アナザーワールドSRS・リプレイ・アウトレイジエリア
■ 後半戦 2ページ ■
2013年11月23日




 ●合流フェイズ7/叡斗&統十郎 〜九死に一生〜

GM/叡斗くんと脩駕が話すというのでシーンから退場した統十郎さん。……一緒にいた真奈の体が、フラっと揺れるよ。
統十郎/えっ!? か、抱える! ま、田代さん!
GM/真奈の体はガタガタと震えている。吹雪で寒いからではなく……彼女の体の中で、戦いが起きているからだ。これが真奈の言っていた『拒否反応』というものだろうか。
統十郎/くっ、もうちょっと時間があれば……!
GM/(真奈になって)「……お願い……私の名前を呼んで……」
統十郎/名前を?
GM/「私が私であること……私の器と魂に呼びかけるの。私のいる場所はここだって強く自覚させれば、きっと……」 では、叡斗くんも登場してください。叡斗くんか統十郎さんのどちらかが【意志】判定難易度13以上に成功すれば、2ラウンド経った状態でも真奈さんは死にません!
叡斗/おおっ!?
GM/正確には「真奈の器を乗っ取ろうとする魂を威嚇する」ことができます。もし魂に乗っ取られれば今度こそ真奈は拒否反応で肉体的な死を迎えてしまうでしょう。ですが、この判定に成功すれば次の統十郎さんのシーンまで生き延びることができます。
統十郎/統十郎の【意志】ボーナスは3しかないので、叡斗くん! 頼みたい!
叡斗/叡斗なら【意志】ボーナスが5もある! 相庭くんと一緒に田代さんの様子がおかしいことに気付いて駆けつけます!
統十郎/真奈さん、真奈さん! 呼びかけているよ!
叡斗/ここは確実に成功させよう。≪幻想式≫を使って判定します!(ころころ)……使って良かった。【意志】達成値16で成功です!
統十郎/≪幻想式≫を使わなかったら1足りないだったね!?(笑)
叡斗/田代さん……旦那さんが呼び起こしてくれた命を無駄にするんじゃない!
統十郎/なるほど、それは達成値16だ!(笑)
GM/統十郎さんに抱えられながらも震えていた真奈は……その一言を聞いた途端、落ち着いた呼吸に戻っていきます。「……ありがとう。そうよ、私は……これからも生きていかなきゃいけない……」 彼女の目は、しっかりとした光を宿しています。
統十郎/うう、良かった……! 次の俺の手番で、田代さんの中に入っている人にバイバイしてもらおう!


 ●ミドルフェイズ8/統十郎 〜真実〜

GM/さっきのシーンの継続でいこうか。真奈を抱えている統十郎さんは、そのまま『イベントキー:剥奪の魔導書の使用』を行なえます。
統十郎/田代さんの体に入り込んだ脩駕の一人格をポイッと抜きます! ……その前に、マイナーアクションで≪興奮剤≫を使用。【MP】がヤバかった。ゴックン!(笑・ころころ)ヨッシャ、6点も回復!
GM/気合を入れ直せたね(笑) その流れで魔術を使う!
統十郎/魔導書を使用! 脩駕くんの一人格をナイナイしてください! ナーイナイ、ポイッ!
GM/真奈の中にいた、あってはならない食人鬼の魂を抜き取ることができます。……真奈の体から、青い光が飛び出してきます。
統十郎/わっ!?
GM/君達の目の前に青い光が、ぽわぽわと浮かび上がっています。
叡斗/こ、これが……魂?
GM/その瞬間、苦しんでいた真奈はウズマキの中から≪浄化の一撃≫であるコルトパイソンを取り出し、バンっと霊力ダメージの一発を撃ちこみます。
統十郎/おおっ!?(笑)
GM/青い光は四散、成仏します。……まあ、心霊手術というのはこういうことです。
統十郎/魔術で光をいっぱい引き出して、出てきたものをバンバン銃で撃っていくっていう……?(笑)
GM/うん。ふぅと息をつく銃を構えた真奈さん。そしてニコッと笑って統十郎さんに振り向きます。その笑みは、≪違わぬ息吹≫や≪運命の予感≫を持った統十郎さんには「あ、この人はもう平気だ」と思えるね。
叡斗/良かったな! これで……!
統十郎/……相庭くんを見るよ。食人鬼とはいえ、相庭くんの一人格だろ?
叡斗/あっ……。
GM/……そこは、脩駕は表情の読めない顔をしているってことにしておこうかな。真奈の体調が良くなったというのは全員が把握できます。完全に元気になったと陽向や薫達にも伝えたなら、心から喜んでくれるだろうね。
叡斗/そろそろ柏木さんと陽向が帰ってくる頃だしな。
GM/ではご期待通り帰ってくるよ。「さみーさみー! でも今よりあったかそうな毛布があったから持ってきたぞー!」「備品倉庫は焼けてなかったからな。良かった」
統十郎/わあ、探してきてくれたんだね。ありがとう!
GM/(陽向になって)「柏木さんが教えてくれたんですよ! ……って、真奈さん! 元気になったんですね!」と真奈の元に駆け寄り、今の状況を叡斗くん達から聞きます。では、統十郎さんのメインの行動はどうしようか?
統十郎/柏木くんのことが気になるので、調べておこうと思います。……柏木くんも真奈さんと同じ状況かもしれないし。

