アナザーワールドSRS・リプレイ・ワンアンドアナザー
■ 第3話『 苛烈を極めるコンティニュー・前編 』 2ページ ■
1998年〜2004年(仮想リプレイ公開2017年10月24日)




 ●ミドルフェイズ2/2ターン目

サブGM/先に何も行動ができなかったドリスのシーンからダイスを振ってみるのはどうかな?
GM/そうしよう! ドリスはもう一度巨人から逃げられるか【体力】判定難易度10で……いや、難易度を下げて9が出たら逃げられることにしよう! 逃亡してジーク達に合流できるかの判定だ!
ドリス/うん……!(ころころ)やった、【体力】達成値14で成功!
オーウェル/よしっ!
GM/ドリスは巨人が弱っている状況を見逃さなかった! 巨人がドリスを見ていない隙にササッとその場から逃げることができる!
ドリス/じゃあその隙を見計らってオレはその場を逃げ…………。うんっ?
ジーク/うん?
GM/うん?
ドリス/なんで巨人が弱っているの?
GM/……暴走した戦闘で疲れたから?(←特に考えずに答えてしまった顔)
ジーク/えっ? さっきあんなに圧勝だったのに疲れたの?
ドリス/暴走? ……これ、メタ推理なんだけどさ。さっきのトンプソンとユーキのシーンの情報から察するに、巨人の中には彼らみたいな人が入れられているってことだよね? それってよく観察してみたら判らない……?
GM/あー……判るかも。メカメカしい3メートルぐらいの巨人だけど、弱って苦しそうにしている生き物の姿を見ると……魔族っぽい人が巨人の体の中に埋まっているのがうっすら判ったり? 体は硬質的だと思えたけど、実は「生きた牢獄」って感じだ。
オーウェル/……よ、よくよく考えたら怖いもんじゃねーか、巨人(笑)
トンプソン/よくよく考えなくても怖いよ。その中に人が入れられて、核にされて、人造兵器として暴走してるってところかなー。赤くてグチョグチョした体内の中にケーブルとかで繋がれて生きながらロボット兵器にされてるとかだろ!? うわー、燃える! カッコイイ!
オーウェル/めちゃくちゃ怖ぇじゃねーか!?(笑)
ユーキ/にゃー。
ジーク/トプさんとユーキは巨人の核にされなくて済んだけど、この巨人は核にされちゃって何らかの原因で暴走してっていうやつなんだろうねー。未完成とか制御が危ういとかなら戦闘した後に疲れて動きが鈍くなるっていう理屈も判るよ。……で、ドリス。逃げないの?
ドリス/……あの……なんか、気になっちゃって……。さっき魔族ってGMは言ったよね? それが見えちゃったら……知り合いにドレークがいるオレは凄く動揺すると思う。
GM/ああ、ドレークも種族が魔族の設定だったし。
ドリス/知り合いに似ている人が巨人の中に捕らえられていて、苦しそうにしていたら……。オレは、逃げ出すよりも助けたいって思うんじゃないかな?
GM/…………。
ドリス/……えっと、駄目かな?
ジーク/助ける方法、ある?
ドリス/い、いや、全然思い当たらないけど……。そもそもギガースの情報をオレは得てないし、魔族っぽい人が巨人の中に埋まっているって判っただけだし、逃げるのだって精一杯だったし……。でも助ける手段があるならこの場で何とかしてあげたい。
ジーク/そっか。GM、なんとかリューからパイロットを降ろす方法って見当たらない?
ユーキ/にゃー。
ドリス/無理矢理に引き離す【体力】判定とかダメ? あとは「オレの声が聞こえますかー!?」って【理知】で交渉判定するとか!
GM/えーと……現状では見当たらない……かな。
ドリス/現状は見当たらないってことは、あるんだよね!? じゃあそれを探そう! 探すためなら、一旦ジーク達と合流を……。
ジーク/いや、その場で留まるのも良いことじゃないかな。ドリスがこの後に俺達と合流したら、リューは単独行動になるよ。GMは最初に「キャラクターは独自の考えでマップを移動する可能性がある」って言っていたし、PCの1人が見張ってなかったらリューがどこのマップに行くか判らなくなる。助けたいなら見張るのが良いと思うな。
オーウェル/確かに。ジークの意見に賛成だ。
ドリス/そ、そっか! 手段が判って助けたいと思ってもマップのどこに行ったか判らなかったら困るしね! 幸い、ジーク達とトンプソン達のチームが他にも情報収集しているし……今日のオレは出目が低いから情報収集に役に立てないかもしれない(笑) なら「巨人を見張るという行動」をするのが良いかも!
GM/……なるほど、了解。ではドリスはその場で停滞する選択をした。
ドリス/せっかくの逃げるチャンスだったけど……。ねえ、君、大丈夫……? 勇気を出して巨人に声を掛けてみます。
GM/巨人はドリスに襲いかかります。
ドリス/えええっ!? 頭を抱えて避けます!
GM/特に命中判定もダメージロールもしないよ。……聞く耳持たない、友好的な行動もしない、ただ苦しそうに暴走している。そういうロールをしておきます。
ドリス/そ、そんなことされたら……助けなきゃ! 何とかするからねー! そう声を掛けておきます!

 ――のちに、いや、シーンの直後からGMはこのときのことを、こう語っていた。
 「……………………どうしよう(笑)」

 続いて、ジークとオーウェルの2シーン目の行動。


オーウェル/成功率を上げるためにも、ジークと2人一緒に行動しよう。マップは……1つずつ潰していこう。『5:建物群』を選択する!
GM/なんだか天気が悪くなってきた村の中を調査する2人……。情報収集をするなら、難易度10の【知覚】か【幸運】に成功することで情報を得ることができる。
ジーク/はーい。(ころころ)ははっ、ファンブル! 一緒に調べていて良かったな!
オーウェル/今日は本当に出目が低すぎだろ……(ころころ)うわっ、低い……いや、【知覚】でギリギリ成功だ!
GM/出目がさっきからヒヤヒヤするなぁ(笑) では情報収集で判ったことを公開するよ。

 『5:平野の建物群』を捜索した結果
(1)かつて村人が住んでいた家屋がある区域だ。しかし巨大なものが暴れたのか、家々はメチャクチャになっている。


オーウェル/さっきの巨人が暴れたのかな……。

(2)壊された家屋の中から、数十年前に閉鎖された村だというのに新しい鞄を発見する。誰かの持ち物か? いまにも崩れ落ちそうな建物から持ち物だけを入手して調べたい場合、【体力】か【反射】で難易度:8に成功すること。失敗すると【HP】に5点のダメージを受けてしまう。

オーウェル/【体力】も【反射】もどっちも5だ! オーウェルが荷物を取りにいくぞ。(ころころ)よし、達成値16で成功。
ジーク/出目が回復してきた〜! 力仕事もできるエルフだぞ〜。

(3)最近書かれたらしい手記を発見する。手記にはこのように書かれていた。
 「●月1日。サクラの命令を受け、硲村にやって来た。奴らは全てを放置していったと言うが結界がまだ残っている。恐ろしい存在が村の外に出ないように仕掛けた結界だろう。しかしそう長くももたない。ということは奴らは後でまた硲村を訪れ、残ったギガースを処理するつもりだったのだろうか? 俺はそれより先に村に来てしまったということか。『オネ』を回収される前なら好都合だ」

 「●月2日。家屋や村外れの畑や広場を探ってみたが、自立歩行型のアーティファクトなど見当たらない。ということは村唯一の学校か。キャンプをして明日ゆっくり学校を調査しよう」

 「●月3日。学校かと思ったがあそこは奴らの研究所だった。なるほど、村の中の村長宅や公民館が本拠地だと思っていたが、谷底の小学校が本命だったか。地下に続く扉は厳重に魔術でロックが掛けられていた。解除するのに丸1日が掛かってしまった。鍵を掛けているということは、地下を封印しなければならない何かがあるということ。明日にでも本格調査をしよう」

