クトゥルフ神話TRPG・リプレイ
■ 『 劇場版 同居人 』 5ページ ■
2021年12月20日




 ●ダイニング

 ダイニングには、当初訪れた通りに小さめながらも絢爛なシャンデリア、柱時計と部屋中央には食事のための長机がある。
 併設されているのは最新のシステムキッチンであり、清潔感が漂っている。
 冷蔵庫などには酒やパック詰めにされた肉があるだけで、ほかに目立った食べ物などはないようだ

百合人/<目星>とか使えますか?
KP/いえ。このシーンは以上です。特に情報はありません。
百合人/以上です? え、そういうパターンもある?
KP/ここでKPはぶっちゃけ言っちゃいましょう。この15日の探索パートの中でプレイヤー自身が「何かをしたい!」と言わないとシナリオクリアーできません。
百合人/マジか。プレイヤーがリアルアイデアで何とかしないといけないやつ?
KP/はい。このシーンでは「判定して情報を得る」ことはできませんが、決して無意味じゃないです。
実散/ヒントをもとに推理をしていかなきゃだ……!
百合人/シーンの描写をちゃんと読み直します。何か気付きたいね!
実散/が がんばろ……がんばる。
百合人/ミチルちゃん、何か気付いたら言って
実散/…………。とりあえず、部屋描写がしっかりしてることには意味があると思いたい。家具の話ね。
百合人/ほう?
実散/俺は「家具をどうこうする」必要があるんじゃないかと思ってるよ。その家具が何なのか、どれをどうすればいいのかは……まだ<図書館>ロールとかに成功してないから言えない。つまり、他のシーンの情報を集めよう!
百合人/オッケー ダイニングを見たけど判らん! シーンを終わりにするわ!

    ◆

KP/2日目の情報収集パートが終了します。みちるが、地下からダイニングに戻ってきます。
実散/……ただいまです。
百合人/おかえり ……顔色悪いよ。どうした?
実散/えへへ、さすがセンパイ。気遣いの天才ですね。
百合人/ミチルちゃん、病弱なんでしょ? 薬とか持ってるの?
実散/いや、それはもう昔の話ですよ。今は健常者そのものです。だから薬の持ち歩きなんてしてません。
百合人/普段なら「いい物を食べて元気を出して」って言えるんだけどね。とりあえず水をお飲み。
実散/助かります。いただきます。
KP/そうしていると、草摩が料理を持ってきます。ビーフシチューぽいものです。美味しいですよ。
実散/……兄ちゃん、一応訊くけど。これ、ビーフシチュー?
草摩/ビーフじゃない。礼二さんシチューだ。
実散/……う。
百合人/……そっか。
KP/とても美味しそうなワインの香り漂うシチューです。お肉がごろごろ入っていて食べ応えがありそうです。食べますか?
実散/……食べません。
百合人/食べない。……部屋に行こう?
KP/料理を目にしたPCは<POW*5>+<食事補正>で判定を行なう。
実散/これ、毎日するのか!(ころころ)55、成功。
百合人/今回は−5%で。(ころころ)80、失敗。……体デカいから、腹減っちゃったんだな。

 完全に、理性は何処かへと消え去った。自分の中のまた異なる自分が、急激にその存在感を増大させる。
 柔らかな肉を、芳しい肉を、美しい肉を持ち上げ、端から欲望が雪崩れる口へと運んでいく。


百合人/ぱく。
KP/感想はただ一言に尽きた。美味しい。
実散/食べちゃった!

 人肉とはこんなにも柔らかく、肉汁の溢れ、甘美な味だったのだろうか。こんなにも美味い肉が、この世界には60億も、貴方の日常の隣を闊歩しているのだろうか。
 背教的な愉悦を全身の細胞に染み渡らせていった。もう、あなたは、ただの人間に二度と戻ることはない。SAN値減少1d10。

 【現在SAN値】
 百合人:(7点減少)


