アナザーワールドSRS・リプレイ・ワンダフルワールド
■ 『 十三歳のアシテプト 』 3ページ ■
2013年1月25日




 ●ミドルフェイズ7/朱鷺子 〜名前〜

朱鷺子/『判定:早苗の事情を探る2』がまだ成功してないんですよね。なので朱鷺子がロールしたいです。

 『判定:早苗の事情を探る2』
  ・使用能力値:【理知】【意志】
  ・難易度:12

 ※「早苗を調べる」ことに成功すること。
 ※『イベントキー:早苗』がなければ判定ができない。


センセイ/なあ、考えたんだが。……妊娠させたことにしちゃえば?
仙太/何を?
センセイ/朱鷺子さんを。
朱鷺子/え。
百合/ええええっ!?(笑)
仙太/えーと……妊娠させたことにして?
センセイ/「私、妊娠しちゃったの。どうしたらいい?」ってパパさんかママさんにカマをかけてみるとか。相談してみたら話が進展するかなって。
朱鷺子/し、信じられない!(笑)
仙太/でも……頭良い!(笑)
朱鷺子/ありですね! でも朱鷺子はセンセイがとんでもない発案をしたには頭を抱えます!(笑)
仙太/先生をムニッと持ってお腹わしゃわしゃわしゃします。
センセイ/あっあっやめて! にゃおん!?(笑)
仙太/センセイは僕の地位をどうしたいんですか!? 元の時代に戻ったらミケさんに三股してたことチクってやりますよ!?
センセイ/や、やめてくれ、3丁目のミケさんはここ200年ぐらい出会った中の猫では一番上質なんじゃ……!(笑)
仙太/それに、嘘でも妊娠したって言ったとして元の時代に戻ったらどうなると思うんですか!?(笑)
朱鷺子/でも……良い案だと思いますよ。一蓮托生という言葉があるじゃないですか(笑) それに、百合ちゃん達を助けるためです。
GM/GMもそのアイディアは面白いので大賛成です(笑) 早苗の判定をするとしたら朱鷺子さんは早苗さんと会うことになります。どんな風でもいいから切り込んできてください!
朱鷺子/今日は……日曜日ですよね。なので早苗さんのお家にお見舞いをしに行きたいです。
GM/早苗は家に居てちゃんと朱鷺子さんを招き入れます。(早苗になって)「またプリントを持ってきてくれたの? ありがとう朱鷺子ちゃん、ごめんねずっと休んでいてー」
朱鷺子/いえいえ、お見舞いの果物を持ってきましたよ。体の調子は良くなられたのでしょうか? お邪魔して、部活動の話や、吹奏楽部と軽音部が相変わらず争っている話をします(笑) ……元気になられたら一つ、早苗さんに相談したいことがあるのですか。
GM/「相談? ど、どうしたの? 私なんでも聞くよ」
朱鷺子/……凄く言いづらそうな風を装います(笑) 早苗さん……私の友達でいてくださりますよね?
GM/「も、もちろん! 私がおばさんになってもおばあさんになってもずっと友達でいるよ!」
朱鷺子/思い起こされる10年間……これは嘘ではない、涙がホロリ(笑) 私も早苗さんを信用しましょう。お腹を抑えます。実は……。
GM/「実は……?」
朱鷺子/……はい。お察しいただけますでしょうか。若さゆえの過ちというものを……。
GM/「はい……はいっ!?」 お察しした顔をします。「生命の誕生は悪いもんじゃないよっ!(一同笑) ……お、お相手は?」
朱鷺子/誰にも言わないと約束していただけますか……? 仙太さんだと言います。
GM/目玉がポーンと飛び出てポトリと落ちます。
百合/目玉を入れてくださいっ!(一同笑)
GM/「え、えっと、えっと……10年後にケンカップルって言葉が生まれると思うよ!
朱鷺子/実際生まれてそうですね!(笑) ああ、必要なこととはいえ嘘をついてごめんなさい、早苗さん……。
GM/早苗は茶化すとか一切しませんよ。「この後、どうするの……?」
朱鷺子/どうしたらいいか私にも判りません。困ったように言います。判らないからあなたに相談したんです。
GM/「そっか、じゃあ……失望されるかもしれないけれど、実は……」 そろそろ判定しましょうか(笑)
朱鷺子/ファンブらなければいける、という言葉は危ないな!(ころころ)やったー、達成値15! こんなときに余裕でしたね、嘘が効いた(笑)
GM/「実は私も……静馬先輩の赤ちゃんを妊娠しているの」と言います。「ずっとこの1週間、静馬先輩と……今後どうしようかって話し合っていたの」
朱鷺子/……そうだったんですか。
GM/「静馬先輩は1ラウンド目が終了したときに闇医者を見つけてくれたの。2ラウンド目が終わったら私、中絶手術をしにいく予定だったんだ」
仙太/あっぶねー!?(一同爆笑)
GM/「そろそろ2ラウンド目が終了するから……朱鷺子ちゃん! もし良かったら私達と一緒にお医者さんのところに行こう!?」
朱鷺子/静馬先輩とどこかで待ち合わせをしてたんですか?
GM/「うん! 8シーン目が終わったらバス停で待ち合わせする約束をしてたんだ。お母さんには『学校を1週間も休んだから部活動のミーティングに行く』って言ってある。友人のお家に泊まるって嘘をつくつもりだったんだ」
朱鷺子/……早苗さんと静馬先輩を2人きりで行かせる訳にはいきません。早苗さん、私もその闇医者のところに連れて行ってください。一緒に行きます。
仙太/いざとなったら早苗ちゃんの腕を引っ掴んでダッシュで逃げるんだ!
GM/「い、一応お金をいっぱい持って行ってね! いくらかかるとか聞いてないけど……きっとお金が掛かるから!」
朱鷺子/いざというときに貯めておいた貯金があるから大丈夫です。
GM/「そっか。でも……悲しいよね。せっかく授かった命なのに……ごめんなさい」 その謝罪は目の前の朱鷺子さんではなく、自分のお腹に向けて早苗は言います。
朱鷺子/……貴方は、この子が本当に大切なんですね。そのお腹に軽く触れます。
GM/「……静馬先輩がね、赤ちゃんの名前を優って付けてくれたんだ。『優しい』と書いてユウ」
朱鷺子/素敵な名前じゃないですか。
GM/「静馬先輩はプロポーズもしてくれた。……13歳と14歳で何をしてるんだ大人には言われるかもしれないけど、それでも私は嬉しかった。……優に会いたかった。朱鷺子ちゃんも判るよね?」
朱鷺子/……ええ。判りますよ、痛いほど。
GM/朱鷺子さんは[霊媒師]なんだよね。……早苗の部屋には君と早苗の2人しかいない。なのに、あと1人誰かが居る気がした。
朱鷺子/……センセイのオープニングフェイズで出てきたあの子、かな。優という名前は、静馬先輩が付けてくれたとおっしゃいましたね。
GM/「そうだよ」
朱鷺子/となれば、静馬先輩の決断も苦渋のものだったでしょう。……中絶手術をすれば形は無くなってしまうかもしれません。でも、この子の記憶は貴方と静馬先輩の中にずっと残り続けるでしょう。
GM/「……絶対に消さないよ。結婚して、優の弟か妹として赤ちゃんができたとしても、その子に優とは名付けないと思う。優は私の一番最初の子供だから。……これから優を殺すことになるけど、絶対に忘れないようにする」
朱鷺子/……貴方なら大丈夫ですよ。その辛さを越えて貴方は強く、また一段と綺麗になります。
GM/「……ご、ごめんね、自分の話ばっかりして! 今は朱鷺子ちゃんだって辛いのに!」
朱鷺子/はて、何のことだかサッパリ(笑)
GM/では、『イベントキー:優』を手に入れてください。……後で何かイベントが起きるかもしれません。


