アナザーワールドSRS・リプレイ・アウトレイジエリア
■ 後半戦 1ページ ■
2013年11月23日




 ●プリプレイ

GM/『アウトレイジエリア』後半戦セッションを始めます。いきなりですがプレイヤーのお二人に、エキストラキャラクターの名前を決めてほしいのです。
統十郎姿の叡斗/どういうことです?
GM/犠牲者の名前を羅列するシーンで使いたいんですよ。名前をつらつらと並べていくと雰囲気が出ると思って。……正直に言うと私、キャラの名前を決めるのが本当に苦手なので助けてほしいんだ。
叡斗姿の統十郎/ああ、なるほど(笑) そしたらフルネームを何人か考えた方がいいですね。紙に名前を書いていけばいいかな。
統十郎姿の叡斗/犠牲者の名前か、考えるのが辛い……。何人ぐらい書けばいいですか?
GM/10人ぐらいいると助かる。
叡斗姿の統十郎/こんな名前とか、こういう名前はどうですか?(言いながら、なちこと一緒の名前を書いていく)

 ・澤田幸広
 ・植田友香
 ・斎藤律
 ・加山邦和
 ・江崎博子
 ・丸山静江
 ・塩永太一
 ・砂田洋次
 ・麦山篤志
 ・酒井正蔵


GM/(10人ほど名前を書いてもらって)……よし、ありがとう。では後半戦セッションを始める前に、マスターシーンを読み上げます。
叡斗姿の統十郎/はい!

 教会では多くの人間達が慌ただしく駆け回っている。皆、悲鳴を上げるように状況を確認し合っていた。
 「飛行機が墜落!?」「シズに激突しただって!?」「生存者は!?」「絶望的……?」「あの飛行機には100人近い乗客が乗っていたんんだろ?」「シズには50人の職員がいたというのに……」

 一人の青年が、教会の仕事斡旋人・高坂に声を掛ける。


「高坂さん! 何かあったら俺に言ってください! 出来ることがあれば協力します。平鷲島って異端刑務所がある場所でしたよね? そんな所が事故に遭ったら危ないんじゃ……!」
「そうだね、万里くん。スキーへ遊びに行く予定だった君に協力してもらうのも申し訳無いけど、いざというときは君にお願いするかもしれない」


統十郎姿の叡斗/ぶふっ、万里……お前もスキーしに行ってたのか!(笑)
叡斗姿の統十郎/万ちゃん、スキーしそうだもんな(笑)

 最悪の状態だった。その惨状に万里だけでなく、居ても立っても居られない少女がいた。

「高坂さん。現在通信機器は全てダウンしている模様。外から連絡を入れることは不可能です」
「由貴乃ちゃん……」


叡斗姿の統十郎/おおっ、由貴乃だ!

「ですが、異端刑務所の装置が全て破壊されたとしたら、使用制限がかけられていた異能が届くかもしれません。高坂さんの力で平鷲島を視ることは可能ですか?」
「ああ、確かに俺は[霊媒師]だから≪千里眼≫を持っている。難しいがやってみよう」

 高坂は目を閉じ、意識を遠くの惨劇に集中させる。
 目に入る光景は……雪山。爆発。砕け落ちた胴体。バラバラの死体。……彼は、呟く。

「なんだ……あの、真っ青の光は? 青い光……巨大な霊魂? 違う……大きなものじゃない、あれは全て犠牲者の魂なんだ……。危険だ! あれほどの無念の魂が一つの場所に集中していたら、恐ろしいことが起きてしまうかもしれない……!」

叡斗姿の統十郎/高坂さんって≪千里眼≫持ちなのか。まかり間違ってギシアンなことをしていると見られるってことだな。
GM/(高坂になって)「なんで俺、必死に仕事してるのにそんなの覗かなきゃいけないの!?」(笑) ていうかなんで第一声がそれかな!?
統十郎姿の叡斗/高坂さんに見られるならいいですよ、良識的な大人だし。……でも、由貴乃ちゃんが隣で聞いてるんだぞ!?(一同笑)
GM/話を戻します!(笑) 今回ゲストキャラクターということで、なちこのPCから『サークルビショップ テラー』の伊賀崎万里さん、辰巳のPCから『ギフト メモリーホール』の渡瀬由貴乃ちゃんを出演させていただきました。
統十郎姿の叡斗/実際に会えるかは、このセッションが終わってからでしょうね……(笑)


 ●オープニングフェイズ/叡斗&統十郎 〜再スタート〜

GM/前回のエンディング直後から始めましょう。強くてニューゲームができた君達と陽向は、残っている布団や食糧を素早く回収して食堂に集め、数日のキャンプをする準備を整えます。
統十郎姿の叡斗/この状況では寒さと空腹が大敵だからな。非常食を食べて、毛布で体を包んで、今後の方針を決めなければ……!
GM/そうそう。なので前回のループで入手した『イベントキー:事故現場のメモ』など、必要備品を用意しておいて構いません。……陽向も積極的に君達の手伝いをしてるね。食堂で頑張って火を起こそうとしてるよ。
統十郎姿の叡斗/貸してみろ。こうして、こうして、こうだ。ボッ!(笑)
叡斗姿の統十郎/す、スゴーイ! 叡斗くん、何でも出来るんだねー!?
GM/陽向より統十郎さんの方が喜んでるね?(笑・陽向になって)「これで今日一日は無事に過ごせそうだな。……でも、4シーン経つと」
叡斗姿の統十郎/雪崩が来るんだよねぇ……。
GM/「でも、一度見たものだから回避するのはラクだな。雪崩が起こるって判ってるんだもの!」