 『AF判定:調査「柏木薫」』
  ・使用能力値:【理知】
  ・難易度:10
  ・ラウンド制限:なし

※このAF判定を行なうと、同一シーン内では他のAF判定は行なえない。
※この判定を行なうには、柏木薫と信頼関係でなければならない。そのため、元の姿に戻っていなければ行なえないものとする。
※「柏木薫と共に時間を過ごす」演出に成功すること。成功した場合、柏木薫がとある提案をしてくる。



叡斗/僕は陽向に状況を説明するためにわいわいガヤガヤしてますね(笑)
統十郎/うん! 俺は柏木くんに話しかけるよ。……柏木くん、毛布を見つけてきてくれてありがとう。
GM/(薫になって)「備品倉庫の場所を覚えていて良かったよ。あくまで話に聞いていただけで、一度も行ったことはなかったから不安だったけど……」 そう薫は言いながら「……統十郎、相当疲れた顔をしてる」と心配し始めます。
統十郎/まあ、ね。でも柏木くんだって疲れているでしょ? 東京から戻ったらいきなりこんなだもん。
GM/「けど、お前の方が……いや、疲れてないのか。魂が入れ替わっただなんだ冗談を言うぐらいだしな」
統十郎/い、いや! 本当に入れ替わってたんだよ。
GM/「そう言ってたくせに、今度は『実は元に戻ったんだ』とか言い出して……」
統十郎/必死に戻したんだよ!?(笑) 信じてくれないだろうけどさぁ……!
GM/「俺を笑わせようとして悪ふざけに徹するのはやめてくれ。初対面の子も巻き込むな。……こうすれば楽しそうだからってすぐ調子に乗るのは、悪い癖だ」と、統十郎さんの性格を前向きにとらえて愉快そうに笑います。
統十郎/あ、あれ?(笑) ……ねえ、柏木くん。気分が悪いとかはない?
GM/「気分? そりゃ傷の具合は、叡斗くんに治療してもらったとはいえ……」 そろそろAF判定にいこうかね?
統十郎/はい。まず≪痕跡発見≫を使って、田代さんと同じような状況になってないか外部からのチェック! ≪未来視≫で、今後彼はどんな状況に陥ってしまうのか予測します。≪絶対の自信≫で、自分の考えが間違いではないと確信を得ます。
GM/特技を3つ使ったね。これで難易度4になるから……。よし、ファンブれ。
統十郎/またそういうことを言う!(笑・ころころ)成功でーす! 14で成功でーす! ふーんだ!(一同笑)
GM/GMとしては「ファンブれ」は言わなきゃいけない言葉なんだよ(笑) さて、AF判定の結果ですが。
統十郎/はい。
GM/彼自身には異常は無いようだ。良かったね。
統十郎/そっかー!
GM/でも何か引っかかる。……なんだ、この違和感は?
統十郎/……え?
GM/統十郎さんは『イベントキー:違和感』をゲットしてください。でも新たなAF判定をするのはもうちょっと待っててね。薫が話を始めます。「……統十郎。一度本部に行ってみないか?」
統十郎/本部に?
GM/「滅茶苦茶になっていると言っていたが、一部だけでも生きていれば……。俺には看守としての知識があるから、もしかしたら機械をいじれるかもしれない。もし無線を修理できれば……」
統十郎/うん。そうだね、行ってみよう! 叡斗くん、俺達これから無線を修理できないか行ってくるよ!
叡斗/判った、気を付けて行ってきてくれ。ここは僕に任せてくれ。いざとなったら≪望遠鏡≫でそちらを警戒しておこう。
GM/……君達、お互いを監視できる技能を持っているんだな(笑)
統十郎/いやー、分断の可能性があるシナリオだと聞いていましたので(笑) 行こうかと、柏木くん……と彼を支えながら本部のある方へ向かいます。
GM/陽向が「食事の準備ならオレ達がやっておきますねー!」と元気に言ってくれます。外は寒いから気を付けてとかなんとかも。
叡斗/陽向がいると安心するなー(笑) ……念のため≪望遠鏡≫を使用しておきます。判定は必要ですか?
GM/薫は特技を使われても拒まないので、叡斗くんが代償を払ってくれれば成功します。抵抗判定というのは≪望遠鏡≫の存在に気付いた人が「俺を見るんじゃねえ!」と霊的に弾く行為を無理に押し切るものだからね。
叡斗/そっか。柏木さんは一般人だった。では3MPを払っておきます。
統十郎/寒い外をコートを着て歩きつつ……ふるふる……かつて本部があった場所へ向かいます。
GM/本部のあった施設に到着しました。一度統十郎さんは確認しましたが、建物は崩れかけていて、非常に危険な場所です。でも辛うじて侵入できそうです。薫が「気を付けろよ」と言いながらするすると入って行きます。
統十郎/ま、待って〜……よいしょっと〜……。
GM/「変なところを触るんじゃないぞ」
統十郎/わあ〜、親戚の子のおもりを任されたお兄ちゃんって感じだ〜!
GM/……どっちかって言うと、遠くまで行ってしまってキャンキャン吠える犬に「俺が見えない所に行くんじゃねーぞー!」って言う飼い主。≪+50動物愛≫持ちだし。