実散/ああああ!? 7点ガッツリ減った……!
百合人/<アイデア>ロール。(ころころ)94、失敗。よし!
実散/た、助かった……。
百合人/……あは、ごめん、ミチルちゃん。食べちゃった。
実散/…………。そうですね。……それ以上は、何も言わない。
百合人/……ごちそうさま。ノーコメント。
実散/センパイ。お水です、どうぞ。……俺は水だけ飲んで、部屋に戻ります。
草摩/美味しかったか?
百合人/ノーコメントって言ってるだろ。去ります。……ごめんね、食べない方がいいとか言ってたのにオレの方が弱かった。
実散/いえ、責めません。責められません。2日間も絶食したんですもん。
百合人/……もう寝るわ。
実散/はい、おやすみなさい。俺も、なるべく体を動かさないようにして寝ます。
百合人/……あ〜、すき家とか食べに行きて〜!
KP/では3日目に入りますが、先に夢を見るターンをさせてください。

 ――夢を見る。夢を見るのは、実散と百合人。2人は同じ夢を見る。
 ベッドの上で横たわっている幼い実散が、いた。


実散/昔の夢……俺が俺を見てる。
百合人/ちっちゃいミチルちゃんだー、カワイイー

 実散は自室のベッドから動けない。自宅と病院を行き来する毎日、それでも可能な限り実散は自宅での生活をされていた。
 その方が実散の精神衛生上、良いことだと判断されたためだった。
 弟の世話をしているのは、双子の兄。
 両親が共働きをしている中、「弟の世話を頼むぞ」「お兄ちゃんだからお願いね」と言われた少年は、それが自分に課せられた使命だと心から信じ切ってこなしていた。


百合人/幼い兄ちゃんに世話を任せていた? ……これ、良いことなのか悪いことなのか。
KP/えっと、ここから先……KPが勝手に「幼少期の実散の台詞」を考えました。実散に言った覚えがなくても小さい頃の記憶だから仕方ないってことで頼みます。
実散/OK! ちっちゃい頃だし何言っても判んないのも仕方ない!

 兄はベッドに横たわる弟の世話をしている。絵本を読んであげたり。育てた花を摘んで見せてあげたり。
 だが弟の顔は曇ったままだった。
 つらそうに体を抱きながら、苦しそうに息を吐きながら。とぎれとぎれに言葉を出す。
 『……みんなは、俺達のこと、双子で何もかもいっしょだっていうけど。なんでこんなに違うんだろうね……』
 「みちる」
 『……俺も、兄ちゃんと、同じになりたかったなあ……兄ちゃんみたいに外に出て遊びたかった。学校に行きたかった。友達が作りたかった……。本当に何もかもいっしょの双子なら、全部お揃いがよかったなあ……』
 「みちる」


実散/うううううう……。
百合人/うわ、うわあ……。

 『……兄ちゃんと全部お揃いで……同じで……元気に、なりたい……』
 「みちる」
 『……今からでも、いっしょに、なろ……。でも、そんなの……無理なんだよね、神様は……そうしてくれなかったんだもん……』
 「みちる」
 『……兄ちゃんみたいになって、笑って、誰かと、外……お花……見…………』


実散/え。

 ――その日。
 ――弟の様態は急変した。
 ――たったひとり自宅に取り残された幼い兄だけでは、ベッドで突然息を引き取った弟を前に、為すすべもなかった。


百合人/え……。
KP/シーン以上です。2人とも、SANC(1d3/1d6)。
実散/待って。死んだ。……俺、死んだ。
百合人/ミチルちゃん、死んだ?(ころころ)20、成功。
実散/我死んでるではないかー!?(ころころ)26で成功……。

 【現在SAN値】
 実散:(1点減少)
 百合人:(1点減少)


