アナザーワールドSRS・リプレイ
■ 『 ピグマリオンの目覚め 』 3ページ ■
2017年7月9日




 ●ミドルフェイズ5/幾矢 〜偽物〜

GM/街はなんとか平和を保っています。さて、どこに行きたいかな?
幾矢/もうどこにも行きたくないテンションです……(笑) でも、幾矢が帆乃香ちゃんに会いに向かいます。【意志】で……誰かついて来て! 心細い!
ドン・キホーテ/一緒に行きます。協調行動!(ころころ)達成値16、成功。
幾矢/ドンさん、めっちゃ心強い出目だー!(笑)

『AF判定:帆乃香と和解』
 ・使用能力値:【体力】【意志】
 ・難易度:15
 ・ラウンド制限:なし

※「帆乃香と深く交流する」演出に成功すること。成功した場合、帆乃香と深い話ができる。
※条件『AF判定:調査「古桜 孝三」』『AF判定:帆乃香の自宅』クリアー後。
※協調行動OK。難易度:6。


ドン・キホーテ/何はともあれ飯は食うか! ≪食物錬成≫!
蓮/確かに食事で元気を出すのは大事だよね(笑)
幾矢/帆乃香ちゃんの家をコソコソ出るので≪闇纏い≫を使いました……。外に出て、公園でモソモソと食べます……心の準備をしてから帰らないと……。
ドン・キホーテ/ほら、力強く! ≪強化術式≫! ……なあ、田臥の兄ちゃんが話をしたいのは古桜 帆乃香か? 敢えて名前を呼んで意識をさせます、≪還り名≫。
幾矢/うっ。
GM/相手を特定してドスッと毒を入れたね。
ドン・キホーテ/それとも、話したい相手は……ピグマリオンか?
幾矢/…………。帆乃香ちゃんとは、話したいですよ……でもあの器は帆乃香ちゃんのものでも、中身は別物で……。
ドン・キホーテ/俺は騎士になろうとして騎士になったぞ。それと同じように、嬢ちゃん自身が帆乃香だと言い張るのなら彼女も帆乃香なんじゃねーの?
幾矢/…………。そんなの、会って話をしないと判りませんよ。
ドン・キホーテ/そりゃ、こんな所にいても判るもんは判らねーな。この公園で……ここで遊んでいた帆乃香ちゃんの姿が見えないかな、≪過去視≫。
GM/ふわっと帆乃香ちゃんの過去が見えるかもしれません。あと……現在公園にいますが、また帆乃香ちゃんがいないので登場させてくれないとGMが困ります(笑)
ゾイ/そうだ、また帆乃香ちゃんが登場してないのに交流しちゃった!(笑)
蓮/公園でゾイちゃんと蓮と帆乃香の3人で遊んでいるのかもしれない! 大きくなってから公園の遊具で全力出して遊ぶと楽しいよね!(笑)
ドン・キホーテ/おおっ、あんな所で3人ともテンション高く遊んでるな!(笑)
幾矢/……どんよりしてましたが、遊んでいる帆乃香ちゃんを捕まえます。そして、そろそろ決意してダイスを振ります。(ころころ)成功です。
GM/(帆乃香になって)「幾矢お兄ちゃん。……どうしたの、元気無いね?」
幾矢/ううん……僕は大丈夫だよ、それよりね。帆乃香ちゃんをベンチに座らせます。
GM/ぽふんとベンチに座ります。「ふぅ……今日は気持ち良いね。この1ヶ月間ずっとお父さんに寝てなさい、大人しくしていなさいって言われていたから……公園で体を動かすのってやっぱり気持ち良いね!」 7月3日、夏が始まる気持ち良い天気の日に、彼女はそう言います。
幾矢/うん、そうだね……。……うん……。
蓮/……幾矢が好きに話を切り出していいんだよ。
幾矢/……うん、そうだけど……。帆乃香ちゃんてさ、自分のこと……帆乃香ちゃんだと思う?
GM/「え? 帆乃香は帆乃香だよ?」 何を言ってるのという顔をします。【理知】による交渉判定か、感知系の【知覚】判定をしてください。難易度10で何かが判ります。
幾矢/【知覚】でシンプルに振ります。(ころころ)達成値13です。
GM/「何を言っているのー」と笑い飛ばす帆乃香ちゃんを見て、それが演技だと君は気付いてしまいます。
幾矢/…………。顔をクシャッとなっちゃいます。……僕は、もう……知ってるよ。
GM/その言葉に表情がピタリと止まる。
幾矢/……ごめんね、帆乃香ちゃん。……帆乃香ちゃんのお家に行ってきたんだよ。僕、初めて……帆乃香ちゃんのお父さんの部屋に入っちゃった。
GM/「…………」 顔を俯かせた彼女は、こう口にします。「この体は帆乃香でも中身は帆乃香じゃないって知っているの?」
幾矢/……うん……。頷きます。
GM/帆乃香は悲しそうな顔をします。……周囲にいる3人を見て、みんなも知っているのか視線で訴えます。
蓮/うん……。
ゾイ/……悲しげな顔でじっと目を見ています。
ドン・キホーテ/みんなで、旦那の日記を見たからな……。
GM/最初に彼女が言う言葉は、こうですね。「……騙してごめんなさい。私は帆乃香じゃありません」 一番に出た言葉は、謝罪です。
幾矢/謝罪には、ふるふると首を横に振ります。
GM/そして明るく子供っぽかった帆乃香とは一変し、理知的な喋りになります。「……私は、ピグマリオンと名付けられた霊体の異端『ヒューマンオリジン』という種族です。15年前にコードネーム『バンダースナッチ』に捕獲され、超人類開発研究所の研究対象として管理されていました」
幾矢/…………。
GM/「私は、今年まで……つい1ヶ月前まで、コードネーム『ジャバウォック』、古桜 孝三のウズマキの中に封印されていました
ゾイ/ふ、封印……?
GM/能力者はウズマキという時空の狭間に、武器や道具を入れることができます。生き物を入れてはいけないと言われているのは、「ウズマキに入れた物は本人以外取り出すことができない」とされているからです。箱にでも閉じ込めてウズマキに入れておけば、永久に誰も手出しできない物になります。孝三は「異端の研究をやめよう!」と決意したときに、研究の継承者がいないピグマリオンを封印したんです。
蓮/なるほどー……。
GM/「1ヶ月前、私は突然ウズマキから出され、封印を解かれ……人間の体に入れられました。記憶や感情は魂に集約されていますが、記録は器自身にも微量ですが残留しているものです。僅かな帆乃香の記録を肉体から読み取ることで、私は帆乃香として擬態することができました。だからこの1ヶ月間、誰にも怪しまれずに演技をすることが可能でした」
幾矢/擬態……演技をしていたんだね。
GM/「ありとあらゆる『帆乃香らしい言動』を取ることが私には可能です。例えば、父親の愛に戸惑う娘の心情も、そのときどうするかという実働も。……帆乃香に擬態することは、マスターである古桜 孝三の願いです……から……」と、淡々と語るピグマリオンでしたが、そこだけはちょっと感情を含めて言いましょうか。