統十郎/そうだった、昔から俺達ってこういう関係だった!(笑)
GM/昔からの仲なんだ……。さて、通信機器が並ぶ本部に辛うじて侵入できました。知識があるらしい柏木が故障を直そうとします。
統十郎/柏木くん、頑張って〜!
GM/「…………。やっぱり……無理だな……」
統十郎/あ、無理か……残念。
GM/言いながらも、薫は困惑しています。
統十郎/……ん? 困惑? ……どういうこと?
GM/「……看守なんだから……施設の人間なんだから……これぐらいのこと、できて当然なのに……」
統十郎/……柏木くん?
GM/「看守として……機械をいじることぐらい……出来てもいいのに……俺には知識が……無い……」 ブツブツと、薫は何かを自分に言い聞かせています。
統十郎/えっ、えっと……「看守だったら機械いじりは基本」だって言いたいのかな?
GM/そう言いたいらしい。というか、「そうあってほしい」と思っているように見える。
統十郎/……うん……?
GM/さて、統十郎さん。【意志】判定難易度3をお願いします。ファンブルが出なければ成功ってやつですね。
統十郎/ファンブらなければ成功か。(ころころ)ファンブルぅ!? こんなところでファンブルなんて出なくていいんだよ!? り、≪リライト≫を使用!(一同爆笑)
叡斗/しっかりして、統十郎さん!(一同笑)
統十郎/≪リライト≫を使ったので出目を2として扱って、成功です! ひでーな!(笑)
GM/いやぁ、君は本当に期待を裏切らない良いプレイヤーだよ……(笑) 統十郎さんは、ある声の存在を霊的に気付くことができました。「……こちら。教会。教会の。高坂。誰か。聞こえ、て、るか。聞こえたら。声を。誰か……」
統十郎/これは……?
GM/無線は死んでいる。機械は全然動いていない。でも声がするね。……まるで自分の脳内に直接誰かが語り掛けているようだ。統十郎さんの頭に直接「教会の高坂」と名乗る男性が生存者がいないか呼びかけているようです。
統十郎/おおっとぉ!?(笑) き、聞こえてます! どなたか! 教会! 教会の人ですかー!?
GM/「せ、生存者がいた!? ……そこの人! 通信機器が目の前にあるなら、俺の言う通りに機械を動かしてくれ!」
統十郎/は、はい……!
GM/脳内に直接聞こえる声は、機械の修理方法を提示してくれます。君は先ほどの【意志】判定に成功しちゃんと彼の声を正確に聞き取ることができるので、言う通りに修理を進められます。
統十郎/こ、ここをこうして! こうやって! わあ、直ったー!(笑)
GM/通信機器は蘇りました。ジジジとノイズが入って聞きづらいけどね。「良かった、生存者がいたんだ……そちらの状況を聞かせてくれ!」 どうやら君達を救出すべく動いてくれていたみたいだよ。
統十郎/はいっ! 自分は看守の渡瀬統十郎です! 飛行機事故に巻き込まれてただいまシズに居る生存者は6名です!
GM/「こちらで飛行機の乗客名簿とシズ職員の登録メンバーリストを検索する。少し待っててくれ!」 高坂と名乗る男性は慌ただしくも的確な動きで、本土側の職員を動かしているような音が通信越しに聞こえます。……先ほどまで呆然としていた薫は「通信が繋がったんだな」とホッとしてます。
統十郎/うん! 繋がったよ〜!
GM/「これで俺達、助かるんだな……」
統十郎/良かったよ〜、早く叡斗くん達にも知らせに行かなきゃ〜!
GM/通信先の男がもう一度語り掛けてきます。「……失礼。もう一度貴方の名前を言ってくれないか?」
統十郎/はい? 渡瀬統十郎です。
GM/「……渡瀬統十郎。……シズの関係者ではないのか?」
統十郎/……え?
GM/「乗客の名簿にも、そのような名前が無い」
統十郎/……えっと……?
GM/通信の裏で少女の声が聞こえる。「高坂さん。こっちの機械でも検索を開始します」「頼むよ、由貴乃ちゃん」
叡斗/あ、由貴乃ちゃんがいる……!
GM/「なあ、由貴乃ちゃん。渡瀬統十郎っていう人は知ってる?」 男性が尋ねます。そして、少女は答えます。「名字は同じですけど、知りませんね」
叡斗/……え……。
統十郎/(いきなり由貴乃の口調になって)「でも高坂さん、そこに居るってことはシズの関係者ですよね? 私の親戚でそのような名前の人はいませんが〜」
GM/本物の由貴乃ちゃんがそれっぽいキャラロールしてくれた!(一同笑) ……渡瀬由貴乃という少女は、渡瀬統十郎という名前を知らないと言いながら普通に仕事を進めています。
統十郎/…………。
GM/統十郎さん、『イベントキー:外部からの声』を差し上げます。どうぞ。
叡斗/……僕はその光景を、外のつららに写して≪望遠鏡≫で覗いています。
GM/おお、カッコイイ魔術の演出が入った(笑) なら叡斗くんも『イベントキー:外部からの声』をゲットしてください。
叡斗/……統十郎さん! このタイミングでAF判定をしよう!