 『AF判定:雪崩から逃れる』
  ・使用能力値:【体力】
  ・難易度:10
  ・ラウンド制限:なし

※「雪崩に巻き込まれないように逃げる」演出に成功すること。成功した場合、雪崩による危機を回避して新たな状況に進む。
※このAF判定を行なうと、同一シーン内では他のAF判定は行なえない。


統十郎姿の叡斗/新しいAF判定が提示されたぞ。……雪崩が来る前に逃げればいいから楽勝だな。
GM/雪崩が起きる前の4シーンは、食堂を拠点に活動してもらいます。さて、AF判定を改めて提示しましょうか。

 『AF判定:調査「橋守陽向」』
  ・使用能力値:【幸運】
  ・難易度:10
  ・ラウンド制限:なし

※「橋守陽向と交流したり、調査する」演出に成功すること。成功した場合、橋守陽向の秘密が判明する。
※このAF判定を行なうと、同一シーン内では他のAF判定は行なえない。

 『AF判定:調査「相庭脩駕」』
  ・使用能力値:【意志】
  ・難易度:現在10
  ・ラウンド制限:なし

※「相庭脩駕と交流したり、調査する」演出に成功すること。成功した場合、相庭脩駕の心情が判明する。
※このAF判定を行なうと、同一シーン内では他のAF判定は行なえない。

 『AF判定:調査「柏木薫」』
  ・使用能力値:【理知】
  ・難易度:10
  ・ラウンド制限:なし

※このAF判定を行なうと、同一シーン内では他のAF判定は行なえない。
※この判定を行なうには、柏木薫と信頼関係でなければならない。そのため、元の姿に戻っていなければ行なえないものとする。
※「柏木薫と共に時間を過ごす」演出に成功すること。成功した場合、柏木薫がとある提案をしてくる。

 『AF判定:調査「田代真奈」』
  ・使用能力値:【幸運】
  ・難易度:30
  ・ラウンド制限:なし

※「田代真奈と共に時間を過ごす」演出に成功すること。成功した場合、田代真奈が持つ情報を入手する。
※このAF判定を行なうと、同一シーン内では他のAF判定は行なえない。


統十郎姿の叡斗/こうして見てみると、NPCに関する判定を全然やってないな。
叡斗姿の統十郎/そういえば……『供給』をしておかないとお互いの【HP】と【MP】がヤバイよね?
統十郎姿の叡斗/重々しく頷く。お互い【HP】と【MP】が1同士でお揃いなんだ(笑)
GM/メインフェイズに入る前にこのタイミングで『契約』と『供給』を可能とします。
統十郎姿の叡斗/早速『契約』をしよう。この状況を打破するためには令呪を使いこなさなければならん。
叡斗姿の統十郎/どっちがマスターになる? 叡斗が範囲回復とダメージ軽減を持っているし、サーヴァントになった方が良いかな。で、でも、俺がマスターになっちゃうけどいいの!?
統十郎姿の叡斗/もっと自信を持ってくれ、年長者だろ!(笑)
叡斗姿の統十郎/そっかぁ! けど年長者の自信だけで押し切っちゃっていいの!?
統十郎姿の叡斗/いいに決まってるだろ! 頼りにしていますよ。
叡斗姿の統十郎/よ〜し! 大船に乗った気持ちでどうぞ! レッツ契約!(笑)
GM/『契約』完了です(笑) キャラクターシートにお互いのお名前をお書きください。
統十郎姿の叡斗/……シッポと耳が垂れさがっているのが見える。大丈夫、統十郎さんは泥船じゃない、大丈夫……(一同笑)
GM/その『契約』の握手と同時に、『供給』したことにしましょう。契約関係なので【HP】と【MP】を3D6点回復できます。
統十郎姿の叡斗/(ころころ)6・6・4だから16点回復だ。助かったー。
叡斗姿の統十郎/ちゃんちゃかちゃーん!(ころころ)おお、13点も回復だ。
統十郎姿の叡斗/BL的なことを言っていいですか? ……供給ならもっと効率的なやり方があるぞ。かくかくしかじか(笑)
叡斗姿の統十郎/ええーっ!? そんなぁ! そういうのは結婚した後にやるんだよ!
統十郎姿の叡斗/思ったより年上感が無かった(笑)