 ●ミドルフェイズ8/仙太 〜将来〜

GM/情報収集項目は全部終わったんですが、手番が余ったのでやりたいことをやってください。もし準備したいものがあるならここで調達できることにします。
仙太/とりあえず、仙ちゃんは静馬先輩の家に行って話をしたいな。いつも笑って居る仙ちゃんが真面目な顔でやって行きます。
GM/夜、ちょうど自宅を出るところだった静馬先輩を発見できるよ。(静馬になって)「ど、どうしたんだ? 1999年も近いしこれから世紀末の戦いか?
仙太/それはきっと別のエージェントが3年後にしていると思う、別のセッションで(笑) 先輩に聞いてもらいたい話があるんです。
GM/「なんだ?」 腕時計を見ながら言います。公園でコーラでも飲んでいくか、まだプルタブが取れる懐かしいタイプのコーラを。
仙太/おお、懐かしい(笑) ……先輩、助けてください!
GM/「なんだよ。オレ、今からコーラを飲むんだからな。変なこと言うなよ」
仙太/実は僕、女の子を妊娠させてしまいました。
GM/コーラ飲むって言っただろブハァッ!(一同爆笑) ああん!? こういうときにお揃いとか嫌だわ!」
仙太/お揃いなんですか?
GM/「……おう(一同笑) で、その、ど、ど、どうすんだよ?」
仙太/相手は同い年の女の子なんです。常識的に考えて無理じゃないですか。相談できるの先輩しかいないんです!
GM/情報は全部出てるんだよね。だから……。「オレと一緒にアルカディアっていう店に行こう! そこに行けばなんとかなる!」
仙太/そんな所があるんですか。
GM/「ああ、話の分かる人がいるんだ。『絶対の自信』って感じで話してくれた。今日が駄目でも優しそうな人だったし、すぐに対応してくれると思う」
仙太/金は集められるだけ集めておきます。……先輩、お金は大丈夫なんですか?」
GM/「……なんとかする。もし借金を抱えることになったとしても、就職してでも稼ぐ」
仙太/ち、中卒で?
GM/「自分が甘っちょろいってこと判ってるよ! 子供がどんだけ出来るかたかが知れてるっていうのも判ってる! でも……すっげえ稼いで、ちゃんと大人になって、ちゃんとした家庭を持たせてあげたいんだ……早苗には。こんなことした後だから、何にも格好がつかないだろうけど」
仙太/……どんな風になったとしても、早苗さんはずっと幸せに笑っていてくれると思いますよ。ずっと何十年も見ていたから知ってる。
朱鷺子/我々、知ってますからね。
GM/「だといいな……」 さて、何も無ければこのままシーンを進めてしまいますが、どうします?
仙太/親父に全部話しておきます。アルカディアのことも、中で怪しい商売やショーをやっていることを。
GM/必死に見回りや情報収集をしていても、調べる場所が違い過ぎて時間が掛かってしまっていた仙ちゃんの親父さんは、その情報を驚きながら受け取ります。「そ、そんな所があったのかー!」
センセイ/……親父さんも一緒にアルカディアに連れて行こうか?
朱鷺子/それがいいかもしれません。いくら私達に経験があっても、この世界では子供ですから。
仙太/大人の力は凄いからね。という訳で親父、お前も来い!(笑)
GM/NPCなのでデータはありませんが、教会のエージェントとしての動きをちゃんと見せます。基本的にはPC達に従順に動くのでお好きに使ってください。……では、シーンをアルカディアに向かうバス停までスキップします。
百合/はい。……センセイはバッグの中にそっと入れて、みんなと合流します。
朱鷺子/早苗さんとバス停に向かいます。
仙太/静馬先輩と向かいます。……親父は、少し離れた所から追いかけてきてもらいます。
GM/(親父さんになって)「わ、若い子がいっぱい行く店なんだよな? 俺も襟とか立てた方がいいかな?
仙太/アホか!(一同笑)
GM/早苗と静馬が合流し、気まずそうな顔をします。静馬は朱鷺子さんが仙ちゃんの相手だと知って目玉ゴロンゴロン。
百合/また目玉が落ちた!(笑)
朱鷺子/こうなることは大体予想がついていましたが、二度目ともなると(笑) さ、早苗さん、何も言わないでください……。
GM/早苗は、合流したメンバーの中に百合ちゃんがいることにとてもビックリします。
百合/ど、どうも。
GM/(百合になって)「……キミもお医者さんのところに行くの?」
百合/う、うん。……深い事情があるの、あまり聞かないで(笑)
GM/そう言うと、深い事情を持っている早苗は追及しません。そのうち深夜0時にバスがやって来て、みんなを乗せます。……早苗は静馬の隣ではなく、敢えて百合の隣の席に座りました。
百合/あ、あの……?
GM/「ごめんね、隣に居させて。今は……静馬先輩とはちょっとだけ気まずいの」
百合/お母さんが甘えている……。
GM/「あ。あのさ……百合ちゃん!」
百合/なあに?
GM/「ゴーヤ味の飴、舐める?」
百合/お母さんのセンス何なの!?(笑)
GM/気まずかったから和ませたんだよ。「……もしかして百合ちゃんって、不良少女なの?」 アルカディアのことを多少なりとも訊いているので、そういうお店に行くような子なのかと訊きます。
百合/う、うん。実は家出してまして……(笑)
GM/「……私も立派な不良だよ。親孝行、しなきゃダメだなぁ……」
仙太/百合ちゃんは親孝行なう、だよ(笑)
百合/……何も言わないで、ピトッと寄り添います。
仙太/……前の世界でも僕達に相談してくれたらなぁ。
朱鷺子/無理ですよ。仲良すぎて言えなかったんでしょう……。
センセイ/吾輩は仙ちゃんの親父さんに話しかけよう。親父さん、これから会う関オーナーという男を現行犯逮捕はできるか?
GM/「闇医者による手術ショーだろ、取り締まれるさ。メスを入れてたらその場で確保できる。……それに、センセイが見たのは魔道具なんだろ。異能力で一般人に害を為す奴は処罰するのが能力者の掟だ。まかせろ」
センセイ/今のうちに連絡をしておいた方がいいかもしれん。
GM/「実際に場所を見たら隙を見つけて公衆電話を探してやっておくさ」
センセイ/携帯電話が無いのが痛いのぉ(笑) ……もしものことがあったら静馬と早苗を頼む。吾輩にカリカリゴハンをくれた良い人間なのだ。助けてやってくれ。
GM/「誰だと思ってやがる。キャラクターレベル10の親父様だぞ
仙太/エキストラだけどな!(一同笑)
GM/バスは終点、工場前に到着します。若者達はアルカディアの中に入っていきます。見張りっぽいチャラいスーツの男がいますが、バスを使ってここに来られると知っていること自体が通行証のようなものなので、すぐ入ることができます。ここで仙ちゃんの親父さんは怪しまれないように別行動をします。
仙太/エージェントっぽく格好良く仕事しろよ!(笑)
GM/お店に入りました。中は、けたたましいBGMが流れるハイテンションなムードです。静馬が早苗、朱鷺子、仙太を連れて行こうとします。静馬は百合ちゃんを見るけど、「ついて来てもいいけどショッキングな話をするぞ」と気遣ってくれます。
百合/……ついて行きます! 鞄の中にはセンセイを連れていきますよ!
GM/静馬は、ソファに座ってお酒を飲んでいる偉そうな男性の元へ寄って行きます。「こんばんは、関さん」「おう、来たかいっ!」
仙太/うわぁ……いかにもチャラめな衣装の人?
GM/俗に言うホストスーツを着た男性です。30代ぐらいで、とっても笑顔。凄く明るそうでハキハキ喋るから第一印象はとても良い……けど、人によっては「目がギラギラしすぎて怖い」と感じるかもしれません。特技で言うところの≪絶対の自信≫でしょう。