蓮/あ、好感度は高いんだ? 結構、素直な良い子だな?
GM/15年前から一緒にいた関係ですから。頭垓の上司に「ピグマリオンを殺すか持っていくかしなよ」と言われて、持っていく決意をするぐらいですから。
蓮/……「ウズマキに封印」とか言ってますけど、その様子だと結構大切にされてきたっぽいですね? ……もしかしたら、もう1人の娘みたいなものだったのかな。
ドン・キホーテ/もう1人の娘か……。
ゾイ/……ねえ、よく判らない。どうして貴方は帆乃香に演技しているの。帆乃香の器にどうして入ってしまったの?
GM/「『入ってしまった』ではありません。『古桜 孝三が入れた』です」
ゾイ/……あっ。
GM/「6月1日、事故により帆乃香の魂は器から離反しました。首の骨を折ってしまったことで器が一時的に死んでしまったんです」
幾矢/……ううっ……。
GM/「『生きた器』と『生きた魂』は、2つが1つセットになって『生きている』という状態を作り出します。器がダメになると、セットになっている状態が崩れ……魂は死んだ器に定着することができず、天に昇ってしまいます。これは逆もあり、魂だけが死ぬと器も次第にダメになっていきます」
蓮/ほ、ほう?
GM/「どっちかが欠けると、残ったどっちかもダメになります。器がダメになった帆乃香の魂は、定着が剥がれ、魂がどこかへ飛んでいってしまいました。魂が抜けた肉体は腐り落ちます。慌てた孝三は代理の魂として≪ソウルデバイス≫に入れていた私、ピグマリオンを帆乃香の器に入れました」
蓮/≪ソウルデバイス≫!
幾矢/お父さんが帆乃香ちゃんの体臭を気にしていましたよね。あれは……帆乃香ちゃんの器と、中に入っているというピグマリオンの魂が、きちんとくっ付いているかを気にしていたってこと? ……魂がいなくなったら体も腐っちゃうから、帆乃香ちゃんの魂の代わりにピグマリオンを入れたと……?
GM/「その通りです。器が最初ダメになって帆乃香の魂は定着が剥がれ、どこかに行ってしまった。そうしたら帆乃香の器は腐る。腐らずに残しておくためにはすぐにでも代理の魂を入れるしかなかった。……だから孝三は、『飼っていた魂』を帆乃香に入れました」
幾矢/……君は、帆乃香ちゃんが戻ってくるまでの場繋ぎ。器の中にも記憶があるから、何となく帆乃香として動けちゃうのかな。
GM/「ええ。……孝三はすぐに失った帆乃香の魂を探し出し、元の器に戻すつもりだったのでしょう。ですがそれは叶いません。……帆乃香の魂は完全にこの世から失われました。彼女の魂は天に昇り、成仏し、この世から無くなってしまったんです」
ゾイ/……帆乃香は、本当に半月前に死んだんだ……。
ドン・キホーテ/半月前というより、もう1ヶ月前から事故が原因で亡くなっていたんだな……。
GM/「……孝三は何でもいいから手段が欲しかった。かつて同じ研究所で異端や魂について学んでいた同僚を頼ることにしました」
幾矢/それが……バンダースナッチ?
GM/「はい。バンダースナッチと会ったのですが、既にバンダースナッチは正気ではなく、逆に孝三の研究を……孝三の能力を、そして珍しい種族である私『ヒューマンオリジン』を取り込もうと考え始めました。接触したその日は難を逃れましたが、7月1日に罪の無い男性を襲ったそうですね……。おそらくバンダースナッチは孝三を奇襲し、孝三の知恵や私自身を得ようとしたのでしょう
蓮/なるほど……。
GM/「バンダースナッチの性質考えれば、そこまでは予想できました。……ですが、それから予想外のことが起きました」
幾矢/予想外?
GM/「古桜 孝三が、まるでバンダースナッチを支援するかのようなことをし始めました」
ゾイ/し、支援……って?
GM/「ここから先は私の予想です。それでも聞いてくれますか」 大変知能の高そうな彼女は言います。
幾矢/う、うん。
GM/「この世界は惨劇が起これば時を巻き戻す使者が現れる。散々な世界になれば、原因を辿って時間が巻き戻る。それを孝三はやろうとしている」 ……孝三はバンダースナッチに事件を起こさせている。世界はバンダースナッチの死の原因を突きとめようとする。その原因は孝三にあり、娘の事故がキッカケだ……つまり事故のある6月1日まで時間を跳躍させようとわざと事件を繰り返しているのでは? ピグマリオンはそう語ります。
幾矢/もしあの事故が異端によるものなら、あの事故が起きる前まで時間を戻すことができるけど……。
蓮/あれは自然災害じゃないかな。……GM、≪運命の予感≫であの事故が自然災害かどうかって判りますか?
GM/使用回数を減らしてくれれば答えるよ。……ご明察です。あのトンネル崩落事故は自然災害であり、異端による事件ではありません。
蓮/ですよねー。……だから、帆乃香ちゃんが死んだからといって時間跳躍は起きない。帆乃香ちゃんが原因となる殺人事件が起きないと、ループは発生しないんだ。
ゾイ/帆乃香ちゃんが原因となる殺人事件が起きないと……いけない……?
ドン・キホーテ/ほう? 「バンダースナッチを放置して殺人事件が起きれば嬢ちゃんを救えるかもしれない」んだな?
幾矢/で、でもそれって……!?
ドン・キホーテ/ああ、「そういう風にも言える」ってことだ。
GM/「……公園で長話は暑苦しいですね。皆さん、体調は大丈夫ですか?」 ピグマリオンは自分の心配よりも君達の容態を案じます。そう言っている彼女は貧乏ゆすりをしたり、震えた手でペンダントを握ったりして落ち着かないようですが。
蓮/そういえば、手足の痺れがあるって言ってたな。何か体に異常があるのか?
GM/「異常はあります。元々器には適正な魂が入っていないと拒否反応があります。この震えは、私がこの器にいるべきではない、本来の持ち主ではない存在だという表れです」
蓮/……ピグマリオン自体には意思はあるの?
GM/「愛情を理解するだけの知性が私にはあります」 理知的な振る舞いをすること、そして「マスターである古桜 孝三の……」と言ったときに感情を含めたり、真っ先に謝罪を口にして悲しげな顔をすることからピグマリオンに心があることは判るでしょう。
幾矢/……そのペンダントは?
GM/「これは、6月10日に娘の容態を心配した孝三からの贈り物です」 ペンダントについて触れてくれましたね? ではイベントが発生します。