 ●ミドルフェイズ7/統十郎 〜違和感〜

叡斗姿の統十郎/統十郎がシーンプレイヤーになります。まず『イベントキー:剥奪の魔導書の使用』を行なって、元の体に戻ります!
GM/魔導書の使用は1シーンに1回まで可能です。AF判定をするより先に入れ替わるのかな? GMはどっちでも構わないんだけど。
叡斗姿の統十郎/先に入れ替わります!
GM/了解です。魔導書の使用ですが、覚えた魔術を唱えるだけです。統十郎さんは魔導書を開き、取得した魔術を読み上げます。代償を払ってください。
叡斗姿の統十郎/代償は3HPでしたね。エクスチェンジ、元に戻れーい! カッ!(一同爆笑)
統十郎姿の叡斗/本当にそれで良いのか!?(笑)
叡斗姿の統十郎/GM、リプレイにするときはここをカッコイイ呪文を唱えていてもいいですよ。
GM/『ドロリア』のときと同じこと言ってるじゃねーか!?(一同笑) 2人は目を開けると……大きかった手は小さくなり、小さかった手は大きくなり、着ている服も違うものになっています。
統十郎/やった、戻った……。
GM/だがしかし! ……2人とも、違和感に襲われる。
叡斗/えっ。
統十郎/……違和感?
GM/……叡斗は思う。ちゃんと自分の服を着て、自分の身長の目線に戻ってくる。でも何か、モヤモヤする。統十郎さんも同じだ。警備員服を着て、いつもの自分の体になった筈なのに……違和感が拭えない。
叡斗/統十郎さんにボサボサにされていた髪を直します。……本当に、元に戻ったんだよな? 統十郎さんに訊くように呟きます。
統十郎/ああ、その筈だけど……。さっきまで自分と向き合っていたけど、今は自分の体になっているよ。
GM/元に戻った筈なのに喜べない自分達がいる。そして新しいAF判定が追加されます。

 『AF判定:調査「棚氷叡斗と渡瀬統十郎」』
  ・使用能力値:【意志】
  ・難易度:13
  ・ラウンド制限:なし

※「イベントキー:違和感」を所持していなければこのAF判定は行なえない。
※「自分自身について考え直す」演出に成功すること。成功した場合、ある事実が発覚する。

統十郎/ええっ!? またAF判定が増えた!?
GM/気を付けてほしいのが、「※このAF判定を行なうと、同一シーン内では他のAF判定は行なえない。」という文章がありません。
叡斗/あっ!? 本当だ。他のAF判定のついでに判定できるんですね? ……まあ、元に戻れたのだからこれである程度負傷しても諦めもつく。前回のループでは統十郎さんの体で肩と足を駄目にしているんで申し訳無かったからな(笑)
統十郎/俺も君の体で素手攻撃してたからね!(笑)
叡斗/あんなにテンション高い自分を見るのは、あれで最初で最後だと思いたい……(笑) 違和感の正体は後々判ることだろう。今は出来ることをするぞ。
統十郎/そうだね。では統十郎は続けて『AF判定:調査「田代真奈」』に挑戦します。

 『AF判定:調査「田代真奈」』
  ・使用能力値:【幸運】
  ・難易度:30
  ・ラウンド制限:なし

※「田代真奈と共に時間を過ごす」演出に成功すること。成功した場合、田代真奈が持つ情報を入手する。
※このAF判定を行なうと、同一シーン内では他のAF判定は行なえない。


統十郎/むにむに言いながら幼児退行してしまった田代さんの近くに行きます。≪+50謹厳実直≫で甲斐甲斐しく世話をしよう。はーい、ご飯だよー!
GM/(真奈になって)「むにゅう……うー!」
統十郎/あーんしてー!
GM/「あーん!」
叡斗/なんだこの微笑ましい光景は。難易度が2下がる音がしたぞ(笑)
GM/説明をしてくれるなんて叡斗は優秀なキャラクターだなぁ(笑) 「うにゅー!」と言っている真奈さんは統十郎さんにとても懐いているよ。これが『プリンセスメーカー』だ(一同笑)
統十郎/≪痕跡発見≫でおかしなことはないか、このようなことになってしまった原因は何か、外見から見て判るものはないか探します。≪違わぬ息吹≫の説明文が「急所を見極め、寿命を調べる」とのことなので、現在の様子を詳しく調べます。
GM/彼女の寿命はこの事件の大きな判断材料になるしね。
統十郎/≪罠師のサガ≫で、何かの仕掛けで彼女が死んでしまうのではないかと危惧します。……幼児退行した田代さんがイタズラをすることってありますかね?
GM/赤ん坊ならあるでしょう。彼女は楽しそうに焚火に手を伸ばします。
統十郎/≪ハヤテの爪先≫でそれを回避! 駄目だよとイニシアチブプロセスで制止させる!(笑) ≪未来視≫で田代さんが火傷を負ってしまう未来が見えたからね。……次に、≪逆転運命≫!
GM/早速何か失敗したよ(笑)
統十郎/見当違いなことを言います。そうだ、頭を打ってみれば治るかも!
叡斗/前のループで陽向も同じことを言ってたな!(笑)
統十郎/じゃあ俺が頭を打ってみよう。
叡斗/何故だ!? もう治っただろ!?(笑) さっきから貴方は一体何なんだって統十郎さんの肩をガックンガックンします!
統十郎/わぁ〜!? 頭がガックンガックン……でも≪破却の理≫を使用して全然痛くなーい!(笑)
叡斗/そのままガクガクしてたら壁にガン!
統十郎/お、俺の回避判定に≪リライト≫! 色々考えた結果、これであっている筈……と≪絶対の自信≫で自分に自信を持ちます! 更に確証を得るために≪的抜き≫で絞り込んで……。
GM/特技を11個使ったから、難易度は8になったよ。
統十郎/これなら! 判定を行ないます。(ころころ)達成値10で成功です!
GM/成功おめでとう。……子供になってしまった彼女には、自分を守るすべが無いなと改めて思い知ります。君達が何とかしてあげなければ、おそらく2ラウンド経過後に死んでしまうだろう。
統十郎/な、なんとかしないと……。
GM/さて君は、彼女の上着の内ポケットに携帯電話があることに気付きます。ドコモのディズニー携帯だね。
統十郎/あっ。
叡斗/イヤホンジャックが可愛いね(笑)
GM/電源は切られている。そりゃそうだ、彼女は統十郎さんと一緒に仕事をしていた……手術前だったんだもの。
統十郎/ゲームがあれば彼女の気晴らしになるかな。試しに携帯電話の電源を押してみます。ピンピロピン。
GM/電源はずっと切られていたので充電はほぼ満タンです。君は携帯電話を操作していると……論文、いや、口語で書かれているので日記に近いデータを発見します。
統十郎/ほう?
GM/『相庭脩駕について』と書かれたデータです。(言いながら、プレイヤー2人に長文のレポート用紙を渡す)
叡斗/(提示されたレポートを見て)うわっ、本格的な論文……そして凄く長い! 字も凄く細かい!(笑)
GM/雰囲気を出して作ってみました。……長い文章だけど、一度だけGMが読み上げるよ。

