シノビガミ・リプレイ
■ 『 出口なし 』 2ページ ■
2013年7月31日




 ●2サイクル―1/軍冶

軍冶/2サイクル目だけど……なんだかPC1の【秘密】を抜かない方が面白そうだな? なので感情判定をしにいきます。シーン表は(ころころ)7だ。

 『出口なし』シーン表06〜07:古い木造の入院病棟、203号室。窓から吹き込む晩秋の風がカーテンを静かに揺らす。

GM/これ、秋のシナリオだったんですね。でも夏続行でいきます(笑) ちょっと涼しげな夏の風がカーテンを静かに揺らしている病室です……。
軍冶/いつものように病室で椋のリハビリをしているよ。……軍冶的には、昨日のうちに罰として椋に殺してもらいたかった。でも昨日できなかったなら「今日こそ殺してもらおう」という考えでいます。でも今の軍冶は笑顔で主治医の顔をしてるよ。
椋/……うん……。
軍冶/おい、ちゃんと腕動かせるのか?
椋/う、うん……。
軍冶/昨日までリハビリの最中にカウンセリング的なこともやっていたけど、今日はしない。リハビリに専念しているのか、明らかに昨日とは違う変化のあります。
椋/椋も昨日のことに関しては口にしないで……腕を動かす練習をずっとしています。スプーンを持つのも大変です。
軍冶/スプーンも持てないのか。
椋/最近は出来るようになったけど、殆ど毎日軍冶さんに食べさせてもらっていると思う。≪身体操術≫で頑張ってこなすけど、心なしか表情は固いです。ちょっと落ち込んでいるというか、沈んでいるというか……。
軍冶/…………。ああっ、やめだやめ。やめよう! 今日のリハビリは終わり!
椋/えっ? や、やめるの……?
軍冶/気分悪い状態でやっても体も良くなんねーよ。
椋/そ、そんなことないけど……。
軍冶/まずは心から健康にならないとダメだ! 動かせるもんも動かせねーよ! そういやお前って何が好きなんだよ? 趣味って何なんだ?
椋/趣味……。言いづらそうに目を逸らして、花壇を見ます。植物とか、虫とか好き……だから土いじりが好き……。お花をどうこうって女々しいと思われるのが嫌でゴニョゴニョ言います。
軍冶/いや、悪くない趣味だ。そうだ、まずは気分を良くしよう! 外に出て遊ぶか! 好きなことをやって、汗かいて! メシを食って元気になる!
椋/う、うん……。
軍冶/そして一日の終わりに俺を殺す。一人立ちできるぐらい元気になったら殺すんだ。
椋/…………。
軍冶/ほら、本気でやってもらわないと死ねないからなぁ! お前が本気出して苦しめて殺してくれないと罪滅ぼしにもならないだろ! 椋が忍びで一般人以上に力があることは知っているので、そう言います。
椋/……判った。気分良くして、汗を拭いてご飯を食べて……そして、寝る。それで、明日も……。
軍冶/おいおい、そんなのやってたら終わんねーぞ? 半年どころの話じゃなくなるぞ。
椋/それでも……。
軍冶/……まあいいや、まずは外に出てお前の好きな土いじりをしよう! よし、外まで一人で歩けるな?
椋/ふらつく体を支えながら、凭れるように一歩一歩進んでいきます。
軍冶/お前はもう明日にでも退院できるようになってるんだ。早く良くなる……きっと良くなるよ。

 このとき、【星見】を使用。初回の判定は1・1でファンブルが出てしまうが、すぐに「神通丸」を使って振り直し、6D6結果を「5・1・3・3・3・5」に決定。

軍冶/この状態で感情判定をします。5・1で成功です。
GM/確実に成功できる配置にしやがった……流石この医者汚い!(笑)

 椋、軍冶に対して『妬み』の【感情】を結ぶ。
 軍冶、椋に対して『怒り』の【感情】を結ぶ。

軍冶/軍冶的にはこの感情判定で椋に『殺意』を抱いてほしかったんだけどなー。まあその妬みで殺して来るといいよ、軍冶としては本望だよ。よーし、良い天気だから花壇で遊ぶぞーっ!
椋/むー……ここは『妬み』だよ。こっちの気持ちも知らないでのうのうとしてるんだもの……。
軍冶/ほーらお医者さんがずっと傍に居てやるからな! いつ怪我をしてもいいぞ! どんな風に遊ぶんだー!?
椋/……そんな軍冶さんの様子を見てモヤっとしながら、膨れっ面で土いじりしています。