 『AF判定:調査「棚氷叡斗と渡瀬統十郎」』
  ・使用能力値:【意志】
  ・難易度:13
  ・ラウンド制限:なし

※「イベントキー:違和感」を所持していなければこのAF判定は行なえない。
※「自分自身について考え直す」演出に成功すること。成功した場合、ある事実が発覚する。


GM/このAF判定はシーンプレイヤーでなくても判定可能です。そして叡斗くんか統十郎さんどちらかが成功すれば、どちらも成功した扱いにします。
叡斗/それなら……【意志】が少しでも高い僕が判定をしよう。≪望遠鏡≫で様子を見ていた叡斗が、「僕や陽向の名前はあるんだろうか?」と思わず念を送ります。頼む、渡瀬さん……そのことを聞いてくれ!と≪幻想式≫。
GM/届け、叡斗くんの想い!(笑)
統十郎/あっ、なんかビビッと来た!(笑) あの、他の生存者の名前ですが……と高坂さんに伝えます。
叡斗/統十郎さんが聞いた話で叡斗は推理を始めます。(ころころ)はい、判定成功です!
GM/無事『AF判定:調査「棚氷叡斗と渡瀬統十郎」』が成功できたね。……成功してしまったね。叡斗くんに判定してもらいましたが、二人とも違和感の正体に気付くという演出にします。
叡斗/はい……。
GM/高坂という男は言います。「……やっぱりどちらのリストにも、渡瀬統十郎という名前は無い。棚氷叡斗と橋守陽向、柏木薫いう名前も……無い……」
統十郎/……無い……?
GM/「相庭脩駕……は、あるな」「相庭脩駕というとアレですよね、高坂さん!」という少女の声。「あっ、それなら俺も聞いたことがある。相庭脩駕ってなんか昔、ニュースでいっぱい報道されたような……!」と青年の声もする。
統十郎/万ちゃんも一緒に調査してくれているんだ……(笑)
GM/高坂達は、乗客の名簿を次々と読み上げていきます。ふと、統十郎さんは悪い予感がする。嫌な感情をが胸の中を満たしていく。
統十郎/はい……。
GM/「植田友香、砂田洋次、麦山篤志、酒井正蔵……塩長太一、加山邦和……。斎藤律。澤田幸広」 そういや叡斗くんは、大きなつららで統十郎さん達を見ていると言ったね?
叡斗/はい。
GM/そのつららに、統十郎さんは自分の姿を見る。そういえば……真奈はずっと、『自分のネームプレートを見ていた』気がした。
統十郎/……はい。
GM/ネームプレートに視線を向ける。そこには『渡瀬統十郎』という名前がある……『そう思い込んでいた』。『何故自分は、そこに渡瀬という文字があると思い込んでいたのだろう?』 ネームプレートに刻まれていたのは、『澤田幸弘』という名なのに。
統十郎/…………。
GM/君は自分が渡瀬統十郎と思い込んでいただけで、この体は、本当は、『澤田幸弘』という名前ではないか。
統十郎/……あれ? あれ……?
GM/一方、叡斗くん。君はおもむろに携帯電話を取り出して、0ボタンを押した。そうすれば自分のプロフィールが見られるからだ。
叡斗/……パカリと携帯電話を開きます。
GM/そこにある名前は、『斎藤律』。
叡斗/…………。
GM/何故この字を『棚氷叡斗』と読んでいたのか。自分が棚氷叡斗であると思い込んでいたのか。……2人とも、正気度判定をしてください。難易度は10!

 正気度判定。
 精神的なショックを受けたときに冷静にいられるかの判定。失敗した場合、バッドステータスを始めとするペナルティを受ける。
 『AW4版』で正式ルールとして【理知】+【意志】の合計を基礎値として判定を行なうものになったが、このセッション当時の『3版』では【意志】判定の延長上として行なわれていた。


