、兄ちゃん。ぜいぜい……。
草摩/もっと俺のモノになってくれ。いや、俺のモノしてやるから、もっと曝け出していいぞ?
実散/……俺の言うこと聞いてよ、ケダモノ!(笑)

    ◆

実散/……ほらっ。
草摩/なんだ?
実散/兄の身体は真正面から上に押しかかっている。脚の間に体を入れ込んで覆い重なっている状態だ。兄を挟んでいる両脚を、みっともなく開いてみる。
草摩/みちる?
実散/……いきなり初日からおっぱじめろとは言わないよ。出来る筈が無いし。でも……初日から、気持ち良くなく無駄に終わる夜にしやがったら、兄ちゃんといえど許さない。……俺を気持ち良くさせてみて。
草摩/……責任重大な初日だな。笑って返す。身を引いて、みちるのものに新しいゴムを被せる。
実散/ぅう……。
草摩/もちろんゴムの中にローションを注入するのも忘れない。
実散/ぬめった感覚が全体にクる……。
草摩/さっきより明らかに大きいな?
実散/……うふふ、兄ちゃんだって俺をちゅぱちゅぱしながらブラ下げてるもの、熱くしてるんでしょ? けだもの〜。
草摩/そうだな。見えてないのによく判ってるじゃないか。……顔を近づけながら脚の間に左肘をついて、右手でシゴき始める。
実散/……んんん……。
草摩/ゴムの中で滑るローションのがぐるん、ぐるんと回る。ぐちゃあ、ぐちゃあと中が、ゴムの中で波が泡立つ。
実散/……ぁ……う……。
草摩/中のモノがヌルヌルと波立って、スルスルのゴムとぶつかり合う。明らかに卑猥な音。刺激は、本人しかわからない。
実散/ぅ……う……ん。悪くない、かな……。その、そのままなら……合格点だよ。息を切らしながら言う。
草摩/そっか、合格点か。手を止める。じゃあ、これでおしまいで。
実散/天丼ネタは許さないよ?
草摩/もっとしてくれって言えばいいのに(笑) ……先端に輪っかを作って、先っぽ3センチだけのピストン。集中的に、先を追いやる。
実散/ううううう……!
草摩/どんどん昇りつめていくように、ずっとシゴき続ける。
実散/に、兄ちゃん、もう……。
草摩/シゴいて、自分がして気持ちいいようにして、ずっとシゴいて、いざ射精が近づいたというときに……。
実散/う、ぁ……あ……にいちゃんん……ぅぅ……。
草摩/近づけていた顔をさらに近づけて先端にチュッと口づける。
実散/ぁっ!? ……興奮。吐精する。
草摩/ゴム越しに食む。
実散/激しい扱いの末にいきなり来た柔らかい感覚に下半身が驚く。……いや、それよりも、兄はそんなところにキスなんてするのか……?
草摩/よく出せたな。よしよし。
実散/そんなに……俺のことが好きなの……? って考えてしまったら、砕けてしまった。中に弾け出してしまった……。
草摩/気持ち良かったな。とろけた声が出てるぞ。
実散/……その……もう……。
草摩/嘘はつくなよ? 合格点だな?
実散/……許して……あげる。気持ち良かったから、そこ、ちゅっちゅするのは……ヤメて。また、刺激になっちゃうから……!
草摩/一番の笑顔になる。
実散/ね、ねえっ! もう、いつまでもちんこちゅーちゅーするの、やめてよぉ……!
草摩/みちるが泣いている。装っていない普通の顔だ。……その顔が見たかったんだ。
実散/ぅううう〜! 酷いこと言うな〜!(笑) ……兄ちゃん。俺も……する。 ……いいよね?
草摩/うん……?
実散/……もうっ。兄ちゃん、そこのベッドの角っ子、座って。
草摩/何をする気だ?
実散/ベッドに座る兄に両足を開かせて、その間に体を割り込ませる。さっきと逆。剥き出しの兄のモノを眼前、あと数センチの距離で直視する。
草摩/……口でしてくれるのか。
実散/ゴムは……いいや、いらない。直接舐めるね。
草摩/おっ……。
実散/言っておくけど、俺の顔に出したら怒るよ〜。可愛い弟になんてことするのさって散々なレベルで罵倒するからね〜!
草摩/お、おう。
実散/しゃぶります。
草摩/…………。
実散/…………。うええ。おいしい訳がない。でも、思ったよりも……つらいものでもないな? もっと臭いとか思ったけど、わりと普通?
草摩/普通だったか。
実散/苦い〜とか聞いていたけど……そっか、自分の指を咥えても塩気で息苦しさで苦しくはなっても、それ以上の不快感は無い。ションベンが出ない限りは、普通に肉の塊だ。しゃぶるだけならこんなもんなんだ。
