クトゥルフ神話TRPG・リプレイ
■ 『 忘却のミオソティス 』 1ページ ■
2022年3月1日




 ●はじめに

実散/推しカプの攻め2人に死体を埋めてほしい。
ピロ(以降、KP)/「PCが死体を埋めるシナリオ」を見つけたので、それを草摩さんと百合人さんにやってもらうのはどうでしょうか。
百合人/そういう雰囲気のシナリオ好きです! やらせてください!
草摩/やります。何人殺せばいいですか?

 だが、立卓から数日後の……セッション当日。

KP/その……最初遊ぼうと予定してた死体埋めシナリオが、ちょっと草摩さんと百合人さん向けっぽくなかったというか、継続だとかなり変更が必要だったので……ならいっそ作るかとシナリオを作ってきました。
草摩/新シナリオと聞いて!(笑)
百合人/自作シナリオ! 凄く楽しみです!
KP/自作でKPするの、とても不安……がくぶる(笑) KPは既に2人のツーショットが見れただけで満足です。
草摩/お疲れ様でした。
百合人/セッションお疲れ様でした。
KP/じゃあアフタートークで死体を埋めていただいて本日は終わりにします。
草摩/はーい。
百合人/楽しかったねー。
実散/(←見学席に遅れてやって来たプレイヤー)こんばんはー、お疲れさ……お、終わってる!?(一同爆笑) 集合時間2分後にしてセッション間に合わなかったか!?(笑)
KP/これからアフターセッションを始める!(笑) ……ところで、シナリオを作っていて気になったんですが、花園宅で同居してる百合人さんは個室を貰ってあるんですか?
百合人/確か、兄ちゃんの物置として使っていた部屋を百合人の部屋として譲り受けたかな。タカちゃんと家具を買いに行くぐらいには、部屋として機能してる部屋を貰えました。タカちゃん、収納ラック設置してくれてアリガト!(^ε^)-☆Chu!!
KP/(天鴻になって)もーっ! そういうのは良いですからそのままにしてある段ボールを畳んで!(笑)
百合人/という訳で、家具が揃った部屋に住んでいるね。寝床と服、装飾品があるよ。
KP/草摩さんの部屋は「なんか汚部屋」という情報だけありましたね。ゴミ屋敷みたいな汚いやつじゃなくて、雑多に積まれてるイメージかな。
草摩/医学書や植物研究関係の本が積まれているかな。ヴィレヴァンとドンキによく行くので本以外の雑貨も多い。
実散/イケアに行くたびに増えていくサメとか(笑)
百合人/たまに兄ちゃんの私物が百合人の部屋に侵食するらしい。サメの大群が(笑)
KP/草摩さん、私物はちゃんと自分のお部屋にしまってね(笑) お部屋の確認ができましたので、そろそろセッションを始めていきます!


