クトゥルフ神話TRPG・リプレイ
■ 『 ツキノカケラ カケタハシ 』 2ページ ■
2022年1月14日




 ●イルカショー

 外に出ると、そこは屋根のついた半屋外のような場所でした。
 複数の長椅子が並べられ、その奥に大きなプールが見えます。他にもボールや輪っかなど、様々な道具が用意されているようです。
 今は飼育員もいませんが、イルカショーの会場だということが分かるでしょう。イルカは悠々とプールを泳いでいるようです。


百合人/人は居ないけどイルカショーはやってるのかー。おーおー、元気に泳いでるねー。
草摩/かわいいな。キューキュー。
百合人/兄ちゃん、イルカ語を使った?(笑)
KP/ここで<幸運>ロールに成功すると、イルカが大ジャンプを見せてくれますよ。
実散/(ころころ)44で成功、ラッキー!
百合人/大ジャンプ! ファンブルすると水かけられるのかな?(ころころ)64、あーん失敗ダメー!
草摩/(ころころ)67、失敗。見せてくれない。でもみちるのためにジャンプしてくれたぞ。
KP/パシャーン! イルカ達がジャンプしてくれます。百合人さんと草摩さんはその水がちょっと引っかかりました。
百合人/きゃー つめたーい でもかわいいねー
実散/……ふふっ。思わず笑っちゃう。
草摩/わっ。……やんのかイルカ。ニャルラトホテプ召喚すんぞオラァ。
百合人/ニャル召喚を持ち芸にすんな!(笑)
KP/(イルカになって)「ダゴン様をお呼びすんぞコラァ」(一同笑) 神話生物大戦が始まってしまうので、会話チャートどうぞ!
実散/はーい。(ころころ)1、「近況報告」……? 零課の話かな。今のお仕事は思った以上に順調だよね。色んな仕事を割り当てられて充実してる。
草摩/毎日忙しいな。
実散/忙しいから……なかなか遊びに行くことも無かった。社会人になってから夢中になって仕事してたし。……3年前からは、いつだって気が休めなかった。兄ちゃんとも疎遠になってた。
草摩/……そうだな。
百合人/でも、今は?
実散/……今は、肩の荷が下りた……と言ったら、楽観的すぎで馬鹿って言われそうだけど。……簡単に『庭師』の事件を片付けるつもりは無くても、また刑事として働けて、兄ちゃんやセンパイとこうやって遊びに行ける……今、幸せだなって思います。
草摩/みちる。
実散/……なーに?
草摩/俺も、同じだ。俺も今がいい。
実散/……うん。
草摩/昔も良かった。でも、今が一番幸せだ。こうやって……いつでも好きなみちるにキスできるからな。
実散/…………。お外で堂々としたら怒るよ。
KP/人が居なくて良かったね? イルカが見てるけど(笑)
草摩/キスした。幸せだ。
百合人/……オレなんて、幸せ三昧よ。仲良しの後輩のお家に居候できるとかそんな嬉しい事ある? ありがとね、同居を誘ってくれて
KP/百合人さんのお店兼自宅、爆破しちゃったもんな(笑)
実散/むしろ、うちに居候でいいんですか? 兄ちゃんのサメが占領してた物置部屋なのに。
草摩/イケアのサメとかサメとかウォータープールとかカキ氷器とかあった俺のウォークインクローゼット。
実散/センパイが来てくれたおかげで断捨離できて良かったよ!(笑)
百合人/サメはまだ部屋に残ってるけどな(笑) 一緒に住まわせてくれるついでにミチルちゃんはオレの恋人にもなってくれた! 嬉しいよ、幸せ
実散/あっ……は、はい、流れで……そういう関係になってしまって、すみません……。真っ赤になります。
百合人/うんうん幸せ〜 帰ったらまたオレの部屋を改造しよ〜。
実散/……まだセンパイの恋人であるという自覚というか覚悟ができていない、そんな近況でした。(ころころ)<目星>ロール、75で成功です。
KP/実散さんはベンチの影に欠片を発見します。さっきのイルカのジャンプの水しぶきを受けてキラキラとベンチの陰で光ってます。
実散/あっ、ありました! 3つ目だ!
百合人/ちゃんと発見してるわ、偉い〜!
草摩/イルカに感謝だ。よしよし、みちるを撫でる。
KP/おめでとー。と言うように、イルカさんも大ジャンプ!
実散/……わあっ!
草摩/イルカの奴、みちるにサービスしてくれたな。
百合人/ミチルちゃんカワイイからついサービスしたくなってるんだよ〜
実散/もうっ、なんでそう恥ずかしいことばっか言うんですか……。
KP/(イルカになって)「ミチル、カワイイ。って水槽前の奴らが言ってた」
草摩/そうだぞ。ミチル、カワイイ。
百合人/そうだぞ。カワイイ。
実散/や・め・て!(笑) もうっ、次に行きます〜!