 ≪絶対の自信≫
 話し合いや言い争いで、自分に有利な結果をもたらすことができる[狩人]の副特技。
 説得・交渉の話術、ギャンブル、枕事の判定達成値+3。

朱鷺子/[狩人]の特技……!
GM/「今日は静馬くん、キミの話をしよう!」 ペラペラと話し出す関オーナーはとても弁が立ち、すっごく面白い人だなと思います。きっとこのまま話していたら彼の巧みな話術にハマってしまうだろうと思えるぐらいに。
百合/し、真剣な顔をしてます!
GM/(物凄く明るく、早口で聞き取れないような口調で)「赤ちゃんをおろしたいんだよね? ボクがオペを担当するけどちゃんと医師免許あるから安心してねー。で、お金の話なんだけどねー、まけて300万円はかかっちゃうかなー。なにせ繊細な作業だからさー。学生が頑張ってバイトすれば1ヶ月10万は稼げるじゃん? 頑張れば支払える額だよね。でも中学2年生だと雇ってくれるところを探すだけでも大変だよね。じゃあショーに参加するとかゲームで勝つっていうのをオススメするけど、ここはどんな所か知ってるよね? そうだ今日ショーに参加するならタダにしてあげてもいいかもー」
仙太/……し、ショーって何をするんですかっ!?
GM/「公開中絶手術ショー。キミの女の股を開いて度アップで会場カメラで映すの。そういうの大好きな子がお店に集まってるからさ、モデラーになってくれたならちゃんと中絶手術をしてあげるよ」 それを聞いた早苗は、凍り付きます。
仙太/え、えげつねえ!
GM/「エンターテインメントとして参加してくれたら出演料ってことで半額チャラにしてあげるって話さ。んー、そうだな。もし静馬くんがボクと一緒に中絶手術に参加したら全額タダにしてあげるけどどうかな?」
百合/……一緒に?
GM/「静馬くんにも手術を手伝ってもらうんだ。キミが孕ませたんだから、男も責任取るためにもキミがシメるべきだよね? 大丈夫だよ、プロの医者であるボクがちゃんと監督してるから。【幸運】判定に失敗しなければキミ達は300万を払わずに中絶手術を終えることができるよ。ゲームみたいな感覚で参加するといいよ!」
百合/う、うわ……。
GM/早苗も静馬も凄く震え出します。人前で痴態を晒す、なおかつ、プロの医者ではない14歳の静馬にメスを持たせるということ。そんなことをやりたくない。でも2人は結論を出します。……「はい、やります」という。
仙太/え、ええっ!?
GM/こうするしかない、そう思った2人は関オーナーの提案を受け入れます。
朱鷺子/待ってください。早苗さんの肩をそっと抱きます。……その手術って、母胎の安全は確保できるんですか?
GM/「運が良ければ大丈夫でしょ。静馬くんの【幸運】判定にかかっているね」
朱鷺子/成功しないかもしれないものを人に見せて、それでショーとして成り立つんですか。
GM/「成り立つんだな、これが。あっちに何人もお客さんがいるじゃん」
仙太/面白ければ成功しようが失敗しようがオーケーなんだ、と……?
GM/……さて、君達は関オーナーの後ろにいるスタッフさん達の動きや、スタッフさん達が持っている物を見ることができます。あれは、間違いなく魔道具だ。手術の道具なんかじゃない。……むしろ、人体に使う物なんかじゃない。
朱鷺子/咄嗟に早苗さんを庇います!
仙太/僕が勝ったら先輩達の手術代をタダにしてください!
百合/えっ。
GM/「へえ、面白いこと言うねぇ? ……静馬くんのお友達? 静馬くんのために何かしたいのかな? ボクは今夜のイベントができるのであれば誰であってもOKなんだけど」
朱鷺子/面白い提案ですね。他に無いんですか。面白いゲームのようなものが。
GM/「おお、カノジョも乗り気じゃん! なかなか愉快なお嬢さんだねぇ! ……そうだな、一万端的に判りやすく誰にでもできるやつをやるかい。ウィリアム・テルとか!
仙太/ウィリアム・テル?
GM/頭の上にリンゴを乗せて射貫くゲームです。「出来るか出来ないかが一目瞭然、命を賭けた単純な勝負、そこそこ盛り上がるよ!」
朱鷺子/それで代わりになるならいいでしょう。引き受けます。……仙太さん、できますよね?
仙太/もちろん!
朱鷺子/……早苗さんと静馬先輩に言います。こういうところではなく、真っ当な病院で貴方達がやりたいようにやるべきです。私はそう思いますよ。
GM/静馬と早苗は沈んだ顔で、その言葉を受けとめ頷きます。……とある世界では静馬と早苗は2人でアルカディアを訪れ、あまりの世界に圧倒されてしまい、関オーナーに流され公開中絶手術ショーを受け入れたのでしょう。それでは、クライマックスフェイズに移行します。