百合人/……ミチルちゃん。オレ、ちょっと不吉な夢……見たんだけど。
実散/ねえ……俺。兄ちゃんに「お揃いの双子」の呪いをかけたの、俺じゃん。
百合人/え!?
実散/兄ちゃんは子供の頃の俺の発言を受け取って、「俺とお揃いであることに執着するようになった」のでは? だって、言葉をそのままの意味で受け取るような兄ちゃんだよ?
百合人/ミチルちゃん、それは……。
実散/たかひろくん達の言葉をそのまま受け取って人間を殺さないって約束したり、凛ちゃんは食材だと言われたから食材だって思い込むような人だよ? ……俺が「いっしょになろう」なんて言ったから、その言葉をそのまま受け取って縛られてるんじゃ!
百合人/それは違うんじゃない? ミチルちゃん、言いながら自分を傷つけてない? 自傷はヤメな。
実散/……う……。
百合人/「自分の発言のせいで兄ちゃんが」なんて思うのヤメなよ。兄ちゃんは兄ちゃんの人生があって、全部の責任は 兄ちゃん自身にある。ミチルちゃんの責任じゃない。兄ちゃんの行動は兄ちゃんが決めるべきだし、兄ちゃんが決めたもんだ。
実散/……うう……。
百合人/……あー、説得とか言いくるめとかうまくないんだよねオレ! 信用ない人間だからさー。ミチルちゃんを抱き締めます。
実散/あうっ? 抱き締められます。
百合人/よしよし。よしよし。ミチルちゃんの抱き締めて、頭を撫でる。
実散/……うう、センパイ……。
百合人/オレは別に落ち着くまで今日こうしていてもイイよ? 時間が無いから探索しなきゃでも、ミチルちゃんの心が死にかけたらイヤだしね。
実散/…………。大丈夫です。俺、動けます。
百合人/ホントに?
実散/……センパイはいつも俺が動けないとき、優しく背中を押してくれますよね。そんな優しいセンパイを生還させるためにも、動いてみせます。
百合人/あ、オレのために頑張ってくれちゃうワケ? 嬉しいなー! 抱き締めついでにチュッておでこにキスしますね。
実散/うー……。
百合人/これぐらいいつもしてたでしょ? 照れない照れない!
実散/センパイは……いつも気楽で、優しいですね。
百合人/じゃ、今日はどこ行こうか? 昨日までと同じように問いかけます!

 相談の結果、3日目の行動は「実散が物置」「百合人が書斎」に行くことになった。


 ●3日目:物置

 物置は積み上げられた段ボールや、シャベルやスコップ、古びた時計など普段あまり使われない物が置かれているだけの部屋だ。
 <幸運>に成功する事で何か目的とする物があるかもしれない。
 プレイヤーが欲しいものを手に入れるためのただの幸運部屋である。


実散/なんと!? 凄い、ラッキールームだ!
KP/欲しい物があったら宣言して<幸運>ロールしてください。だいたいの物が手に入れられます。
実散/と言っても今のところ何も欲しい物は思いつかないんですけどね。あ、でも……<図書館>に役立つものって何だ!? あればユリちゃんセンパイが使ってください!
百合人/<図書館>に役立つものか……。疲れない椅子はありますか?(一同笑)
KP/<幸運>ロールをどうぞ。
実散/(ころころ)58、成功。
KP/アヒルさんの形をした柔らかクッションをゲットしました。このクッションを使って本を読むと技能+5%できます。
百合人/マジでぇ!?(笑) オレ、明日から寝ながら図書館するわ。
KP/ではここで、実散は無造作に放り出されたノートを発見する。手に取って見ると、見たことが無い大人の字で書かれていた日記のようだった。
実散/え。……これ、日記だ? 読めますか?
KP/現代語なので判定無しで読めます。

・◇月◇日
 最愛の妻が車に轢かれた。私の目の前で轢かれた。
 胴体は無残にも二つに分かれ、臓腑が道路を赤く照らしていた。即死である。
 私は妻のもとに駆け寄り、妻の臓物を手に取って口にしていた。子供の頃から意地汚かった私は、物を落としても数秒だけなら大丈夫と思っていた。咄嗟に、妻に対してそれをしていたのだ。

百合人/あっ、これは……礼二さんの日記?
実散/奥さんに対して3秒ルールしてる。

 その場に居た者達によって抑えられた。妻を亡くしたあまりのショックで気が動転してありえないことをしてしまった、それは仕方のないことだと誰もが私を慰めた。
 妻を日々溺愛していた私を知る周囲の者達は、私の奇行を容認した。悲惨な事故だから仕方ないと、私に再三言い聞かせるように。
 だが、自分でも判っている。私は元から、愛する妻と共に在り続けたいと、食事という形で永遠にいっしょになろうと考えていたのだ。
 そう。我を失くした瞬間、真の私が飛び出したに過ぎなかったのだ。