 ●2サイクル―2/椋

椋/では……椋は軍冶さんに戦闘を仕掛けます。シーン表は(ころころ)7です。

 『出口なし』シーン表06〜07:古い木造の入院病棟、203号室。窓から吹き込む晩秋の風がカーテンを静かに揺らす。

GM/風が語りかけてカーテンが揺れます。場所は病室ですかね?
軍冶/外でいっぱい汗を流した! メシを作った! 今日は焼肉だ! トレイいっぱいに丼いっぱいの白米と肉と野菜を並べて病室行きます!
椋/重い。肉だ。重い……(笑)
軍冶/よーしいっぱい食べて大きくなるんだぞー! 超笑顔でレンゲを使って椋に食べさせます。
椋/椋はちょっとゲンナリした顔だよ……(笑) 軍冶さんの作るご飯は味は悪くないんだけど、量が多い……うっぷ。
軍冶/メシを食って、いっぱい話して、そうして夜が来る訳だ。
椋/……軍冶さん。
軍冶/なんだ?
椋/……軍冶さんは言ってたよね。「一日の終わりに俺を殺せ」って……。
軍冶/ああ。
椋/……いいよ、殺す。
軍冶/ああ。そうか。いつでもやれよ。
椋/……軍冶さんは武器を構えたりしないの?
軍冶/しないよ。隣の空いてるベッドに腰掛けて、いつでも椋が殺してくれるのを待ってる。
椋/……軍冶さん、やっぱり自分の考えは変わらない?
軍冶/当然だ。俺は何十人も殺したっていう罪を負ったんだ。償いはしなきゃいけないだろ。良識ある大人としてな。
椋/……溜息を吐きます。
軍冶/普通に自殺したって死に報いることはできるが、お前に殺されなきゃお前を滅茶苦茶にしたことの償いにならないだろ。……お前、もう体は治ってるんだろ? その体で一思いにやってくれよ。もう一人でも大丈夫なんだから。
椋/……椋はおもむろに、右手の義手をバッと抜きます。するとそこから血がどろっと出てきて、血がカマキリの鎌のような形になります。
軍冶/空いてるベッドに座ったまま、その光景を見ていよう。
椋/それを、思いっきり振り上げて……。

 戦闘開始。プロットの結果は……お互いに射程が足りず、1ラウンド目は2人ともノーダメージ。

椋/ダメージが入らなかったので、なかなか鎌を振り下ろせなかった……って感じにします。戸惑って、ぷるぷると止まっています。ずっと鎌を振り上げたまま……。
GM/沈黙と風が、貴方達の間を吹き抜けていきます……。

 2ラウンド目は、先方は椋。【春雷】で攻撃するが、逆凪が出てしまい命中失敗。
 反撃として軍冶が【星見】によって確実に成功させた【爆破】の攻撃。2点の射撃戦ダメージを椋に与え、勝者は軍冶となった。


軍冶/そんなんじゃ俺は殺せねーぞ!
椋/…………。
軍冶/本気でやってくれよ! ……ベッドに座ってたけど、ぷるぷるしてる椋を見て耐えきれなくなって感情を爆発。【爆破】で攻撃しました。
椋/お、思わず大声を出されて……尻餅をついてしまいます。いてて……。

 戦闘の勝者は軍冶。
 戦果として軍冶は、プライズ『記憶』を入手した。

椋/立ち上がろうとして……立てずに床でふるふるしてます。腕も外れているから体が支えられなくって、どうしようもない状態です……。
軍冶/この馬鹿野郎、俺が毎日リハビリしてやってたのにまだそんななのか! あんだけ歩けるようになってたのになんだお前、全然ダメじゃねーか!
椋/な、何も出来なくて……蹲っています。ぐすっ……。
軍冶/ああ、まだお前には退院は早かったか。くそ、そんなんじゃ俺を殺した後にここを出て行けるのか? 全然ダメだろそれじゃ! お前はまだ未来ある子供なんだからとっととこんな所から出なきゃいけないんだよ……!
椋/ううっ……。
軍冶/なんだ? 泣くのか? おう、泣いたっていいんだぞ。子供だもんな、泣いたって怒りはしないさ…………ああ、すまないな……。