 ●オープニング



KP/ある日のある夜。草摩さんと百合人さんは最近見付けた隠れ家的バーで飲んでいます。
実散/わ〜い、新しい立ち絵だー! 2人ともオリジナル立ち絵、凄い〜。
KP/実散さんが「最近オープンしたばかりらしいよ、今度行ってみない?」とお誘いして、今日はそのお約束の日ですね。
草摩/みちるが教えてくれた店、いつもお洒落だ。
百合人/ミチルちゃんチョイスのお店、自分もバーをやってる身としては悔しいけどいっつも素敵なお店ばっかなんだよね〜。
KP/けど、実散さんはまだお店に来ていない。ちょっと前に「調書の作成に時間が掛かっていて少し遅れそう。先に2人で飲んでいて!」というメッセージが届いてました。
草摩/仕事か。百合人先輩にメッセージを見せる。
百合人/あらま。ミチルちゃんお忙しいのね。じゃあ先に一杯やってるかね〜。
草摩/はい。乾杯。
百合人/兄ちゃんもおつー! カンパーイ☆
KP/ちなみに、何を飲んでるんですかね?
草摩/とりあえずの1杯目だし……ソルティドッグで。
KP/逆三角形のグラスに白い塩が塗られているお酒を出されます。
百合人/アタシはモヒートで! ライムが好き! あと中の人が今日チョコミントアイスを食べていたからスッキリしたのが飲みたい気分(笑)
KP/ミントの涼やかな緑が鮮やかなお酒だ。さっぱり系お好きなんですね〜。日本酒とか中国酒みたいなのはあんまり飲まない?
百合人/日本酒はあまり詳しくない……有名どころしか名前も知らないや。芋焼酎が好き、あとワイン! ホットワインが好きかな!
草摩/ホットワイン、良いな。
KP/ホットワインか、クリスマスマーケットでいっぱい売ってたなー。そんな感じで2杯、3杯とグラスを重ね、おつまみも食べる2人。
百合人/おいしー
草摩/もぐもぐ。
KP/お酒を飲みながら2人はどんなお話をするんです? 教えてえ?
草摩/草摩は……今日は仕事が休みか。なら午前から医療の講習会、勉強会に参加してた。
KP/勉強家だ……。
百合人/百合人も今日はお仕事はお休みにしておこう。何を話すか……うーん、何か最近あったこととかある?
KP/リアルな話だと「オリンピックがあったねー」とか「バレンタインだったねー」とかですか。草摩さんが零課の冷蔵庫をチョコで満杯にしたバレンタインデー……そのままホワイトデー突入か?(笑)
草摩/今日は3月1日なのでもうホワイトデーの準備をしないと。クッキーとかマシュマロを(1d100ころころ)84個ずつ配ろう。
KP/どうして。
草摩/少ないか……?(1d100ころころ)40が出た。84×40個ならどうだ?
KP/増やすな! 合計3360個だよ!(一同笑)
草摩/お菓子はいっぱいあって良い。夢がいっぱいだからってみちるが言ってた。
百合人/作り甲斐あるね。きっとタカちゃんがいっぱい食べてくれるよ〜。
KP/天鴻が出勤と同時にマシュマロとクッキーに埋もれていくよ!?(笑) そろそろ格くんに「甘味持ち込み禁止!」って言われてもおかしくない!
百合人/アタシの店も春のイベントは何にしようかな〜? 3月はホワイトデー、4月は桜、5月は……悩む時期なのよね。
草摩/6月になれば初夏だから柑橘系を売りに出せばいい。
百合人/そうそう、6月はもう夏メニューを出してもいいし、ビールも美味い! これからどうしよっかな〜?
KP/では、そんな話をしながら実散さんを待つ2人。酔いが回ってきたのか、何だか頭がぼんやりとしてきた。瞼が重い、このまま寝ちゃいそう。
草摩/俺は寝る。
百合人/片方が寝る宣言した(笑) じゃあアタシは起きようとする〜。
KP/起きて実散さんを待つ百合人さんも、段々と睡魔が強くなってくる。起きてなきゃ、と思って瞬きをした瞼は開かない。
百合人/ありゃりゃ? それじゃおやすみ(ーεー)-☆Chu!! ZZZ
KP/2人の意識はぷつりと夢の中へ。……今、2人に個別でDMをしました。内容をご確認ください。

    ◆

 ※なお、このリプレイでは草摩に送られた秘匿HOのみを公開して進めて参ります。

 草摩秘匿
 「貴方には大事な片割れが居た――気がした。けれど貴方はその片割れの名も姿も思い出すことが出来ない。ぽっかりとした喪失感を覚えるが、そのことを思い出そうとすると酷い頭痛に襲われる。
 思い出そうとするのであればSANc(10/10+1d6)。*この数値はシナリオ変更によって変更される。
 大きな袋に対して貴方は強い忌避感を覚える。開けてはならない、早く埋めてしまえと本能が訴える。
 ――しかし、その声に本当に従って良いのだろうか?」
 この秘匿情報は『一度目のSANc数値変更があるまで』他者へは非公開とする。(記憶喪失ムーブをしてください。KPより)

草摩/秘匿情報、長いですね……。そして俺はみちるの名前を忘れるっぽい。「みちる……」って定番キャラロールできないの、つらい(笑)


 ●1シーン目:薄暗い部屋

 ふと、目を覚ます。
 目を覚ますと見知らぬ部屋。地面は土が剥き出しで、地下にあるのか湿っぽい。
 薄暗い中でパッと見て確認できたのはお互いの姿と、2人の間に転がる大きな縦長の袋だった。


草摩/…………。
百合人/ふわーあ。何ここ……目を擦って起き上がる。
草摩/…………。ここ、何だろう。薄暗い部屋です。
百合人/怖っ!? なに!? ここ!? 兄ちゃん!? ここ!? 何!? 見知らぬ部屋に閉じ込められてスタートするなんてクトゥルフ神話TRPGじゃないの!?
草摩/凄い。CoCみたいだ。
百合人/KP! 怖いわよ!(;^ε^)-☆Chu!!
草摩/怖がってもキスするんだ(笑)
KP/キスされても怖がってるのは誤魔化されねえぞ!(笑) さて、ここは薄暗い部屋です。目を凝らせばいくつか調べることができます。使用する技能は<目星>です。