 ●クライマックスフェイズ 〜ステージ〜

GM/曲と照明が変わる。関オーナーはマイクを持って、会場を盛り上げるような煽り文句を次々吐いていきます。「さて今日のゲームの参加者はこの2人! 現役中学生! 清楚系JC! お名前はー!?」
朱鷺子/渡 朱鷺子と申します。
GM/(観客になって)「うおー! 清楚系だー!」「かわいいー!」「やりてー!」
百合/う、うわあ……(笑)
GM/「カレシの名前も教えてー!」
仙太/仙太です。
GM/「ルールはカンタン! カノジョの頭の上のリンゴを射抜いてもらうだけ! もし失敗したときのためすぐに医療スタッフが控えております! ……今のお気持ちはどうでしょうか、お友達の現役JSー?」
百合/……アナウンスしてきた人をキッと睨みつけます。絶対成功します! 彼と彼女が負ける筈ありません!
GM/可愛い(笑) 「おー、自信満々だー。それでは一発キメてもらいましょー! 【幸運】判定でやってもらいまーす!」
仙太/≪投擲≫を持っているので【反射】に変更できませんか?
GM/おお、ピッタリな特技をお持ちですね。指定の【幸運】から【反射】に変更できることにします。尚且つボーナスに達成値プラス2してください。難易度は12です。失敗したら朱鷺子さんにダメージが入りますが、だとしてもショーは盛り上がります。「大丈夫だよ、医者がいるからすぐに治してあげる!」
朱鷺子/安心してください。やわな一撃で私は死にません。
仙太/言い切るねぇ(笑) 矢ではなく、ナイフを投げます。≪失われた日々≫を使用。……ふっと静馬さん達が生きていた頃を思い返される。2人を取り戻してみせる!(ころころ)お、達成値28!
朱鷺子/高い!
GM/≪零力射撃≫でファンブル化にします。

 ≪零力射撃≫
 対象の動きそのものを停止させる[狩人]の主特技。
 行為判定1つをファンブル化させる。


朱鷺子/う、うわぁ!(笑)
仙太/持っていたのかよ!?(笑)
GM/ナイフは的確に朱鷺子さんの頭の上にあったリンゴを射抜く……筈だった。不自然な力が働き、上を狙っていたナイフは顔面目がけて飛んでいく。
百合/あ、危ない!
GM/仙ちゃんはスキルウェポンを使用したダメージを算出してください。
仙太/なんだと。(ころころ)13点ダメージだよ……。
朱鷺子/【防御点】が無いので、13点そのまま入ります。それだと【HP】が残り7になってしまうので……。自分に≪気迫の盾≫を使います。【MP】を4点払って、1点だけ受けます。
仙太/頬を掠ったぐらいだ!
朱鷺子/何食わぬ顔でかわしたふりをする。頬が掠めます。……腕、なまりました?
仙太/……許してよ。10年も戻ってるんだからさ。これで異能が使われたっていうのは全員判るよね?
GM/判りますね。関オーナーは大袈裟に慌てます。「おおっと! 大丈夫ですかぁ!?」 待機していた医療スタッフがやって来る。不自然な魔道具を持って。
朱鷺子/結構です! 自分で治せますから!
GM/医療スタッフ、続けて≪愉悦の波≫を使用。

 ≪愉悦の波≫
 恍惚とさせる快楽の念を放出することができる[感応力師]の副特技。
 対象の意識を強制的に操り、快楽に溺れさせたり気絶させたりできる。


GM/会場はハイテンションになりすぎて、冷静な判断ができなくなる。ほぼ全員が正常な思考が不可能となり、この場で何が起きても受け入れるようになる。……これから凄惨な手術やありえない実験が行われたとしても、全員受けとめてしまえるだろう。だけどPC達は抵抗できます。
百合/こ、こんなの効かない!
朱鷺子/……全部こういう仕掛けだったんですね。わざと失敗させて、操って、その隙に何でもしちゃうと。
GM/(関オーナーになって)「あれぇ? なんで倒れてくれないの? せっかく≪零力射撃≫を使ったんだから今日の手術台に乗ってくれないとヤリ損じゃん」
センセイ/鞄から猫がピョーンと出てくる! ……そこまでだ、関。お前を現行犯で異端審問にかける。我々は教会のエージェントの者だ。
百合/おお、カッコイイ!(笑)
GM/教会のエージェントと聞いて、スタッフ達の動きが止まります。関は猫が喋ったことには驚きません。それよりも……「いつかおまわりさんが来るとは思っていたけど、結構早かったな。あと1ヶ月ぐらいは逃げられると思ってたのに」と愚痴っています。
仙太/ええ、うちの親父がボンクラなせいでね。
朱鷺子/そういうことは言わないのっ!(笑)
センセイ/外に教会のエージェント達が待機している。もう逃げ場は無いぞ。
GM/「まじか。まだボクの作った魔道具を埋め込んで色んな異端を産むの、やめたくなかったんだけどな。……じゃあ君達チビッ子達かエキストラのお客さん達を人質にして、なんとかエージェント達から逃げられる状況を作らなきゃかな!」
センセイ/≪魔の結界≫を使用しよう! 結界外にエキストラを退場させます。

 ≪魔の結界≫
 魔力の結界を張り、無関係な人間を遠ざける[魔術師]の副特技。
 結界内の人物を任意の選択肢、結界の外に退場させる。


GM/放心しているお客さん達が助けられるようになりました。「ちぇー! そんなことされたら≪破壊者の孤独≫でエキストラ皆殺しが使えねーじゃねーか!
仙太/やっぱ持ってた!(笑)
センセイ/そんなことはさせない! フシャー!(笑)
GM/「仕方ないね、君らを捕らえて人質にするしかないようだ! 大人の力に観念しなよー!」 関オーナーは、ウズマキから大きな包丁……≪巨大武器≫を取り出します。そして一番弱そうなチビッ子こと……外見小学生の百合ちゃんに向けます。
百合/ウズマキからずりっと巨大ハンマーを出します! ……チビッ子だからって舐めないでください!
GM/「なんだそれ! いやぁ、勝てるかなぁ。勝つしかないよね、大人の意地としてさ!」 それでは、戦闘開始します!

【戦闘マップ】
 エンゲージ1:スタッフA、スタッフB、スタッフC
 (↑5メートル離れている↓)
 エンゲージ2:関オーナー、百合、朱鷺子、仙太
 (↑10メートル離れている↓)
 エンゲージ3:センセイ

【行動値】
 関オーナー:14
 朱鷺子:12
 百合:11
 仙太:11
 センセイ:11
 スタッフA〜C:10


GM/第1ラウンド参ります。セットアッププロセスで、関オーナーは≪本能の拐引≫を使用。敵全員ダメージアップします。
朱鷺子/≪完視≫を関オーナーに使用して、『対象識別』を行ないます。その際にライフパスの『ボーナス効果』、【理知】プラス5を加えます。
GM/ボスデータなので、識別の難易度は15です。
朱鷺子/5以上が出て、お願い!(ころころ)出た、達成値19でした。
GM/お見事、データが看破されます。関オーナーのクラス配分は[狂戦士/狩人/処刑人]です。
仙太/仙ちゃんと同じだ!(笑) 僕、あんな大人になりたくないよー!