 ●3サイクル―1/椋

GM/一応このシナリオは2サイクルが終了後にクライマックスフェイズに移行するんですが、プレイヤー達が希望するならいくらでもサイクルを増やしていいことになっています。どうしますか?
椋/もう1サイクルやりたいです! ……さっきのシーンの続きで、戦闘シーンを仕掛けます!(ころころ)シーン表は9。

 『出口なし』シーン表08〜09:古い木造の入院病棟、203号室。2人部屋だがPC1の使っていないベッドは空いている。

椋/……軍冶さん。取れた腕、治してください。
軍冶/ああ、治してやるさ。よしよし。夜だけどいつものリハビリと同じことをやり始めるよ。おい、腕を上げろ。
椋/はい……。あらかた治してもらった最中に……死角から鎌で軍冶さんを狙います。
軍冶/リハビリしている最中にプロットかな。

 戦闘開始。至近距離、腕のリハビリをしているときを狙って椋は軍冶を狙う。
 だが2人の戦った2ラウンド間……も2人は回避に成功し続け、また勝者無し戦闘になってしまった。


椋/いきなり動いたから無理があったのか、ふるふると動けなくなってしまいます……
軍冶/……おい。もう夜遅くなってきたけど、どうするんだ?
椋/……今日はもうお開きにします。明日……それで、いいよね……。
軍冶/おう。そうか、明日か。明日こそ終わらせてくれるんだな。明日こそお前は退院するんだ。
椋/…………。
軍冶/じゃあ……言えるか?
椋/……おやすみなさい。今度は目を見て、言います。
軍冶/ああ、おやすみ。ニカッて笑って、ぐしゃぐしゃに頭を撫でます。そうして病室を去っていきます。
椋/……その姿を、唇を噛んで見送ります。


 ●3サイクル―2/軍冶

GM/軍冶さんはPC1の【秘密】を抜かないんですか?
軍冶/うーん、もうこの状態で【秘密】を知らないままでいるのも良いと思ってます。でも【星見】を使用しておきたいので、とりあえずドラマシーンを立てます。(ころころ)シーン表は9だ。

 『出口なし』シーン表08〜09:古い木造の入院病棟、203号室。2人部屋だがPC1の使っていないベッドは空いている。

軍冶/今日もまた終わらない出口の無い日常が始まります。いつも通り朝はこんもりメシ食えよ! 元気やってるか! 元気にならなきゃダメだぞ! そんな風にまた同じようなことしか話さないよ。超笑顔で!
椋/こっちは結構やつれてきたよ……(笑) 軍冶さんは、椋が退院できたときのためにリハビリをしてくれてるんですよね。
軍冶/ああ。複雑な足の動きもやらせるぞ。お前はこれから元気に羽ばたいていかなきゃいけないんだから。俺が死んだ後は、良い医者が見つけると良いな。
椋/……軍冶さんぐらい腕の良いお医者さんは早々いませんよ。
軍冶/なんだそりゃ! げらげら笑うぞ。褒められると嬉しいもんだな。そう言ってもらうと医者明利に尽きる!
椋/……始終複雑そうな顔です。
軍冶/これから良い奴に巡り合えるといいな。お前ならきっと良い奴に会えるさ。まだ10歳、未来は長いんだし。と言いながら【星見】使用します。(ころころ)成功。6D6の結果は……(ころころ)1・1・1・3・5・5。
GM/(出目を見て)うーん、微妙?
軍冶/いや。順番は左から「1・3・5・1・1・5」にします。これで椋の【秘密】を抜き取りに判定をします。1・3なので失敗です。
GM/……うわー。
椋/え、えげつねえ……(笑)
GM/これ、えげつない。「やらない」より、えげつない。わざと失敗するとか、汚い!(笑)
軍冶/軍冶は座っている10歳の目線に合わせて、真正面から話し掛けます。座っている10歳に目線を合わせて笑顔で、「まだ話してくれないのか?」。
椋/自分から【秘密】は渡せないんだよ! 椋はすっごいストレスフルだよ! 中の人は楽しいけど!(笑) ……この人はやっぱり何も判ってないんだなって思います。今の貴方には言いたくないってハッキリ言います。
軍冶/なんだよ、嫌われちゃったか。
椋/絶対に言わない! 今の貴方には言いたくない! ……い、言い過ぎました。俯いて、ごめんなさい。
軍冶/いや、別にいいけど。ふう。……飯は何にするかな。生姜焼きは……2日前もしたからもう当分作りたくないな、久々にカレーでも作るか?
椋/……生姜焼きは嫌いじゃないけど、カレーも嫌いじゃない。
軍冶/じゃあ今日はカレーだ!
椋/……それを食べたら、また……良いよね。
軍冶/ああ、良いよ。最高のカレーを作ってやるよ。早く元気になるんだぞ! メシ作るために病室を出て行きます。
椋/……軍冶さん。貴方、酷い人だ。
軍冶/その通りだ。
椋/軍冶さんが病室を出て行った後に……病室のドアをガンッと殴ります。その反動で床に転がって……悔しそうに床をだんっと叩きます。