 ●レストラン

 イルカショーの会場を出ると、そこは深海生物のコーナー。その奥がレストランになっているようです。
 深海生物のコーナーには、ダイオウグソクムシやメンダコなど、テレビやネットで話題になった生物達もいるみたいです。


実散/深海生物だって。兄ちゃん、深海生物とか好きそう。
草摩/好きだ。メンダコに夢中だ。
KP/早速ですが<目星>ロールをどうぞ。
草摩/(ころころ)84で失敗。メンダコに夢中でした。
実散/(ころころ)31、成功。
百合人/(ころころ)54、成功。
KP/メンダコに夢中だった草摩さん以外の2人で捜索してみましたが、どうやら深海生物コーナーには欠片は無いようです。
実散/兄ちゃん、メンダコはあるけどカケラは無いよ。
KP/そのまま深海生物コーナーを抜けるとレストラン・お土産屋さんなどに行けそうですね。ぬいぐるみやクッキーなど定番のお土産が並んだお店ですが、やはり人の姿はありません。
草摩/イルカぬいを買います。
実散/人が居ないんだって! 今は買えないみたいだね〜。
草摩/人が居なきゃダメなのか。そうか。大人は盗らないのか。うん。警官として当たり前か。なるほど。
実散/社会人として当たり前だよ?(笑)
KP/子供も盗っちゃ駄目よ? 草摩さん、未開の地から来たの?(笑)
草摩/制約が多いな。あ、会話のチャートを振ります。(ころころ)8……「天気の話」。いい天気ですね。
百合人/おっ、そうだな。
KP/……終わっちゃったじゃん(笑)
草摩/人が居るところでイルカぬいを買います。(ころころ)<目星>は48で成功。
KP/ぬいぐるみ可愛い! 以上です。
草摩/ぬいぐるみ可愛い! 以上です。
実散/そっか、次に行こうか〜!(笑)


 ●レストラン

百合人/まずはチャートを振りますね。(ころころ)4です。
KP/「子供の頃の話」〜!
実散/センパイの子供の頃のお話ですか!
百合人/ん〜、オレの子供の頃ねえ。…………。カケラはどこかな〜!?
実散/……センパイ?
KP/子供の頃の話は!?
草摩/どうした?
実散/……お話、しないんです?
百合人/<目星>振ろうかな〜。(ころころ)97、ファンブル! 誤魔化そうとしたらファンブル!
実散/ファンブル!? ……って、「誤魔化そうとしたら」?
KP/実はこのシナリオ、ファンブル表があるんですよ。百合人さんは1d4をどうぞ。
百合人/きゃー!(ころころ)2です。
KP/ファンブルした百合人さん、レストランの奥まったガラスにふと目がいく。不自然なほどに薄暗くなったそこに、ふらふらと足が向いてしまう。ガラスに何か映っている。
実散/ふえ?
草摩/なんだなんだ?