 ●探索箇所
 【部屋全体】 【大きな袋】

草摩/……何もかも判らないから調べる。部屋全体を<目星>。(ころころ)68、成功だ。

 <目星>→草摩が成功。
 古びた地下倉庫のような部屋だ。四方の壁に1つずつ扉がある。
 床、というか地面には大きな縦長の袋とスコップが2つ転がっている。
 スコップはホームセンターに売られているような大きなスコップ。地面はさほど堅いものではなく、道具を使えば穴を掘ったりするのは簡単に行えるだろう。

百合人/何ここー!?
草摩/…………。袋を<目星>。(ころころ)17、成功。
百合人/アタシ、兄ちゃんに無視されてる!?
草摩/まずは情報収集が第一だと思って。
KP/草摩さん、冷静だな〜(笑)

 <目星>→草摩が成功。
 大きさは2メートルほどの黒い袋。何か入っているのか膨らみがあり、それを縛り付けるかのように上・真ん中・下の3箇所が鎖で巻かれている。
 鎖は上から白・紫・赤の錠前が付いていて、紫の鍵が付いた鎖と袋の間には名刺サイズの紙が挟まっている。

百合人/鎖で巻かれている袋……だから何これ!?
KP/草摩さん限定で、袋に対して<知識>ロールが振れます。
草摩/<知識>ロールをします。(ころころ)45、成功。
KP/草摩さんはこの袋には見覚えがある。事故現場や事件現場、あるいは霊安室で見たことがあるもの。遺体収納袋だ。
百合人/えええええ怖っ!?
KP/もし、さらに詳しく目視するなら<目星>または<知識>ロールができます。
草摩/<目星>で(ころころ)48、成功。
KP/めっちゃ成功するなあ。まるで捜査してる警察のようだ。
草摩/まるで捜査してる刑事のようだろ。

 <目星>→草摩が成功。
 袋に入っているものの大きさは170センチ前後、膨らみ方からして人体でほぼ間違いない。男女までは見た目では分からない。
 触ればより詳細に中身について分かるだろうが、それに触れる事を身体が拒否する。
 無理に触ろうとするならSANc(4/4+1d6)

KP/あと、袋に置かれてるカードも調べられます。
草摩/カードを見る。

 『メッセージカード』
 名刺サイズのメッセージカード。小さな青色の押し花が付いている。
 紙面には「ここから出たくばオフィーリアを埋めろ」とある。

百合人/ここから出たくば、オフィーリアを埋めろ……?
KP/メッセージカードに対して<目星>、また、押し花に対しては<博物学>ロールが振れます。
草摩/それぞれを調べるか。<目星>は(ころころ)47、成功。<博物学>は(ころころ)あ、85で失敗した。
KP/ありゃ、ここでは<目星>だけ成功ですね。青い小さい花についてはちょっと分かりませんでした。

 <目星>→草摩が成功。
 メッセージカードの裏面に小さく殴り書きで「失われたものを取り戻したいなら花を集めろ」とあるのに気付く。

草摩/なんか色々と指示をされていますね。
百合人/なんでアタシ達が命令されてるワケ!? イミフで怖いんですけど!? 袋とかカードとか何なのもう!?
草摩/……部屋にあるドアをそれぞれ見る。
KP/部屋をぐるっと一回りしてドアを見た結果、こういう感じだと分かりました。

 『四つの扉』
 ・下の扉…掠れた文字で「Exit」と書かれた扉。ドアノブは無く、引き戸でもない。重たそうで力ずくで開けるのは無理そうだ。
 ・左の扉…掠れた文字で「Past」と書かれた扉。鍵は掛かっておらず入れそうだ。
 ・上の扉…掠れた文字で「Present」と書かれた扉。鍵が掛かっていて入れそうにない。
 ・右の扉…掠れた文字で「Future」と書かれた扉。鍵が掛かっていて入れそうにない。