 関オーナー。
 本名は、
関 秀行(せき・ひでゆき)。複合アミューズメントバー「アルカディア」のオーナー。独自のセンスで魔道具を開発し、それを他人の人体に植えつけて新たな異端を生み出していた異端犯罪者。
 クラス配分は[狂戦士/狩人/処刑人]。
 使用特技は≪巨大武器≫、≪封印の牙≫、≪覇魔矢≫、≪圧縮撃≫、≪特攻≫、≪乱舞≫、≪決死の射弾≫、≪薬物調合≫、≪絶対の自信≫、≪女神の悪ふざけ≫、≪零力射撃≫(使用済)、≪破壊者の孤独≫(使用不可)。


朱鷺子/全部ダメージ上げの人ですね。一発が怖い……(笑)
仙太/仙ちゃんはセットアッププロセスで≪仮面の暴君≫を使用。≪失われた日々≫を削除して、≪獲物を狙う眼≫を取得。獲物の設定を。関オーナーにします! マジいいかげんにしろよー!
GM/ここまできたら敵視した理由は言わなくても判ります(笑)
朱鷺子/仙ちゃんがキレた(笑) 珍しいものを見た気がする!
GM/メインプロセスに移行します。関オーナーは≪封印の牙≫+≪乱舞≫+≪巨大武器≫で、目の前にいる百合ちゃん、朱鷺子さん、仙ちゃんの3人に範囲攻撃をします。(ころころ)命中18です。
百合/とりあえず回避!(ころころ)18、受動側優先で成功です!
朱鷺子/(ころころ)17です。
仙太/(ころころ)15。……朱鷺子ちゃん、避けて! 令呪使用!
朱鷺子/回避37で避けます。
GM/仙太さん1体だけにダメージロールいきます。
百合/仙ちゃんおじさんを≪カバー≫します! おじさん危なーい!
GM/百合ちゃんはダメージを肩代わりしました。ダメージロール直前に≪圧縮撃≫を使用。≪特攻≫も後で使用しますよ。(ころころ)……全部合わせて、44点の物理ダメージ!
朱鷺子/≪気迫の盾≫を使用します。【MP】を9点消費するので、27点ダメージを軽減させてください。
百合/それなら【HP】10点だけ減っています。中学生ナメるなー!
GM/次は、朱鷺子さんのターンです。
朱鷺子/マイナーアクションで10メートル移動、離れます。メジャーアクションで≪御符≫を使って【MP】を回復。自分になむなむします。
センセイ/センセイは≪ニュクスの冠≫+≪魔導書≫で関オーナーに向けて、放心の攻撃をします。(ころころ)命中16。
GM/回避判定をします。(ころころ)14で当たります。
センセイ/ダメージを算出。(ころころ)……4点。これだとカッキンされちゃうかな。令呪を使ってくれ!
仙太/センセイファイトー! 令呪でダメージ上げて!
センセイ/これで24点の霊力ダメージだ。
GM/ダメージが1点以上入りましたので、放心になります。全判定に1D6マイナスされます。

 仙太はマイナーアクションでスタッフ3体がいるエンゲージに接敵。メジャーアクションで≪乱舞≫を使用し、3体同時に攻撃。
 全員に命中した仙太は≪圧縮撃≫でダメージを底上げし、全員に27点物理ダメージを与えた。


仙太/3体に物理攻撃だ、バァーン!
GM/入ります、入ります、入ります、痛いですっ!
朱鷺子/……なんかスタッフさん、可愛いなー(笑)
百合/百合は関オーナーに殴りにかかります。≪戦乙女の知恵≫+≪巨大武器≫で命中判定、当たれ!(ころころ)18で当てます。
GM/(ころころ)回避15だったので、当たります。
センセイ/当てろー! ニャーオ!
百合/センセイの応援つきでいきますー!(ころころ)ダメージが……24点です。
仙太/百合ちゃんもっと殴れー! 令呪!
百合/ありがとうございますー! なので、大きくふりかぶって44点の物理ダメージです! カーン!
GM/相当なダメージが入りました。わー、ぺっちゃんこになっちゃうよー(笑)
百合/ぺっちゃんこになっちゃえよー!(笑) 貴方の被害に遭った人の痛みはこんなもんじゃないんです!
GM/……次に、スタッフ3体が目の前にいる仙太にだばだばと攻撃します。魔道具を持って手が光って唸ってシャイニングフィンガーの≪肉体共鳴≫を使います。
仙太/げっ。
GM/≪タナトスの足枷≫+≪肉体共鳴≫で攻撃。(ころころ)命中14です。
仙太/(ころころ)回避15で成功!
GM/関オーナーが令呪を使用。命中35にします。
仙太/げげっ!?
GM/ダメージロールにも令呪を使用する予定だよ。
百合/か、≪カバー≫を宣言します! 10メートル離れていても届くので大丈夫! 手術台を受け皿にして魔道具を回避するー!
GM/(ころころ)39点の霊力ダメージでした。
朱鷺子/……これ、他の2人も総攻撃がくるんですよね? 全力で弾きましょう。≪気迫の盾≫で【MP】を12点消費、36点ダメージ軽減して1点もダメージが入らないようにします。
仙太/凄い気迫だ!(笑)
GM/……ちなみに、仙ちゃんと関オーナーは同じクラス配分で、仙ちゃんと同じマスター・サーヴァント配分です。お揃いだね私達。
仙太/ひぃ、全然嬉しくない!(一同笑)
GM/スタッフ2人目の攻撃いきます。(ころころ)命中13。
仙太/(ころころ)回避15。避けた!
GM/命中に令呪使用してプラス20し、命中33。
仙太/ですよねー!(笑) ……仙太は受けます!
百合/もう【HP】が無いので、≪カバー≫をしないことにします……。
GM/仙ちゃんに(ころころ)ダメージロール、令呪を使用して28点の霊力ダメージを与えます。
朱鷺子/いける! ≪気迫の盾≫で9点消費して、27点軽減してダメージ全部弾きます!
GM/3人目行くよ。(ころころ)命中15です。
仙太/(ころころ)回避13。
GM/令呪を使わなくて良かった、ラッキー。最後の1人もダメージロールに令呪使うよー。
百合/……仙太さんを≪カバー≫します!
GM/(ころころ)霊力ダメージ27点でした。
朱鷺子/残り【MP】が4点なので……【MP】を3点だけ消費します。なので9点だけダメージ軽減します。
百合/……はい、まだ大丈夫ですっ!
GM/いやぁ、怒涛の令呪合戦でした。次のラウンドも頑張ろう!