 灰色がかった白色の油っぽい身体。曖昧に歪んだ鼻の先からはイソギンチャクのような触手を生やし、その姿は歪な蛙のよう。
 それは貴方に気が付き、手に何かを持ったまま振りかぶります。
 それが槍であると気が付いた瞬間には、化け物は恐ろしい力で槍を投げつけていました。


実散/ムーンビーストだ! わー、大好きな神話生物だー!(笑)
百合人/そんなの出てきたらビックリするわ! キャー!?
草摩/やめろ! みちるを触手攻めするなんて!
実散/発想が飛躍しすぎだよ兄ちゃん!?(一同笑) ムーンビーストの触手部分は短いからね! 触手プレイは難しいよ!(笑)
百合人/何なのあれ怖いー! キャーキャー!?
草摩/頑張れ触手! 短くても頑張れ!
実散/センパイ、大丈夫ですか!? 兄ちゃんは頭が大丈夫!?(一同爆笑)

 幸いにも貴方の身に槍が刺さる、という事はありません。
 ですが近くにあった食品を並べるショーケースが粉々に割れています。……あれはガラスに映った幻だったのだろうか?
 悍ましい姿を見たこと、そして命の危険に晒されたと錯覚したことにより【SANチェック0/1d5】。


百合人/(ころころ)45、SANチェック成功です! 良かった……。
KP/気付けば怪物の姿は無くなっており、奇妙な薄暗さもなくなっています。百合人さんは粉々になってしまったガラス片で指を切ってしまったようです。HPを1点減らしておいてね。
百合人/バケモノ怖い……。兄ちゃんの想像力も怖い。でもそのミチルちゃんが触手攻めされる妄想、オレにもちょうだい。
草摩/あげる。みちるが触手攻めにあう妄想、あげる。
百合人/HP減らしてエアSANが回復します。
実散/なんで回復すんの!?(笑)
KP/粉々になったガラス片に混じって、不思議な光を放つ欠片を見付ける事ができます。気を付ければ怪我無く欠片を回収できるでしょう。
百合人/ありゃりゃ、怪我の功名?
実散/ゆっくり取り出しましょう。順調にゲットできましたね。
KP/ファンブル表の結果と、ここで起きるイベントがちょうど一緒だったので大変助かりました(笑)
百合人/助かったってアヒルちゃんも言ってるし、結果オーライ よーしゲットできたしおしまい! レストランは全部が終わったらまた食べに来ようね
草摩/そうだな。ランチはぜひここでしよう。
実散/お魚を見ながらのご飯、楽しそうですね。
KP/一応レストランで食事はできますよ。無銭飲食になりますが。
実散/しません。兄ちゃんの教育に悪いです。
草摩/俺の教育に悪いのでダメです。
KP/倫理観があって偉い! ……草摩さんは何歳児なの?(笑)