 『ペンダントを調べる』
 帆乃香が持っているペンダントを調べる判定。
 【知覚】判定難易度8→【幸運】判定難易度8の順に判定を成功させれば、ペンダントを調べることができる。
 交代して判定することもできるが、代表者1人ずつしかダイスロールできない。
 ファンブルした場合、ペンダントが爆破して大変なことになる。


ゾイ/えっ、ペンダントが爆発するんですか!?(一同笑)
幾矢/冗談ですよね!?(笑) ……幾矢の【知覚】が高いので振ります。(ころころ)達成値14で成功です。
GM/おや、このペンダント……パカッと蓋が開くタイプだね。
幾矢/中に何かが入っているロケット方式になっているのか……【幸運】も僕が振ります。(ころころ)達成値12で成功です。
GM/パカリ。中には細かい字が刻まれています。「器と魂は2つで1つ。ピグマリオン。もしお前に迷いが生じたとしても、お前の名を彼女と共に。」
幾矢/……名前を2つ入れろってことか?
GM/その通り。パスワードの正解は「器と魂の名前」、ピグマリオンとNPC1の名前……つまり、「ピグマリオンホノカ」です。
蓮/おー、確かにこれは判ってなきゃクリアーできないパスワードだ!
幾矢/じゃあ……次のシーンでパスワードを開けにいこうか。帆乃香ちゃんも……お父さんの部屋に一緒に行ってみるかい?
GM/暫し彼女は黙り、口を開きます。「帆乃香の性格を見ると、勝手に父親の部屋には入りたがりません」
ゾイ/帆乃香は、そうだろうね……。
ドン・キホーテ/帆乃香に訊いているのでなく、嬢ちゃんに訊いたつもりなんだが?
GM/「……私が行ってもいいのでしょうか?」
幾矢/君がついて来たいと言うなら、止める理由は無いよ。……一緒に行こうか、帆乃香ちゃん。


 ●ミドルフェイズ6/蓮 〜最後の日記〜

幾矢/もう一回、帆乃香ちゃんの家に来ました。難易度は10だから難易度減少させなくてもダイスが振れるな……。

『AF判定:帆乃香の自宅』
 ・使用能力値:【知覚】【意志】
 ・難易度:20→10
 ・ラウンド制限:2ラウンド

※「帆乃香の自宅に入って時間を過ごす」演出に成功すること。成功した場合、帆乃香の自宅で何かを発見する。
※条件『イベントキー:ヒューマンオリジン』があること。
※協調行動OK。難易度:6。


GM/カタカタ、ッターンしたい人はどうぞ。
蓮/はいはい! 私がカタカタしたい!(笑) まだお父さんは帰ってきてないね? ごそごそ、先ほどのようにお願いしますと≪戦術指揮≫! このパスワードで当たる気がするぞ、≪運命の予感≫!
ドン・キホーテ/もうキーボード入力して「よろしくお願いしまーす!」しちゃいなよ(笑)
蓮/振りまーす、ッターン!(ころころ)はい、成功でーす!
GM/隠し日記が発見できました。では最初に……PC1の幾矢くん、2D6を振ってくださる?
幾矢/僕?(笑)えーと、9が出ました。
GM/日記の冒頭は「この世界は9回目である」から始まっている。
ゾイ/9回もループしてるー!?(笑)
蓮/よく試しているな、お父さん!(笑) 一体何を代償にしてきたんだい!?
GM/「前回のループでは、公園で男性が襲われ、路地裏で女性が襲われるだけだった。2名の命だけではループは3日しか戻れなかった。前々回のループでは3名の命だけ、そして戻れたのは5日だった。単純計算で考えれば、15〜20人の人間が死亡すれば1ヶ月は遡れるのではないか。10回目の今回はそのように試してみよう」
蓮/お、おう!? 今回のループでは……15人は殺すつもりか!?
幾矢/でもバンダースナッチによる被害者がまだ1名も出ていないんだろ? お父さん、焦るぞ……? すぐにでもバンダースナッチを止めた方がいいんじゃないか!
GM/いいだろうね。あと……そのような日記には、こんなことも書いているよ。「ピグマリオンは頑張ってくれている」
ゾイ/あっ……お父さん……。
GM/それを読んだ帆乃香ことピグマリオンは……「『頑張ってくれている』というのは、帆乃香の擬態が上手いという意味でしょう」と言います。
蓮/……人間は同じ言葉に違う意味を込めるものだよ。
GM/「…………」 彼女は何かを考えて、口にしようとして、でも押し黙るような仕草をします。
ゾイ/……何? どうしたの。
GM/「……あまり生産性の無い言葉が思いついてしまったので」
蓮/生産性の無い? 難しい言葉を知ってるね!(笑)
ドン・キホーテ/何か思いついたってことだろ? 言ってみろよ。
GM/ピグマリオンは言うか言うまいか長く悩んだ末……素直な言葉を口にします。「こういうの……やめてほしいです……やめてほしいな……帰ってきてほしい、です」 それは肉体から読み取った帆乃香ちゃんの心なのか、ピグマリオン自身の声なのか、どちらに受け取ってくれても構いません。
幾矢/……それは、僕も同意見だよ。お父さん、何もしないで……帰ってきてほしいね。
ドン・キホーテ/……「帰ってきてほしい」じゃなくて、帰らせよう! バンダースナッチの追跡』をしよう! ≪全方位視覚≫で探すぞ!