実散/ひえ……。

・◇月◇日
 あのときの味が忘れられない。私はすっかり、あの味の虜になっていた。
 だがそう簡単に人肉など手に入らない。いくら私に医者の資格があるとしても、警察とコネクションがあったとしても入手する手段などない。
 完全犯罪など不可能だ。私が求める食材を入手するにはどうにかできないかと日々考えている。

・◇月◇日
 孤児院から凛という、食材として育て上げる娘を、引き取った。

KP/それから数日、数ヶ月、数年が経過して……。

・◇月◇日
 娘が可愛い。

KP/それ以後、終始「娘カワイイ!」日記になります。食材として育てるとか言ってましたけど、そんな素振りもない日記になっていきます。
実散/いいパパじゃん。
KP/だけど、ある日。

 「……私は、今でも明確に思い出す。妻を口にした瞬間、私は満たされていた。
 大好きなあの女を自分の中に取り込んだ。愛し合った二人が一つになれた。あのときの幸福感を、また味わいたい。多くの人にもその幸福を知ってほしいとすら考えている……。
 考えてしまう。今まであんな美味しい物を口にできなかった人生は、なんてつまらないものだったのだろうと。
 だから夢想する。どうにか口八丁で肉を手に入れ、今度は美味しく料理したい。無理な話だけどさ。
 ……すまない。酔ったとはいえ、口を滑らせすぎてしまったな」


実散/めっちゃ礼二さんのキャラ、好き……良い男だ。
百合人/うん、良いよね〜。

 「礼二さんは交通事故の日、本当の意味で奥さんと一つになれたんですね」
 「そうだね。忘れられない日だよ」
 「羨ましいです。俺も『いっしょになろう』と言われた弟がいます。そうか、弟を食べるといっしょになれるのか」


実散/ふええ!?
百合人/うわ……。

 「ああ、君は、私の言うことを判ってくれる理解者なんだね。嬉しいよ。けど弟くんを食べるということは弟くんを殺……」
 「礼二さん。地下室は見ましたか?」
 「え?」
 「地下室です。知らないですか? ご案内しますよ? 読むと、なんでもできるようになる本があります。礼二さんは俺より頭良いみたいだからすぐ翻訳できる筈です。あれで何でも出来ます。礼二さんはしたくないですか?」

実散/な? ……なに? 何を言って……。

 「な、何をかな?」
 「俺には礼二さんが悪い人には見えません。だって奥さんのこと大好きな顔をしてる。凄く良い顔だ。
 悪い人は悪い顔をする。礼二さんは違う。悪い人じゃないから教えます。
 この家の地下にあるのは『何でもできるようになる本』です。礼二さんは無理だとか手段がないとか不可能だとか言って苦しそうだから、助けます。礼二さん、何でもできる本を読んで、礼二さんの好きなことをやってください。俺は礼二さんの理解者なので、応援したいです!」
 「き、君は……私が、人を殺めてしまうかもしれないというのに、それを、許すのかい? わ、私の趣味を理解して応援するということは、殺人を容認するということなのだよ……?」


草摩/え? 人を殺すのはダメですよ? 天鴻達がよく言ってる。礼二さんが求めているのは食材でしょう? 料理をする者同士、理解者として助け合いましょう? 特別な食材である凛はまだ食べ頃じゃないって言いましたよね。じゃあ、食べ頃の食材を手に入れる方法を、その本で探しましょうよ。

 「え? ……え?」

・◇月◇日
 本を読んだ。
 凄い。何でもできるし何でも手に入る。

KP/日記は以上です。
実散/兄ちゃあああーん!? 礼二さんが困ってるじゃーん!?
百合人/礼二さん、かわいいな!(笑)
実散/あのさー! これ、礼二さんが殺人鬼化したのって兄ちゃんが原因じゃん!? 兄ちゃんが地下の魔導書の類を教えなきゃ「ただただ苦悩していたおじさん」ぐらいで済んだのでは!?
KP/そうですね。
実散/礼二さんは被害者じゃん! いや、加害者なんだろうけど! 花園 草摩は善意で人を歪めるな! 最高っ!(一同爆笑)
百合人/サイコパス! 最高パスだったな! ……どうすんだ、これ?(笑)


 ●3日目:書庫

百合人/書庫に<図書館>ロールしにきたけど……クッション欲しい〜!
実散/クッションプレゼントは明日ね!
百合人/クッション無しで頑張る! 早くアヒルさん抱っこしたい!(ころころ)<図書館>、57で成功!