統十郎/(ころころ)ぶっ、達成値6で失敗です!
叡斗/(ころころ)達成値11で叡斗はギリギリ成功です。
GM/失敗した統十郎さん。今回の正気度判定のペナルティは、【MP】に3D6点のダメージです。自分でダイスロールしてダメージを受けてください。
統十郎/えええーっ!?(ころころ)俺の残り【MP】は13! ダイス目は……ピッタリ13です!(一同爆笑)
GM/統十郎さん、おいしすぎるよ!?(笑)
叡斗/ええええー!? おおい、統十郎さーん!?(笑)
GM/えっと……統十郎さんはあまりのショックで、気絶してしまいます。薫も同様にフラリと倒れました。一方、その光景を魔術で見ていた叡斗くんは……。
叡斗/なんとか持ち堪えました。でも……携帯電話をガシャンと落として頭を抱えます。
GM/陽向が「ど、どうした!?」と叡斗くんに駆け寄るよ。
叡斗/……渡瀬さん達の様子を見てくる。悪いが少し待っていてくれ。陽向達に言った後、食堂を飛び出します!
GM/OKです。何事もなく叡斗くんは崩れかけの本部まで駆けつけると、そこには男性2人が倒れているのを見つけられます。
叡斗/渡瀬さん! 柏木さん! 慌てて駆け寄ります! 【MP】が0になったのなら、『供給』をしましょう!
GM/そうだね、OKだよ。
叡斗/渡瀬さん、渡瀬さん! 抱きかかえて、手を握ります!
統十郎/ありがとう! 3D6点回復するよ。(ころころ)えー……元通りにはならなかったけど10点回復します。
叡斗/叡斗も(ころころ)12点回復しました。
GM/……統十郎さんは目覚める前に、ちょっとした夢を見ましょうか。
統十郎/……夢?
GM/君は今日の朝の出来事を夢に見る。それは、薫と電話をした夢だ。ベッドの上で薫と話をした。楽しい話を。これは夢じゃない。だって彼とは確かにつじつまの合う話をしていたじゃないか。
統十郎/はい……。
GM/薫が空港にいたということ。今日中に島に着くということ。君は彼と話をしていたから知っている。でも、『それを夢じゃないと誰が証明できる』? 薫も同じように倒れた。ということは、薫も自分と同じショックを受けたということだろう。『薫もまた、自分が薫ではないと気付いてしまったんだ』。
統十郎/…………。
GM/彼とつじつまの合う話ができた。だから現実である? いいや違う、つじつまが合うのは当然だ。『だってその会話は、君と彼だけのものなのだから』。
統十郎/…………。
GM/何故君は薫と話を合わせることができた? 出てきた答えはこうだ。『君と彼は、本質的に同じものだったからではないか』。
統十郎/…………。ぱちっと目を覚まします。
叡斗/渡瀬さん……。
統十郎/すまない叡斗くん、ありがとう。……君もこのやり取りを見ていたなら、判るよね。
叡斗/……自分でもよく判っていないけど、頷きます。
統十郎/俺は……渡瀬統十郎ではなくて……。
叡斗/僕も……棚氷叡斗ではない……。
統十郎/……そうみたいだ。そうなんですよね、高坂さん……?
GM/通信先の男性が、ジジジというノイズ混じりの声で話し掛けてきます。「よ、良かった! 目覚めたみたいだね! わ……渡瀬統十郎、さん?」
統十郎/……はい。
GM/「渡瀬統十郎さん。君が……ネームプレートか社員証を持っているなら、名前の下にIDが記されている筈だ。その数字を読み上げてくれないか?」
統十郎/では……ネームプレートに書かれている番号を言います。
GM/それを聞いた高坂は、「……それは、澤田幸弘のものだ」とハッキリ言います。
叡斗/……もう一人確認していただきたい。柏木さんを起こしながら、柏木さんのネームプレートにあるIDを読み上げます。
GM/高坂は「それは加山邦数のものだ」と答えます。「柏木薫という人物はいない」と告げながら。
叡斗/……叡斗の中で一番嫌な仮説が組み上がっているんだけど。
統十郎/うん、統十郎も同じことを考えているよ。言っていいんじゃないか。
叡斗/…………僕達は、相庭脩駕。
統十郎/……相庭脩駕の一人格。俺達は、相庭脩駕の中に潜在的に眠っていた人格の一つ……。
叡斗/田代さんのレポートには、「多重人格であるという自覚の無いものもいる」とあった。
統十郎/その自覚の無いものの一人が……我々であったと。
GM/資料によると自覚が無い彼らは普通の人間として振る舞い、まったく違うクラス配分の能力を使いこなすそうです。高坂の後ろで作業をしていた少女、由貴乃ちゃんの声が割り込んできます。「高坂さん。あの……渡瀬と棚氷という名字は該当しませんでしたが……。少年A、相庭脩駕の中で確認が取れる『トウジュウロウ』と『エイト』という名の人格があるという資料を発見しました」
統十郎/……そっか……。
叡斗/……そういうことか……。
GM/…………。沈黙が重いね。「一つ尋ねる。お前ら」 高坂の声が厳しくなります。
統十郎/はい。
GM/「お前らは食人鬼か」
叡斗/…………。
GM/「食人鬼が1体ではなく、複数人に増えた」
統十郎/…………。
GM/「今のシズには2年前に何人もの人間を食らった鬼が、生存者の半数を占めている。違うか?」
叡斗/……僕は人を食うなどという悪趣味は持ち合わせていない!
統十郎/私も同様に、人を食いたいという衝動はありません。……ですが、あくまで現段階ではの話です。
GM/…………。それを聞いた高坂は、すぐに優しい口調に戻ります。「君達が人を害さない、真っ当に生きたいと思っている人間ならば……たとえ異端であっても救いに行く。待っていてくれ!」
統十郎/はい!
叡斗/助かります。
GM/「明日には必ず!」と、君達から詳細を聞き出した高坂はすぐにでも救助隊を出すと約束します。おそらく4シーン目以降になれば、彼らは平鷲島に上陸することでしょう。以上で通信は終了です。
統十郎/よろしくお願いします……と言って、無線を切ります。
叡斗/ふぅ、これでなんとか救援は呼べた……。だが、僕はまだ納得がいっとらん。
統十郎/ああ。……俺、27歳なんだけどさ。27年間生きてきた記憶が俺の中にあるんだけど……あいつの一部だったんだね。
叡斗/……さっきまで田代さんの体を乗っ取っていた幼子……僕らは彼らと同い年だったということか。なんとも言えないな……。
GM/よろよろと薫が立ち上がります。
叡斗/良かった、気が付いた……。
GM/薫はペタペタと、自分の体を何度も触っています。(薫になって)「ああ……この体は、自分のものではない……何も力の無い……相庭脩駕の一つ……俺は、何も無い人格……」
叡斗/そうか、柏木さんが「一般人の人格」なのか。……もしかしたら陽向も?
統十郎/食人鬼の特徴が相庭脩駕を除いて最も大きく出たのが……陽向くんだった。彼のことも確認しなきゃ。……行こうか。食堂に戻ります。
GM/ざくざくと雪を掻き分けて、3人は食堂に向かいます。