 ●クライマックスフェイズ

GM/それでは、クライマックスフェイズに移行します。今日も同じように、夜がやってきます。
軍冶/メシを食べて、体を拭いて、似たような話ばかりをする軍冶です。元気か、元気になったか、元気になれよと笑顔で言うだけだね。
椋/こちらもそこまで話し上手にな訳ではないから、同じように返事をし……つまり、いつもと変わらない日常が過ぎていく……。
GM/そして、1日の終わりがやってくる……。
椋/……軍冶さん。
軍冶/ああ。
椋/……いいですよね。
軍冶/ああ。頭をがしがしと撫でます。
椋/特に嫌な顔をすることなく、このがしがしを名残惜しむように受けます。……今から椋は軍冶さんと戦う。でも、最初に言っておくけれど……。
軍冶/うん?
椋/椋は、貴方を殺したりはしない。
軍冶/びっくり。殺す気は無いのか?
椋/可能な限りは貴方を生かしたい。
軍冶/それでお前の気が晴れるのか。
椋/うん。貴方が生きててくれれば晴れる。……両手の義手を、また付けやすいように丁寧に抜きます。
軍冶/「また付けやすいように」って、これから殺す相手に変なことを言うな。……片方のベッドに腰掛けたまま、ずっと椋を見ています。
椋/だって、自分じゃこの義手を付けられない。貴方しかこんな腕の良い人はいないんだから、貴方が付け直してくれなきゃ……だから、貴方は生きて……。
軍冶/頼りにされちゃあ、医者としてこの上なく嬉しいなぁ。でも、駄目だぜ。……ああ、俺は優しすぎる子を拾っちまったんだなぁ。ベッドから動かず、ずっとそんなことを言いながら座っています。
椋/……両腕から真っ黒いカマキリの鎌を取り出します。
GM/病室で、2人の忍びが向き合い……戦闘が始まります。

 1ラウンド目開始……と2人はプロット、攻撃をし始める。
 だが、なかなか決着は着かなかった。1ラウンド、2ラウンド……と戦いは拮抗したまま時は流れていく。


GM/3ラウンド目、開始です。
軍冶/いいかげん終わらせてくれ! ……奥義を使用して【爆破】の命中を【完全成功】で当てに行きます。奥義名は、『撒弾(まだん)』。ベッドの上に座って、撒き散らすように怒鳴ります。俺は罰を受けたい人間なんだ……と回想シーンも使いながら!

 静かに生命力を削り合う2人。最初は軍冶が有利な流れだったが……。

GM/5ラウンド目です。あと一撃で椋さんは倒れそうですが……。
椋/【不死身】の奥義を使用します。奥義名は、『夜実撫(やみなで)』。体内に潜んでいる意志ある魔血が宿主の不調を食べ始めます。(ころころ)1D6で6が出た、全回復です!
軍冶/おお、全回復だ! 持ち直したぞ、凄い!
椋/その後に軍冶さんに攻撃。(ころころ)あっ、命中クリティカル! 1点生命力が回復したから【頑健】スロットまで戻った!
GM/それは凄い、立て直しましたね。