草摩/……進べき扉は一択か。
百合人/次にどこのルートを行けばいいか凄く分かりやすくてありがたい。……でも、かと言ってキャラが動ける?
KP/キャラは特に拘束されてないので動けます。拘束されてるのは死体袋さんだけです。
草摩/もしかして……百合人に説得が必要か? ここから動くように言った方がでいいか?
百合人/百合人は怖がりなので意味が判らない状況で騒いでるだけなので、冷静な兄ちゃんから百合人を指摘してくれるとキャラロールがしやすいかも! どうしたらいいか、どうするべきかなのかを演出してほしいな〜。
草摩/なるほど。じゃあ草摩が説得しにいく。KP、キャラロールしていいですか?
KP/どうぞ〜!
百合人/助かる!
草摩/あの酒場は人身売買の巣窟だったに違いない。
百合人/そうなの!?(笑)
草摩/たまに「試着室の壁が抜けて誘拐されて大陸に売られる店の都市伝説」を聞かないか? 酔った人間を攫う闇の組織により俺達はデスゲームに参加させられた。
百合人/マジでえ!?
KP/それもそれで怖くない!?(笑)
草摩/助かりたければデスゲームを生き残り、脱出しなければならない。あそこに監視カメラがあるだろ、あれだ、カメラじゃない物を指差します。
百合人/カメラじゃないって言ってるじゃん!?(一同笑) 誰かが俺達を別室から見ていて楽しんでるの!?
草摩/そう、あのカメラを使ってVIPなセレブ達がデスゲームを楽しんでいる。俺達はエンターテインメントにさせられたのだ!
百合人/マジか……マジでか……CoCって怖……。
KP/草摩さん、説得してるのか余計怖がらせてるのか分らんな?(笑)
草摩/怖がらせてない。状況証拠からして推理しただけだ。なあアヒル?
KP/グワ……? シナリオを見直すアヒル。
草摩/先に言っておくが……デスゲームとは打ち切り率が高いジャンルだ。ゾンビものと同じぐらい打ち切り率が高い。早くゲームを始めよう。KPに怒られるぞ。
KP/メメタァ!(笑)
百合人/はーいモチベーションが上がりました!(笑) ちゃんと探索やりますよ!
草摩/説得成功しました。冷静沈着な俺がいて良かったな。で、何だっけ。何をすればいいんだっけ。ボケていたら調べた情報を忘れてきた(一同笑)
KP/変なとこに閉じ込められたよ! ドアは1つだけ開いてるよ!(笑)
草摩/まとめありがとう。という訳で、袋は触らず開くドアへ向かう。
KP/了解です。では左側のドアから。特に鍵も無く、ドアノブを回せば簡単に開くのでした……。


 ●2シーン目:Past

 左の扉の部屋に入ると、そこには数十個の机が規則正しく並び、壁には大きな黒板が掛けられている場所に出る。
 入ってきた筈の扉は消えており、突然予想外の場所に放り出されたPCはSANc(0/1)。

百合人/……学校?(ころころ)SANチェックは26で成功。
草摩/(ころころ)100。あ、ファンブル。
KP/まさかの100ファン。ビックリして近くの机にぶつかった草摩さんはHP−1してください。では、<アイデア>か<目星>ロールをどうぞ。
百合人/)<目星>で64、成功。怖い〜って言いながらキョロキョロする!
草摩/<目星>で(ころころ)88、失敗。いてっ。
KP/小指をぶつけてそれどころじゃなかった(笑) 成功した百合人さんは、ここが2人が通っていた高校の教室に似ていると気付く。
百合人/アタシ達が通っていた高校?
草摩/俺達の母校はデスゲーム協賛校なのか。
KP/風評被害!(一同笑)

 ●探索箇所
 【教室全体】 【黒板】 【教卓】

草摩/教室全体を<目星>で見る。(ころころ)8で成功。
KP/ダイス目の揺り戻しが極端だ(笑)

 <目星>→草摩が成功。
 教室には2人以外、誰も居ない。窓の外には見覚えのある校庭や校舎などが見えるが、窓は開けることはできず、同様に教室の前後にあるドアも開けられない。
 後ろのドアに一番近い席に花が活けられた花瓶が置かれている。

草摩/出られない教室か……そのまま黒板を見よう。(ころころ)37、成功。

 <目星>→草摩が成功。
 黒板の隅に、チョークで「今も未来も過去が無くては訪れない」「自分を見つめ直せ。××の鍵はそこに」と書いてある。

草摩/先輩。これ、って指差す。
百合人/指示があるね〜!
草摩/教卓も調べてみよう。(ころころ)32、成功。

 <目星>→草摩が成功。
 教卓には数葉の写真が無造作に置かれている。写真はどれもPC達の子供時代のもののようだ。
 *写真の描写はPC達の自由。幼稚園〜高校時代ごろまでの写真がある。