 「
(上記のような日記ではなく、書き殴ったようなメモ)なんだここは 巨人の群れ 多い 俺一人で全滅は無理 しかし外なら 生きられない オネはどこだ 解除キーはあった これを巨人のどれかに……(日記には血糊がベットリ付いている)

オーウェル/……こ、こえぇ……(笑)
ジーク/ふむふむ、これが依頼主の言っていたエージェントだな?
ドリス/3日掛けて村の中を調査して……学校地下の鍵を開けたら、巨人の群れ……襲われて大怪我をしたのかな?
オーウェル/(マップを見て)……地下を開けたら巨人がいっぱいいた。外に逃げ出して5番の建物まで逃げてきた。でも巨人に襲われて……死んだ? GM、遺体はここにある?
GM/見当たらないね。ここで出てくる情報は以上だよ。この情報結果を見たPCは、『イベントキー:エージェントの日記帳』を入手してくれ。
オーウェル/巨人がドリスのときみたいに持って行ったか、それとも崩れた建物の下敷きになっているか、このメモを置いてどこかに逃げたか……。『解除キー』って単語も気になるな。

 一方その頃、トンプソン&ユーキチームは……。

トンプソン/よーし、次は『2:小学校 地下1階』を調べるぜー!
ユーキ/にゃー。
GM/そこを調べるなら、難易度10の【反射】か【理知】に成功することで情報を得ることができる。
ユーキ/にゃー。(ころころ)12。
トンプソン/とやーっ!(ころころ)達成値14!
GM/お前らは安定した出目でホッとするよ……(笑) まずここで判る情報だが。

 『2:小学校 地下1階』を捜索した結果
(1)3メートルぐらいの巨人の死体と、白衣を着た人々の死体が大量に発見される。どれもメチャクチャに殺されている。【正気度】判定の難易度:12に成功すること。失敗すると【MP】に5点のダメージを受けてしまう。


トンプソン/おわーっ!? なんだこのでっかい死体の山!?
ユーキ/にゃー。
ジーク/エージェントがメモで「俺一人で全滅は無理」って書いていたから、つまり「半壊ぐらいはさせた」んじゃない?
トンプソン/じゃあそのやられた半数か! つえーな!(ころころ)はい、【正気度】判定は達成値15で成功。
ユーキ/(ころころ)18。
GM/そういうところは出目が良い、お前らメンタル強すぎるだろ(笑) 2人は難なく倒れた巨人の山を調査することができる。

(2)倒れた巨人の中央を見てみると、中にヒトがいることに気付く。全て獣人や妖精族や魔族など、人間ではないものが巨人の中に埋め込まれている。全員死んでいる。中の者達の体は巨人の体と半分融合しており、引き剥がすことは不可能である。巨人の中身にされた者を救うことは殺す以外に無いと判る。

ドリス/……えっ……。
トンプソン/助けられないか。そもそもここにいる奴らはみんな死んでるもんな、無理だ。
ユーキ/にゃー……。

(3)研究資料の束を発見する。
 「我が組織の力とエルスの技術の成果であるギガースを完成段階までこぎ着けることができた。大変強力な兵器だが、維持するコストが掛かりすぎるのがネックのようだ」
 「核となる人外は一通り試した結果、妖精族が最も適しているという数値が出た。エルフ族とドワーフ族が特に相性が良く、強力なギガースとしてデータが出ている。上層部に頼んでエルフとドワーフの確保をしてもらう打診をせねば。できれば多くデータが取りたいので入荷も多めに……」


オーウェル/エルフっ!?
ジーク/あれ、オーウェルの種族がここで……。
GM/その記述から数日の間が空いて、このようなメモがされている。

 「先日の大規模な人外狩り、よくやってくれた。エルフとドワーフの数は申し分無い。どちらも凄まじいデータを取ることができた。どれも利用価値のある種族なので絶滅させるのは勿体無いが、これで多くの記録が取れて良い兵器が造り出せたのなら必要な犠牲だっただろう」
 「数少ない魔族まで捕獲することができたのは素晴らしい。早速、高性能機を造り出すことができた。彼には存分に働いてもらわなければ。長く生かすために他の核とは違う処置をしてある。あの状態ならば肉体崩壊、精神崩壊ともに起こらず長期稼働ができる筈だ。今後も調整をできるように『キー』を設定しておく」
 「オネは手出しができない。暫く封印しておこう」


オーウェル/…………。こいつら……まさか、もしかして。
ジーク/オーウェルが言っていた、『奴ら』なんじゃないの?
オーウェル/……きっとそうだ! 村を焼いた連中が、こいつら……ギガースを造るためにエルフを狩ったってことか。
GM/盛り上がってきたところだが、トンプソンとユーキは【知覚】判定をしてくれ。難易度は10。
トンプソン/(ころころ)あ、ファンブル。
GM/ついにっ!?(笑)
ドリス/なんで今日はこんなにみんな出目が低いんだろうね……(笑)
ユーキ/にゃー。(ころころ)12。
GM/ユーキだけが信頼できる!(笑) ユーキは、何者かが地下1階を歩く足音が聞こえた。人数は複数。3人はいる。
ユーキ/にゃー。(←ユサユサとトンプソンの袖を引っ張るジェスチャー)
トンプソン/おわっ! 何か来るのか!?
GM/3人の、どこかの軍服を着たような男達が周囲を警戒しながらザッザッと歩いて、ユーキ達のいる巨人の山の方へ近づい……。
トンプソン/命中判定!(ころころ)20!
オーウェル/おおいっ!?(笑)
ジーク/やっちゃえーっ!(笑)
GM/えっ!? か、回避判定!(ころころ)12……命中20なんて避けられるかっ! 軍服っぽい男の1人が「なんだ貴様っ!?」と声を荒げ、スキルウェポンの……槍を構える。
トンプソン/ヒャッハー! 命中したからダメージロールするぜぇー!(ころころ)あ、出目が低い。物理ダメージ18点。
GM/全然低くねーよ!? スウィフトの【HP】は19点だからスウィフト1人分は死ぬぞ!?
ジーク/トプさんってどんな攻撃方法なの?
トンプソン/ガブっと歯で攻撃して肉モグモグ。
オーウェル/いきなりスプラッタだ!?(笑)
GM/飛び出してきた獣人に腕を噛まれ、肉をグシャリと噛み千切られた男は「ぐうううぅっ……!?」と呻き声を上げる、が、武器をトンプソンに振り回して間を取ろうとする。その動きは、一瞬トンプソンに遅れを取ったが、なかなかの手練れと思える。戦闘に慣れた者の動きだ。(と言いながら、【HP】をマイナス18点させる)
トンプソン/モグモグ! うめー! で、アンタら何?
ジーク/狂人だ。
ドリス/ジークに言われるなんて……凄いね……(笑)
GM/トプさんに食われた男は腕を庇いながら、「クソッ! 核にする人外がいるとは判っていたがまさかいきなり襲ってくるとはな……!」と武器を構えて警戒。もう1人の男が「注意を払っていたつもりだったけど、やっぱり知能の低い獣どもだからね。油断したのが悪かったんだよ」と笑いながらも武器、斧を構える。
トンプソン/おっ、ヤる気かぁ!?
オーウェル/俺が鉢合わせしても絶対ヤると思う。
ユーキ/にゃー。
GM/そして3人目の男が……「殺せ。さっさと終わらせよう。俺達にはうろついているオネを探す任務がある。タイムリミットも近いからな」と言いながら、剣を出す。
トンプソン/剣と斧と槍! バランス良いな!
ユーキ/にゃー。
オーウェル/こいつらもオネを探しているのか。
GM/という訳で、2人 VS 3人の戦闘開始だ!