 『相庭脩駕について』

 項目@:相庭脩駕はDIDである。その中でも彼は特別なケースだ。

 項目A:通常1つの器に1つの魂しか持ちえないのが人間というものだが、その許容量は未知数だ。複数の魂を持つ人間は自分の体という船にいくつも魂を乗せていて、その中から1人、操舵主(表に出る人格)が器を支配していると考えられている。船の中には何人もの魂が相乗りしている状態というケースは、過去にも多く報告されている。

 項目B:魂が複数、器にいる場合とは何か。どのようにそのケースが生じるか。現在確認されているのは、
 「1:外部の魂に乗り移られた場合(異端者の生体侵入など)」
 「2:元あった魂が分裂された場合(過度なストレスを与えるとこのケースが生じる)」
 「3:生まれつき、複数の魂が1つの器に宿る」がある。
 相庭脩駕は大変珍しいケース「3:生まれつき、複数の魂が1つの器に宿る」であった。

 項目C:相庭脩駕は1つの器の中に複数の魂を、生まれつき所持している。多くの人格は異端『食人鬼』として人を食らい感情を得るという本能に従う異端だ。彼を数時間自由な状況に置くと空腹を訴え、人を襲おうとする。だが、とある人格はその異端としての本能を拒もうとする。また、とある人格は、自分にそのような本能があることを自覚しない、自分が異端であることも知らないというものもいる。そもそも多重人格の自覚の無い人格が大半だ。他にも赤子のように言葉を喋らない人格や、近くに居る人間を模したような別人みたいな人格などもあった。

 項目D:主人格『セルフ脩駕』について。異端刑務所で収容されているときの彼(以下、『セルフ脩駕』)は、非常に大人しい性格の男の子だ。
 大人しく聞き分けの良い。意志が強く、異端の本能を抑えきれている。よく本を読み、勉強熱心だ。物知りで、閉鎖的な生活をしていたとは思えない。周囲の人々の様子をよく観察し、細かいことにも気付く(ちょっと神経質?)。弁護士の○○さんや看守の○○さんなどとも親しく話をしているときもある。看護師の私との会話も拒むことはまずしない。
 セルフ脩駕は食人鬼である生まれを「仕方ない」と諦めているようだ。一方で、自分の生まれを拒まず(まるで見せつけるように)話すことから、年頃の少年並みのプライドは欠いていない。前向きな発言も多い。自分のことは嫌いではないらしい。

 項目E:人格によって特異能力の差が出ている。(PC達へ注意:表記はデータ的な書き方をするが、実際のレポート文面はもっと具体的な演出描写をしていると思ってください)
 『セルフ脩駕』は、[狂戦士/処刑人/異端者]の能力を用いるが、別の人格では[聖職者/稀人]、[感応力師/処刑人]、[処刑人/稀人]、[感応力師/聖職者]、[魔術師/世界遣い]、[魔術師/闘士/領域遣い]、[狩人/世界遣い]など多彩な能力を発揮し、何の能力も使えない[一般人]な例も確認されている。お互いを知覚し合うことはできず、また、人格外の能力が使用できないようだ。