KP/あと、追加で花瓶が置かれた机も調べられます。<博物学>か<知識>ロールでどうぞ。
草摩/花瓶がある机を見る。(ころころ)<博物学>で18、成功。

 <博物学>→草摩が成功。
 2種類の花が1輪ずつ活けられてる花瓶が置かれている。机の中身は空だ。
 活けられた花は、ヒナギクと野バラ。花言葉は「無邪気(ヒナギク)」「孤独(野バラ)」。

百合人/お花がキレイね。
草摩/先輩も綺麗ですよ。
百合人/ん? 今なんで口説いた?
草摩/花が綺麗で先輩は百合なのでつまり先輩は綺麗です。
百合人/お、おう。やっぱ天才は考えることが急だな……(笑)
草摩/……KP。写真の中に、俺と似た顔はありますか?
KP/では、<アイデア>ロールをどうぞ。
草摩/<アイデア>で……(ころころ)5、クリティカル!
KP/あ、クリチケどうぞ。……草摩さんが映っている写真には、確かに2人の子供が映っている。が、その姿は薄ぼんやりしていてハッキリとは見えない。ピントが合ってない、とかではなく、認識できない、と言った方が正しいかもしれません。それは、百合人さんも同様です。
草摩/ぼんやり……。
KP/ここでは子供の頃の写真を見ながら過去話してください。「自分を見つめ直せ」というのがそれですね。でないと部屋から出れないです。
草摩/過去を話さないと出られない部屋、か。
百合人/なるほど。アヒルちゃんを椅子に敷いて座ります。
KP/グェーッ!(笑)
草摩/……KP。今、KPに個別DMを送りました。質問があるのでお願いします。

    ◆

草摩/質問なんですが……過去話の内容は、「みちるのこと以外」で話さなきゃダメですか?
KP/そうですね、実散さん以外のことで話せるならばそれを。もし、草摩さん的に「実散さんが絡んでいない過去」が話せないようでしたら、「語れることがない」というロールをお願いします。語ろうとすると酷い頭痛がして喋れない、とか。
草摩/了解です、ありがとうございます!