 GMは赤のポーン(剣の男)と、緑のポーン(槍の男)と、オレンジ色のポーン(斧の男)を戦闘マップに配置。
 トンプソンはオレンジ色のダイスを自分に見立て、ユーキもオレンジ色のダイスを自分に見立てて戦闘マップに配置した。


オーウェル/おい。3人もオレンジがいるのは判りにくいだろ(笑)
トンプソン/じゃあ俺、緑色のダイスにするよ。
GM/緑は槍の男がいるだろー?
ドリス/そんなにいっぱい色も無いから同じ色になっちゃっても仕方ないよ……(笑) きっとトンプソンの緑と槍の人の緑は違う色なんだよ。

 こうしてそれぞれのキャラクターのパーソナルカラーが決まったりする一面があったりしたミドルフェイズ戦闘。
 戦闘の様子はというと……早々のトンプソンによる不意打ち18点ダメージが功を奏し、PC側有利で進めることができた。
 戦闘特化キャラクターとして作られたトンプソンとユーキは、敵3人との戦闘をとても楽しく笑顔で続けるのであった。



 ●ミドルフェイズ3/3ターン目

GM/戦闘がクリンナッププロセスまで移行したので、そろそろジーク達やドリスのシーンを同時に進行していこう! GMの想定だと早々に合流してくれると嬉しかったんだが、まあ一方その頃……ジーク達はどうする?
ジーク/あっちで戦闘が起きてるって気付けば、俺達も駆けつけることができるんだけどなー。でも地下でやっている戦闘に気付くのって難しいよね?
オーウェル/【幸運】判定で、虫の報せで地下へ行く……ってことができそうだけど。だが他のマップの調査もしたい。
トンプソン/俺達は戦闘してるから、みんなは調査すれば?
ユーキ/にゃー。
ジーク/トプさん達もそう言ってくれているし、俺達は村の調査を続けよう! マップは着々と進行して『4:広場』で情報収集をするよ。
GM/村の中でも開けた場所にやって来たジークとオーウェル。調査をするなら【知覚】判定で難易度は10だ。……あ、『イベントキー:エージェントの日記帳』があるジーク達は『4:広場』での達成値にプラス3のボーナスをしていいよ。
ジーク/やったー!(ころころ)達成値17で成功!
オーウェル/(ころころ)達成値12で成功。ボーナスがあったおかげだな。
GM/開けた場所だから何も無い、何かあってもすぐ判る……と思っていたジーク達は、よくよく広場を観察することができた。

 『4:広場』を捜索した結果
(1)煙草の吸殻、カップ麺の容器、焚火を消した跡を発見する。どうやら数日前まで何者かがここで野宿をしていたようだ。複数人数だと思われる。


ジーク/おっ、ここでエルスのエージェントがキャンプを……。
オーウェル/いや、複数人数だから……トンプソン達と戦っている3人の連中のことか?
GM/そうかもね。実はここで判る情報は以上。……なんだけど、『イベントキー:エージェントの日記帳』があるPCや達成値が15以上のPCなら、追加情報が出る。

(追加情報1)隠れる場所なんて無いと思った広場だったが、魔術によって姿を隠していた男を発見する。傷だらけの男性だ。【HP】を回復してあげるか、【幸運】判定難易度12に成功すれば話をすることができる。

オーウェル/あっ!? エルスのエージェントか!?
ジーク/ここは確実に【HP】を回復してあげよう。≪清浄の使者≫を使用します。(ころころ)出目が1・1なので【HP】を8点回復! 最低値!
GM/なんでそこで1・1を出すんだよぉ!? 判定だったらファンブルじゃねーか!?(笑)
ドリス/なんでこんなに1・1が多いんだろうね……みんな、憑いてる?(笑)
GM/け、けど1点でも【HP】を回復できたので、巨人に襲われ瀕死状態だった男を復活させてあげることはできた! 死にかけていた男は「グッ……お前達は……?」と目を開き、ジーク達を見る。
ジーク/安心して! 出目は1・1だったけど助かったよ!
オーウェル/全然俺達は安心できねーな!(笑) でも死ななくて良かった。俺達はエルスのサクラっていう人の依頼でアンタを探しに来たハンターだ。消息を絶ったアンタと……オネを探している。傷の手当はできたが、しゃべれるか?
GM/「ああ……治療をしてもらったから平気だ。俺の名前はヒックスという」 そう言いながら彼は、勲章を2人に見せる。間違いなくエルスの所属であることが判る。
ドリス/良かった、死んでなかったぁ……!
オーウェル/おい。何があったか、この村で何が起きているか話してくれるか? 巨人は何なのかとか……あとオネは今どこに?
GM/村で何が、巨人は何か。それを聞いたヒックスは少し悩んだ後に話し出す。あまり話をしたくなさそうな顔だった。……もし【理知】で難易度10の交渉判定に成功したなら彼は好意的に、失敗したなら少し非協力的な態度を取る。2人ともダイスロールをしてくれ。
オーウェル/なるべく協力はしてもらいたいな。(ころころ)お、おい、ここで失敗はやめてくれよ……(笑)
ジーク/(ころころ)あ、クリティカル。
GM/よしきた!
ドリス/一番GMが喜んでるよ……(笑)
GM/ジークがクリティカル成功したから好印象を抱こう。オーウェルに非協力的な態度を見せたのは……きっとオーウェルの耳が尖っているのを見て、オーウェルがエルフ族だというのが一目で判ったからだ。
オーウェル/……あ……。知っているのか、例のこと。
GM/ヒックスは全てを話し始める。「この硲村は、ダムに沈むべく廃村になった区域だ。しかしある組織がこの土地を全て買い取った。大規模な研究所兼実験場を造るためにな」
ジーク/ヒュー。土地を全て買い取ったってスゲー。
GM/「我らエルスはその組織と協力関係を結び、技術提供を行なった。彼らの資金と権力と我らの技術で魔導生命体……人造兵器ギガースを開発することができた。この村はギガース同士を戦わせ、更なる性能アップをする演習所として使われていた」
オーウェル/ギガース同士を戦わせ……。ギガースを造って、どうするつもりだったんだ?
GM/「良い兵器として売る。それだけだ。我らエルスは常に強力な武器を造ることを考えている組織。彼らは異能の研究をしている組織。最高の兵器を目指しての共同開発だった。我らの知識を得た彼らは……名前を『機関』と言うんだが、機関は予想以上に大きな成果を生み出していった。が、両者は決裂した」
ジーク/決裂?
GM/「我ら錬金術師であるエルスは、人工生命体のギガースを動かす心臓部……パイロットには、それ専用に鋳造されたホムンクルスを核として使用するものとして考えていた。だが、このホムンクルスを1つ造るにも膨大な資金と年月が掛かる。しかし彼らには力があった。核になる人外種族を誘拐し、ギガースに入れるようになった
ジーク/……うわぁ、えげつないねー。
GM/共同開発していたエルス側は一応止めました。「そんな非人道的なことするなら開発から下りてやるー!」って言い出したんだけど、機関という連中は「いいよ、計画から下りても」という態度だったそうだ。正直エルスが離反しても構わないっていうところまで完成させちゃったのもある。なおかつ、エルスは資金も権力も格下で……。
ジーク/あーあ。でも決裂しても仕方ないしそれが正解だったんじゃない?
GM/「後悔したと言えば、膨大な魔力を持った奇跡のアーティファクト『オネ』を硲村に置いてきてしまったことだけだ。オネは機関の連中も制御できずに放置していたもの。彼らですら手を付けることができずにいた。手をつけずに放り出して村の中を『アチョーッ!』って遊ばせていただけだった
ドリス/途中までシリアスだったのにいきなりの王ドラ(笑)
GM/王ドザだ。「放置していたとはいえ、いつオネを利用されるか判らない……エルスはオネの回収を目論んだ。エルスが事を大きくする前に機関は硲村から撤去し始めたという。研究者達が荷物を持って撤収し始めた今が狙い目だ……と思って来てみたが」
ジーク/が?
GM/「ギガースは暴走し、どうやら小学校を根城にしていた研究者達を皆殺しにしていた。制御できていると思われていたギガース達が反乱を起こしたと思われる」
オーウェル/……うっ……。
GM/「村の中にはオネは発見できなかった。俺は地下にあると考え、地下へのロックを解除し、乗り込んでみるとギガース達が暴走していたことを知る。……全滅させることはできなかった。半分倒すので精一杯で、逃げ出すときに施錠することができず……」
オーウェル/……巨人が外に出てしまったと。それが俺達を襲ったあの巨人か。
GM/「外に出たギガースが一番強力なギガースだ。奴は他のギガースを操ることができるリーダー的な存在だと思われる。最も強いギガースだが、機関はそいつを使役するために『キー』を設定していた。この解除キーを入力すれば奴を無力化することができる筈だ」