 ●ミドルフェイズ9/叡斗 〜正体〜

叡斗/本部から、暗い顔の男が3人……帰ってきます……。
GM/(陽向になって)「おつかれちゃーん……ん? えっと、レトルトの中華丼を温めたんだけど、食べる……?」
叡斗/……そうだな、せっかく温めてもらったんだし食べるか。
GM/脩駕は見えない尻尾を少しパタパタして帰りを喜んでます。真奈も「おかえりなさい……叡斗くんと、統十郎さん」と微笑みます。その真奈さんの視線は、統十郎さんのネームプレートを一瞬見た気がした。
統十郎/……その視線の意味が判りました。自分でネームプレートをいじります。
GM/真奈は複雑そうな顔をします。
統十郎/真奈さんに言います。……判ったよって。
GM/ハッとした顔で統十郎さんを見上げた真奈は、気まずそうに視線を泳がせます。「……さ、澤田さん……?」 そう、真奈はネームプレートの人物の名を投げ掛けます。
叡斗/真奈さんは……統十郎さんのネームプレートが澤田さんって書かれていることに気付いてたのか。……田代さん、お伺いしたいことがあるんだ。
GM/「何かしら?」
叡斗/本来シズに来る筈だった大学生の名前……ご存知でしたか?
GM/「……斎藤律さんのこと?」
叡斗/…………。判った、ありがとう……。陽向、話がある!
GM/(陽向になって)「おう? 食べてからならションベンでもなんでも付き合うぞ」
統十郎/そうだね、まずはもっしゃもっしゃ食べないと!(笑)
叡斗/レトルトを食べながら話をしようか(笑) ……陽向、お前の覚えていることを全部僕に話してほしい。そう言ってAF判定をします!

 『AF判定:調査「橋守陽向」』
  ・使用能力値:【幸運】
  ・難易度:10
  ・ラウンド制限:なし

※「橋守陽向と交流したり、調査する」演出に成功すること。成功した場合、橋守陽向の秘密が判明する。
※このAF判定を行なうと、同一シーン内では他のAF判定は行なえない。