 第2ラウンド開始。セットアッププロセスで、関オーナーは1ラウンド目と同じく≪本能の拐引≫を使用。敵全員のダメージアップを宣言する。
 仙太はセットアッププロセスで≪心神解放≫を使用。このラウンド間の特技の代償を0にした。


GM/関オーナーのメインプロセス。目の前にいる百合ちゃんを≪封印の牙≫+≪覇魔矢≫+≪巨大武器≫で攻撃します。(ころころ)命中15……。
百合/(ころころ)19で回避です!
GM/スタッフAが≪悔改めよ≫を使用して、関オーナーの命中判定振り直し!(ころころ)失敗。スタッフBが≪悔改めよ≫を使用!
仙太/最大3回振り直しができるのか!(笑)
GM/ (ころころ)20で命中できました。
仙太/令呪を使用! 百合ちゃん避けて!
百合/回避29で避けます! そんなもんですかっ! チビッ子ですからちょこまか当たりませんよーだ!(笑)
GM/それは……諦めます。「右です!」「いや、左です!」「やっぱ右でしたオーナー!」
仙太/お前らそこでずっと言い争ってろ!(一同笑)

 朱鷺子はマイナーアクションで≪興奮剤≫+令呪で【MP】を24点回復した。

仙太/令呪使用! 朱鷺子ちゃん、僕効果的なドーピングの仕方を知ってるんだー!
朱鷺子/それってなんか怖い!(笑)

 メジャーアクションで≪清浄の使者≫を使用し、百合の【HP】を全回復させた。
 センセイはマイナーアクションで朱鷺子のいるエンゲージに接近。メジャーアクションでで関オーナーに命中判定を行なうが、同値で避けられてしまう。
 仙太はスタッフ3体に範囲攻撃。百合は関オーナーに単体攻撃。どちらもダメージロールの出目がなかなか振るわず、落としきることはできなかった。
 スタッフ3体の同時攻撃が仙太のもとに繰り出されるが……。

朱鷺子/≪気迫の盾≫でダメージは無しです! 巫女さんの精神をナメないでください!
仙太/トッキー強いよー!(笑)

 スタッフ3体の令呪を使い切っても、朱鷺子の≪気迫の盾≫での攻防によって戦闘不能は免れた。
 移行する第3ラウンド、第4ラウンド……。

朱鷺子/セットアッププロセスに、センセイに≪魂砕≫を使用します。ラウンド間、霊力ダメージ+2D6してください。
仙太/センセイお願いします!
センセイ/≪タナトスの足枷≫+≪魔導書≫で残った最後の1体のスタッフを落とす!(ころころ)ダメージは、霊力39点だ!
GM/……生き残っていた最後の1体、倒れます。
仙太/よし、モブがいなくなった! 仙ちゃんはマイナーで接敵、メジャーで関オーナーに攻撃します。命中は≪獲物を狙う眼≫で自動クリティカルです。
GM/おお、こちらがクリティカルを出さなければ当たります。(ころころ)クリティカルは出ませんでした。
仙太/ダメージロール直前に≪圧縮撃≫使用!(ころころ)これで……物理36点のダメージ! スパーン!
GM/……それを受けて、関オーナーは戦闘不能になります。ですが戦闘不能になった直後に、≪決死の射弾≫を使用します。
センセイ/≪光の一手≫を使用。それを全て打ち消す!
GM/……センセイによって却下され、関オーナーは完全に戦闘不能になりました。戦闘終わりになります。
百合/お、終わった……こ、怖かったー!
GM/みんなが倒したとき、「御用だ御用だー!」という声が会場に鳴り響きます。もちろん仙ちゃんの親父さんの声です。
仙太/遅いっ!
GM/「俺はPCの出番を奪わなかったんだよ!」
仙太/判ってるけど遅いよ!(一同笑)
GM/関オーナーは、君達が無力化させてくれたおかげで駆けつけてきた数人のエージェント達によって捕縛されます。そして会場の裏から出てくる出てくる、なんじゃこの魔道具の山は!
朱鷺子/どちゃっとな! でもみんな押収されますね。
GM/ええ、親父さんたちの手によって全部押収されます。時刻は夜も遅く、何人もの少年少女達が保護、補導されます。……もちろん静馬と早苗も無事だよ。
百合/良かったー。
センセイ/状況は吾輩が説明をしよう。みんなは休んでおれ。
百合/で、でもセンセイも休んでくださいね。
センセイ/大丈夫だ。この時代の体は5日間完徹でも全然平気じゃった。フフン(笑)
仙太/中学生は体が出来上がっていないから大変ですよ(笑)