 『イベントキー:ギガースの解除キー』
 タイミング:メジャー  判定:【反射】  射程:至近

 【反射】判定難易度10に成功すると、ギガースを機能を著しく低下させることができる。
 機能低下したギガースは、最大【HP】を5点、【物理防御点】と【霊力防御点】を1点をとする。【HP】を0点にすればギガースは死亡する。


ジーク/おおおー! 弱体化させるアイテムをゲットしたぞー!
GM/「オネを探すにも、まずはギガース達の頂点に立つギガースを倒さなければ安心して探索もできない……何とかして巨人の至近まで近づき、この術式を唱えるんだ!」 なお、このイベントキーは「タイミング:オート」で他PCに話せば、オーウェルとジーク以外も使用することができるようにする。
トンプソン/一番手っ取り早いのは……ドリスに話してすぐに解除してもらうことだな。そうすればいっぱいギガースが襲い掛かってきたとしても大丈夫ってことだろ?
GM/うん。オーウェルかジークがドリスと同一シーンに登場して「タイミング:オート」で話をしたことにすれば、すぐにギガースが倒せる。頭領であるギガースを倒せば、これから起きるであろうギガース集団との戦闘は回避でき……。
ドリス/……え……。でも、倒すって【HP】を0点にするってことだから……死亡するってこと?
GM/そうなるね。
ドリス/……救えない?
GM/救えない。それはトンプソンとユーキが得た情報収集の結果で判ることだ。
ドリス/……救えないんだ……悲しい。
ジーク/GM。ジークは今回のレベルアップで≪妖精使役≫という特技を覚えたんだけど、それを使ってドリスにすぐこのことを教えてあげられないかな?

 ≪妖精使役≫
 目に見えない妖精に手助けしてもらう[霊媒師]の副特技。
 本来の特技の効果は、重労働や精密作業判定の達成値に+3のボーナスを得るというもの。


GM/面白いから採用しようかな。当初の予定だと情報収集は3人分担して行なってもらう予定だったから、こういう特技でショートカットしてもらえると正直助かる(笑) 【意志】判定で難易度6の「簡単な行為」に成功したら妖精を使って電話みたいに話ができたことにしてもいい。
ジーク/(ころころ)よし、【意志】達成値13で成功! ドザエモンズ、集まれーっ!
GM/ドザエモンズを使うの!?(一同笑)
ジーク/俺んちで寝泊まりしているんだからこれぐらい手伝ってくれてもいいだろ?
GM/……うん、そうだな(笑) じゃあ……ドリスに懐いていたドザニコフと、一番最初にジークが出会ったエルマタドーザがドリスのいる神社へ向かう。
ドリス/神社でオレは何をしてるんだろう?
GM/逃げずに神社にいたのだから、傍で巨人の様子を見ていたんだろう。そこにサササと2匹のたぬきが現れる。
サブGM/(突然ドザニコフとエルマタドーザになって)「ガウガウ〜!」「おおっ、セニョリータ〜! 無事か〜!?」「ガウゥ〜!」 ドザニコフは涙目で、はぐれてしまったドリスにギューッと抱きつく。
ドリス/わわわっ……!? 2匹とも、オレを見つけに来てくれたの……?
サブGM/「ガウガウ〜! フガフガ、ぎゅう〜!」「セニョリータ! まるまるしかじかピーチクパーチクだぜ〜!」 2匹はドリスにギューッてしながら「タイミング:オート」で例のイベントキーのことを話します。
GM/ドリスは『イベントキー:ギガースの解除キー』をゲットしました。
ドリス/2匹とも、教えにきてくれてありがとう。ぎゅー。……でも……。
ジーク/……イベントキー、使いたくない? まだドリスはこのターンで行動してないから、メジャーアクションでイベントキーを使えると思うけど。
サブGM/正直、君自身はどうなの。
ドリス/(キッパリ即答気味に)使いたくない。……でも……使わなきゃ、かな……。プレイヤーのみんなが使おうっていうなら、使うよ。オレはみんなを危険に晒したくないし……。
オーウェル/使わなくていい。
ジーク/使わなくていいと思う。
トンプソン/使わなくないなら使わない方がいいよ。
ユーキ/にゃー。
GM/……あ、あれ? 全員一致?(笑)
ドリス/だって……どう見てもこの人って……ギガースって被害者だから、このまま死亡させるってどうしても気が引けるよ……。どうにかして助けたい。助ける手段を探したい。……助けてあげたいなぁ……。

 ――のちに、GMはこのときのことを、こう語る。
 「ギガースを救う方法なんて考えてなかったけど……ここまで言われたら何か救う方法を用意してあげないとな。
 いや、でも殺す前提でこれからの話を考えていたから……やっぱりどうしよう(笑)」


GM/なら、ドリスは『イベントキー:ギガースの解除キー』を入手したということで。まだこのシーンで行動することができるけど、どうする?
ドリス/【理知】で説得とか、【意志】で制御を手伝ってあげるとか……。それができないなら、オレは君を傷つける気なんて無いよーって、君の味方だよーってアピールするために何もしない。
サブGM/
ドザニコフはドリスの真似をして「ガウガウ〜!」って両手を上げて降参ポーズをする。エルマタドーザも「こうだ〜!」とお腹を見せて倒れて降参アピール!
GM/そろそろ動き出そうとしていたギガースは……ドリスを振り払ってどこかにいこうとする。もしそんなギガースを止めたいなら、【理知】か【意志】で難易度12に成功してくれ。
ドリス/(ころころ)失敗、≪逆転運命≫で振り直し……(ころころ)うう、足りない、なら≪禍福のさざなみ≫で成功させておく! どこにも行っちゃダメだよ〜!
GM/……そうか。じゃあ、次のシーンにいくぞ。トンプソンとユーキの戦闘、第3ラウンドセットアッププロセスから!