叡斗/みんながいるところで話すのが嫌なら≪不可視の領域≫でも使おう。……相庭くんや田代さん、柏木さんに聞こえたくないと言うなら、話が外に漏れないように軽い結界を張る。
GM/他の人に聞こえさせないようにするのか。なら結界の中に入っているのは、叡斗と統十郎と陽向のみにしようか。近くにいるけど他の人達にはこの会話は聞こえません。
叡斗/もしかしたら脩駕は気付くかもしれないけど、周りを伺うという意味で≪全方位視覚≫。それと……陽向のことは何があっても自分が守ろうと誓って……≪英雄の宣言≫と≪元素の陣形≫を使う。
GM/自分の能力に自信を持って、君は陽向と向かう。難易度は2まで下がったよ。
叡斗/判定をします。(ころころ)【幸運】達成値9で成功です!
GM/余裕で成功することができました。もっとファンブルを出してもいいのよ?
叡斗/もう大丈夫です!(笑) 陽向はどんな話をしてくれますか?
GM/まず陽向は、「実はオレさ、家が魔法使いなんだよ〜」って話をします。
統十郎/そういやそうだったね……(笑)
GM/「なんでも? おばあちゃんが? せかいつかい? ってヤツらしくって?」と、陽向自身あんまりよく判っていない話をします。「なんかオレも才能があるらしいんだけど、よく判らないんだ」
叡斗/『AF判定:調査「橋守陽向」』に成功していたら、陽向が[世界遣い]だって話が聞けたんだな。
GM/うん。でもこれは一回ループした君達にはおさらいみたいになっちゃったね。……陽向は深呼吸をして、何かを思い出しながら話します。「オレも魔法を使って、この事態をどうにかしたいけど……そうだ。あの金髪碧眼の男、ルージィルって人は、オレ達をループさせるときにあることを繰り返し言っていたんだ」
叡斗/……ルージィルさんが何を?
GM/『悲しい魂を救うために私は手を差し伸べた。貴方は不幸になってはいけない。幸福に生きなければ意味が無い』と。
叡斗/…………。陽向は、本当はスキーに行く予定だったんだよな。
GM/「そうだよ、スキーには友人と行く予定でさー」とレトルト食品を食べながら陽向は話してくれます。……だけど、何故か友人の名前が一向に出てこない。どこの待ち合わせなのかも一切話しません。
叡斗/……そうか。
GM/そういえば陽向は……オープニングフェイズでも「途中で考えるわ!」など、投げやりな受け答えをしていたことを思い出します。陽向は表面的な話しかしない。混み合ったことは一切言わない……いや、言えないんじゃないか。
叡斗/……実は叡斗も「到着したら何を食べる?」には「着いたら考える」でしたね。あれ、これって伏線?(笑)
統十郎/うん、伏線だね。うまい具合にいったね(笑)
GM/統十郎さんの目から陽向を見ていると、まるで「看守として機械をいじれるぞ」と言っていたのに実際機械を前にして何もできなかった薫と同じものに見えるよ。
統十郎/……ということは、やっぱり……。
GM/「なあなあ、さっきから二人とも怖い顔をしてるよな。……柏木さんも判っちゃいけないことが判ったような感じじゃん? 顔面蒼白だし……。何かあったの?」
叡斗/……陽向。携帯電話を出せ。
GM/「えっ?」
叡斗/プロフィール画面を見せろ。
GM/言われた通りにピッピッピと操作する。そこに映し出された登録者の名前は『橋守陽向』ではなく、『塩長太一』だ。
叡斗/塩長太一。
GM/「……え?」 叡斗が何を言ってるか判らない、そんな顔で陽向は携帯画面をもう一度見る。目を見開く。……何故自分は橋守陽向だと名乗っていたのか。どうして自分を橋守陽向だと思い込んでいたのか。……判らなくて、震え始める。
叡斗/陽向っ! ……手を掴みます!
GM/「あ……あれ……お、オレ、橋守陽向……だよね……えっ……?」
叡斗/……お前は専門学校の学生で、これからスキーに行く予定だった。
GM/「う、うん……!」
叡斗/……でも、その記憶は橋守陽向じゃなくて、塩長太一のもので……。
統十郎/……というのは?
叡斗/田代さんが言っていた。一つの器で複数の魂が争い合うから拒否反応が起きて死んでしまうと。つまり、僕達に拒否反応が無いのは……『本来の魂は事故で死んで、あるべき魂が器に無かったから』じゃないか。
統十郎/……そう、だね。そうなんだ……。
叡斗/僕の場合は斎藤律という学生、貴方の場合は澤田幸弘という看守の記憶を貰った状態で、人格だけ交換しているから……と仮説が立てられる。
統十郎/相庭脩駕の人格の一つが別の体に入って、その体の記憶を丸ごと自分のものだと思いこんだってことか。だから拒絶反応は起きない。でも違和感がある。……ショックだなぁ。んなにハッキリとしたアイデンティティがあるのに、俺達は、相庭脩駕なんだね。
GM/「…………。は、はは、よく判んないことになったな!」 笑いながらも陽向は俯き、黙り込みます。「なあ……き、救助の人は明日助けに来てくれるって言ったんだよな? でも……俺達、このまま生きてていいと思う?」
叡斗/……僕も同じことを考えていた。だって僕達は、相庭脩駕の人格。本来だったら……あの日、飛行機が落ちた日に、田代さん達の手で処分される運命だったんだ。
統十郎/……しかも、相庭脩駕自体は統合されることを望んでいる。
GM/「オレ達は橋守陽向だって、棚氷叡斗だって、渡瀬統十郎だって思っている。……でもこの体って、塩長太一のもので、斎藤律のもので、澤田幸弘のものなんだよ。……どう思う?」 陽向は怯えながらも、2人に尋ねます。
統十郎/……とりあえず俺が思っているのは、相庭脩駕のもとに戻って一つにはなりたくないな。
叡斗/やはり複雑か?
統十郎/俺が一番嫌なのは、彼の体に戻ったことで食人鬼になってしまうことなんだよね。俺は、戻りたくないね……。
GM/「じゃ、じゃあ……統十郎さんは、澤田幸弘さんの体を使ってでも生きる……ってこと?」
統十郎/……いいや、そうじゃなくて……。
GM/「叡斗は? 斎藤律として生きられるの? 斎藤律の家族と出会って、どんな顔をしていられるの……?」 多少なりともそれまでの記憶が知識としてあるので、生活は出来ないことはないでしょうけど。
叡斗/それは……。
GM/「……オレ達は、これから生きていける? 金髪碧眼の男が言ってくれたような、幸福に生きることができるかな……?」
叡斗/……その金髪碧眼の男は救いの手を差し伸べてくれたのではなく、死神だったのかもしれないな(笑)
GM/ルージィルさんは『悪しきものでも幸せに生きるためにループをさせる』存在だからね(笑) 「……なんかさー、どうにかしてハッピーエンドになるっていう手段は無いのかね!?」と陽向は投げやり気味に笑いします。
叡斗/いい感じにハッピーエンドになる手段か……。
統十郎/あ。
叡斗/ん? どうした?
統十郎/……≪贄の儀式≫で、≪世界創造≫か。
叡斗/うっ! ……ようするに僕は斎藤律ではなく、棚氷叡斗として生きるように世界を書き換えろと?
統十郎/元から世界には棚氷叡斗と渡瀬統十郎と橋守陽向がいたように書き換えることも、できるね。……それは流石に気分が悪いかなぁ。
GM/「オレはそれ、ありだと思うよ!」
叡斗/……陽向。
GM/「そのっ……救出してくれる人が実はオレ達を処分するかもしれないんだし!? それに、騙し騙し生活をしていく自信がオレには……無いし……。それよりかは『せめてこの記憶を消す』とか『みんなから変な目で見られないように世界を書き換える』とか……!」
統十郎/そういうことも出来るけど……。
GM/では、今からちょっとメタな会話を陽向にさせるよ。「あれ……そういや、≪世界創造≫って、相庭脩駕ってできるの?」
叡斗/えっ?
GM/「相庭脩駕は[世界遣い]なの?」
統十郎/相庭脩駕は……(メモを見ながら)データ的に[狂戦士/処刑人/異端者]で……あれ? [世界遣い]じゃないぞ? ……≪世界創造≫できない?
GM/「違う。できるんだ。……オレが[世界遣い]だから。そっか……オレはできるんだ……代償さえあれば……!」
叡斗/おい、陽向! どれだけの代償が必要になると思っている!?
GM/「代償ならここにいっぱいいるじゃないか!」 陽向は外を指差します。
統十郎/……死者の魂。不慮の事故によって死んだ……150個の魂。充分すぎる程だ。
GM/「叡斗は……統十郎さんは、どうしたい? チャンスが目の前にあるんだよ。でも……2人がやめろって言うなら、オレはやらない。……1人でするなんて怖いから」 そう言って、興奮しきった陽向は涙をボロボロ流しながら崩れ落ちます。
叡斗/……今は、陽向の背中を摩ることしかできない。
GM/……さて、ここでGMからまとめさせていただきます。