 6ラウンド、8ラウンド……と一向に決着は着かなかった。
 決定的な火力が足りないまま、ラウンドは……GMが決めた最後のラウンド、10ラウンド目に突入する。


椋/(ころころ)命中です。攻撃のダメージ上昇として、回想シーンを使います。
GM/それでは、自分の【秘密】に相応しいロールをしてください。
軍冶/ああ、ここでPC1の【秘密】が明らかになっちゃうのか。知りたくなかったんだけど残念……。
椋/……読み上げます。

 PC1:一色椋の【秘密】
 実は貴方こそがこの病院の医師である。
 貴方はある理由からこの病院の人々を殺した。その場に居合わせたショックからか、軍冶は記憶に混乱をきたした。軍冶の中で、匿われた忍者である軍冶と、その主治医であるあなたが逆転してしまっているのだ。
 貴方が患者を演じているのは治療の手段だった。ごく僅かずつ事件の情報を伝えることで、軍冶の状態を探っていたのだ。
 そして判断し、決断した。軍冶の記憶を修正し、思い出させねばならない。もう手段は選ばない。軍冶に憎まれ追われることになろうとも、それが貴方への罰となり贖罪の手段となるだろう。
 貴方の【本当の使命】は、貴方から軍冶にプライズを渡し、かつ最終的なプライズの所持者となることだ。


軍冶/…………。
椋/軍冶さんを掴んで、ベッドに叩き付けます。……軍冶さん! 今から本当のことを言います! ……椋の流派は、魔王流です。自分はこの病院に潜む隠忍を退治しようとして病院に来たんです。
軍冶/…………。
椋/自分はずっとこの病院に医師として、姿を偽ってやって来ました。≪異形化≫で姿が使えるから、大人の姿に変身して、主治医として貴方を助けてきました。貴方と同い年ぐらいの医者としてこの病院で潜んでいたんです。
軍冶/…………。
椋/でも……自分のやり方が巧くなかったせいか、目的の隠忍は倒せたけど、結局病院の人々をみんな巻き込むことになった。だからこの病院の人達を殺したのは……椋の方なんですよ!
軍冶/…………。
椋/それで……後は……。
軍冶/何、言ってるんだ? そんなチビが医者な訳ないだろ。お前はどう見たってただのガキじゃねーか。
椋/……隠忍と戦うときに手足を奪われて、そのときから本調子が出ないんです。だから大人の姿になれないんです。
軍冶/そんな。信じられないな。
椋/信じられなくても、それが真実なんです! ……回想シーンで1点追加して、ダメージ4点のダメージを与えます。
軍冶/……そのダメージで、軍冶の生命力は0。軍冶は戦闘不能になります。
GM/椋さんが勝者になりました。プライズが軍冶さんから椋さんに渡ります。

 椋、プライズ『記憶』を入手。

GM/クライマックス戦闘が終わりました。最終的なプライズの保持者は椋さんになりました。ではここで、最後に、プライズの中身を確認しましょう。このプライズは特殊なルールがあります。それは……。

 このプライズの真の名称は『罪』である。下記文中の「あなた」はその時点でのこのプライズの持ち主を指す。
 このプライズを手に入れたタイミング(配布時を含む)が訪れるたび、持ち主は下の「」内の文章中の、任意の一つの[ ]の中を消して好きに書き換えてよい。この時、書き換えた[ ]についている番号を消去すること。番号の消えた[ ]内は以降上書きされない。
 「あなたは(1)[3日前]、(2)[あなたの所在を突き止めた追手が迫っている事を知り、あなたの情報を知る者を消す]ために、この病院の人々を全て殺した。あなたは(3)[慣れた手際で、人形のように首を落として]彼らを殺した。
 目の前の相手だけは殺さなかった。(4)[境遇を自分と重ねて情が移りすぎてしまっていた]からだ。記憶の混乱の治療にはもっと時間を掛けたかったが、今日までが限界だった。あなたは(5)[痕跡を消すため、既に病棟の下階に火を放った]。
 これこそが、これだけが、(6)[ 真実 ]である。」