 ●ミドルフェイズ4/4ターン目

オーウェル/トンプソン達が戦闘しているから、俺達は調査を進めて合流を目指そう。『3:小学校 地上』を探索する。
GM/そこの調べは【体力】か【知覚】の難易度6でいいよ。
ジーク/お、難易度が低めだ?(ころころ)達成値9で成功〜。

 『3:小学校 地下』を捜索した結果
(1)数時間前まで誰か複数人がここで飲み食いしていたのが判明する。同じように、自分達もここで休憩することができそうだ。『供給』を行なうことができる。


GM/『供給』というのは、複数人が落ち着いたところで行なう休憩みたいなもの。メジャーアクションで至近距離の対象同士が供給の宣言をすることで、【HP】と【MP】を1D6点回復することができる。前に言っていた『契約』状態の2人だったら3D6点回復が可能だ。
オーウェル/俺とジークは契約状態じゃないから1D6だけ回復だな。(ころころ)3点回復。
ジーク/(ころころ)よっし、6点回復! 休憩できるならここでもっと回復しておこう。

 ジークは≪御符≫を自身に使用し、【MP】を5点回復。
 その後、範囲回復である≪清浄の使者≫を使用し、オーウェルとジークの【HP】を11点……2人とも全回復させた。


GM/ここで複数人休んでいたというのは、今トプさん達が戦っている3人組のことだ。彼らのスタート地点が『3:小学校 地上』で、ミドルフェイズ2でマップを移動したんだよ。
ジーク/最初から『3:小学校 地上』を選択していたら俺達が先に会っていたかもしれないんだなー。こいつら何者だろ?
ドリス/オネを探すって言ってたから、同業者っぽいよ。
オーウェル/その辺り、ちゃんと問い質してなかった。問答無用に戦闘を始めちゃったからなー(笑)
ユーキ/にゃー。
オーウェル/俺とジークが戦闘に介入して事情を聞けばいいかな? ……そうだ。ドリス、今いる『7:神社』のマップでの情報収集だけしておいてくれるか? そういやリューと構っているだけで探索してなかったし。
GM/おっ? 『7:神社』を探索しようとするなら、【理知】か【幸運】で難易度10でできるよ。
ドリス/はーい……ドザエモンズと一緒にギガースをよしよししながら(ころころ)【幸運】でギリギリ達成値10、成功です。

 『7:神社』を捜索した結果
(1)神社の裏手の森に数体のギガースの死体を発見する。無理矢理に心臓部を破壊され、中に入っていた人が引き摺りだされている。全員死んでいる。だが、その死体の一つが動き出す。


ドリス/ひえっ!?
オーウェル/なんか凄い情報が出てきた!?
GM/えーと、ギガースの正体が何者かは……他のマップで得た情報で判っている状態だよな。なので「こいつが何なのか」みたいな状況説明は省いて、重要な情報だけゲットすることにする。

(2)虫の息の魔族が、死ぬ間際にこんなことを話してくれた。
「ここで実験をしていた連中は……この村を処理をするらしい。先日、強力な結界を村の周りに張っていった。中だけを破壊し、外には一切影響を及ぼさないようにするために……早くここから退散しないと、おそらく外からの総攻撃でここは地獄と化すぞ……!」 ガクッ。


ドリス/…………え? うん? 村を処理?
ジーク/中だけを破壊し、外には一切影響を及ぼさない……? どういうこと? 早く村から退散した方が良いっていうのは判るけど。
ユーキ/ミサイル。
トンプソン/あっ。
ユーキ/にゃー。
ドリス/えーと……硲村にミサイル、落ちるの?
GM/うん。あちこちのマップで情報を得ているキャラが違うからキャラは判らないかもしれないけど、全部の情報を見ることができるプレイヤーなら判る。そう、あと何シーンかするとミサイルがこの村に撃ち込まれる。強い結界が張られているため、外からミサイルを飛んで攻撃することはできるが、被害は結界内である村だけに済む。村以外には被害が及ばぬ殺人ミサイル攻撃がそのうち来るよ。
ジーク/何か凄いのが来るぞー!(笑)
オーウェル/なんでミサイルを落とすって……。アレか、ギガースが暴走しているからその処理とか? エルスってそんなことまでやるのか!?
GM/あ、そこは『エルスっていう組織の規模的にそんな物、持ってないだろう』って判るよ。
オーウェル/ということは、もう一つの方の仕業かー! おい、これ早くに村を脱出した方がいいぞー!
ドリス/で、でも、目的であるオネはどこ? ……全部のマップ、探索したよな? でもどこにも王ドザはいなかった。どこか見逃した!?
ジーク/探してないなら、知ってそうな人に聞くとか? そうだ、エルスの人って知ってる!?
GM/オネを探して村に来た人だよ。知ってたらとっくに発見してるし、そのことを助けてくれたジーク達に教えるだろう。
トンプソン/俺達と戦ってる連中は? ……いや、オネを探してるんだっけ? ってことは知らないよな。
ユーキ/電話。
トンプソン/あ。
ユーキ/にゃー。
ジーク/あー……電話か! 『判らないことがあったら聞くこと』ってあったし、『何でも教えてあげる』って言ってたもんなぁ。じゃあ電話のある『1:小学校 地下2階』に行かないとだな!
GM/その前に、ジーク達は電話のことを知らないから戦闘中のトンプソン達に会うか、戦闘をしている地下1階を通りすぎて地下2階に辿り着いて例のメモを見つけなきゃいけない。
ジーク/手間だなー! 早々に合流しておけば良かったー!(笑) あ、それならドリスが得た情報をドザエモンズが俺達に伝えにきてくれるってのは?
GM/ドザエモンズ便利だな(笑) じゃあドリスが【意志】判定難易度10に成功したら、例のミサイルの情報を全部ジークに伝えられるということで。
ドリス/はい。(ころころ)良かった、成功です。
ジーク/タケコプター使ってエルマタドーザがひとっ飛びしてきてくれた!
ドリス/ドザニコフはまだオレと一緒にいるんだ?
オーウェル/ドザニコフだと……「ガウガウ」しか言えないから(笑)

 そして、トンプソンとユーキの戦闘3ラウンド目は……。


トンプソン/槍を持った奴に≪殺戮の身体≫+≪特攻≫でダメージロール!(ころころ)よーし出目が良い! 24点の物理ダメージ!
GM/24点はデカい! さすがにそれを受けた槍の男は膝をつく。そして斧の男が「一時撤退だ!」と戦闘から離脱することを提案する。
トンプソン/お、俺達の勝利だな! 逃げるのかオラァ!? そしてトンプソンはさっきの≪特攻≫の効果で【HP】をマイナス7点して現在【HP】は2点です。
GM/お前も戦えねーじゃねーか!(笑) それと剣の男も「……タイムアップだ。これ以上この村に留まると……」と言う。
オーウェル/こいつら、ミサイルのことを知ってるのか。
GM/3人組の男は退散しようとする。もし話をもっと聞きたいなら【理知】で交渉判定を、捕まえて無理に吐かせる方がいいなら【体力】で対抗判定をしてくれ。
トンプソン/圧倒的【体力】が有利! 捕まえるぞー!(ころころ)あ、出目が1と2。達成値9。
GM/徹底してるな!?(笑・ころころ)達成値12でもちろんこっちの勝利。ユーキはどうする?
ユーキ/にゃー。(ころころ)11。
GM/ユーキも失敗だな。3人組は隙をついて逃げ出した。『6:村外れ』の方角に向かって走っていく。……結局お前ら、いきなり噛みついて戦ってそれだけで終わったな?(笑)
トンプソン/食った! 楽しかった!(笑)
ユーキ/にゃー。