    ◆

百合人/子供の頃の写真を見ながら過去を話せ、か……。
KP/子供の頃の記憶、思い出話や、家族の話、学校の話とかしてください。
草摩/過去話……。頭が頭痛。
百合人/頭が痛い? 疲れちゃった?
草摩/頭痛。頭痛がする。頭が痛い。
百合人/え、ヤバ、大丈夫? アタシ今クスリとか持ってないんだけど!?
草摩/頭が割れそうですね。
百合人/頭が割れそうですね、ってヤバイじゃん。
草摩/頭が割れますね。割れました。血管が逝ったかも。
KP/割れた!?(笑) 脳溢血じゃねえか!?
百合人/えええ!? 頭が壊れた!?
草摩/過去話、できないですね。語れないです。俺は死んでます。過去を語ろうとした俺は死にますから。死にましたね。
百合人/え、兄ちゃん、大丈夫なの? 死んでない?
KP/……子供の頃の話をしようとした草摩さんは、酷い頭痛に襲われた。無理に話そうとすると、気が狂いそうなほどの痛みが生じる。過去を語ろうとしなければ、頭痛は嘘のように引いていきます。
草摩/語っていない今は死んでないです。
百合人/はあ〜、死んでないならいいけど……ところでね、あんた。
草摩/はい。
百合人/誰の兄ちゃんなの?
草摩/…………。はい?
百合人/いや、いいや。……話すと頭が痛くなる、ね。ここに子供時代の写真はあるのに語れないんだ?
草摩/はい、語れません。……花園 草摩は「あるもの」を前提にしたキャラです。今、「あるもの」に関するロールをすると頭が痛くなる制約があります。草摩の過去の話をしたくても「あるもの」が関わっているから、何も話せないんですよ。困った!(笑)
KP/それだけ草摩さんにとって「あるもの」がキャラの根幹にあるってことですね。
百合人/その、「あるもの」が関わらない過去は、無いの?
草摩/無いですね。
KP/言い切る草摩さんが凄いよ……(笑)
草摩/試しに、トークテーマを出してみてくれませんか?
百合人/『運動会』。
草摩/あるものが関わってくるので語れません。
KP/『受験』。
草摩/あるものがした選択によって自分の受験先を決めたのでダメですね。語れません。俺はあるもののレベルに合わせて受験しましたから。
KP/あー、担任から「お前ならもっと上の学校に進学できるぞ?」って言われたやつ……。
草摩/「同じ学校に行くから結構です」って断りました。
百合人/だよね〜。だって頭が良い兄ちゃんと普通の百合人が同じ高校に通っている筈がないもんね! 他のお題は……『初恋』?
草摩/あるものそのものなのでアウト。
百合人/……『好きだったテレビ番組』は?
草摩/あるものと同じものを観てました。語れません。
KP/KPは今、パソコンの前で菩薩みたいな顔してますよ(笑)
草摩/……子供時代のことが語れません。俺には子供時代の思い出が無いんです。いや、今の俺にも何も語ることがない。つまり俺は何も無いんです。
百合人/えええ……じゃあ、アタシが過去を語るしかないの? ならアタシの過去話をしよっか……いやでも語れる過去!? アタシにあるか〜!?
KP/写真を見よう! 小さい頃の百合人さんとか、ご家族の写真とかあるよ!
百合人/きったねーガキが写ってるだけよ!
草摩/汚い、ですか?
百合人/見てよ、パパのとこ。こっちの写真とこっちの写真とこっちの写真。全員パパが違うでしょ?
草摩/……どういうご家庭で?
百合人/2年か3年するとパパが変わる家だったのよ。ママはおしゃべり好き、お酒好き、夜の時間が大好きな人でね。夜の女としては最高だったかもしれないけど、ママとしては最悪だった人なのよ。
草摩/……母親としてはダメだった、ってことか?
KP/人間のパパは定期的に変わるっピか?
実散/『タコピーの原罪』で言うところの、しずかちゃんのお母さんだっピか。
百合人/何度離婚しても結婚までこぎ着けられるからコミュ力がある良い女ではあったのよ! でも、ある日新しい男を「この人がパパよ」と紹介された2年後に別人を「この人がパパよ」って言うのよ! 複雑よ!
草摩/複雑ですね……。
百合人/思春期のアタシには無理だったわ〜。でも、パパがいると家計って成り立つからね。幸いなことに、思春期真っ只中の中高生のときのパパは……お金を持ってるパパだった。だから高校に行かせてもらえた。
草摩/……おかげで、この教室に来られた。
百合人/今となっては育ち盛りの頃に食費で苦労しなかったの、救いだと思うよ。18歳まで安定した家計でいさせてくれた家族には感謝する。……子供の頃の家族なんてもの、「自分を育ててくれたもの」と思うぐらいしか、存在に意義を見いだせない。何の感情も持ってないわ。
草摩/存在意義……。先輩の子供の頃のご家庭が大変だったのは判りました。では……運良く高校に通えた頃の記憶も、何の感情もありませんか。
百合人/…………。あるけど。
草摩/あるんだ。