 ●エントランス

 水族館の出入り口です。
 出口の方を見ると、何故だか焦点が合わないように、一定のところから先がぼやけて見えます。


KP/<目星>ロールをどうぞ。
実散/(ころころ)14、成功オッケー!
KP/ぼんやりとしていて外の様子が分からない出入口です。……奥に進むとどうなってしまうかは分かりませんが、良い予感はしないということが実散さんには分かります。あと欠片も無いな。
実散/……なんか、怖い……。
草摩/欠片が無いなら別の所に行くか?
KP/アヒルもそうだそうだと言っています。
百合人/アヒルちゃんがそう言ってるから次に行こう!
実散/自我のあるクッションは便利だな〜。(ころころ)会話チャートは6でした。
KP/「休日の過ごし方」について話そう〜。
実散/今その休日なうなんですけど……。あの、センパイ。
百合人/なーに?
実散/次の場所まで歩きながら言いますね。……なんでさっき、話を誤魔化そうとしたんですか?
百合人/……それ、聞く? んー……子供の頃ねえ。
実散/はい。
草摩/はい。
百合人/なんていうか、何も面白いこと無いなーって、話せる話も無いなーって思って。何にも思いつかなかったから、スルーしてもらおうってね。
実散/なんだ、話したくなかったなら話したくないでいいんですよ? 無理に会話なんてするもんじゃないです。……変に詮索しちゃってごめんなさい。
百合人/こっちも変な空気にさせてごめんね いつか過去のこと話せたら話すね
草摩/俺、小さい頃の先輩、会ったことある。
百合人/そうだっけ〜?
実散/……そうなんだ〜? 『同居人』であった過去の記憶はほぼ無くしているので首を傾げます。
草摩/家の花壇で会った。俺が庭で花の世話してたら話し掛けられた。覚えてる。
百合人/オレ、散歩好きでどこにでも行く子供だったから兄ちゃんに会ってたのもありうるかも〜。
草摩/高校でみちると話している姿を見たとき「ああ、あいつだ」ってなった。
実散/そんなにハッキリ覚えてるの!?
百合人/それなら声を掛けてくれれば良かったのに〜!
草摩/不思議と、嫌じゃなかった。なんだか、助けてもらえた気がしたから。……みちるの傍に居てくれて、安心した。高校時代、先輩がみちるに会っていてくれなかったら……俺達はここに居られなかった。そんな気がする。
百合人/…………。
草摩/先輩、ありがとう。居てくれて。生きていてくれてありがとう。
百合人/…………。ど、どうしたの兄ちゃん? いきなり感動的な台詞なんか言ってさ!? ミチルちゃん、オレ何かした〜?(笑)
実散/え、えー、分からないですけど……過去のセッションの繋がりを演出してるのかと。
草摩/そうだよ(笑)
百合人/いつもの兄ちゃんの電波か〜!(笑) 次に行きましょ、次!


 ●クラゲ展示室

 展示の通路を抜けると、クラゲの展示室に繋がっていました
 部屋に入ってまず目に飛び込んできたのは、紺の間を悠々と舞う白の影でした。
 ふわふわ、ふわふわと。円柱状に模られた水槽の中で、クラゲがゆっくり漂っています。
 白くて薄っぺらいもの、オレンジ色で足が長いもの、カラフルで小さいものなど、クラゲ達は複数の水槽で自由気ままに泳いでいました。