 ●ミドルフェイズ5/5ターン目

ジーク/戦闘して楽しかったと思うなら、そのまま「疲れたー! 帰るー!」って言いながら地下に戻ったりしない? そしたら俺達も「地下になら何かあるに違いない!」と思って行くからそこで合流しよう。
トンプソン/それいい! じゃあそうしよ! 疲れたー! 帰るー!
ユーキ/にゃー。
オーウェル/じゃあジーク、オーウェル、トンプソン、ユーキは……『1:小学校 地下2階』に行くということで。
GM/ようやく集合か、長かった……(笑) ではジークとオーウェルは、戦闘があったらしい地下1階を歩いていく。そこには動かなくなった巨人の山。白衣の研究者っぽい人達の死体の山がある。
ジーク/うえー。
オーウェル/……そのままにしておくのは可哀想だが、今は仕方ない。ヒックスに話をしながら行く。ここは何があった所なんだ?
GM/(ヒックスになって)「俺がここを訪れたとき、巨人達が機関の研究者達を殺しまわっていた。何らかのキッカケで研究所に捕らえられていた巨人達が反逆し、研究者達に謀反して殺していたんだろう」
ジーク/あー、判らないでもないねー。何か酷いことされてたっぽいしー?
GM/それを聞いて、ヒックスはオーウェルの様子を伺う。
オーウェル/……さっきからチラチラと何なんだ。言いたいことがあるならさっさと言ってくれ。
GM/本当に言っていい?
オーウェル/な、なんだよいきなり、怖いよ(笑)
ジーク/オーウェルって案外ビビリだよな!
GM/繊細ってことにしておこう(笑) 「ギガースの完成形が出来上がるまでの間、多くの人外種族が実験に使われてきたという。エルスは全てを把握していないが……機関の責任者の話ぶりによると、エルフやドワーフの集落一つの人数を丸ごと全て使ったとか」
オーウェル/丸ごと……。
ジーク/集落一つ丸ごと全て使ったってことは、使い切っちゃったってこと? ……使われたエルフの生き残りとか、いると思う?
GM/無言になる。いないだろうと言うかのように。話は変わって、「ギガースによって研究者達はみんな殺され、その死体を弄ばれていた。止めなければと思い、俺はギガースと戦った。数体は外に逃がしてしまったが、この地下1階で倒れているギガースは俺が倒した死体だ」
トンプソン/つえー!
ユーキ/にゃー。
GM/その「つえー!」の声を聞こえてオーウェル達はトンプソン達に気付くのはどうだろう?
オーウェル/声に驚いて剣を構える! ……いきなり飛びかかってくる?
トンプソン/疲れたのでしない。このでっかい奴みんなアンタが倒したの? すっげーつえー! って言いながら現れる。
ユーキ/にゃー。
GM/ヒックスはその姿を見て「捕らわれていた人外達の……生き残りか?」と言う。
ユーキ/にゃー?
トンプソン/俺達そうみたいだぜ! 電話のおっさんはそう言ってた! 話は長くなるから、かくかくしかじかまるまるうまうまで!

 かくかくしかじか――ジーク達はオネを求めてこの村に来たこと、そこでギガースと戦い、逸れた仲間がミサイルの情報を得たことを説明。さらに同じくオネを探しに来たヒックスと合流し、オネのあるヒントを求めて小学校に来たことも話す。
 まるまるうまうま――トンプソン達は小学校跡に作られた研究所で目覚めたこと、何でも知ってそうな「先生」と名乗る人物と電話をしたこと、外に出ようとしたらオネを求める3人組と戦闘したことを説明した。

オーウェル/捕らわれていた人外の生き残りだと知って……少しホッとする。同じエルフじゃなくても、こうやって生き残ってくれている人が2人もいるんだって思えば安心する。
ジーク/確かに。オーウェル、前向きに考えるキッカケになれたね。良かったじゃん!
トンプソン/えー、ミサイルで村を焼き払うかもしれない? すげー。ここってミサイル防げたりする施設じゃない?
GM/ごく普通の建物だからミサイルなんて落ちたら死ぬなって思う。そしてなんとなくだがミサイルはこの建物目掛けてやって来るんじゃないかって思う。
オーウェル/ここが重要機密の宝庫だからな……。しかし、そのミサイルを撃ち込む側っぽい電話先の人が、オネのことを教えてくれると思うか?
ジーク/他にヒントが無いから頼ってみるしかないよ。って言いながら電話のところに行く。
GM/唯一ここだけ電気が通ってるらしい電球の下に、電話があるよ。
トンプソン/かける!
ユーキ/にゃー。
オーウェル/ここは普通の会話ができる人に電話をさせてくれ。
ジーク/じゃあオーウェル頼んだ。
オーウェル/お、俺がするのか……(笑) じゃあ、短縮ダイヤルに電話します。シャープ、1、5、1、5……。
GM/プルルル、プルルル、プルルル……ガチャ。時間が少し空いて、出ないのかなと思った頃にようやく受話器を取る。「はぁ……もしもし?」 中年男性の疲れた声だ。
オーウェル/もしもし……えっと……。
GM/「もしもし……?」
オーウェル/………………。誰ですか……(一同笑) ってそう言うしかないだろ! こいつの名前が何なのか全然知らねーし!(笑)
GM/「おや……さっきの『B−45』の声じゃないねぇ。なんだい、獣人族以外にも勝手に動き回っている子がいたのかい。監獄のロックは外れるわ、研究員との連絡はちっともつかないわ、実験動物はうろついてるわ……もう無法地帯だねそこは……」
オーウェル/……なんだよ、お前。さすがにそれはカッとなる。お前がここの実験場を作った奴か?
GM/「提案者ではあるよ。みんな企業が協力してくれたからこそ作れたけれど。……随分自我がハッキリしている人外みたいだね? ナンバーは言えるかい?」 あくまで実験動物に対して見くだすように男は身勝手に尋ねてくる。
オーウェル/お前……!
ジーク/オーウェル。クール、クール。
オーウェル/…………。ミサイルはいつ落ちる?
GM/「ミサイル? 予定だと6ラウンド目に発射予定で7ラウンド目には硲村に落ちるんじゃないかな」
オーウェル/本当に教えてくれた……(笑) じゃあ、オネはどこにいる?
GM/「それはアザーズが捜索部隊として行ってくれてるんじゃないのかい」
ジーク/アザーズ?
オーウェル/質問に答えろ……っていくらなんでも威嚇するのは良くないな。オネはどこにいると思う、教えてくれって言います。
GM/「まずアザーズは研究所としていた地下を探すだろうけど……そこにはいない? じゃあ、かくれんぼをしているのかもしれないな。オネは気紛れで不思議な物体だったし。なら、おびき出すしかないな。あの子は戦闘が大好きだから、『村の中で戦闘すれば自然と寄ってくるだろう』
トンプソン/村の中で? さっき俺達戦闘してたけど来なかったぜ?
GM/あれは村の中じゃないから。小学校の中だったから。……村の中でうろつき回っていて戦闘しがいのある敵、1体いるだろ? そいつとエンカウントすれば自然とオネが登場……。
ドリス/その子、村の中うろついてません。
GM/……あ、うん、うろついてなかったな(笑) ランダムで小学校以外のマップを移動する予定だったんだけど、ドリスが神社から離れず見張っていたのでその設定が無くなったんだった。
ジーク/今、神社にいるな。
GM/という訳で、『オネを発見するにはギガースと戦って勝利し、そのとき発生する【幸運】判定難易度6に成功すればヒョッコリと王ドザが現れる』のでした。制限時間内にギガースを倒して、ついでにオネも捕獲して、村を脱出してもらうつもりだったんだけど……。
オーウェル/ギガースと戦闘して勝利する、か……。イベントキーがあるから楽勝ではある。……教えてくれたのはありがたい。でも電話先の奴にありがとうとは言いたくない。
ジーク/言わなくていいんじゃない? 「あばよ!」って言って電話を切ったら?
トンプソン/かわりに俺がありがとうって言ってやろっか!?
ユーキ/にゃー。
オーウェル/……電話先の男に言います。なあ、お前……今どこにいる? 何をしている?
GM/「違う研究所で仕事中だよ。住所を言ったって実験動物の君らには判らないことだ。必要な情報でも無いだろう?」
オーウェル/必要な情報だ。……俺の集落を奪ったお前らへ復讐しに行く。そのためには必要な情報だ!
GM/「はぁ……? あ、そろそろ時間だね。ゆっくりお休み。……最初から目覚めなければ苦しまずに逝けただろうにねぇ……」と、ミサイル発射が近いと察せることも言う。
トンプソン/寝てるうちにミサイルどーんで殺したってか! 優しいけどヒデー奴だな!
ユーキ/にゃー。
GM/重要なアーティファクトであるオネは、ミサイルぐらいじゃ死なないから。だから暴れまくってるギガース一斉駆除に出たんだよ。危険だしな。
オーウェル/こいつ……!
ジーク/ミサイルを撃たれても生き残るドザエモンズ強すぎない?(一同笑)
GM/まあ、ドザエモンズだし……(笑) 電話先から「先生、そろそろ仕事に戻ってください……!」と違う人の声がして、それを聞いた男が「うん。じゃあね」ってブツッと電話を切る。切られちゃった。
ユーキ/にゃー。
トンプソン/あちゃー。
オーウェル/さっさとオネを捕まえて村を出るぞ! 復讐はその後だ!
ジーク/オーウェル、クールクールだよー。
GM/さて、神社だけど……そろそろギガースが動き出そう。ドリスによって抑えられていたギガースは、呻き出し、暴れ始める。
ドリス/わわわっ……暴走し始めた!?
GM/暴走するよ。元々暴走して外に出た巨人だからね。暫く大人しくしていたけど、辺りにある物を壊し始める。声は聞こえなくなったっぽい。
サブGM/ドザニコフが「ガウ〜!」ってドリスの前に出て、短い手足で威嚇!
ドリス/かわいい! 頼りになる!(笑)
GM/という訳で、ギガースは問答無用で戦闘を仕掛けてくる! けれど暴れ出す姿をずっと見ていたドリスは、ギガースが動き出すよりも早くに何か行動を取れることにしよう。何かする? それとも戦闘開始でいい?
ドリス/え、えっと……。戦闘したくない……。
GM/このままだとギガースはドリスを攻撃する。命中判定を振るけど、いい?
ドリス/よ、良くない……でもオレ……。
オーウェル/……腹を括るしかないぞ。
トンプソン/1ターンだけ持って。ドリスが攻撃したくなくても、無関係な俺が戦闘を仕掛けて倒すから。
ドリス/そ、そういう手もあるけど……でも……! ≪薬物調合≫します!