百合人/SANチェックします。(ころころ)67、失敗です。
KP/おっとぉ!?
百合人/(1d10+10ころころ)SAN値が16減りました。
草摩/え!? 16も減少!?
百合人/<アイデア>ロールしますね。(ころころ)57、成功です。発狂しました。
KP/発狂表ー!? 慌ててルルブを引っ張り出す!(笑) こ、これは……不定の狂気ですね!? 1d10をどうぞ。
百合人/(ころころ)6です。
KP/『6.恐怖症(特定のものに強い恐怖を覚える。そのものが側に存在する場合、技能値に−20)』。1d6ヶ月発症します。……前後の話の流れ的に、家族または母親(女性)に対する恐怖症、とかですか?
百合人/家族恐怖症、いいね! 幸いこの卓には登場しないから安心してセッションができる(笑) ……百合人には妹がいた設定だったけど恐怖症になっちゃった(1d6ころころ)3ヶ月は音信不通になろう!
KP/百合人さんは3ヶ月間、家族や家族を思わせるものに対して恐怖感や嫌悪感を覚えます。ホームドラマが見れない。
百合人/『鬼滅の刃』も見れない!
草摩/禰豆子は家族だから見ていられない!(笑)
KP/では、百合人さんが高校時代の思い出を語ろうとした……けれど、それを思い出そうとすると割れるように頭が痛くなり、どうしようもなく身体が震えた。
百合人/…………。
草摩/先輩?
KP/割れるような頭痛、冷や汗が出るほどの悪寒、そんな中で貴方は貴方の事を「センパイ」と呼ぶ声が聞こえた……気がする。
百合人/……「センパイ」……。
KP/その声の主の姿を、はっきりと思い出すことは出来ない。だが、なんとなく、傍にいる男の顔にだぶって「センパイ」という声が聞こえた。そんな風に思う。
草摩/先輩。
百合人/……「センパイ」。
KP/その声は、恐怖に震えた貴方を落ち着かせる。SANを1d6+1点回復どうぞ。
百合人/(ころころ)16減って、6点回復しました。現在SAN値は50です。
KP/少しだけ、落ち着いた。
百合人/……母親譲りのおかげでそこそこ整った顔だったし、他人の中へ入り込むおしゃべりもできた。それ自体は得だった。でも「18歳になったら家出する」と計画していた。何がしたいという希望は一切無かったけど。
草摩/夢とかは、無かったんだ……?
百合人/高校3年のとき。周囲が将来の夢や進路を語り始める中、ただ「家を出よう」としか考えてなかった。そんな高校生活の最後に、「都合の良い存在」が現れた。
草摩/都合の良い存在……。
百合人/隣で椅子に座って話を聞いている男の顔を見る。だぶる。
KP/けど、違うと判る。
百合人/……自分にとって、凄く都合の良い存在と出会った。少し声を掛けてあげただけで慕ってきて、褒めてやると調子に乗って、マックに連れて行ってあげただけで目をキラキラと輝かせて……「アタシって良い人間なんじゃ?」って思わせてくれるような、アタシを気持ち良くさせるためにいるような、凄く都合の良い存在!
草摩/…………。
百合人/一緒にいると気分が良くなった。何をしてもカワイイと思えた。他人に対して「愛おしい」なんて感じたことが初めてだったから、「これ恋なのかもね」と茶化して言ってみたら、満更でもなくて、だから……恋人みたいなことをしてみたら案外……ハマり込んじゃって。
草摩/愛おしい誰かが、いたんですね。
百合人/いたのよ。一番身近だった家族すら愛せなかったのに。パパがたくさん変わったせいで一箇所に留まれる子供じゃなかったから、親友だって出来やしなかった。
KP/転校、多かったんだろうな……。
百合人/高校卒業して、「もしかして自分は、男が好きだったのか」と首を傾げて、あの繁華街に行った。あの街での生活は決して悪いもんじゃなかったけど、「なんか違うな」って思えて……。アタシが求めていたのは、「センパイ」って呼んでくれた愛おしいあの子だったんだって、どんどん気付いて……。
草摩/…………。百合人先輩はもしかして、「その誰か」に父性や母性を求めていたのでは?
百合人/……求めていたのかも。自分を「凄いぞ」と褒めてくれる父性。自分を「よしよし」と甘えさせてくれる母性。「その子」に……自分が求めていたものを都合良く当て嵌めていたのかも。……うっざ。オレ、うぜえ……。
草摩/うざいですか?
百合人/年下の男子に何を求めすぎてるんだ、オレ……。そもそも、自分の人生を彼のせいで歪められたように言うんじゃねえよ、オレ……。彼のおかげで許されたように言うんじゃねえよ、オレ……。
KP/……愛おしい誰かを語っていた百合人さんの前から、ヒナギクと野バラは消えている。そして百合人さんの手の中には、真っ白な鍵が握られている。
草摩/鍵。……先輩、鍵を握り潰さないでください。
百合人/……鍵を放り出して兄ちゃんに渡す。
草摩/貰う。