 項目F:1体の器に複数魂がいる珍しいケースである相庭脩駕は、これからの特異能力者研究に必要不可欠な存在だ。
 だが、大半の人格が食人鬼の異端としての本能を持っているため、協力はなかなか難しい。
 なので私は『魂の入れ替え』の心霊治療を進め、友好的で社会的な人格には研究の協力を……(以下、12月1日に行う心霊治療の重要性などを訴える内容になっている)


統十郎/ほう……。相庭脩駕の多重人格は、先天的のものだったんだ。
叡斗/生まれつきとは、また大層な……。おそらく僕らが会っている相庭脩駕は、セルフ脩駕だな。
統十郎/今のところはそうだろうね。
叡斗/子供の人格もある……大半は食人、か。渡瀬さん、田代さんが一最初に発見されていたときの話はしたな?
統十郎/うん。……田代さんが死体を食べていたんだって?
叡斗/もしかしたら相庭脩駕の中にいた複数の魂が、別の体に移っているのかもしれない。……実は陽向も、前のループで雪崩が起きるときの様子がおかしかった。僕に喰らいつこうとしていた。空腹を訴えていたし。……感染、というべきなんだろうか。
統十郎/もしや、陽向くんの中にも脩駕の一人格が入り込んでいるという可能性があると?
叡斗/……もう少し調べてみた方が良さそうだ。
GM/さて。『イベントキー:事故現場のメモ』を持っていますか?
叡斗/はい、持っています。
GM/そのイベントキーを所持した状態で『AF判定:調査「田代真奈」』に成功したので、イベントが発生します。
統十郎/おおっ?
GM/食糧や布団を調達する際に手に入れたメモを見つけた真奈は、メモを取ろうと叡斗に手を伸ばしてきます。なになにーって興味津々で笑っているね。
叡斗/うん? なんだ、人のポケットに……。大したものは入っていないぞ。メモを出してみせます。
GM/最初はこの紙は何だろうって子供らしくニコニコしています。だけど、次第に目を見開く。一瞬、子供のようなポカンとした顔ではなく……大人のような意識がハッキリした目になっていく。
統十郎/あっ。
GM/ガクンッといきなり頭が下がります。
統十郎/田代さん!? う、受けとめます!
GM/「わ、私は!? 一体!?」 彼女が、ちゃんとした日本語が喋り始めます。
統十郎/た、田代さん!? 大丈夫なんですか!?
叡斗/お名前は!? 生年月日や出身地を訊きます!
GM/「……ま、真奈。田代真奈……」 彼女は体をガクガク震わせながらも、ちゃんと受け答えします。
統十郎/わーわー!? 戻ったー!? 応急手当をしまーす!? あーあーあー!?(笑)
叡斗/お、落ち着くんだ! わーわー!?(笑)
GM/ありがとう、2人の懸命の処置に落ち着いていくよ(笑) 彼女は「もう、大丈夫よ……」と大人な応対ができるようになります。
統十郎/良かった! ……田代さんに今までのこと、飛行機が墜落したことや幼児退行していたことを話します!
GM/「……ええ、そうなんでしょうね。なんとなくだけど、私……違う視点で貴方達を見ていた気がするわ」 言いながらも、彼女は受け取ったメモをじっと見つめています。
叡斗/このメモがキーになるとは思わなかった。何か大事なことでも?
GM/彼女は震える声で言う。「……これ、夫の字なの」
統十郎/だ、旦那さんはパイロットさんだったんですね!?
叡斗/サーッと血の気が引きます。あ……ハンドアウトに『人妻である』って書いてあったもんな! そうだ、メモには『妻の名前が書いてある』ってあった!(笑) ……旦那さんが貴方を連れ戻してくれるとは。
GM/おい、その言葉だけでGM泣いちゃうわ(笑) 「……人間の体という船の中に魂は基本的に1つ。でも、複数魂を搭乗させることはできるの。ただし、表に出られるのは操舵主である1つのみ。他の魂はメインになっている魂が船を動かしている手段を横から見ていることしかできないの。……だから、間接的にだけど貴方達の話は聞いていたわ」
叡斗/その、さっきまで貴方の体の操舵主になっていたというのは……?
GM/「幼稚な……ずっと表に出たい、もっとご飯をいっぱい食べたいという本能しか持ち合わせていない、相庭脩駕の人格。名前も与えられていないほど赤子よ」
統十郎/そのご飯って当然のことながら人間ですよね?(笑)
GM/「そうよ。あの赤子はずっと人を食いたい、食いたいと泣きじゃくっていたわ……。そうでしょうね、相庭脩駕は2年間、人間を食べていなかったんだから。……私の携帯電話を見たわね?」
統十郎/あっ、勝手にすみません。
GM/「いえ、読んでくれたから説明の手間が省けるわ。……先に言っておくわ。私は長くない
統十郎/えっ……!?
GM/「他者の魂が他者の器に定着することは、まずないとされているの。1つの器に複数の魂がいる場合、皆が操舵席を奪い合って……そのときの拒否反応で器の方が先に死んでしまうと言われている。……またあの赤子は私を乗っ取ろうと暴れている。きっとこのままだと器の方が耐えられなくなって……私の多分あと数時間、2ラウンドまでの命よ
叡斗/なんということだ、どうすれば……!
統十郎/『イベントキー:剥奪の魔導書の使用』で勝手に入ってきた魂をポイッとすればいいんだよ!
GM/その通り。ただし、『イベントキー:剥奪の魔導書の使用』は1シーンに1回まで。このシーンは叡斗くんと統十郎さんに使ったから、次の統十郎さんのシーンになるまで真奈は救えない。
統十郎/ということは、真奈さんは死んじゃうってことじゃないか……。
GM/安心して。意識が戻った彼女が現れたということで救うチャンスはあるから。
叡斗/それなら……。前のループで空腹を訴えていた陽向のことが脳裏をよぎります。彼の体にも他者の魂が入られている可能性が高い!
統十郎/か、柏木くんはどうなんだろう……?
叡斗/今のところは大丈夫じゃないか。……でも、田代さんの日記によると『一般人』の人格もいるらしい。それが柏木さんの可能性も捨てきれない。
統十郎/そ、そうだったー! どうしよー!?(笑)
GM/盛り上がっているところ悪いけど、真奈がおずおずと口を挟んでくるよ。「……あ、あの。話の腰を折るようで悪いけど……お名前を聞いてよいかしら?」
叡斗/あ、すまない。僕は棚氷叡斗。このシズに取材をさせていただこうと思って来た大学一年生だ。
GM/「そ、そうなの……」 何かを考えている顔をします。「……貴方は?」
統十郎/え? 俺は渡瀬統十郎ですよ。前に会ったじゃないですか。相庭脩駕の護送で……。
GM/「……へえ……」
叡斗/……あれ? 覚えてらっしゃらない? 記憶が混濁してるのかな?
統十郎/お、俺、シズの看守ですよ! 元々いた看守の代役で来たんです!
GM/「……そ、そうなの」 真奈は、目を泳がせます。そして統十郎さんの体のどこかを見ています。この違和感に気付いた2人は、『AF判定:調査「棚氷叡斗と渡瀬統十郎」』をしましょう。何かが判るかもしれないよ。
叡斗/それをするためには、『イベントキー:違和感』が必要な訳で……(笑) 彼女は[霊媒師]ではなかったな? 僕達の背後に霊がいるとかいう訳ではないか?
GM/ハンドアウトでも書かれているように、真奈は[魔術師/聖職者/処刑人]だ。
統十郎/……俺達の中にも食人鬼の魂が潜んでいるって思ったのかもしれない、とか? ほら、さっきのレポートに俺と同じクラス配分の魂がいるんだよね、[狩人/世界遣い]のさ!(笑)
叡斗/なんということだ、僕と同じ[魔術師/闘士/領域遣い]もいるぞ!(笑)
GM/……冷静を取り戻し始めた真奈は、赤子に体を乗っ取られる前のことを話し始めるよ。「多分、私の中に赤子の魂が入り込んでしまったのは……心霊手術の魔法陣が暴発したからでしょう」
統十郎/心霊手術の、暴発?
GM/「シズでは『相庭脩駕から人に害をなす人格を引き離す儀式』をしようとしていたの。もう既に手術室には術式が完了していて、あとは相庭脩駕本人と手術に参加する私達が移動するだけだった。でも飛行機が突っ込んで、大きな爆発のせいで……術式がひっちゃかめっちゃかになったのよ」
叡斗/なるほど、その術のせいで僕らも入れ替わってしまったんだな。……田代さんと普通に話せるのがこんなに安心するなんて!(笑)
統十郎/田代さんが恐慌状態から元に戻ったって、柏木くん達も安心するだろうね!