 いきなり襲い掛かる敵の前で薬を作り始める図を想像した一同、爆笑。


GM/なんでぇ!?(笑)
ドリス/お、オレ、【HP】が7点しかなかった……即死する……から、回復できる≪鎮静剤≫を作ろうって思って……(笑)
GM/ああ、戦闘する方針になってくれたのね。それなら……今まで何もしなかった訳だし、OKかな?(笑) それよりも先にイベントキーを使用した方が早いけど……。
ドリス/……あ、いや、待って。≪睡眠薬≫を作ります! 対象を眠らせられるやつ!
GM/う、うん……じゃあそれを作れました。ドリスは≪睡眠薬≫をゲットしておいてくれ。
ドリス/残り【HP】が3点になりました。
オーウェル/どんどん自ら窮地に陥ってる!(笑)
GM/では容赦なくドリスに命中判定するよ。(ころころ)えっ、1・1!? ファンブルぅ!?
ジーク/ダイスが空気を読んだー!(笑)
トンプソン/ついにGMもファンブルだー!
オーウェル/ファンブル多すぎやしないか、この卓(笑)
ユーキ/にゃー。
GM/明らかに目の前で逃げる気も無い、攻撃される気満々だったのに……そんなドリスを、ギガースはスカります。スカッ。
ジーク/おっと思いっきりカスったー! きっと巨人はドリスを見逃そうとしてくれているんだよ。良い奴じゃん!
ドリス/ううう、良い人だよぉ、戦いたくないなぁ……。


 ●ミドルフェイズ6/6ターン目

GM/それではみんな判っていると思うけど、ミサイル発射します。ポチッとな。
オーウェル/軽い!(笑)
GM/軽いよ。ヒューンって谷にある誰もいない硲村目掛けてミサイルが飛んでくるよ。では全員どこのマップに行く?
ジーク/全員『7:神社』でいいね? 集合〜!
GM/全員はエルマタドーザが「こっちだぜ〜!」って先導してもらったおかげで鬱蒼とした森の中にある神社にやって来る。もう何年も人が踏み込むことのなかった神社だが、既にギガースが暴れており木々や建物は壊れている。見つけるのは早かっただろう。
オーウェル/ドリス、無事かー!
サブGM/(ドザニコフになって)「ガウゥ〜ン〜!」 (エルマタドーザになって)「ユウストの兄貴〜! 無事だったみたい……だけどそこから離れろ危険だぁ〜!」 (ドザニコフになって)「ふんがぁ〜!」
GM/ドザニコフは逃げようとしないドリスの服を、ぐいーぐいーって引っ張って逃げろーって言ってくれているよ。
ジーク/ドザエモンズが俺んちいるときより役に立ってる!
GM/ジークの家にいるドザエモンズは遊んで食べてるだけじゃん! 今回は役に立ちまくりだよ!(笑) もしここから通常戦闘をするなら、きっと巨人を倒すには5対1でも3ラウンドは掛かってしまうだろう。
トンプソン/そんな時間は掛けてられない! 問答無用で命中判定するぜ!
ユーキ/にゃー。
ジーク/あ、トプさんとユーキにも『タイミング:オート』で『イベントキー:ギガースの解除キー』を渡しておく。これでメジャーアクションでギガースを倒せるようにしておくよ。
トンプソン/サンキュー! という訳で……暴れている巨人を見つけ次第、どわーっと≪殺戮の身体≫で襲うぜ!
ユーキ/にゃー。
GM/了解。ドリスも、いいよね?
ドリス/……戦闘をしなきゃ、オネが来てくれない。なら……みんなをこのまま危ない目に遭わせる訳にもいかない……から……。
GM/トンプソンはギガースに特攻した。固い体なので食らいつくことはできない。だけど、至近に入ることはできた。『イベントキー:ギガースの解除キー』を発動させることができる。

 『イベントキー:ギガースの解除キー』
 タイミング:メジャー  判定:【反射】  射程:至近

 【反射】判定難易度10に成功すると、ギガースを機能を著しく低下させることができる。
 機能低下したギガースは、最大【HP】を5点、【物理防御点】と【霊力防御点】を1点をとする。【HP】を0点にすればギガースは死亡する。