KP/では、鍵を受け取った草摩さん。「……兄ちゃん」 そう貴方を呼ぶ声が聞こえた。貴方にとって大切な誰かの声。名前も顔も分からないけど、声だけはハッキリと思い出せた。草摩さんと百合人さんの思い出しSANcが(7/7+1d6)に変更となり、他者への秘匿開示が可能となる。
草摩/……声が、聞こえた。でも、俺には「語れない」しか語れない。なので、思い出しSANチェックをする。(ころころ)SANチェック、85、失敗。
KP/鍵を手にした後なので、7+1d6のSAN減少です。
草摩/(7+1d6ころころ)SAN値が12減少しました。<アイデア>ロールをします。(ころころ)75で成功です。
KP/あ、ぴったり不定に突入ですね。1d10で発狂表を振ってどうぞ。
草摩/どんどん落とそう。(ころころ)5。
KP/『5.脱力・虚脱(自力での行動が出来なくなる)』。ぴったりなんだよなあ!(笑)
草摩/えっ、その発狂はヤバい! <目星>ロールができなくなる!
百合人/探索ができなくなるじゃん! 勘弁して!(笑) <精神分析>ロールをさせて〜!(ころころ)15で成功!
草摩/…………。百合人先輩。
百合人/なに?
草摩/帰らなくていいんじゃないですか? 出口から出ると言ったな、あれは嘘だ。
百合人/気分屋か?(笑) デスゲームクリアーは!?
草摩/する必要が無いのでは? どこに帰る必要が? 生きる必要が? 俺にありますか? 「あるもの」が無い俺は虚無だ。やる気が無い。生きる意味も無い。「あるもの」が俺を生かしているので、「あるもの」が無いなら俺は生きてないんだ。やめた。
百合人/そうくる〜!?
草摩/俺には軸が無い。すっぽりと抜かれてしまった。立っていられる訳が無い。ん? つまり? 俺は居られないなら……よし、死ぬか。
百合人/発想!(笑)
KP/まさかの展開!(笑)
草摩/俺が死ぬならあいつも死なないとおかしいし、あいつがいないなら俺もいなくなって……。
KP/それ前に見た!(笑)
百合人/兄ちゃん! 死ぬには順序が必要なの知ってた? 普通の人はこんな高校の教室では死なない! だから外に出よう! 死ぬなら自宅が良いって! 3人で住んでいるマンションで心地良く死のう!
草摩/……3人で……。
百合人/そう! 帰るよ!
草摩/……誰の……こと……。
KP/無気力になった貴方を「兄ちゃん」と呼ぶ声がする。
草摩/……「兄ちゃん」?
KP/側にいる男のものではない、他の誰かの声。貴方をずっとそう呼ぶ、物心ついた時から貴方は誰かにそう呼ばれていた声。つきりと痛む脳裏に、貴方と同じ顔をした誰かの姿が過る。草摩さん、<アイデア>を振ってみてください。
草摩/(ころころ)81、成功。
KP/ギリギリ成功!(笑) ……ベッドの横に貴方は居る。そのベッドには横たわる誰かが居る。その名前を貴方は、声に出すことはできないけれど、思い浮かべることはできた。
草摩/……ぁ……。
KP/名前は声に出せません。文字に記すことも出来ません。ただ、脳裏に思い浮かべることはできます。
草摩/誰かが居たベッド……。死ぬなら、頭を休めてベッドの上で死にたいな。ああ、ベッドの上がいい……俺はずっと「あいつ」が眠るベッドの横にいたから……いっしょがいい……。
百合人/そうよね!? そうしよ!? という訳で、教室から出ます!
KP/教室のドアを出ると、貴方達は最初に居た倉庫のような部屋に戻る。<聞き耳>ロールをどうぞ。
草摩/(ころころ)75、失敗。判らないな。
百合人/(ころころ)88、失敗。判んない!
KP/わっかんないな〜?(笑) <幸運>ロールを振ろっか……。
草摩/(ころころ)85、失敗ダメ。
百合人/(ころころ)91、失敗でダメなもんはダメ!!
KP/そっか!(笑) ところで、アヒルはちゃんと教室から持って帰って来た?
百合人/アヒルちゃんを忘れる訳ないです!
草摩/アヒルなら俺の後ろについて来てますよ。アヒルは俺達の味方だもんな。
KP/自律型だった。じゃあ、草摩さんは自分の後ろについて来ている筈のアヒルが見当たらないことに気付く。
百合人/えっ。アヒルちゃん!?
草摩/アヒル!? そんな、アヒルの身に何が……!?
KP/周囲を見渡すと、黄色いものが上の扉の前に転がっている。グワッ。
草摩/アヒル! どうした!?
百合人/扉の前に駆け寄ってアヒルちゃんを抱き上げます!
KP/では、扉に近付いた2人は気付く。ドアの鍵が開いている……? まさか<聞き耳>と<幸運>揃って2人とも失敗すると思わなかったからアヒルが開いてるんやでと教えただけです。グワ。
百合人/ありがとねアヒルちゃん(^ε^)-☆Chu!!
草摩/よくやったぞアヒル! よし、安らかに眠れ。
KP/グワ……死んどるやないかそれ(笑)
草摩/袋の隣に並べて休んでおくか?
KP/死体袋と並べるのは嫌!(笑)
百合人/アヒルちゃんはまたアタシ達を助けてくれそうだから連れて行こ! アヒルちゃんをしっかり抱えて上の扉に行くよ〜!