草摩/クラゲがふわふわしてる……綺麗だな。
百合人/結構クラゲってかわいいよね ライトアップも良いねー
実散/ふわふわ……ふわふわ……ふしぎな生き物〜。へえ、クラゲってこんなにカラフルなんだ〜!
KP/クラゲの展示、今だと色んな水族館で人気展示ですよね。
草摩/まさに水族館って感じだ。(ころころ)会話チャートは7でした。……「学生時代の話」
実散/兄ちゃんの学生時代? 小学校? 高校?
草摩/いっそ、それ以上。……大学時代に、植物研究サークルに入っていた。南 玲子と出会ったのはそのときだ。
百合人/植物研究サークルか〜。兄ちゃんってほんとお花が好きねえ?
草摩/みちるに新種の花をあげたかったから。俺が作った花をあげられたらいいなって、小学生の頃からずっと思っていた。
実散/なんか、壮大なことを考えていたね? 大学時代にまだそんなこと覚えていたの?
草摩/だって、欲しいだろ? みちるは花が好きだったじゃないか。俺が花をいっぱいあげたら喜んだ。綺麗なの欲しいって言ってくれて、俺があげるって言ったら頷いてくれた。喜んでくれた。だから。
実散/……あー……。
KP/草摩さんって医学部でしたよね? 花の品種改良がしたかったのに、そっち系じゃなくて医学部に進学したの?
草摩/医学部は医学部だ。みちるの体を想って医者を目指そうとした。それをやりながら植物も研究していた。ついでに精神医学も学んでいた。
百合人/オーバーワークすぎるよ(笑)
草摩/あと、かけっこも得意だ。
百合人/陸上部も入ってない?
KP/草摩さん、スーパーマンか?
草摩/歌も得意だぞ。作詞作曲もする。よく職場で歌う。
KP/それには天鴻と格くんも眉を顰める(笑)
草摩/料理も好きだぞ。毎日手料理もする。和洋中みんな作るし、ケーキも作るぞ。みちるが好きなタルトも作る。
百合人/車の免許も早々に取ってそう……。
草摩/バイクも大型も船も操縦できるぞ。
実散/…………。これ、絶対に口にはしないことだけど……心の声で言いますね。俺、別に、お花が好きなんじゃないんだけどな……。
KP/……実散さん、お花好きじゃないんだ?
実散/兄ちゃんが、毎日、病床に持ってきてくれていたから。笑って毎日世話をしていたから。……その笑顔を絶やしたくなくて、貰っていただけだよ。
百合人/……兄ちゃんが笑ってくれるから?
実散/うん。もちろん嫌いじゃないけどね。じゃなきゃ部屋にドライフラワーやハーバリウムを飾らないし。
草摩/……前々から思ってたがみちる、生花じゃなくてドライフラワーとハーバリウムを飾っているんだな?
実散/それは「兄ちゃんが花好き、俺は実は違う」という設定のアピールです。意識して言っていました。……綺麗な物は好きだけど、兄ちゃんの植物好きとは違います。世話をするほど好きじゃないですね。
KP/なるほど。どちらも世話をしなくてもいい長期間飾ってられるものだ。お兄ちゃんから貰ったお花はどうしてたんです?
実散/兄ちゃんが世話してくれてました。……花は好きでも嫌いでもないけど、お花をプレゼントしてくれる兄ちゃんのことは大好きだから……。
草摩/そんなの知らないので俺はずっと花をプレゼントしていました。そして植物研究サークルでも品種改良に躍起になってました。
実散/その結果、『庭師』のシナリオが始まるという。
草摩/…………。みちる。
実散/……あっ、何?
草摩/最近はあの植物研究サークルには行ってない。仕事も忙しいが、またそのうち……始められたらいいな。お前が喜んでくれるもの、あげたい。
実散/…………。あ、あのね。兄ちゃん……俺は、兄ちゃんの負担にはなりたくないよ。その気持ちだけで嬉しいし……仕事も忙しくてやりたいことが多い兄ちゃんなんだから、俺の事なんて二の次でいいんだよ?
草摩/何言ってるんだ?
実散/あ、その、嫌な意味じゃなくてね!
草摩/どうした?
実散/……あ。う……。ううん、なんでもない……。
草摩/どうした。
実散/い、いや……ううん。兄ちゃんがしてくれるの……嬉しいから、待ってるね……。
草摩/それでいいならいいが。
実散/…………。
百合人/……はー。兄ちゃんはさ、なんでミチルちゃんがしょぼくれてる顔を見逃すかなー?
草摩/かわいいみちるの顔の何か問題でも?