 2シーンが終わったことで『バンダースナッチの凶行』が発生したが、無事全員成功した。

GM/ドン・キホーテさんが≪全方位視覚≫で探すと提案してくれたので、それを採用します。ドンさん、達成値+4のボーナス付きでダイスロールしていいよ。
ドン・キホーテ/よっし、判定します!(ころころ)よし、達成値16で成功! 2回目は(ころころ)17で成功!
幾矢/どっちも高い!(笑) えっと、危険なので帆乃香ちゃんは……田臥家に置いてきました。
GM/了解です。彼女は幾矢くんのお母さんがしっかり見張ってくれます。サクランボでも食べさせながら。
蓮/またサクランボ食べてる!(笑)
ゾイ/もぐもぐしてるの可愛い!(笑)
GM/そして『バンダースナッチの追跡』に成功しましたので、奴を発見することができました。……クライマックスフェイズに移行します。


 ●クライマックスフェイズ 〜対決〜

GM/バンダースナッチは……人気の無い夜の公園にいたことにしましょう。バンダースナッチがいる公園にやって来ると、彼が……ある人物に声を荒げているのが聞こえてきます。
幾矢/声? これはみんな聞こえている声だよね!? デジャブじゃないよね!?(笑)
GM/せ、せやな、疑わせて悪いがこれはリアルやで(一同笑) バンダースナッチは乱暴に声を荒げています。そして、それに受け答える男性は……古桜 孝三です。
幾矢/や、ヤバイヤバイ……!

 「ジャバウォック……お前の持っていった知恵、知識、知能……全部オレに寄越せよぉ!」 
 「その前にバンダースナッチ。お前にやってもらいたいことがある」
 「ああん? このオレを利用して何をするつもりだぁ?」
 「バンダースナッチ……お前は、もっと大勢を殺したかったんじゃないのか……?」
 「なにぃ? 確かにオレは殺戮の限りを尽くしたい。……そういう頼みだったら元同僚のよしみで叶えてやってもいいが?」

幾矢/そっ……それ以上はダメです! 会話に割り込みます!
GM/必死な幾矢くんの声が、夜の公園に響きます。幾矢くんの声に「あん?」と振り返るバンダースナッチは、既に目は血走り、体半分異形になりかけている人間です。
蓮/もう、既に異端だな……!
GM/孝三は、割り込んできた幾矢くんにとても動揺しています。
幾矢/こ、孝三さん……。か、考え無しに割り込んじゃったけどどうしよう!?(笑)
ドン・キホーテ/……まったく、ここまで来たらもう古桜の旦那は夜の散歩に偶然居合わせたって言えねーな。
GM/……孝三は震えながらも、こう口にします。「すまない、田臥くん……いつも帆乃香と遊んでくれて……。なあ、ここで死んでくれないか。4人死んでくれれば、少なくとも5日は時が巻き戻って……またチャンスが……」
幾矢/孝三さん、もうそんなこと……!
GM/しかし孝三ことジャバウォックは、ウズマキから銃を取り出す。バンダースナッチは異形の腕を振り下ろし、君達に襲いかかってくる。
ゾイ/……孝三さんも倒すの?
蓮/そうだな。多分、孝三さんも襲い掛かってくる……。
ドン・キホーテ/……一旦、黙らせないとだな。あれは風車じゃなくて怪物だ。倒さなくちゃいけないもんだ!
ゾイ/……みんな、下がって。敵なら倒すから。でも……本当に孝三さんも倒さなきゃダメ?
GM/ゾイちゃん、戦いたくない?
ゾイ/……パソコンの中を見ていると、嫌になってくるな……。
GM/……うーん、お父さんも辛い状況で戦っているんだよね。だから……セットアップで交渉判定に成功すれば、孝三を行動済みにすることができるのはどうだろう?
蓮/わーっ!? それはありがたい!
ドン・キホーテ/なるほど、声を掛けるのはセットアップで可能だから説得ができる!
幾矢/セットアップに何も特技が無い人が説得するのは良いな! ……ちなみにみんな、セットアップ特技は?
蓮/ラウンド間のクリティカル値を下げる≪魂装支援≫があるよ。
ゾイ/≪闇の衣≫と≪処刑時刻≫がある。
ドン・キホーテ/≪空間知識≫があるな。
幾矢/……僕だけない。僕が説得しなきゃだな!?(笑) でも僕、【理知】は2なんだけど……?
蓮/大丈夫、令呪があれば何でもできる!
幾矢/そ、そうだね。引き攣った顔で戦闘に入ります……!(笑)

【行動値】
 バンダースナッチ:20
 幾矢:13
 ゾイ:12
 蓮:11
 ジャバウォック:11
 ドン・キホーテ:5


ドン・キホーテ/さすがバンダースナッチは早い。俊敏って言われていただけはあるな!