草摩/性器を理知的に評論してる(笑)
実散/ふはっ……口を離す。……案外、別のこと考えながらだと、嫌にならないものだね? 出来なくはないや。
草摩/…………。
実散/もしかして俺、しゃぶるの向いてるタイプなのかも? 良かったね兄ちゃん。俺はフェラ得意って分かった初日で! 兄ちゃんとしてはポイント高くない?
草摩/−20点。
実散/ガーン!?(笑)
草摩/別のこと考えるな。俺のことを考えて舐めてくれ。
実散/…………。
草摩/俺はそうだった。みちるのこと欲しくて、舐めたから。
実散/…………。し、仕方ないな〜。
草摩/頼んだ。
実散/……モノに舌を這わす。陰毛が口に入って不愉快とか、内臓に接しているようで怖いとか、自分の唾液が乾いた匂いが臭いとか、感じてしまう。
草摩/やっぱ評論するタイプなんだ……(笑)
実散/不愉快極まりない。性器なんて口にするものじゃない。人間に求められた行為ではない。なんでこんなのしなきゃいけないんだろうって考える。
草摩/…………。
実散/……気持ち良くさせたかったから。……兄を、満足させるならこれが一番だと結論づいたから。……俺のこと好きな兄には、俺の奉仕がキくんだろうなって、そのためなら自己犠牲も悪くないなって想えてしまったから。
草摩/頭を撫でる。
実散/……理由が次々頭に浮かんで、赤面する。
草摩/みちるの髪を、よしよしと優しく撫でる。
実散/うう……撫でられるのきもちいい……頑張っちゃう。
草摩/よしよし。
実散/……なんて笑顔してるんだ……って上目遣いで思っちゃう。もう……もっとしてやろうかな……。
草摩/口から引きずり出して、顔に射精する。
実散/ほわあああ!? ひど!? 出すなって言ったのに!?
草摩/出した。
実散/顔に! 出した!? 散々なレベルで罵倒するぞ!?
草摩/ごめん。ちょっと我慢しようとしたんだけど無理だった(^_-)-☆
実散/そっか(^_-)-☆ じゃねーよ(^_-)-死
草摩/でも気持ち良かった。ずっとみちるを見ていたからだろうな。
実散/…………。ちょっとうがいしてくる。がらがらぺっ。すぐ戻って、ベッドに戻る。抱き締めて、よしよしします。
草摩/よしよしされた。
実散/よしよし。気持ち良かったんだね。そっか。
草摩/……ああ、みちるの顔、良かった。
実散/ずっとよしよし。……続き、する?
草摩/次、リクエストしていいか。
実散/なーに?
草摩/みちるに抱きついて寝たい。
実散/…………。
草摩/数年ぶりに。それをしたら、一緒になれる気がする。きっともう悪夢は見なくなる。
実散/…………。いいよ。ただし、兄ちゃんの唾液で匂ってるのと乾いたローションがカピカピの体なんでシャワーを浴びてくる。その後でいいなら、どうぞ。
草摩/もうその顔なら、唾液をシャワーで落とされたって俺のものだしな。
実散/……ほんっと、ちょっとどころじゃなく……馬鹿。そのまま俺を待ってるうちに一人で寝ちゃえ!
草摩/待ってるよ。
実散/実散はシャワールームに消えていきます!
草摩/待っているから。……待っている間、部屋の中に綺麗に整頓されて飾られているドライフラワーやハーバリウムに目をやる。
実散/それはみんな大事な……涼ちゃんとの思い出の品だよ。
草摩/大事な思い出が飾られている。別に捨てろとは言わない。そのまま……大好きだった人のことを大好きなまま置いておくことに異論は無い。
実散/大事な思い出は、捨てられないしね……。
草摩/侮辱しない。貶めもしない。そんな資格なんて俺には無い。俺なりに、弟が「一緒になりたい」と思った人のことを尊敬する、愛する……。だけど、これだけは言わせてもらおう。

 「……相模原。
 みちるがドライフラワーや押し花やハーバリウムが好きな理由は絶対に、『子供の頃から植物を愛していた俺』の影響だ。
 俺はそれだけ、みちるにとって大きな存在だ。……負けやしないぞ。『死人に勝つ』なんて誰にもできないことだけど。
 ……これからもお前をライバル視していくが、すまん。許してくれ」


草摩/そう相模原へ言いながら……シャワーから出てくる足音に「待っていたぞ」と目をやった。




 花園アフター・1 END


→弟が兄を抱く『花園アフター・2』に続く

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