GM/3回ほどプライズの受け渡しがあったため、そのたびに内容が書き換わり……結果、このセッションではこんな内容になりました。

「椋は半年前、目の前にいた軍冶を忍び寄る魔の手から守るため、生かすために、この病院の人々を全て殺した。
 椋は慣れた手際で、人形のように首を落として彼らを殺した。
 目の前の相手である軍冶だけは殺さなかった。境遇を自分と重ねて情が移りすぎてしまっていたからだ。
 記憶の混乱の治療にはもっと時間を掛けたかったが、今日までが限界だった。
 椋は軍冶の主張を否定せずに、再び今まで通りに戻ることにした。だけどこれこそが、これだけが、真実である。」



 ●エンディングフェイズ

GM/本当の医者は、椋さんでした。軍冶さんは……偶然その病院に居合わせただけのただの患者で、精神に支障をきたして、今までお医者さんとして振舞っていました。
軍冶/自分は……ただの患者……。
椋/動きを封じて、四肢全て、いつの間にか義足の方も外して思いっきり軍冶さんを押さえつけます。……椋の勝ちだね。
軍冶/……おお、よく動けるようになったな。あの傷だらけだった忍びのガキが、元気になってくれたもんだ。
椋/……でもね……椋、この体じゃ普通の生活は送れないんだ。鎌状の腕を見せます。
軍冶/……じっとその体を見ています。
椋/これから先、これで義手も義足も無くて……どうやって動いたらいいと思う? だから椋には、軍冶さんが必要なんだよ……殺すことなんてできないよ……。
軍冶/殺さないのか。俺は何十人も殺している。その罪の償いとして殺してはもらえないのか。
椋/…………。だから、軍冶さんは。
軍冶/俺は大勢を殺したんだぞ。それは知ってるだろ。
椋/…………。聞いて、くれないんだね。
軍冶/それでいいのかよ! お前は俺を殺すべきなんだよ! 俺が殺したんだから!
椋/軍冶さんを殺したら、誰が椋の両手脚を……。
軍冶/大勢殺したんだぞ、俺は! なのに、なんで!
椋/椋だって忍びだ。必要とあれば大人も子供関わらず殺すよ。大勢の人を殺したぐらいそんな気にすることじゃない!
軍冶/俺は罪のない患者を全員殺した! 人形のように首を落として殺していったじゃないか! そんな奴許していいのかよ! 俺は嫌だね、許さないね!
椋/……その言葉に、傷付いた顔を浮かべます。
軍冶/だから……! いいから殺せよ! こんな殺人鬼、生かしておく必要が無いだろ!?
GM/……軍冶さんの言っていることは、ぐさぐさと椋さんの胸に刺さりますね。殺したとか、許さないとか、自分のことですから。
椋/……それでもダメ! 泣きながら言います! 椋の腕を治して! 足を治して! こんな両手でご飯なんて食べられる訳ないだろ! 軍冶さんが食事の世話をしてくれないとダメなんだよ……償いたいって言うならいいからつべこべ言わずリハビリに付き合って!
軍冶/…………。
椋/……ひ、ひっく……。ご、ごめんなさい……。
軍冶/…………。押し付けられたベッドから起き上がります。そんで……椋の頭をぐしゃぐしゃって撫でます。
椋/軍冶さん……。
軍冶/なんでお前、手足どっちも外してるんだ?
椋/…………。
軍冶/仕方ねえなぁ。俺が良い手足、作ってやるよ。俺は主治医だからな。最高の体にしてやる。とりあえず一人で立てて、メシが食えるようにならないとな。
椋/……うん……。
軍冶/今日は遅い。休むか。……あの言葉を聞かせろ。
椋/……おやすみなさい。
軍冶/また明日。
椋/また明日。……泣きながら言います。
軍冶/それを聞いて、ニカッと笑って軍冶は病室を出ます。
GM/……病室の廊下は相変わらず無人。木の廊下が長く長く続いて明かりも一部屋しか点いていないような病棟です。軍冶さんの足音だけが響いていますが、その音を聞きながら椋さんは一人……。
椋/部屋に一人……上体をむくっと起こして、窓の外の花壇を見ます。あそこは……病院の人々を埋めた場所なんです。
GM/……サルビアが赤々と咲いてますね。ヒマワリは高く高く伸びています。
椋/さっき軍冶さんが言ったことを胸の中に抱きます。……この痛みで自分は償っていこう……この痛みを抱いて、昇華しないままそれが自分の償いなんだ。また静かに、ボロボロと涙を流します。
GM/では、病室を出た軍冶さんは……?
軍冶/明日の仕込みを始めるために米を研ぎに行きました。いつも通りね。……翌日のシーンをやっていいですか?
GM/どうぞ。
軍冶/では朝になり、「おーいメシだぞー!」と今日もこんもりと丼を山盛りにご飯を持って笑って来ます。
椋/ああ、そんなにまた盛って……。始めのときと同じように困った表情をします。最近はちょっとずつ楽に食べられるようにはなったけどやっぱり多いよ……。
軍冶/いつものように山盛りのご飯と栄養満点の食事だよ。朝から生姜焼きだよ! おい、調子はどうだ? 記憶は戻ったか?
椋/…………。
軍冶/いつものように、カウンセリングをし始めます。
椋/…………。
軍冶/ぐしゃぐしゃって椋の頭を撫でます。元気そうだな? それなら退院も近いかな? 、嬉しいぞぉ。髪の毛ぐしゃぐしゃなでなで!
椋/…………。それが、まだ……。自分が悪いことをしたと思っているけれど……。
軍冶/まあ、まだ3ヶ月ぐらいしか経ってないんだ、気長にやればいいんだよ。ここにはまだ時間があるんだし、お前はまだ10歳なんだから!
椋/…………。
軍冶/まだまだ先があるんだ。ゆっくり何があったか思い出していくといい。そのためにもまずは体力付けなくちゃな! いっぱい食えよ!
椋/半年じゃ、ないんだ。
軍冶/何言ってやがる。3ヶ月だろ?
椋/……うん、そのくらいだね! じゃあ、これからもよろしく!
軍冶/よし、メシ食ったらきっちりリハビリ始めるぞ! 訓練すんぞ! あとカウンセリングもな! しっかり治療して退院してもらわなきゃいけないからな!
椋/いつもの……困ったような顔で笑います。
GM/……病院の中には困らない程度に何でもあって、花も咲いている。窓の外には風景も広がっている。
椋/……この刺される痛みに耐えるのが、僕の償いなんだ。
GM/だけど、貴方達はここから出ることはきっと出来ない……そんな夏の風景……。