【エンゲージ】
 エンゲージ1:幾矢、蓮、ゾイ、ドン・キホーテ
 (↑10メートル離れている↓)
 エンゲージ2:バンダースナッチ
 エンゲージ3:ジャバウォック


ドン・キホーテ/あ……そうだ、敵のクラスが知りたい!
蓮/GM、≪運命の予感≫を使用します! バンダースナッチとジャバウォックのクラス配分を教えてください!
GM/えー……せめてどっちか1名か、使用回数を2つ消費するかにしてくれ(笑)
蓮/じゃあバンダースナッチの方のクラスを教えてください!
GM/それなら……はい、バンダースナッチのクラス配分は、[狂戦士/イレギュラー]です。
ドン・キホーテ/よし……PC側に[イレギュラー]がいない。オートタイミングで≪還り名≫を使用、ドーンと槍を突き立てて結界を張る! クラスを[イレギュラー]に指定して、このシーン内に登場する[イレギュラー]のキャラクターへクリンナッププロセスにダメージを与えます!
GM/おおっ、オッケーです。……お前ら、お父さんが[イレギュラー]であることは知っているだろ?(笑)
蓮/≪ソウルデバイス≫を使っていたよね、ごめんね!(笑)

 クライマックス戦闘が開始。まずは第1ラウンドのセットアッププロセス。
 バンダースナッチは≪アポピス≫をゾイに使用する。だがゾイは【反射】判定に勝利し、バステ:放心を回避した。


GM/異形の腕が伸びて、ゾイちゃんに掴みかかる! でもそんなのには捕まらないゾイちゃんです。
ゾイ/ひょいっ。……そんなの蚊が止まるよ。
GM/か、カワイイ! カッコイイ!(笑) では次に、幾矢くんのセットアップターンだ。
幾矢/い、行くよお父さん……交渉します。(ころころ)出目が良かった。達成値12です。貴方ももう9回目なんでしょう!? 何を犠牲にしたんですか!
GM/(ころころ)……ジャバウォックの抵抗は、9でした。幾矢くんの声を聞いて動きが鈍ります。
蓮/お父ちゃん、説得された!
GM/9回という具体的な数字を言われたことで、娘を親しくしてくれていた幾矢くんにも知られているという動揺、それほど繰り返しているにも関わらず前に進めない絶望を突きつけられ……。ジャバウォックは口を閉ざしてしまい、呪文も何も言えないまま行動済みになります!

 セットアッププロセスにゾイは≪闇の衣≫、蓮は≪魂装支援≫を、ドン・キホーテは≪空間知識≫を使用を宣言した。

GM/メインプロセスに参ります、バンダースナッチのターンです。バンダースナッチは≪シヴァ≫+≪乱舞≫+≪ヤマトノオロチ≫+≪殺戮の身体≫で、PC全員に範囲攻撃をします。命中判定!(ころころ)命中18ですね。
幾矢/……おそらくあれ、全力攻撃だよな。なら、ファンブルにさせる≪零力射撃≫を使用!
蓮/うん、範囲攻撃になっている今使った方がいい! ≪零力射撃≫を使っちゃおう!
GM/命中判定をファンブルにさせられました。バンダースナッチの腕が2本、3本、4本と生えて伸びてきますが……全員避けることができます。しかしその後、≪アザトース≫を使用。未行動化します。全員の行動が終わったらまた動くよ。みんな何とか窮地を退いたね。
ゾイ/なんてヘルシーな男。
GM/……スマートとかスピーディーとかじゃないんだ?(笑) 次は反撃のターンです、幾矢くんのターンどうぞ。
幾矢/≪闇纏い≫+≪無の射撃≫で攻撃します。対象はバンダースナッチです!

 幾矢の≪闇纏い≫の成功判定は、無事成功。
 命中判定は無事成功し、≪禍福のさざなみ≫+令呪付きの60点物理ダメージ+バステ:毒を与えた。


GM/いきなり60点のダメージか!? アーチェリーの矢がズドドドと刺さったバンダースナッチは「何すんじゃワレェー!?」って激おこです。
幾矢/でもおかげで幾矢の【MP】も、もうガス欠だよ……(笑)
蓮/【MP】の低い[狩人]にありがちなことだ(笑)

 ゾイは一旦、待機を宣言。
 蓮はマイナーアクションでエンゲージを分かれるため5メートル移動。メジャーアクションでゾイに≪さきもりの声≫を使用し、シーン間のクリティカル値が8になった。


蓮/私の仕事は終わったので、ベンチで座っています!
幾矢/それ、思いっきり敵を煽っているよ(笑)
GM/さて次は……【行動値】11のジャバウォックだったんですが、行動済みになっちゃいました。なので次のターンはドン・キホーテさんだよ。
ドン・キホーテ/おう! オートアクションで≪空間知識≫で味方全員が対象になった≪食物錬成≫で回復します。
GM/ドンさんが全員の口に食べ物を放り込みました。【HP】が回復するサンドイッチか【MP】が回復するサンドイッチ、どちらかお好きな方をお選びください(笑)
ドン・キホーテ/マイナーアクションで≪強化術式≫を使用してダメージアップ。メジャーアクションで≪大地の勅命≫を使用して【防御点】をアップさせます。
GM/忙しい男だなぁ!?(一同笑)