百合人/やっぱ2人で話すと、こじれるよなあ。なあアヒルちゃん?
KP/それな。グワッ。
百合人/ミチルちゃん。なんで兄ちゃんにやめてほしいこと、ちゃんと言わないの?
実散/いや、別に俺……兄ちゃんにやめてほしい訳じゃ……。
百合人/ミチルちゃんの「いい顔して済まそう」っていう一人で不幸を抱える可哀想なヒロインっつら、オレは大好きだけど嫌う人はとことん嫌うよ。
実散/ヒロイン!?(笑) な、なんですか、その例え……!
百合人/兄ちゃんもさ。ミチルちゃんのこと好きすぎるのにミチルちゃんの考えてること読み取ろうともしない。イかせる気で激しく手マンして満足する見ただけAVマニアか?
実散/言い方ァ!(一同笑)
KP/独りよがりってことですよな。グワッ。
百合人/ズバリ言うと2人ともオナニー上手すぎてセックス下手か?(一同爆笑) 2人でいるんだからさ、2人で気持ち良い会話をしなよ!
実散/…………。
草摩/何も言われないのに何をしろと言うんだ。
百合人/だから子供すぎて32歳児って言われるのよ。あーあ、双子の喧嘩仲裁がここ最近の同居生活で板についちゃったよ〜。
草摩/喧嘩はしてないつもりだ。
百合人/喧嘩だよ。言い争って殴り合うだけが喧嘩じゃない。お互いを見られず俯き合うのも喧嘩だ。……ミチルちゃん。
実散/……はい。
百合人/言いたくないならいい、としか言えないんだけどさ。兄ちゃんに本音をぶつけてみるのも良いとオレは思うんだよね。
実散/……う……。
百合人/じゃなきゃ……この兄ちゃん、みちるちゃんの為だって言いながら人を殺してその人肉をムリヤリ食わせてニャルラトホテプ召喚するかもよ?
実散/具体的!(一同笑)
草摩/うん、俺も知らないけどする気がする(笑)
KP/まるで見た来たかのように言う!(笑) 2人とも、百合人先生のありがたいアドバイスを聞いて!
百合人/なんでオレは好きな子にオレとじゃないセックスカウンセリングしてるんだ?
KP/百合人さんよしよし……アヒルの胸で泣けよ。羽毛100%(一同爆笑)
実散/…………。に、兄ちゃん。その……。
草摩/なんだ。
実散/兄ちゃんが、俺のために……20年も、お花をくれるの、俺の体のことを気遣って看病をしたり、料理をしてくれるの、一緒にいてくれるの、本当に嬉しい。
草摩/うん。
実散/さっき言ってた「今が一番幸せ」、これ、本当なんだよ。本当なんだ。今、こうして兄ちゃんとまた過ごせる日々が幸せなんだ……。
百合人/うんうん。
実散/……幸せだけど、負担があるのも嘘じゃない。俺のためにって言うの…………やめて。
草摩/…………。
実散/俺のためにお花をあげなくていい……俺の看病なんてしなくていい……俺のために手料理をしなくていい……。俺のため、じゃなくて、兄ちゃん自身のために、人生を使って。
草摩/…………。みちるのためじゃなくて、「俺のために人生を使え」?
実散/そ、そうだよ! なんで、俺のため、なの? 兄ちゃんの人生は兄ちゃんの人生なんだから! ……俺のこと、切り離していいんだよ。
草摩/…………。分かった。
百合人/分かった?
草摩/俺は、言われたことはする。殺すなって言われたら殺さない。盗るなって言われたら盗らない。みちるに言われたから……みちるを切り離した俺の人生、考える。
実散/ううううう……。
百合人/そんな深刻に考えるなよ。
草摩/…………。切り離したくない。そればかり、考えている。
百合人/それだけ兄ちゃん自身がミチルちゃんが好きだってことだよ。兄ちゃん自身がミチルちゃんを愛しているなら、「みちるのため」なんて言葉を盾にするな。その上で……今まで通り愛してやれよ。
草摩/……うん。
実散/……うん。
百合人/……おっしまい! 喧嘩、お疲れさん。クラゲ達も「だるーい」って顔してるよ!
KP/気分転換に<目星>振ろっか!
草摩/(ころころ)22、成功。
KP/草摩さんはこつん、と足に小さな何かが当たった感覚がする。薄暗い展示室でぼんやりと光るそれ、最後の欠片だ。
草摩/……ん。拾い上げる。あったぞ。
百合人/やりー 最後のだね 全部ゲットしたからあの子達のところに行こうよ
草摩/ああ。みちる、行こう。
実散/…………うん。
百合人/ほらほら、ミチルちゃん! 今のうちに人が居ない水族館を堪能しようよ
実散/……はい……。