 <図書館>→百合人が成功。
 随分と読み古されたような、ほかの本より少し飛び出ている本を見つける。
 どうやら鬼嶋 礼二が愛用していた精神医学に関する本のようだ。ページ数は膨大であり、読むには時間がかかりそうだ。
 <知識>+<食事補正>に成功すれば3日後に読み終える事ができるが、失敗すれば5日間を要する。

百合人/あっ、これ早めに成功しておかないといけないやつだった!(ころころ)……失敗。これ、合流したミチルちゃんに「読んで!」とかできない?
KP/……じゃあ、百合人が<幸運>ロールに成功したら、実散に読む時間を用意できたことにする。<幸運>ロールどうぞ。
百合人/(ころころ)36、成功。よっしゃ!
KP/では、実散に読ませる時間が用意できるぐらい早い時間に本をゲットできた。実散は<知識>+<食事補正>ロールをどうぞ。
実散/(ころころ)4、クリティカル成功。やったー! これ、時間短縮できませんか!?
KP/OKにします。3日後ではなく2日後に読み終えることにしましょう。……つまり、6日目に読み終わる?
百合人/それだと……6日目に情報が2つ手に入るようになる! 凄いラッキーでは!? 3日目上々だ〜!
KP/書斎に草摩が現れます。
百合人/……やあ。
草摩/みちる?
百合人/ごめんね、オレだよ
草摩/…………。みちるじゃ、ないのか。
百合人/いや、そんな露骨な嫌がり方しなくていいんじゃない?(笑) 思いっきり残念そうな顔をしないでよ、兄ちゃん。こんなところに何か御用?
草摩/用はある。俺は鉢合わせすると発情イベントを起こすんだ、<ヒプノーシス>を使用。
百合人/メタだなぁ!(笑) オレを発情させてどうしたいんだよ!?
KP/判定に失敗すれば三大欲求である性欲を引き出され、PCは片方のPCに襲い掛かり、行為をしようとする。
百合人/(ころころ)<POW*3>、47で失敗! ……最低だな、兄ちゃん。
実散/センパイが発情しちゃった……(笑)
草摩/この<ヒプノーシス>という魔術、使うと気持ち良くなるだろ? この15日間は良い休日を過ごしてほしいんだ。同居している以上、ここでは楽しくあってほしい。
百合人/ははは、狂ってる。本当に兄ちゃん、倫理と理性が無いね。そんなにキモチイイことがご希望なら兄ちゃんを犯すよ?
草摩/…………。
百合人/ヤメた。兄ちゃんの前から去ります。その足でミチルちゃんのところに行く。
草摩/…………。
百合人/ミチルちゃん、どこー?
実散/えっと……さっきのクリティカル成功が「早めに本を預かって読むことができた」という結果なので、物置じゃなくて探索者の部屋に戻っていますね。
百合人/ミチルちゃんを抱き締めます。
実散/え? ちょ、センパイ……いきなり抱き着かれたら驚きますよ〜。
百合人/…………。
実散/……センパイ?
百合人/…………。
実散/せ、センパイ。何も言わずにそれはちょっと……何かあったんですか? 心配します。
百合人/良い機会だから言う。オレ、ミチルちゃんのコト、好き。
実散/センパイ。……兄ちゃんに変なこと、されたんですね? その、兄ちゃんがごめんなさい。
百合人/この窮地の状況だし、いつ言えなくなるか判んないから言っちゃうよ。素直になる魔術をかけられて口が軽くなってるからね。オレ、ミチルのこと、好きだったんだ。
実散/…………。センパイ、俺は気にしないので……兄ちゃんの怪しい術でムリヤリ変な感情が出てるだけでしょうから、言ってラクになるならお好きにどうぞ。
百合人/本気と受け取ってもらえてないような反応だね。オレ、傷つくよ?
実散/本気も何も、発情させられた人の言葉です。……本気じゃないでしょ。
百合人/本気の言葉を引きずり出されているのかもよ。でも……あはは。発情させられた機会じゃなきゃ言えなかった言葉なんて、信じてもらえる訳ないか。
実散/……センパイは、色んな人をお相手してるでしょ。たまたまここには俺しかいないから、俺にそんな台詞を言っただけで……。