 行動ターンになったゾイは、マイナーアクションでバンダースナッチのいるエンゲージまで接敵。
 メジャーアクションで≪凶々しき武器≫で攻撃を行なった。


ゾイ/クリティカル値は8! 命中判定!(ころころ)命中15……クリティカルは出ない。
蓮/≪逆転運命≫を使用! 振り直して!
ゾイ/(ころころ)あ、低くなっちゃった……。
蓮/じゃあ≪悔改めよ≫を使用! もう一回振り直して!
ゾイ/入念に振り直しを!?(ころころ)おっ、出目が6と3! クリティカル発生しました!
蓮/よっし! クリティカル命中なので≪戦術指揮≫を使用します。(ころころ)マスター、令呪ください! ダメージ+38点! さらにゾイちゃんのダメージロールに令呪を使用、ダメージ+20点!
幾矢/≪ミネルヴァ≫の使用を宣言します! ドンさん、ここに令呪をください!(ころころ)21点追加です!
ドン・キホーテ/はい令呪ー!
幾矢/さらに、蓮さんの≪戦術指揮≫のダイスロールに≪交わる矢≫を使用! ドンさん、こっちにも令呪をください!(ころころ)23点追加してください!
蓮/……あ、100点越えた?(笑)
ゾイ/零距離ショットによる猟銃による攻撃で、合計ダメージ……102点の物理です。
GM/エグイなぁ! これはあまり真似しちゃいけないプレイだな!(一同笑) 半壊以上しました。「うおー! 4つあった腕が一気に3つぐらい減ったー!?」
ドン・キホーテ/あと4分の1ぐらいの【HP】だ!(笑)
GM/つ、次は……≪アザトース≫で未行動化したバンダースナッチだ。範囲攻撃を当てられるのは、幾矢くんとドン・キホーテさんがいるエンゲージだけだな……。
ゾイ/目の前には血まみれの少女がいる。
GM/目の前が気になる!(笑) で、でも範囲攻撃をするよ! さっきと同じコンボを幾矢くんとドン・キホーテさんに攻撃します。(ころころ)……ごめん、6・6で命中クリティカルだ!
ドン・キホーテ/うわぁ!? クリティカル回避が出ればワンチャン!(ころころ)11です、失敗。
幾矢/(ころころ)こっちも失敗です。ふ、吹き飛びそうだな……。
GM/1回ぐらいGMもクリティカルを出してもいいじゃん! ダメージロール前に≪インドラ≫を使用!(ころころ)物理ダメージ40点ピッタリ!
幾矢/【HP】0、倒れます。
ドン・キホーテ/同じく【HP】0、倒れます。
ゾイ/えーっ!?
蓮/やばい! そ、それなら……令呪の強制退場を使用しよう!

 ≪令呪:強制退場≫
 令呪1つで既にシーンに登場しているサーヴァントを、強制的に退場することができる。
 また、「タイミング:ダメージロール直後」に使用することで戦闘から退場させることができる。退場した場合、【幸運】判定で即座に「シーンに再登場できるか」を設定する。


ゾイ/あっ……そうか、令呪なら残っているから使える! ドン・キホーテを令呪を使って強制退場させます!
ドン・キホーテ/うわー! ありがとよぉー!(笑)
幾矢/ドンさんは一旦シーンから強制退場してもらいました。幾矢はもう令呪が残っていないので……幾矢だけ戦闘不能になって倒れます!

 第1ラウンド、クリンナッププロセスに移行。
 バンダースナッチはバステ:毒と≪還り名≫により合計8点の【防御点】無視ダメージを、ジャバウォックは3点ダメージを受けた。


GM/第2ラウンドのセットアッププロセスに参ります。ドン・キホーテさんが戦闘参加できるかの【幸運】判定をしましょう。
ドン・キホーテ/はい。戻ってこられるかの難易度は?
GM/『難しい判定』の基準なんだけど……今までの様子を見る限り、マスターのゾイちゃんって凄く戦闘慣れしているよね。
ゾイ/うん。
GM/ゾイちゃんとドン・キホーテさんはセッション内での接触率も高かった。既に何度も戦闘をこなしている……なので、難易度は12にしましょう。
ドン・キホーテ/ありがとうございます!(ころころ)くっ、駄目か。
蓮/……あ。ゾイちゃん、ドンさんの令呪ってまだ残ってる?
ゾイ/残ってます。
蓮/今の今まで忘れてたけど、強制召喚があるよ。

 ≪令呪:強制召喚≫
 令呪1つでシーンに登場していないサーヴァントを、瞬間的に呼び出すことができる。


ゾイ/強制退場した後に、強制召喚!?(笑)
蓮/うん、出して入れるっていうコンボ!(笑)
GM/えー……ルール的にはOKなんだよなぁ(笑) ゾイちゃん、令呪を消費してドン・キホーテさんを召喚してあげてください。「消えたと思った? 俺だよ!」ができます(一同笑)
ゾイ/はーい! 隣に置きますー!

 バンダースナッチは蓮に≪アポピス≫を使用。蓮は判定に失敗し、バステ:放心になってしまう。

蓮/バステ:放心にはなったけど……私、ダイスを振らないキャラメなんだよね。うわー、痺れるー(笑)
ゾイ/ベンチに座りながら言ってる(笑) ……ゾイはセットアッププロセスに≪処刑時刻≫を使用。鎧を全部脱げ捨てて攻撃をします!
蓮/蓮は≪魂装支援≫をしようと思ったけど……お父さんには動かれたくない。なので説得します!(ころころ)【理知】で達成値6、放心になっているから巧く口が回らない!(笑)
GM/(ころころ)お父さんは達成値9で抵抗だ。
ゾイ/その判定に≪血の媚薬≫を使用! 【HP】を12点削って、達成値+3します!
GM/ゾイちゃんは忙しいな。……いや、ゾイちゃんも忙しいな(笑)
ドン・キホーテ/主従2人して忙しいなー(笑)