 ●大水槽

 欠片を集めた貴方達は大水槽の方へ向かいます。
 誰も居ない館内を、3人だけで進むのでした。


KP/「オオイ」「オーイ」 遠くで貴方達を呼ぶ声がする。「カケラ、集マッタ?」
百合人/集まった!
草摩/コレダ。アゲル。コレデ、イイカ?
KP/「アリガト」「アリガト」
草摩/アリガト。
百合人/ありがと!
実散/…………。
KP/集まった5つの欠片はまた泡のように消え、水槽の中のガラス細工に吸い込まれていきます。「祭、始マル」「橋、架ケル」 その声をきっかけに、パッと館内が暗闇に包まれます。

 しかし先程とは違い、大水槽のガラス細工だけは光源がないにも関わらずキラキラと光を弾いていました。
 水が揺れて、光を反射して、あわが立って、消えて……まるで深海に降りてきたような静けさがそこにはありました。


百合人/キラキラ!
草摩/綺麗だ。
実散/…………。

 その静けさは一瞬にして切り裂かれます。
 足元、一階の部分から、それこそガラス細工の城下町の部分から、何かが爆ぜたような軽い音がしました。
 ドンッ、と。
 その直後、目の前に花が咲きます。それは泣きたくなるほどに眩しい、大きな花火でありました。

百合人/わあ、花火だ!
草摩/凄い光景だ。
実散/…………。

 赤、白、黄。色とりどりの花火が水槽の中に上がります。
 しかし魚や水に変化はなく、悠々と泳ぎ続けているようでした。
 「橋」
 「二柱ハ、番。番ダケド、会エナクナッタ」
 「一柱、地ノ神殿ニ」
 「一柱、空ノ湖ニ」


草摩/なるほど。
百合人/不思議な光景だなー。もう不思議だなーとしか言えないね!
実散/…………。

 「互イニ求メ会ウ、ダカラ、橋ヲ架ケル」
 「仮初ダケド、幻ダケド」
 「イツカ会エルヨウニ、ソノ、願掛ケ」
 異形達の言う話を、貴方達は理解出来ないかもしれません。
 けれど、この花火が、彼らの願ったものだということはきっと理解出来るでしょう。
 水中に打ち上がった花火は、探索者達の頬を照らします。


百合人/花火だけじゃなく、君達もなんだか綺麗!
草摩/ああ。言葉もなんだか綺麗な歌を唄っているみたいだ。
百合人/オレは怖いのヤだけど、綺麗で楽しくてステキな時間なら大歓迎だよ!
実散/…………。

 「アリガト、橋、架カッタ」
 「祭リ、出来タ」


実散/…………。
草摩/祭か。祭が楽しくない訳が無い、いいものに決まってるな。祭が出来て良かった。
KP/「アナタタチノ、願イモ、叶ウ」
百合人/えっ、どういうこと?
KP/「キット、叶ウ」
実散/…………。
KP/その色や熱に見とれて、最後の花火が上がった後。……世界にざわめきが戻りました。
実散/……………………。ようやっと、顔を上げる。花火を……見……。


 ●エンディング

 周囲は人ですし詰めになっていました。
 どんなに探しても、先ほどまでここに居たソレらの姿はありません。花火も、その残像すら残っていません。
 大水槽のガラス細工に目を向けても、どこにも罅など入っておらず、最初に見たまま、完全な形を保っています。
 周囲の人も戻り、賑やかな喧騒が貴方達を包んでいました。