百合人/ひどい。これでもオレ、ミチルちゃん一筋なのに。
実散/それ、色んな人に言ってませんか?
百合人/ミチルちゃんが一番なのは本当なのに〜。ついでにこれも言わせて。
実散/はいはい。
百合人/全部消える前に、ミチルと一緒に居られて良かった。神様ありがとう。大好き。
実散/…………。セン、パイ……。
百合人/信じてもらえないから、何を言ってもミチルちゃんには届かないよね〜!
実散/「消える」って、何です? 死ぬ前提のことを言わないで。俺達は生還するために頑張ってるんですよね?
百合人/ん〜、でも今のうちに言っておかないと後悔しそうだから! ……ねえ、ミチルちゃん。今夜一晩だけオレの恋人に戻ってよ。発情してる間だけさ。
実散/う……?
百合人/「これからもずっと恋人でいてよ」って言ってもミチルちゃんてばダメって言うでしょ? 大好きだった子と、ううん、大好きな子と、したいの。させてくれない?
実散/……「恋人になってよ」じゃなくて「恋人に戻ってよ」なんですね、俺達。センパイは……するとき、許可を取ってくるんだなぁ。
草摩/許可を取るなんて偉いなぁ。
百合人/ミチルちゃんが頷かなきゃしないよ。頷いたら、する。どう?
実散/…………。発情したセンパイの身体がつらそうなので……お助けするという意味合いなら……。
百合人/笑って、キスする。優しく、ほっぺとかおでこじゃなくて唇に。
実散/……う。
百合人/……あのさ。百合人の中の人がずっと思っていたこと、話していい?
実散/どうぞ?
百合人/実散が草摩ばっか見ていて、百合人のキャラが全然まったく対象として見られていなくて中の人も百合人自身もショックだった。
実散/ええっ!? あっ、ごめん!?(笑) 違うよ!? めちゃくちゃ好きだからね、百合人のキャラクター!
百合人/百合人は本気で「実散のことが好きな設定」でずっと本命一筋のつもりでいたから。ミチルちゃん自身、百合人のこと考えてなかったんでしょ?
実散/ごめん! ごめんなさい!? 失礼致しました! 好きです! ほんと好きなんです!
百合人/昔から、からかってたから……本気にされなかったんだろうなー。ちょっと後悔してる。本当に好きな人に好きになってもらえなかったのは自分のせいだなって。
実散/その……違うんです、そんな……本気にしてないとか、そんなんじゃ……!
百合人/だから、これはロスタイム。
実散/ロスタイム……?
百合人/「好きだ」って言える機会を、なんでか与えてくれたんだ。いつか消える前には言っておかなきゃ。……キス、させて?
実散/……センパイ。このあと死ぬこと前提で話さないで……。
百合人/ん。そうだね。
実散/…………。その。本当に俺のこと……一筋だったんですか?
百合人/そうだよ? ビジネスで抱いてるお客さんいたけど、これでも一途。
実散/……言葉が、出ない。
百合人/本気にさせられなかったオレが悪いんだよ。
実散/…………。俺、センパイのこと、好きです。
百合人/ほんと?
実散/でも、兄ちゃんのこと好きだし……他に、好きな女の子もいます……いたんです。
百合人/…………。
実散/俺は多分、ひとりだけって決められない、酷い奴です。酷くない男なら、ここでセンパイを傷つけないようにお断りするのに!
百合人/…………。
実散/優柔不断な俺は、センパイの好意を……喜んで、受け入れちゃいます。
百合人/…………。
実散/……そんな屑で良ければ、好きにしてください。体を委ねます。
百合人/……オレはね、ミチルが好きなんだよ。本命で、一筋で、本気で……愛していたんだ。「それ」込みで好きになったと思いな?
実散/……ううっ……。
百合人/オレ、キス大好きなんだ ミチルちゃんの舌ちょうだい いっぱい恋人キスしよ 本命の唇に重ねるね
実散/センパイ……。
百合人/キスだけでメスイキできる体にしてあげたいな そう言っていっぱいイかせます。