 蓮はジャバウォックの説得に成功し、ジャバウォックは行動済みとなった。
 メインプロセスに移行し、バンダースナッチはゾイに攻撃。


GM/(ころころ)命中は16だよ。
ゾイ/(ころころ)うーん……回避11だった。ちょっと低かった。
蓮/回避判定に≪悔改めよ≫使用! 振り直して!
ゾイ/(ころころ)失敗……。
蓮/もう一回≪逆転運命≫! 振り直して!
ゾイ/(ころころ)ふ、ファンブルです!
GM/相変わらず忙しい出目だな!?(一同笑) ダメージロール直前に≪インドラ≫を使用!(ころころ)ダメージは……37点。
ゾイ/あ、今の【HP】37点です。
ドン・キホーテ/……【防御点】は?
ゾイ/≪処刑時刻≫で今……【防御点】0です。
幾矢/ぴ、ピッタリ!? 36点だったら1点で生き残れたのに!?(笑)
蓮/えーと……ゾイちゃんに強制退場させます(笑) そしてすぐに強制召喚ってできますか?
GM/ルール的には可能なのでOKとします。つまりは令呪2つ消費で攻撃を無効化できるコンボになるんだね(笑) ……戻ってきたゾイちゃんのターンだけど、どうする?
ゾイ/≪封印の牙≫+≪凶々しき武器≫で命中判定をします!(ころころ)おっ、出目が合わせて10だったのでクリティカル!
幾矢/おおっ、クリティカルでダメージアップだ!?
GM/(ころころ)回避は失敗、ダメージロールをください。
ゾイ/スキルウェポンの2D6と、クリティカルの1D6と、≪処刑時刻≫の4D6で……7D6のダメージだ!
ドン・キホーテ/おおお、これはいっぱいダイスを振れるぞ……!
ゾイ/(ころころ)……全部で、31点の物理ダメージです! 満身創痍……どうだ!?
GM/……バンダースナッチ、倒れます。
ゾイ/や、やったぁー……! やりましたー! 良かったー!(笑)
GM/1回も行動をしていないジャバウォックは、戦闘放棄をします。……伸縮自在の恐ろしい腕を伸ばして攻撃していたバンダースナッチですが、ゾイちゃんはその体を撃ち抜くことができます。「ちくしょう、殺してやるぅー!」
ゾイ/ふんっ。……ふぅ、撃って一息吐きます。
GM/ジャバウォックこと孝三さんは……降参というより、膝をついて動かなくなるという風です。幾矢くんと蓮さんの説得があったので、銃を持っていたにも関わらず呪文も唱えずずっと立ち尽くすだけでした。
幾矢/よ、良かった……。
GM/しかし……「いや、だが、せめて、1人は、1人だけでも、殺さないと……時が戻らない……」とブツブツと、【正気度】の無いような声で呟いています。
ゾイ/それなら……。
幾矢/あっ……! このままだといけない! バンダースナッチを庇います!
GM/え?
ゾイ/え?
幾矢/トドメを刺されたらループしちゃう!
蓮/ん?
GM/…………あああーっ!?
ゾイ/あ、そっか!?
幾矢/……え? そう……思ったんだけど?
GM/あ……ああ、ごめん、幾矢くん。そのことはGM、全然考えてなかったよ……。
幾矢/え、えっ?(笑)
GM/バンダースナッチを人間カウントしていたんだね、君。幾矢くん優しいって感動しちゃった(笑)
ゾイ/は、はい……私もまさかバンダースナッチを庇うとは思わなかった(笑)
GM/けどバンダースナッチの説明のとき「異端を取り込んだ人間」って言ってたよね……人間だわ、能力者によって殺されたら優しい誰かがループしようと考えてもおかしくない……。って今までのバンダースナッチのキャラロールを見ても庇おうと思わないよ! 優しいな、幾矢くん!?(笑)
幾矢/お、思わず動いちゃっただけです!(笑)
GM/……「ループをさせないため」という計算もあるけど、それでも思わず庇ったことにGMが感動したので、その通りにキャラロールしていいですか(笑)
ドン・キホーテ/はーい、どうぞー(笑)
GM/……孝三さんは理解できない幾矢くんの行動に放心しますが、ある考えに至ってハッとします。誰かを守ろうと必死になっている幾矢くんの姿を目の当たりにしてしまった彼は、その動きによって目を覚まし……手にしていただけの銃がポトリと落ちます。
幾矢/はぁはぁ……と荒い息で孝三さんの前に立ちます。
ゾイ/私は……持っている銃の持ち手で顎を持ち上げて、目線を自分に合わせます。
GM/イケメンロールだ。……彼はゾイちゃんの目を見ます。
ゾイ/……私は異端は全て殺せと今まで教わってきた。私のお母さんもそう教えてくれたし、それが正義だと思っている。……事件を起こした異端犯罪者のあんたも私には殺す対象だ。
ドン・キホーテ/……うん。
ゾイ/でも、ピグマリオンの帆乃香ちゃんに会って判らなくなっちゃった。あんたがあの帆乃香ちゃんのことを人間らしい感情で想っているんだったら……あんたは今後どうすればいいか判るんじゃないの?
GM/「……帆乃香は……死んだ。だから……自分のすることは……」
幾矢/……彼女は、帆乃香ちゃんは自然災害で死んだ。彼女は死んでしまったんですよ。……それを口にしながら、幾矢も泣いています。
GM/「帆乃香は……本当に死んでしまった。もう……帆乃香に会えないのか」
幾矢/……はい、帆乃香ちゃんは死んじゃったんです……。泣きながら言います! でも……! 今、お父さんの帰りを待っている帆乃香ちゃんを、もう一人の娘さんだと思ってあげることはできませんか!?
GM/それを聞いた瞬間、孝三の目から涙がボロボロと出てきます。もう一人の娘、その言葉がキッカケでした。「うわああああぁ……!」と大声を上げて、彼は泣き始めます。
蓮/……その光景を見ながらも、淡々と教会に連絡を取ります。彼はきっと教会に捕まる……いや、保護されるんだ。
GM/教会所属の蓮さんがご連絡をしていただけたなら、孝三さんは保護され……生かしてもらったバンダースナッチは異端刑務所に運ばれることでしょう。お父さんは一旦、異端刑務所に行きますが、きっと悪いことにならないと皆さんは思ってください……。


