■ 「俺達は夢じゃない。出口なんてなかった。」



 2014年2月9日壁博2に配布したライベルノベルゲーム第1弾『僕達は夢を見る。出口なんかなかった。』をお買い求めいただいた方々にお渡しした、無料配布本(小話+ゲーム攻略)の再録です。第3弾までイベント公開することができたので、以前の無料配布をpixiv公開しました。
 先に『じりじりと針が進む。出口なんてなかった。』をご覧ください。




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 今日も来てくれたのね。

「どうも」

 毎日毎日お見舞いに来てくれるのはいいけど、貴方、風邪を引いたら駄目よ。無理しないでね。

「はい」

 体を壊したら、彼に心配されちゃうわよ。

「はい」

 そういえば。確か学校は今日までだったかしら。

「はい。明日から冬休みです。宿題いっぱい出されました」

 あら。学生さんは勉強がお仕事だからね。先生もいっぱい出したくなるでしょう。

「でも明日のうちに全部終わらせます」

 あらあら。年末年始はゆっくりしたいのね?

「十二月三十日がベルトルトの誕生日なんです。出来ればその日も一緒に居てあげたいので」

 あら、まあ。

「明日、病室に宿題一式を持ち込んで全部終わらせるつもりでいます」

 そうなの。貴方がずっと居てくれると知ったら彼も安心ね。

「はい」

 でも、無理しないでね。……私達はね、彼はもちろんだけど、貴方も心配なの。毎日お見舞いもいいけど思い詰めて、それで貴方が……。

「はい」

 あ、お母さんとお父さんが出てきたわ。お医者さんとお話が終わったみたいね。

「それでは、俺も失礼します。そろそろ病室に行っても大丈夫みたいですし」

 ええ、お大事に。

「看護師さん達も、お大事に」

 ……………………。

「…………」

 …………。

「……」


 ライナー君、やつれましたね。



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 ベルトルト、起きていたのか。薬はちゃんと飲めたか。

「ライナー? ライナー! 何処に行ってたんだ? 今日の訓練は一緒に組むって約束してたじゃないか! そうか、エレンと一緒だったんだろ? 最近ずっとエレンに付きっきりじゃないか。それにアニを苛めないでやってくれよ。すっごく不機嫌そうだったよ。アニが出来るだけ他の人と交流なんてしたくないって言ってたのに、またエレンをけしかけたんだろ。約束を忘れたのか。ちゃんと覚えておいてくれよ。それと、エレンも気を付けた方がいい。エレンにあまり格闘術を覚えさせない方がいいよ。彼は優秀だから力を付ければ付けるほど僕らの脅威に」

 ベルトルト。薬、飲んだか。

「ライナー、ちゃんと僕の話を聞いてくれ! 君がエレン達のことを気に入っているのは判ってる! 判ってるけど! だからと言って、ちゃんと戦士としての責務を果たしてもらわないと、僕は!」

 薬。飲んだら話を聞いてやる。どうなんだ。

「…………………………飲んだよ」

 本当か。良かった。

「そんなのどうでもいいじゃないか! なあ! ライナー! 君は!」



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「あっ、んぅっ、ぅうっ! ら、らいな、ライナー、おいしいよお、あ」

 ……うん。

「ああ、ああ、しあわせだ。こんなにいっぱい。僕、ライナーの、好きで、おいしくって」

 ……うん。

「僕、これ、好きなんだ。もっと、んぅ、んんっ、んんぅ。はぁ、んあ、好き」

 っぐ、んっ……。

「は、はは、ライナーのおちんちん、びくびくしてる。すごい、また大きくなった。可愛いよ、ライナー」

 ベル……もう。

「ライナー、好きだ。もっと欲しい。ライナー、もっとちょうだい、君が欲しいんだ」

 もう、俺は……。

「もっといっぱい出してくれ。僕、ライナーの濃くて好きなんだよ。

 ……もう出ない。

「そんな」

 やめろ。そろそろ痛いから。俺はここに居るから。いつだって相手してやるから。戦士なんだから、な?

「……………………あっ、そ、そうか。そうだよね。ごめん。ごめん。ライナー、ごめん」

 ……口、拭けよ。

「ごめん、ごめんよ。その、ごめん。僕、痛いとか、君が嫌がることしたくなかったんだ、本当だよ」

 ああ……。

「気持ち良くなってもらいたくって。ライナーに喜んでもらいたくて。それしか考えてなくて、ごめん、本当なんだ。また一人で、僕、ごめ」

 謝るなよ。……凄く、良かったから。

「本当?」

 気持ち良かったから。ベルトルト、ありがとう……。

「んっ! ライナー、ごめんよ、もっと、その、撫でてくれないか」

 ……いくらでも撫でてやるよ。

「あ、ぅ、んんっ。ライナー、ありがとう。な、なあ、ライナー、僕の中に挿れてみたくは」

 今日は駄目だ。

「なんで。僕、ライナーの、欲しくて! …………………………。あ、そうだね、無理したら明日の大事な試験に支障が出るかもしれないし。なんだか今度の筆記試験はマルコとジャンが凄くやる気を見せてたから。もしかしたら僕、負けるかもしれないし!」