 君達は、死者の体に乗り移った相庭脩駕です。
 本来、君達はこの世界で一人の人間として生きることができなかった存在でした。
 この世界には、棚氷叡斗と渡瀬統十郎と橋守陽向と柏木薫という人間はいません。
 エイトとトウジュウロウとヒナタとカオルという魂は、心霊治療によって浄化される予定でした。

 相庭脩駕は、君達のために≪贄の儀式≫を使ってもいいと話しています。
 橋守陽向は、君達が許可するなら≪世界創造≫を使ってもいいと言い始めました。

 自然災害で亡くなった150人の死。
 異端と関係無いため、世界は巻き戻らない。「この死を使おう」と2人のNPCは君達を誘う。
 150人の魂を使った≪贄の儀式≫なら、確実なものとなる≪世界創造≫は何でも願いが叶えてくれるでしょう。
 これからの雪崩を回避し、救助されるであろう君達は……どうするべきか。


GM/それをプレイヤーに問いかけます。さて、今から『アウトレイジエリア』のクライマックスフェイズを開始します。……なあ、今回は戦闘シナリオじゃないって言ったのはこれだよ。
叡斗/なんという壮大な大喜利!(一同笑)
統十郎/え、エグイ! 大当たりの宝くじを目の前にしてどうするっていう相談会ですよね!? ユー、使っちゃう!?(笑)
GM/その宝くじだかクーポン券やらの6・6・6は、150人の魂をもとにして作られている訳だがな。
叡斗/なんか……ルージィルさんが考えそうなことだ。「150人の死は回避できないから、救える人だけでもやっておくか」みたいなテンションなんでしょう!?(笑)
GM/その通りだよ。……まあ、ルージィルさんにもちゃんとした考えはあるよ。君達がループして健闘するおかげで、真奈という「異端に殺された女性」は救えるんだよ。
叡斗/あ、そっか。赤子は食人鬼という異端だから……。
GM/龍の聖剣やルージィルは「異端によって殺される悲劇を回避するために」働く人達。田代真奈は「食人鬼に器を乗っ取られたせいで拒否反応を起こし死んでしまった被害者」。……正直に申してしまえば、ルージィルは「田代真奈という救えるたった1人を救うために」橋守陽向をループさせたんです。
統十郎/な、なるほど……。
GM/ちなみに、なんでPCではなくNPCの陽向が『ループの核』なのかというと……2人プレイセッションで代償ありのループはキツイからというGMのメタ思考と、「≪世界創造≫が使える[世界遣い]だからルージィルと会えるよね!」という考えからです。
叡斗/うん、納得はできた。でもヤバイ、どうしよう……全ての力はこの手の中に……!(笑)