 ▼発情イベント
 失敗した場合は、これによって体力を大幅に消費する事になり、HPを半分に減らし、全技能、全判定に-30%する事となる。加えてSANC(1d6/1d8)。

 【現在SAN値】
 百合人:(3点減少)


百合人/発情イベントってボーナスイベントじゃないの? なんでペナルティがあるの!?
実散/ボーナスじゃないんですよ(笑) 情事を終えて、ベッドの中で……センパイの腕に抱かれて裸のまま、目を瞑る。
百合人/ベッドの中で、ぎゅうっ ……いやあ、「最期」って覚悟して言ってみるもんだね。
実散/…………。センパイ、ずっと余裕顔だ。もっと慌てたり焦ったり困ったりしないんですか?
百合人/好きな子の前では格好つけたいもんじゃん? ミチルちゃんだってそうでしょ?
実散/……センパイの困ってる顔、見てみたいかも。
百合人/そーだなー。じゃあ「センパイ スキスキアイシテル」って言って さすがのオレも赤面しちゃうかも?
実散/…………。覚えてますか。
百合人/え?
実散/高校の時。センパイが部室で……俺に初めてキスの仕方を教えてくれたとき。「ここぞというときに『好き』って言うと、よりキマるよ?」って言いました。だからここぞのときじゃないと言いたくないです。……センパイの訓えに反するから。
百合人/……そんな15年以上も前のこと、覚えてる奴いる?
実散/……ここに。
百合人/こいつー。……もっと好きになっちゃうだろ。15年前から好きだった男が、余計に闘志燃やしちゃうぞ?
実散/本当に、恋人同士みたい。……キス。優しいの、ください。ここぞというときなら「好き」も付けて。
百合人/…………好き。
実散/…………。
百合人/…………。ハートマーク付けないで言うのはやっぱり照れるな
実散/それ、照れ隠し用のハートマークだったんですね。
百合人/全然気持ち良くないキスだろ? ただ重ねるだけ、好きだから一緒に居るだけ。これが本気のキスだから。……本当に好きな子と一緒に居られるなんて、幸せだなあ。
実散/……その、変な話しますけど。
百合人/うん?
実散/こんなに優しくされるの初めて。
百合人/花園 草摩ァ!(一同爆笑) なんでミチルちゃんを撫でるたびビクビクされたか判ったよ! 虐待された猫か!?
草摩/みちるとヤるとき、うなじを噛むと泣く。撫でるとビクビクしてかわいい。弟調教が褒められて嬉しい。
百合人/批難だよッ!(笑) オレが撫でてやるたびにビクッてされて泣きそうになるんですけど!?
草摩/そこまで言うなら今度俺とヤるときはみちるを優しくする。ちゃんと気持ち良くヤる。気持ち良くなるまでヤる。
百合人/気持ち良いって言わない限りずっとヤり続けるとかでは?
実散/言うまで! やめない! 倫理どこいったの!?(笑)

    ◆

KP/そろそろ夕飯のロールをしておきます。夕飯、食べますか?
実散/……食べない、です。
百合人/食べないですね。
KP/PCは<POW*5>+<食事補正>で判定をどうぞ。
実散/(ころころ)22、成功。
百合人/(ころころ)67、失敗……えーん。

 【現在SAN値】
 百合人:(1点減少)