 ……じゃあ、早めに休むべきだろ。

「ライナーは? もう勉強は終わったの?」

 さっき、お前が寝てる隣で宿題してた。

「流石、ライナーだね。そっか、ちゃんと勉強しなきゃなのは僕だけか」

 お前だったら勉強しなくて済むだろ。だから、薬を飲んで……寝ろよ。

「そうさせてもらうよ。ありがとう。なあ、ライナー。試験が終わったら、また、僕を抱いてく……」

 お前の出来次第だ。

「が、頑張るから。約束してくれよ……」



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「やだ、あ、やだ、もう嫌だ、ごめんなさい、許して、嫌だ、ああ、あああ、助けて、許して、怖い、助けて、ああああ、怖い、やだ、あああああ、やだ、やだ、気持ち悪い、助けて、殺さないで、痛いのはやだ、ああああああ、助けて、ライナー、あああああああ、ライナー、助けてくれ、ああああああああ」

「ベルトルト! 大丈夫だ! もうあいつらは居ない! だから! ベルトルト! ここは大丈夫なんだよ! なあ! ベルトルト! 帰ってきてくれ!」
「誰か早く取り押さえて! 鎮静剤! 早く!」



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「………………」

 …………………………。

「ベルトルト、寒くないか」

 少し、寒いよ。ライナーは?

「平気だ。なあ、せめて上着だけでも着ようか」

 ん……。

「いい子だ」

 …………。

「…………」

 ねえ、ライナー。なんだか、今年……。

「ん?」

 夏……あったっけ?

「夏? あったよ、夏。じゃなきゃ秋も冬も来ない」

 そう、だよね。夏はちゃんとあったんだ。

「ああ」

 僕がよく覚えてないだけか。夏……あった気がしないんだ。どうしてだろう。

「…………」

 春から、一気に冬になって……あれ、どうしてかな……。

「…………」

 あ、夏! そうだ! 誕生日!

「…………」

 ライナーの誕生日! あったじゃないか! あれ、僕……何もしてない? ライナーの誕生日に、何も? 何にも?

「……俺はお前からプレゼント、貰ったよ」

 えっ。僕、何か……君にあげた?

「時計」

 そうだっけ。

「今、してるだろ。肩身離さず持ち歩いてるからな」

 本当だ。……ライナー、それ気に入ってる?

「そりゃあ、大好きなお前から貰ったものだからな」

 ……え、えへへ。そっか。気に入ってくれてるんだ。そっか。忘れていただけでライナーの誕生日があったんだよね。そっか。君の誕生日だもの。しない訳がないよね。

「……ああ」

 そうだ。そうだった。思い出したよ! ライナー、すっごく喜んでくれたね。君と一緒にお菓子を食べた!

「えっ……?」

 訓練所を抜け出して買いに行くの、大変だった。思い出したよ! ケーキ食べて、プレゼント渡して、いっぱいキスしたよね。口の周りがベタベタするからやめろって言ってた。

「……ベルトルト?」

 うん、覚えてる! その後……そうだ、コニーが起きてきてさ、お前ら何してるんだって詰め寄ってきて。

「……コニー? それって……?」

 ああ、そうだよ、楽しかったなぁ。なんで忘れてたんだろ。はは、こんなことしていられるのは今だけだもんね。そうだよ、こんなに楽しい生活が出来るのは、今だけで。そうだよ、今だけで、そうだよ、そうだよ、そうだよ……。

「ベルトルト!」

 ライナー。君だけじゃなく僕も彼らに感化されてるみたいだ。こんなんじゃ駄目だな。アニに怒られる。いっそ怒ってくれた方が

「っ!」

 わ、わあ、ライナー? ど、どうしたのいきなり……き、キス? したいの? しよっか?

「…………。ベルトルト。体、冷えてきてる」

 ……ライナーが、暖めてくれる?

「ああ。お前の目が覚めるまで、抱き締めてやる」

 嬉しいことを言ってくれるんだね。……解散式の翌日には、僕達は動き出す。作戦の日が近い。けど、それまでは、どうか平和な時間を…………。


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「ベルトルト」
「何かな」
「帰ろう」
「え?」
「……戻ろう」
「ライナー?」
「…………頼む。ベルトルト。俺の元へ……」

「嫌だな、ライナー。そんな言い方しないでくれよ。帰るのは、勿論だよ。僕達は帰るんだよ。絶対に帰るよ。だからそんなに悲しい顔をしないでくれ。なあ、ライナー。泣かないで。絶対に帰ろう。約束したじゃないか。僕と君は、アニを連れて、みんなで故郷に………………」




END

架空の戦士に恋するベルトルト(病人)はかわいい。ゲーム攻略については、pixivページでご紹介しています。
2014.6.25