実散/…………。
草摩/人混みに戻ってきたな。
百合人/うん。水族館、3人だけでめっちゃ堪能しちゃったね!
KP/「あ、お兄ちゃん達だ!」 小さな女の子がやって来ます。「おっきい水槽すごいねえ」
百合人/凄いよねえ! 綺麗だよねえ!
草摩/ああ。何時間でも見ていたくなるな。
KP/「……あれ? そっちのお兄ちゃん、どうして泣いてるの?」 心配そうに、少女は実散さんの顔を覗き込みます。
実散/…………。
KP/「だいじょうぶ?」
実散/…………。あはは。目にね、でっかいゴミが入っちゃった!
百合人/…………。
草摩/…………。
実散/大丈夫大丈夫、取れたから〜! 心配してくれてありがとね!
KP/「そっか〜」 じゃあね、と言ってまた少女は離れていきます。
実散/ばいばーい!
百合人/バイバイ。
草摩/手を振る。……みちる、歩こう。
実散/いいよ。あれだけ歩いたし2人ともお腹が空いたでしょ? レストランに行ってランチしようよ〜。人が戻ってきたから食べられるよ!
草摩/ううん。
実散/レストランに行かないの?
草摩/俺と先輩は綺麗なものを見た。花火を見た。でもみちるは見ていない。ずっと俯いて、気にして、泣いていた。そんなもので終わるのは、良くない。
実散/…………。
草摩/みちるが満足する綺麗なものを見て、それから終わろう。飯はそれからでいい。
実散/…………。だから、俺、兄ちゃんは俺のことなんて考えないで、兄ちゃんの好きに生きてってお願いしたよ……。
草摩/俺の意思でみちるに綺麗なものを見せて満足させて家に帰るんだ。俺の、意思だ。
実散/…………。
草摩/俺の我儘だ。ダメか。
実散/…………。それなら、いいかも。
草摩/行くぞ。みちるはどこに行きたい? 俺のために答えろ。
実散/…………。今から花火を見るとしたらどうすればいいですかね、センパイ?
百合人/真冬でもドンキホーテに行けば花火ぐらい買えるかな?
草摩/真冬に花火。浜辺でするか。
KP/浜辺で花火すると怒られますよ……。
百合人/あーん、アヒルちゃんストップが掛かっちゃった!(笑)
実散/禁止されてる浜辺で花火とか、迷惑な若者みたいなことをおまわりさんはしませーん。……じゃあ花火、もう見られないね。諦めるから……。
草摩/なら夏だ。夏に花火に行くしかない。夏に花火大会、行こう。約束だ。
実散/…………。
百合人/あっ、もう数ヶ月後のデートの話をしてるの!? いいね〜!
草摩/ああ、数ヶ月後の楽しみができた。数ヶ月後まで……みちるをキープする。嬉しいな。俺の人生、みちるを一生切り離せないだろう。少なくとも半年は一緒に居るのが確定だぞ。
KP/プロポーズじゃん?(笑)
百合人/その花火大会、オレも一緒に行くからね! 恋人として当然でしょ? 兄ちゃんはあくまで保護者枠! やったー、今年の夏は好きな子と花火デートだー
実散/…………。
百合人/ミチルちゃん、オレのために浴衣を着てよ〜
草摩/今から浴衣を買いに行こう。
KP/真冬に浴衣は売ってないかな(笑) でも3人分の浴衣スチルくれ!
実散/…………。2人は、本当に……俺を幸せにしてくれる天才だな。あれだけ気落ちしていたのに、今じゃもう……半年後の、2人で楽しくどこかに行くことを考えちゃうぐらい……心が浮足立ってる。
草摩/花火大会の検索、みちるに頼むぞ。今日も水族館の検索が一番早かったのはみちるだ。俺のために調べてくれ。
実散/……うんうん、兄ちゃんのために頑張っちゃおうっかな〜。
草摩/じゃあレストランに行こう。ランチをした後は俺の為にイルカのぬいぐるみを買いに行くぞ。イルカはいくつ買う? 1d100振っていいか?
百合人/せめて1d10にして。
KP/1d1で。草摩さんは可愛いイルカの大きなぬいぐるみを1つ買いました!(笑)
実散/かわいい!
草摩/キョダイマックスぐらいの大きさだ。
実散/そんなのお家に入らないよ!?(一同笑) 大きすぎるイルカを抱いてきた兄ちゃんを見て、馬鹿みたいに……笑っちゃう。
百合人/……戻ってきてくれたミチルちゃんの笑顔に、オレもニッコリ笑う。ランチも綺麗なレストランで美味しくて最高だったねー!
実散/お魚を見ながらランチ、良かったですよね。
草摩/イルカを車に乗せて、帰るぞ。みちる、持っていろ。
実散/助手席で大きなイルカのぬいぐるみを抱きます。……水族館の外は良い天気。青空を見上げて、半年後に花火を見ることを思い浮かべながら……イルカを抱いた車が走り出す。
草摩/ああ、出発。
KP/車に新しい家族を詰め込んで、貴方達は自宅へと帰るのでした――。




『 ツキノカケラ カケタハシ 』

END


→居酒屋とラブホで遊ぶ『相席居酒屋ナイア&ラブホテップ』に続く

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