 ●ミドルフェイズ7/統十郎 〜告白〜

叡斗/前回のループで失敗してしまった脩駕の判定に、今度こそ成功しよう。田代さんが元に戻ったというのをみんなに説明します。
GM/陽向も薫もみんな「良かったー」って言ってるよ。
統十郎/田代さんは相庭くんの主治医っぽいこともしていたんだよね? 様子を見てもらうってことで一緒にシーンに登場させるのはありですか?
GM/OKだよ。じゃあ陽向は「今度はオレが外を探索してくるぜ!」と言い、叡斗くんに治療してもらった薫は「いつまでも寝ている場合じゃないな。行ってくる」と2人で出て行きます。
叡斗/柏木さん、すみません。陽向をよろしくお願いします。
GM/(薫になって)「任せて。……統十郎、何かあったら言ってくれよ」と心配した目を向けます。
統十郎/うん。よろしくね。
叡斗/さて、4人で焚火を囲みながら。あー……相庭くん。
GM/脩駕は「うん?」と大人しそうな声で叡斗くんを見ます。
叡斗/さっき田代さんが言っていた心霊手術の暴発のこと、君の中にいた人格が外に飛び出したことを話します。
GM/「…………」 脩駕は大人しくその話を聞きます。
叡斗/……すまない、別に君を責めているつもりはないんだが知っておいてほしいと思って。
GM/顔を俯かせます。「面倒くさい体ですみませんね。生まれつきなもんだから……何を言ったらいいか」
叡斗/その表情を真剣に受けとめます。……出来れば、君の話をちゃんと聞きたい。元々僕は君の話を聞きにこのシズに来たんだかな。
GM/おお、そう繋げたか。それではAF判定をやっちゃいましょう!