 ●エンディングフェイズ 〜別れ、そして〜

GM/翌日。夜の間に親父さんとセンセイがアルカディアの調査を行なったことで、全容が判ってきました。事件の報告を、お父さんの口からお話したいと思います。
仙太/アイザックさんでいいよ。
GM/お父さんの口からします(一同爆笑) 「お前らも察しがついている通り、アルカディアでは許されない見世物や、やばい薬物の売買などが行なわれいた。何よりあの関っていう男、派手なことをしていたけど何がしたかったって『自分の造ったもんを女の子に埋め込んで、新しい異端を生み出そう』っていう実験を大々的にやっていたらしい。……今は腕や目が増えるという異常事態の報告が入っていたが、『数年後に化け物が腹の中で出来上がるなんていう研究』なんてやつもやっていたらしいぞ」
仙太/それって……。
センセイ/……ママさんがされていたのは、それか。
朱鷺子/外道の考えそうなことですね。
GM/快楽を優先するのが異端の考えですから。「けれど、その魔道具が押収された。これを解析していけば現在治療中の女の子達に適切な治療を受けさせられることができる。だから手が3本の女の子も、2〜3ヶ月後には元の体に戻れるだろう」
百合/なるほど! それは良かったー。安心します。
GM/「アルカディアに関わっていた連中は全員逮捕してみせるさ。3月には……いや、1月中には全員刑務所に連れて行ってやるさ!」
百合/よろしくお願いします!
GM/「それとな。……静馬くんと早苗ちゃんには、あんな危ない所に遊びに行くのはやめろって叱っておけよ。友人としてな」 親父さんは仙ちゃん達にやんわりとお願いをしてきます。
センセイ/そっか、親父さんは何も知らないから……。
仙太/……中学生エージェントでも報酬は貰えるんだよね?
GM/PCで教会での依頼を受けている以上、必ず報酬の話はされています。口座も作られていますし、もし親に隠れて教会で働いている場合は本人のみが知るシークレット口座を用意してもらえていますよ。
センセイ/それは……猫のセンセイもだよね?(笑)
GM/センセイもれっきとしたPCで、教会の一員なら作られている筈です。カツオブシ数ヶ月分でいいと言うなら現物支給にしてますが(笑)
センセイ/基本的には現物支給だが、それでも時々金は振り込んでもらっていることにする!
仙太/……早苗さんの中絶はまだ済んでない。そのお金を援助したいんだ。
朱鷺子/私もです。
センセイ/資金援助したいな。
GM/その話は、本人達にしてあげてください。……翌日、月曜日。朱鷺子と仙太と静馬と早苗はインフルエンザということで情報隠蔽がされて自宅待機になりました。でも君達が早苗の家に行くと、家の前に静馬が立っているのを見かけます。
百合/あっ……。
仙太/仙ちゃんダッシュします。センパーイ! 何やってるんですかこんな所でアタック!
GM/(静馬になって)「うぼぁっ!?」
朱鷺子/≪気迫の盾≫を張る余裕も無かった(笑)
GM/「おめーこそインフルエンザのくせに何やってんだよ! オレは……早苗と話をしようと思って……」
朱鷺子/奇遇ですね、ご一緒しましょうか。
百合/うん。会いに行きましょうよ、一緒に。
GM/「……うん」 早苗の家に行き、入れてもらいます。ご両親はお仕事に出ているため家には君達しかいません。
朱鷺子/……本人達が望んでいるんだから、中絶手術はさせた方がいいですよね。
仙太/もし本当に産みたかったら……育ててもらうっていうのも手だと思うけど。教会には孤児院があるだろうし。
センセイ/しかし、産むか産まないかは本人が決めることじゃろう。
朱鷺子/そうですね。……百合ちゃんはどうしたいですか?
百合/えっ……?
GM/現在、早苗のお腹の中には赤ちゃんがいます。前の世界では昨日の段階で死んでいた命ですが、まだ生きています。……このまま生かすこともできます。
朱鷺子/産んだとしても、子供の身で大変なのは間違いないです。社会的な問題や、ご両親の説得など問題も多いです。でも、救いたいという気持ちも判ります。……どのような決断をしたとしても、朱鷺子は援助しますが。
百合/…………。
朱鷺子/私が助けたいのは早苗さん、静馬さん、そして百合ちゃんです。その心は変わっていません。
仙太/僕も同じだよ。
百合/…………。正直、この年で産むのは大変だと思う。それにこれは……百合の意見よりも、お父さんとお母さんの意見を尊重してあげたいです。
GM/一応GMとしては、プレイヤー達の意見を聞こうと思うんだが?
百合/その、GMに丸投げということではなく。……だって、本人達の人生じゃないですか。そこにあたしの意思を挟むのは……違うかなって。
GM/…………。
百合/生まれてこなかった優さんを、出来ることなら救いたいです。でもあたしが決めるんじゃなくて、静馬くんと早苗ちゃんという2人に委ねたいんです。それにあたしは……もっと正直に言ってしまえば、自分が両親の腹から生まれてくればそれでいいです。
朱鷺子/ああ、そこは大事ですね(笑) あの2人であれば貴方が生まれてくることは間違いないでしょうが。
GM/……シーンを早苗と静馬のいる部屋に戻しましょう。君達は同じ部屋で面と向かって話し合っています。これからどうするのという話題を。
朱鷺子/実はそこにいる百合ちゃんが、2人にお話したいことがあると言いますので。
百合/え、えっえっ?(笑)
GM/(早苗になって)「百合ちゃん、何かなー……?」
百合/あっ、改めて正座します……! 荒唐無稽で信じてもらえないかもしれないんですけど、あたし……聖石 百合と申します。
GM/「聖石? ……聖川じゃなくて? 静馬先輩と同じ名字なんだね」
百合/はい。えっと、あの……あたしは……白倉 早苗さんと聖石 静馬さんの娘でございます。
GM/4つの目玉がゴロンゴロン。
百合/目玉をキャッチしますっ!(一同笑)
仙太/信じられない話かもしれないけれど、静馬先輩は信じると思うんですよ。既に仙ちゃんが能力者で、この世界では不思議なことが起きてるってことをだとバラしているんで。
GM/そうですね、静馬はすぐに目玉がカポッと嵌ります。早苗は「信じられないけど……その、なんでそんなこと言うの?」と発言の意図を訊きます。
百合/えっと、うまく言えないんですけど……。あたしは、2人がお父さんとお母さんであってほしいです。
GM/「…………。私達、結婚するの?」
百合/そうです。
GM/「結婚して、幸せになって、キミを産むの……かな?」
百合/そうです! あたしが、貴方達2人の幸せの形です。
GM/「……ちゃんとした大人をしてる? こんな、問題とか起こしたり……してない?」
百合/お母さんはちょっとおっちょこちょいなところもあるけど、良いお母さんです。お父さんもとっても優しいし、カッコイイです。
GM/「じゃあ……教えて。優はどうしてる?」
百合/……優さんは、いません。
GM/「…………」
百合/…………。
GM/「……私は、こんなしっかりとした娘を産むんだね」
百合/そう、です……。
GM/長い沈黙。早苗は百合をじっと見つめた後、言います。「……私は人生の経験を積んでから貴方のお母さんになりたい。優とは……バイバイするわ……」
朱鷺子/……そうですね。
GM/静馬が言います。「ちゃんとした病院で調べてみたんだ。……中絶費用は11万かかる」
仙太/11万?
GM/300万円なんて関オーナーが言っていたハッタリの金額ではなく、11万円です。中学生の11万は大金ですが。
仙太/……でも、それぐらいならなんとかなる。資金援助を申し出ましょう。
センセイ/吾輩からも出そう。
GM/「今は貸してくれ。必ず返す」
朱鷺子/ふむ、貸してほしい?
GM/「このことを両親にも話す。自分達のことを、手術することを、お互いの両親にも言おうと思う」
朱鷺子/それが、いいですね……。きっとご両親の目玉がボトボト落ちると思いますがね(笑)
仙太/無期限無利子でいいですよ。……大丈夫です、先輩。20年先でも繋がっているから。
GM/みんなに頭を下げる静馬。そして早苗は……百合ちゃんを、ぎゅうっと抱きしめます。
百合/わっ。
GM/「……待っててね。10年後、20年後……ちゃんと大人になってから抱き締めるから」
百合/……それを聞いて思わず涙がボロッと出ます。あたし、未来で待ってます……!
GM/世界が白くなります。
百合/うわっ。
GM/そのまま君達は、右も左も上も下も判らぬような渦の巻いた空間へ呑み込まれていきます。
仙太/ああ、元の世界に帰る時間か……。
GM/……だけど、元の時間に戻る前。『イベントキー:優』はありますね? 異空間ウズマキの中で、君達4人の前にろりんぽいんと金髪碧眼ツインテールゴシックロリータ服の女の子がいます。
朱鷺子/あら、ロリだ。
GM/はい、ロリです。(龍の聖剣になって)「まずは、聖石 静馬と聖石 早苗を救ってくれてありがとう。貴方達が異端犯罪者の悪行を止めてくれたおかげで彼らは、そして何人も不幸のどん底に落とされた少女達を救うことができたわ」
百合/いえ……。
GM/「……白倉 早苗は異端犯罪者に自らの体をいじられ、魔道具を植えつけられた。数年後、胎内で大きな化け物が誕生することも知らず。20年近く経って化け物は蘇り、母胎を食い破り、近くにいた夫も殺して逃亡したわ。そのまま異端は人を襲う者として彷徨ったことでしょう。……その歪められた運命を、とても悲しんだ魂がいた」
朱鷺子/それって……。
GM/ロリの隣に、人影が立っています。
百合/えっ。……優?
GM/顔も判らないし性別も判らないような人影です。だけど輪郭から人間であることだけは判ります。「……聖石 静馬は『彼』に名前を与えた。その時点で彼の魂は誕生した。生まれることはなかったけど、彼という存在は世界に刻まれたの」 早苗さんの≪いとしのシト≫として、副特技の【防御点】として共に生きていたんですね。
朱鷺子/お母さんを守っていた……水子だったんですね。
GM/「世界は、この悲しい魂を救うために時間を跳躍することを選んだ。……彼は言葉を喋る機能を持たないから私の口から言わせてもらうけど。『大切な両親の友達である朱鷺子と仙太を、大切な家族の一員であるセンセイを、大切な妹である百合を失わなくて済んでとても嬉しい』と言ってるわ」
百合/……はい……。
GM/「じゃあ、早く元の世界に戻ってあげて。いつも通り笑顔であの2人を支えてあげてね」
百合/判りましたっ。
仙太/……あの。今、写真って持ってますか?
センセイ/オープニングに出てきた写真?
仙太/うん。あの家族写真を……ウズマキの中に居る優ちゃんにプレゼントしてあげることはできますか?
朱鷺子/ああ、名前が入ってる写真をあげるんですね!
GM/おー、OKですよ。……ちなみにあの写真には「私達、結婚しました。やっと大人になって家族になれたよ。優、貴方もいっしょだよ」というメッセージが込められた「& YOU」だったんです。
朱鷺子/なるほど、素敵な話です。
仙太/優ちゃんに写真を渡します。
GM/人影が、すっと写真を受け取る。写真を胸に抱き締めたような……そんな気がします。
百合/あたしも、影を抱きしめていいですか?
GM/うん。……年齢とか性別とか判らないけど、自分より年上の何かが自分に縋り寄った気がする。
百合/……出来ることなら会いたかったけど、でも、ここで会えてよかった。またあたし達を見守っていてね……。
GM/お父さんとお母さんをよろしく。……そのような声が聞こえた、気がする。君達の体は、意識は、元の時代に戻っていきます。
センセイ/……みんなが戻っていく中、センセイだけは少し戻るのが遅くてもいいかな。
GM/[稀人]はレベルが上がるとウズマキに出入りできるようになるから、他の人より長くウズマキに居るのも可能でしょう。ロリが「早く戻らないの?」と尋ねるよ。
センセイ/……龍の聖剣や。このたびはすまんかったのぉ。
GM/「ううん、こちらこそありがとう」
センセイ/輪廻転生という言葉がある。例えば、愛しいおなごが美しい花になるように……この子の魂も、新しい生を授かることができるのか?
GM/「それは……あの家族次第ってところかしら。今もなお、あの家族の中に『優がいてほしい』と願う気持ちがあるのなら……もしかしたら」
センセイ/……そうか。まあ、おぬしがその子を見守ってくれるなら幸せになる。また会おうな。……いや、会わない方がいいかのぉ?
GM/「会うなら数百年後の方が、お互いのためね」 気付くと、全員は聖石家で鍋を囲んでいる。
百合/あれっ!?(笑)
GM/31歳の早苗さんが「ご馳走よー! 今日はしゃぶしゃぶよー!」とお鍋の支度をしています。
朱鷺子/しゃぶしゃぶの日に戻ってきたんですね!
仙太/よーし! 静馬先輩、今日は飲みますよー!
GM/32歳の静馬さんが「はいはい、ビールの瓶をさっさと開けようかー」といつもの鍋風景らしく笑顔で笑っています。
朱鷺子/はい、そうですね。みんなでお酒を飲みましょう。
GM/(早苗になって)「今日はー! 実はー、大発表会があるのです!」
百合/へ? お母さん、なあに?
GM/「うふふふふ、驚かないで聞いてね!」
仙太/……あ……。
朱鷺子/……はい。
百合/……うん。
GM/「実は新しくー……。まずは飲んでからにしましょう!
百合/そ、そこでお母さん焦らすの!?(笑)
仙太/……早苗さん、あんまり飲みすぎたらダメですよ。体に悪いですから(笑)
GM/「えー!? じゃあ私はジュースでカンパーイ!
センセイ/……みんながわーわーしている中、センセイはママさん達の私室にあった写真立てを見に行こうか。
朱鷺子/あ、センセイ……?
GM/そこには、仙ちゃんが渡した写真は無いです。代わりに……。
センセイ/……百合も入って、「SIZUMA & SANAE & YOU & YURI」の、4人での家族写真があるのかな。ニャーオ。
仙太/それがいい、微笑ましいね。
GM/その間も、鍋の間では彼女達が楽しく騒いでいます。(早苗になって)「じゃあー! 発表ー! そろそろいこうかしら! その前にお肉を入れましょう!
仙太/いいかげん発表しましょうよ!(笑)
百合/お母さん! どこまで先延ばしにするのー!?(笑)