KP/草摩が食事を、探索者の部屋に持ってきます。
実散/……実散は、ユリちゃんセンパイとベッドに入って眠っています。
百合人/やあ、兄ちゃん。オレとのピロ―トーク中にお邪魔だねえ。……このシーンを見て兄ちゃんはどういう心境なのかな、聞かせてくれる? オレが理解できる言葉で頼むよ。
草摩/……みちるがそうしたいなら、いい。みちる、今日もみちるが気に入る味を作れてると思う。食べてくれないか?
実散/…………。
草摩/もう3日、何も食べてない。つらいだろ? 食べてくれ。一口で元気になれる筈だ。
実散/…………。黙って、食べません。
百合人/でもオレは……いただいちゃったと。
草摩/……もっと俺、頑張らないとな。やるべきことをやって。もっと、みちるを……元気にしてやるんだ。
実散/兄ちゃん……。
百合人/DVはヤメろよ、兄ちゃん。
草摩/みちるの泣き顔がかわいいからいけない。百合人だって好きだろ?
百合人/泣き顔が好きかって? 嫌いな百合人いる!? クソセマ主語。
実散/クソデカ主語ならともかく初めて聞いたな、その単語!?(笑)
百合人/兄ちゃん。ミチルちゃんの泣き顔の何が良いか、オレ達はちゃんと語り合うべきじゃない?
草摩/みちるの泣き顔の何が良いかトークショーでもするか。
実散/いきなり何が始まるの!?(一同笑)
草摩/『病気で胸が苦しくてベッドに丸まって寝ているみちるの隣に俺が座ると「……兄ちゃん……」って俺の服の裾を掴んで見上げてくる大粒の涙が溢れた上目遣い』。俺だけの特等席だ、いいだろ?
百合人/『高校の部室で一人で大人しく本を読んでるミチルちゃんにいきなりキスしたら慌てて真っ赤になるんだけど感情が昂りすぎて涙目になる瞬間、「こんなことされたの、初めてなので、すみません」って何故か謝り始めてオレが勝手にしたことなのに泣き始める自己評価が低いミチルちゃん』。幼くてカワイイ!
実散/無い記憶について2人とも話してる! 凄い!(笑)
草摩/……お仕置きのとき。『2時間ぐらい放置して、帰って来たとき。凄く甘い声でおねだりしてくる。泣きながらごめんなさいって言う涙』。最高だ。
百合人/……どういうお仕置き? 詳しく。
草摩/ベッドに手錠。乳首に道具。尻にバイブ最弱。
百合人/オレならそれに縄を追加するよ?
実散/勝負じゃなかったの!? なんで共闘してるの!? 俺は何を聞かされてる!?(笑)
百合人/……オレはミチルちゃんにお仕置きできる立場じゃないからその涙は判らないんだよね〜。何故ってそりゃ「恋人同士」がお仕置きなんてする訳ないじゃん?
草摩/……俺はみちるの保護者だから。全部を見て、全部を育てて、全部を見届ける責任がある。どんな涙も俺のものだ。どんな時間も、どんな表情も、どんなみちるも俺が見届ける責務がある。
実散/に、兄ちゃん……(笑)
百合人/古今東西、どんな時代でも「障害がある恋」って描かれてるんだよ。それぐらい恋する人間なら日常茶飯事。オレは恋人と激動の恋愛を楽しむわ。
草摩/みちるの為にならないことを排除して、しっかりと躾ける責任が保護者の俺にはある。その権利が俺にはある。安心しろ。修正していいみちるに育て直す。
実散/俺は……かわるがわる、何をされている……?(笑)
草摩/少し論点がズレたな? 好きな涙対決および親睦会を再開しよう。
実散/お、おう。
草摩/好きなみちるの涙。これをおいて外せない。『ガンガンに犯してるとき「ゆるして」っていう涙。後ろから犯して、両腕を掴んで、揺れてる体。涙がボタボタってシーツに零れるのも後ろから見る』。良い。
百合人/……『膝の上に乗っけて、ぎゅうって抱き締めながら何度もキスしてあげると堪えきれなくなって「許して」って涙目で続きを強請ってくる。「今日はキスの日」って言っても「許してください」って強請るように泣いて縋って来るの』。かわいいよね
草摩/『許してやった後、ボンヤリと涙を流して放心してるみちるに、中を掻き混ぜてやると、声にならない声で泣き始める。声にならない声で泣くのもグッとくるし、「ぅー……ぅううー……」って前後不覚に唸り声を上げている』。俺によってみちるを全部満たせてあげられたんだって、達成感がある。俺は泣き顔だけじゃない、唸り声も好きなんだ。
百合人/『朝方にさ……こっちもとろけてベッドに転がっているとさ、ミチルちゃんの方から縋ってきてさ、「なーに?」って尋ねると「……ぅう……」って唸りながら、何かしてほしそうに涙目で見てくるの』。もうこれ以上言う必要ないってぐらいカワイイよね?
草摩/これで最後だ。8小節だしな。
実散/そういうラップバトル的なやつだったの!?
草摩/勝者はどっちですか?
実散/無効試合だよぉ!(一同爆笑)