 『AF判定:調査「相庭脩駕」』
  ・使用能力値:【意志】
  ・難易度:現在10
  ・ラウンド制限:なし

※「相庭脩駕と交流したり、調査する」演出に成功すること。成功した場合、相庭脩駕の心情が判明する。
※このAF判定を行なうと、同一シーン内では他のAF判定は行なえない。


叡斗/難易度10、今度こそ成功させたい!
統十郎/でもまた難易度を下げていこう! もし失敗しても俺が≪逆転運命≫があるし、ファンブルしても≪リライト≫があるよ。
叡斗/わあ、統十郎さん心強い(笑) では……脩駕くんにとっては辛い話で責めるような言い方になってしまったのを≪−50粗野≫でうまくカバーしたい!
統十郎/≪+50粗野≫じゃないから、責める姿勢にならない!(笑)
叡斗/僕の【HP】は減っている。でも持ち前の≪氷河の城≫と≪熱血の防壁≫を持っているので暑さ寒さはなんとかなる。
GM/それだけ使えば、難易度は4まで減少したよ。
叡斗/それならイケる!(ころころ)……よし、達成値13です!
統十郎/成功だ、よーし!(笑)
GM/叡斗くんは脩駕の心に訴えて、君の話をしてくれ、何でも話してくれと頼んでくれました。俯いていた脩駕だったけど、次第に視線を上げていきます。
叡斗/良かった……叡斗もほっとします。
GM/真剣に聞き入ってくれる叡斗くんと、茶化さず傍に居てくれる統十郎さん。本調子ではない真奈は後ろで毛布にくるみながら君達の話を聞いています。食堂で焚火を囲って、毛布にくるみながら……脩駕は色んなことを話します。
統十郎/どんな……?
GM/脩駕は物知りだね。読書が趣味だし、可能なら刑務所でテレビや映画も見ていたし、周囲の色んな人達を観察していたようだ。
統十郎/ほうほう。
GM/だから結構色んなことを知っている。叡斗くんが話してくれた学校や宿題の話をうんうんと判ったように頷いている。統十郎さんの看守としての生活も殆ど知っているかのような目をしてる。……ただ、真奈の話だけは頷かないかな?
叡斗/流石に看護師までいくと専門知識が多いですからね(笑)
GM/…………そういうことだね。そして話は、脩駕自身の話になります。「オレの中には、オレがいっぱいいる。……その半数が、食人鬼という異端。人様に迷惑をかけていた連中だ」
叡斗/うん……。
GM/「人として生きていきたいという心は確かにある。でも、異端として葛藤せずラクに生きたいという心もオレにはある。……なんで生まれつきこんなに苦労しなきゃいけないんだろうね?」 苦笑します。
叡斗/……僕自身も不公平だなと思うことはある。努力しなくても恵まれている人間もいれば、努力しても報われない人だっている。けど、その不公平を理由に他者を害することを、僕は認められない。
GM/「それは当然だと思う。……ああ、でもラクになりたい。どんな形でもいい。完全なオレ、一つの完成形になれたらいいなって……。完全な人間か、完全な異端か、どっちでもいい……どっちかになってしまいたい」と、本音を伝えます。
統十郎/全部が統合したらクラスがいっぱいでキャラクターシートが大変なことになるね。
叡斗/メタな悩みだな!?(一同笑)
GM/脩駕は深呼吸をします。そして……顔を上げます。『AF判定:調査「相庭脩駕」』に成功したのは叡斗くんだったね。
叡斗/はい。
GM/では……脩駕は、叡斗にデレます。「なあ、こんなに話が盛り上がれるとは思わなかった。楽しいよ。もっと話がしたい。……叡斗だったっけ? 二人きりで話をしないか?」
叡斗/え、二人きりで? キョトンとします。
GM/脩駕はこのシーンから統十郎さんと真奈さんに退場してもらいたいと告げてきます。脩駕の提案を拒むのであれば、【理知】で交渉判定に成功してください。
統十郎/……せっかく相庭くんが自発的に関わりを持つようになっている。ここは外に出ますかね。田代さんを連れて退場しまーす!
叡斗/あ、ああ……そう言ってもらうのは嬉しいが……でも。
統十郎/GM、≪絆の両眼≫でこのシーンを見ていてもいいですか?