椋/……これからもよろしく、軍冶さん……。

 シノビガミ・出口なし
                 END





GM/……うわあ。今の演出、めっちゃ痺れました。ぞわっとなりましたよ!(笑)
軍冶/という訳で、軍冶さん的にはここ数日間の記憶は全部消えました。半年ではなく3ヶ月になってるだけでなく、彼にとって都合が悪くなったらどんどん記憶を改竄していくんでしょうね。
GM/まさに……出口なし。本当に出口なかったですね!
椋/ないね、出口。椋はずっと……自分が医者だと思っている軍冶さんに看病されて罪滅ぼしをしていくんです……。
GM/ぷぇ先輩もマーサー先輩も、どちらも精神に異常きたしている人のカップリングが好きじゃないですか。だからどうしても途中で色々言いたくて仕方なかったです(笑)
軍冶/すみません、私もこっそり途中で萌えてました(笑) 軍冶は今日も明日もずっと笑いながら椋が退院できるようにって看病してますよ。だって俺は医者だからな! 主治医だからな!
椋/これは……どんどん椋、やつれていくよね……いつかSAN値が0になる(笑)
軍冶/私は椋が大好きなので何度苦しんでるむっくんを抱き締めたかったか! いや戦闘するけどさ! どんどん追い込んだけどさ! 大好きだよむっくん!
椋/椋も軍冶さんのことは大好きだよ、でもヒドイ!(笑)
GM/なんていうか……軍冶さんってただの巻き込まれだから一切罪が無いじゃないですか。罪無いのに「こんな殺人鬼、生かしちゃいけない!」って無自覚にむっくんのことどんどん刺してくるじゃないですか。でも軍冶さんを責めるわけにはいかないじゃないですか。でもこの気持ちを表すと「軍冶さん殴ろ!」ってなりますよね。
椋/軍冶さん殴ろ。
GM/軍冶さん殴ろ。
軍冶/ありがとうございます軍冶さん殴って!(笑)




 END