 ●エンディングフェイズ 〜その後〜

GM/さて、帆乃香ちゃんことピグマリオンの処遇の話です。彼女は「危険ではない異端」なので、教会側は彼女を捕獲や処罰をしません。……寧ろ、独りぼっちになってしまった彼女をどうするか考えなければなりませんね。
幾矢/そうだな……。教会にも保護してくれる施設もあるし、そこに行くのかな?
GM/そうなります。古桜 帆乃香は孤児院に行くか、誰かに保護してもらうかという話を高坂とすることになります。そして帆乃香……ピグマリオンは「皆さんのご迷惑になります。私のような存在を保護する施設があるならそこに収容してください」と言います。
幾矢/……今更、気にしなくていいのに。
GM/「……お兄ちゃん? いえ、幾矢さん。今更というのは?」
幾矢/いいよ、どちらでも好きな方で呼んで。……今までだって小さい頃は毎日のように一緒に遊んだんだじゃないか。
GM/「はい、全部知っています。この体には全部その記録がありましたから」
幾矢/ってことは、今までと変わらないよ。魔力が足りないというなら僕がいつでも供給に応じるし、一緒の方がラクなんじゃないかな。……今までと、変わらないよ。
GM/「……今までと変わらずに過ごしていいと? ……私は、ピグマリオンですが……帆乃香と同じように、幾矢お兄ちゃん、そう呼び続けてもよろしいですか?」
幾矢/いいよ。帆乃香ちゃん。……泣きながら言います。
GM/「……そうですか」と、理知的に返すピグマリオン。だけど一変、口調は……もっと自然なものになる。「ありがとう、幾矢お兄ちゃん。あの、蓮さん。ゾイちゃん。ドンおじさん。……みんなのこともそう呼んで、大丈夫?」
ゾイ/全然気にすることないよ。
蓮/むしろもっとフランクに呼んでくれ!
ドン・キホーテ/フランクって、例えば?
蓮/……レンレンとか?(笑) 距離が遠いんだよお前は! もっと近くていいんだよ!
GM/「わかった。よろしくね、レンレン」
蓮/可愛いなぁオイ!? うちの子にならないかって言いたい!(笑)
ドン・キホーテ/養子にしようと言うのか?(笑)
幾矢/今なら選び放題だよ。さあ、どこに行きたい?
GM/日替わりがいい(一同笑) ……教会への報告と連絡は以上なんですが、エンディングフェイズでやりたいことはありますか?
蓮/……帆乃香ちゃんの、お墓参りに行きたい。
幾矢/うん……僕もついて行くよ。
GM/かしこまりました。ですが帆乃香ちゃんのお墓参りをしようにも……彼女のお墓なんてものはありません。
ドン・キホーテ/そうだよな、体はピグマリオンとして生きているんだもの……。
幾矢/なので、行くとしたら……事故現場にお花を添えに行く、ですかね?
GM/そうですね。……君達は、オゴリトンネルにやって来ました。ニュースでは「あの凄惨な事故から今日で2ヶ月が経ちました」と放映している日です。遺族の皆さんが花を手向けている……その中の1人としてみんなも参加しますね。
蓮/……GM。私は[霊媒師]なんですが、何か視えませんか?
GM/残念ながら帆乃香ちゃんの幽霊はいません。いたらお父さんが捕まえているからね。
幾矢/……彼女はいないとしても、他の魂は留まっているんじゃないかな。
GM/ええ、成仏できない魂達が、この世に未練がありすぎて天に昇れない者達が蠢いている姿が視えるかもしれません。
蓮/元の流れに戻れない者達がいる。きちんと戻ってもらわないとな……。十字架を持って聖書を読み上げます。
GM/ピグマリオン……いや、帆乃香ちゃんは右手をゾイちゃんと繋いで、左手を幾矢お兄ちゃんと繋いで、聖書を読み上げる声を聞いています。英霊であるドン・キホーテさんは、天を見上げると救いの言葉によって成仏する者の姿が視えるかもしれないな。
ドン・キホーテ/……何となく上の方を見てますね。
幾矢/……蓮さん。ありがとうございます。
蓮/私は何もしてないよ。……事故とはいえ死は悲しいものだ。悲しい魂が新たな命に戻れることを私は望んでいるよ。
幾矢/……そうだね。
蓮/何にせよ、人の幸せのために色んなものがある。みんなで帰って焼肉を食べよう。
ゾイ/や、焼肉?(笑)
幾矢/……うん、それがいい。みんなでご飯を食べよう。
ドン・キホーテ/≪食物錬成≫で上手に焼こう。1D6回復に令呪を使ってもいいんだぞ?(笑)
GM/「うん……みんなでお夕飯を食べに行こうか!」


 アナザーワールドSRS
   『 ピグマリオンの目覚め 』   END





GM/という訳でセッションおしまいになります。お疲れ様ですー!
一同/お疲れ様ですー!
GM/……幾矢くん、ありがとう。私には「バンダースナッチを庇う」という選択肢がありませんでした。あまりに感動してしまったので言葉を失っちゃったよ。
蓮/私もその考えが全然無くて、一瞬「ん?」って止まっちゃうぐらいビックリしました。異端犯罪者でも人間だもんなー!
ゾイ/私もです。てっきりもう異端だから【HP】0になった時点で死んでいるかと思ってました!
幾矢/いやいや、咄嗟の行動だったけど良かったです(笑)
ドン・キホーテ/凄く良かった……。戦闘も凄かったですね。
蓮/こんなに強制退場と強制召喚をしたセッションは初めてですよ! 普段はやらないって!(笑)
幾矢/いやー、毒と≪還り名≫の素通しダメージも凄かったですね。≪還り名≫は強い!(笑)
ドン・キホーテ/丁度良く[イレギュラー]で指名できたしね!(笑)
蓮/そういえば、『バンダースナッチの凶行』で判定失敗していたらどうなっていたんですか?
GM/被害者が出るということは、その時点でループが発生します。「次のシーンは7月3日……の筈だったんですけど、なんと7月1日です!」という描写になりました。そして明らかに孝三さんの疲弊が激しいキャラロールをする予定でした。
蓮/あー、お父さんは色んなものを削ってループしていたんですね……(笑)
幾矢/9回もループしていたら恐ろしい代償の数ですよね……。
GM/9ループもさせたのは幾矢くんの出目のせいなんだけどな。
蓮/いっぱいループさせちゃった!(笑) ……具体的に、お父さんは何を代償にしていたんですか?
GM/設定としては【知覚】と【幸運】を下げています。なんかシャッキリしないし、不幸オーラが出ているというキャラロールと……実はジャバウォックの【回避値】は2です。
ゾイ/どう足掻いても回避できない!?(笑)
GM/「回避する気力も無い、戦闘も無気力……でも誰かを殺そうとしている」という悲壮感を出すための設定でした。あとね、GMは「死人の成り代わり」というテーマが大好きなの。「死んでしまった人になって生きる」というキャラクターが大好きなので、このシナリオはお気に入りです。
蓮/今思えばサクランボをずっとモグモグ食べているピグマリオンが可愛すぎですよ! ずっと食べたかったの!?(笑)
GM/ほら、体にも記録として色々残っているらしいし。帆乃香ちゃんは全身からサクランボが好きだったんでしょう。
ゾイ/か、可愛い……(笑) 楽しかったです。幾矢さん凄かったー!
幾矢/ううう、泣きっぱなしだったよ……! ずっと泣かされていました。本当にお疲れ様です……!




END

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