 ≪絆の両眼≫
 精神世界を通じて相手と繋がることができる[世界遣い]の副特技。
 『契約』状態であるキャラクターが見ているシーンの内容を、登場していなくてもリアルタイムに共有して見聞きできる。相手の許可が無ければ使用できない。


叡斗/統十郎さん、そんな特技も持っててくれたんだ!?(笑)
GM/脩駕は抵抗の意思を見せないので、統十郎さんが代償を払ってくれればOKだよ。
統十郎/やったー! やっぱり心配だから見させてもらうねー!(笑)
GM/……叡斗くんと2人きりになった脩駕は、犬属性だったのかそれとも懐いた人にはとことん懐く猫属性だったのか……叡斗にデレデレし始めます。
叡斗/叡斗的には犬にも猫にもどっちにも見える……(笑) やや困惑気味だけど、いいだろう。何を話そうか?
GM/(脩駕になって)「俺の周りにも弁護士さんはいたんだ。でも、何を言ってるか判らなかった。年の離れた人だったし」
叡斗/まあ、年齢が近くて親しみを覚えるのは卵の特権かな(笑)
GM/いくら脩駕が物知りとはいえ、本場の弁護士さんと対等の知識は無いからね。……脩駕は、いっぱい話をします。そして急にハッとします。何かを思いついた顔だね。
叡斗/どうした?
GM/「ここに居る人達、みんな死んだよね」
叡斗/う?
GM/「施設の人も、飛行機の搭乗客も全滅したんでしょ?」 窓の外……雪が吹きすさぶ外を見ます。
叡斗/あ、ああ……そうだな。今、生き残っているのはここに居る人達だけだ。墜落してへし曲がった飛行機が見えるだろう……。正直、僕と陽向、柏木さんは運が良かったと言える。
GM/脩駕は少し嬉しそうというか、自慢するかのような、叡斗に喜んでもらいたくて良い笑みを浮かべて言います。「この状況なら、≪贄の儀式≫ができるよ!」
叡斗/……え?

 ≪贄の儀式≫
 キャラクターの1体を犠牲(戦闘不能や死亡)にすることで、GMの設定した値分、消費しなければならない代償を減らしたり、制限を無くすことができる[異端者]の主特技。
 例えば、「NPC1人死亡につき特技の消費MPを−1する」など。1度設定された儀式はシナリオ終了時に効果を無くす。


GM/「150人も死んだんでしょ! 外では無念のうちにすぐ天に昇れない魂がいっぱい漂っていると思うんだよね! 成仏できずに彷徨う亡霊がうようよいると思うんだ。オレは[異端者]でその知識がある」
叡斗/えっと……。
GM/「だから……そう、今なら何でも願いを叶えることができるかもしれない。そう、オレには知識がある。≪世界創造≫ができるかもしれない!」

 ≪世界創造≫
 高次の存在が持つような、奇跡の力を行使する[世界遣い]の主特技。
 3D6をを振って3つ全ダイス目が「6」だったら、願いが叶う。≪贄の儀式≫のような代償を書き換える特技と併用して使用可能。


叡斗/ば……バカなことを言うんじゃない。≪贄の儀式≫と≪世界創造≫を使って、一体今まで何人『AW』のNPCが苦しんだか!(一同笑)
GM/「でも、死んだ人達は自分の死を理解できずに今も漂っている。このままだとただ怨霊……異端と同類になるだけ。それよりは、こんなに死が溢れている舞台を有効活用した方がいいんじゃない?」
統十郎/……相庭くんって、合理主義者だよね(笑)
GM/「願いが叶えられるチャンスが揃っているんだよ? このままだと自然に魂は薄れていく。その前に……!」
叡斗/相庭くん! よく聞け! 君からしたら死者の魂はもはやただのエネルギー体なのかもしれないが、死んでも人間は人間だろ。死者の顔に泥を塗るような真似はするな!
GM/あくまで脩駕の心は、「こういうことができるよ」という子供っぽい自慢と、「無駄になるよりやった方がいい」という冷静な視点と、「叡斗のためになることがしたい」という好意の表れです。だからそんな叡斗くんの言葉を、彼は素直に受け取ります。「……プレゼントのつもりで言ったつもりだったんだけど……」とションボリ。
叡斗/……もしも君がそんなことをしたら、僕は君を庇えなくなってしまう。勘弁してくれ……。僕は、叶えたい夢は自分で叶えるさ。
GM/夢はあるの?
叡斗/僕の今の夢は、良くも悪くも「よーし、立派な弁護士になるぞー」ぐらいです。……強いて言えば、あの凄惨な事故をなんとかしたいというのもあるが。
GM/「それは無理だね。事故で死んだ人間を贄に使うから、事故で人を死ななくするっていうのは世界がこんがらがる。もしかしたらもっと大きな儀式をすれば可能なのかもしれないけど……」
叡斗/そんな大がかりな世界の改変、やったとしたら儀式を行なった君が世界の禁忌に触れて裁かれかねなくなる。……出来れば君が真っ当に生きてくれれば、僕にとっては一番安心できる。
GM/「……この話はやめようか。じゃあさ!」と脩駕は違う話をし始めます。で、そんな叡斗くんと脩駕の会話を統十郎さんはずっと見てます。どう思う?
統十郎/この子、ヤバイなー!?(一同笑) ……彼には『一つの人格になりたい』っていう確固たる願いがあるんだろ? ≪世界創造≫ができるとなったら可能じゃん!
GM/以上、看守の統十郎さんからのありがたいコメントでした。
叡斗/そうだよ、あくまで僕の為に使ってくれるって話っぽいけど、いつ自分の為に使ってもおかしくないよ……。今の叡斗は脩駕に「待て! 落ち着くんだ!」しか言いようがない!(笑)