 アナザーワールドSRS・リプレイ
  〜 十三歳のアシテプト 〜





END

GM/以上で『十三歳のアシテプト』、終わりにしたいと思います。お疲れ様でしたー。
一同/お疲れですー!
GM/ドラマ『14歳の母』を観て考えたタイムスリップシナリオでした。若い頃のお母さんと子供が出会うというセッションがやりたかったんです。
百合/同い年の母娘って面白いですね! ……なんだか思いのほか、百合ちゃんが真面目な子になりました。
仙太/子供キャラだったのに、あまりに重いセッションだったから大人びた子になっちゃったよね(笑)
朱鷺子/最初、オープニングフェイズで現れた優のことを敵だと思っていましたよ。いい子だったんですね。
GM/オープニングフェイズでお母さんの周囲にいた優は、「あれ? お母さんの中に何か変なモノがあるよ? どうしよどうしよ」とウロウロ慌てていたんですよ。
センセイ/助けようとしてたんだね! 危ない奴かと思った!(笑)
GM/そこはブラフのつもりでした。優は「お母さんどうしたのー? 誰かボクを見てー。そして気付いてー!」って訴えてたんです。言葉を話す機能が無いのでPC達には歪曲して伝わるしかなかったんですが。
百合/け、健気だ……(笑)
GM/……ちなみに、この卓では「PC1が女子」かつ「オープニングフェイズ段階で両親がラブラブのカップル」だったので不採用になったアイディアなんですが。もしPC1が男の子だった場合、お母さんが息子に惚れるというシーンを用意するつもりでした。
朱鷺子/まさに『バックトゥザフューチャー』ですね!(笑)
GM/親の世代に飛ぶタイムスリップものの基本だもん!(笑) もし両親の別れて結婚しないような展開になったなら、PC1の存在が希薄になっていった展開があったことでしょう。
仙太/「お前らがくっつかないとPC1が死ぬ!」ってなにがなんでもくっつかせなきゃいけなかっただろうね(笑)
センセイ/ハッピーエンドで良かったよ。……ところで、朱鷺子ちゃんと仙太くんの妊娠騒動はどうなったんだろうね?(笑)
GM/お母さん達は撤回されない限りずっと信じていたでしょう。
朱鷺子/う、うわー(笑)
仙太/うわー(笑)
センセイ/きっとあの後「実は嘘でしたー!」って明かすとは思うけどさ。
朱鷺子/まあ、後々2人はくっつくんじゃないですか。
仙太/えっ!?(笑)
朱鷺子/あのステージに立った時点で仙ちゃんには心を許していますよ。じゃないと命を預けられませんから。
仙太/……くっつくかどうかは読者のご想像におまかせします!(一同笑)




END

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