トンプソン/【反射】判定なら任せろ! 5もあるからなら!(ころころ)……おっかしいだろ1・1だ!(一同笑)
GM/おいお前ら嘘ついてるんじゃねぇ……って本当に1・1だ!(笑) 嘘だろおい! 今日だけで何回ファンブル出してるんだよ!? トンプソンは解除キーなんてド忘れしてギガースをガジガジ齧っている!(一同笑)
ジーク/おかしい! 全部失敗しろって言われてる!(笑)
ユーキ/にゃー。(ころころ)13。
GM/その隙を見計らってユーキが成功!(笑)
ユーキ/にゃー。ぽち。
ジーク/トプさんが齧っている最中に別方向からユーキが飛び掛かったのだった! ナイスコンビネーション!(笑)
GM/ユーキだけが安定した出目を出してくれている!(笑) 解除キーのおかげか、暴れ狂っていたギガースの動きが止まる。固かった体は泥が零れ落ちるかのようにボトボトと肉を落としていく。しかしまだ動きは止まらない。再度攻撃を加えなくてはギガースは動き始めるだろう……。
オーウェル/6点以上ダメージを出せばいいんだな? じゃあ俺が……(ころころ)命中14。どうだ?
GM/回避はできない。ダメージロールをどうぞ。
オーウェル/≪片手武器≫のダメージは2D6+7だ。そのまま振って……(ころころ)14点の物理ダメージ。レイピアで……心苦しいが、核となっている部分を貫く!
GM/【HP】が0点になったギガースは死亡する。暴れ狂って神社をメチャクチャ、木々も押し倒していた巨体は……シィーンと大人しくなった。
ドリス/…………。あ、あの……ギガースの中の人に近寄って……≪リバース≫をしてあげたいです。
GM/うん……だけど、戦闘不能じゃなくて死亡だから生き返らせるのは難しい。……でもこんなにドリスは必死に説得してくれたんだ。≪リバース≫を使えば、死ぬ前にギガースの中から助けてあげて、最期に話をできてもいいんじゃないかな。頑張ってくれたもの。
ドリス/ありがとう。じゃあ……動かなくなったギガースに近づいて、【MP】を7点払って≪リバース≫を使用。埋め込まれた人を外へ出してあげます。どんな人ですか?
GM/えーと……特に設定は無かったけど、いかにも魔族って感じの男にしとくよ。大柄で、牙があって、赤い髪で目も異形らしく輝いていて怖そうな男で……。でもドリスに助け出されて、死ぬ寸前だけど少し穏やかな顔をしている。
ジーク/穏やかな顔、してくれるんだ。
ドリス/……ぎゅっと彼を抱きしめてあげます。……ごめんね、何にも出来なくて。でもこんな中にいるよりは、外の方が気持ち良いだろうから……これぐらいしかしてあげられなくてごめん。
オーウェル/…………。ドリスが最期を看取ってあげている間に、俺はすぐ周囲を見渡す!
GM/倒されていない高い木にオレンジ色のたぬきが居たような気がした。【体力】か【反射】判定の難易度10で成功すれば捕らえることができる。
ジーク/はいはーい! まだ何もしてない俺が捕まえるよー!(ころころ)ほら、ファンブルじゃない! 俺はファンブルしないよ! 1・2で達成値6で失敗だけど!
一同/おおおおいいいいい!?(笑)
ドリス/お、オレが捕らえます!(ころころ)ええっ!? 9で失敗! 届かない!
GM/シュタシュタッ。素早い動きの王ドザを捕らえることはできない。……えっと、達成値アップは?
ドリス/≪血の媚薬≫が……ダメ! さっき≪薬物調合≫で【HP】を削っちゃったからコストは払えないから使えない!
トンプソン/あ。
ユーキ/にゃー。
ドリス/……≪逆転運命≫は……≪リバース≫で7点も消費しちゃったから、使えない……。
オーウェル/ええええ……それじゃあ……?
ジーク/……オネを捕まえることができなかった。という訳でオネ捕獲は諦めよう!
トンプソン/次のラウンドで再度挑戦するのは?
ジーク/次にミサイルが飛んで来るんだよ。『6:村外れ』に行って逃げる判定をしなきゃ!
トンプソン/あー! そっかー! じゃあなんだよ、こいつ殺し損じゃねーかー!
ユーキ/にゃー。
ドリス/えええ……えええええ……(←ガチ泣きしてる)
オーウェル/……今日の俺達は失敗続きだったんだ。諦めよう。まずは生きることを優先するぞ……村外れに行こう。
ユーキ/契約。
ジーク/え?
ユーキ/契約。もう一度ルール教えて。
サブGM/はい、『契約の令呪ルール』はまだ未完成ルールですがこちらです。

 『契約の令呪ルール』
 契約とは、超越的な力を持って主従の関係を結ぶ専属契約のことを表わす。
 霊的な力で2人の絆を結ぶことによって魂の力を合わせ、通常では引き出すことのできない力を何倍にも高めることができる。
 令呪を使用すると、ダイスロール+20することができる。令呪を使用しなくても、サーヴァント(従者)は自由意思を持っているがマスター(主人)の命令には基本的には絶対服従となる。意に添わぬ命令を強要させたり、ありとあらゆる行動を絶対に達成させようという意思の操作ができる。


サブGM/2人1組でセットを作って、3回まで命令を下せるようになるよ。この命令は魂を縛りつけるものでどんな世界でも、どんな状況下でも、絶対に従わなくてはいけない。「死ね」と言えば死ななければならないし、お互い許し合った仲じゃないと完全同意ができない儀式で……。
ユーキ/「死ね」が命令できるなら、「生きろ」も命令できる?
ジーク/あ。
トンプソン/おっ。
ユーキ/にゃー。
ドリス/で……できる!? できるならしたい! ≪リバース≫を使ったおかげで最期に話すことができるなら、できるよな!?
GM/あー……(笑)
サブGM/あー……(笑) 凄く良いと思う。このシナリオのGMが許すならぜひとも採用してほしいな!
GM/……もうさ、それ、令呪を使わなくても良くない? ドリスと契約した時点でドリスは「生きろ」って言うよね。そしたら生きようとしてくれるんじゃないかな(←半分投げやり)
ジーク/GM優しい!(笑) じゃあ今すぐ契約しようよ!
ドリス/します!
GM/でも……また暴れまくるかもしれないよ? 被害が出るかも……。
ドリス/それなら……契約して、生かして、その後に1回目の令呪で『人間を襲わないで!』って命令します! それなら暴れようとしても危険じゃないよね!?
GM/あ、なるほど。それは面白い。では……ドリスが魔族の男の手を取る。それだけでいい。男はコクンと頷いて、契約は完了する。死にかけているけどドリスがそれを許さないから生き残ることができたってことで……今日は勘弁してくれ(笑)
ドリス/良かったぁ……もう大丈夫だからね……。
ジーク/さーて! そろそろ本気で逃げるよー! 重いなら俺が抱えてあげるから村外れまで走るよー!


 ●ミドルフェイズ7/7ターン目

 結界が張られた硲村は、村の外へ出ようにも跳ね返されて出られない状態であった。
 しかし一同は、必死の覚悟で駆ける。走りきったのち……誰一人欠けることなく、硲村から脱出成功したのだった。


GM/では、全員が村から出た後……空から「ゴゴゴゴゴ!」と凄まじい音がするのが判る。
ジーク/何だ何だー?
GM/飛行機が迫りくるような音……と思ったと同時に、それは硲村の中へと突撃。地面と接触し、大爆発を起こす。ドカーンと音を立ててその辺りにあった物を全て吹き飛ばす……筈だと思ったが、たった数キロしか離れていない場所にいる君達は爆風を感じなかった。硲村の境に張られた結界が、全爆風を押しとどめたからだ。
トンプソン/すげー。
ユーキ/にゃー。
GM/村の中だけが炎上、全て吹き飛んだ。しかし周囲はミサイルが落ちたことすら気付かず……さっきのゴゴゴという音を聞いた一般人は「きっと飛行機が頭上を通りすぎた音だろう」と思っただけ。
オーウェル/村にあった物を全部証拠隠滅したのか……。
ドリス/凄いことをするなぁ……。
オーウェル/それだけの力を持った連中なんだろ、奴らは。苦々しく村の方を見る。
ユーキ/にゃー。
ジーク/……で、オネを捕まえることができなかったね。オネは爆風ごときじゃ死なないらしいし、村に戻ってもう一回探す?
GM/それはヒックスが止める。「結界で炎が外に出ていないから俺達が平気だったに過ぎない。今の村は灼熱地獄だ。目では結界から中は普通の村々に思えるが、実際中に入ったら焼け死ぬぞ……数ヶ月は入れないだろうな」
ジーク/マジかー。じゃあオネ探索は本当に失敗かー!
GM/「……確かにエルスからの任務は失敗になる。が、エルスのエージェントである俺を助けてくれた。謝礼を出させてほしい。助けてくれてありがとう
ジーク/おおっ、やったー!
ユーキ/にゃー!
ジーク/そうだ、トンプソンとユーキはどうするの? 村は燃えちゃってしばらく入れないって言われちゃったけど。
ユーキ/にゃー?
トンプソン/俺ってどこの獣人だって記憶ある?
GM/んー……全然無い。どっかから連れてこられて、記憶を消されたって設定でいいかな?
トンプソン/オッケー。ということだ、俺達どうしような!
ユーキ/にゃー。
ジーク/うち来る? スウィフトとドザエモンズがいるけど。
トンプソン/行っていいの? 行く行くーっ!
ユーキ/にゃー!
オーウェル/着々と大所帯になっていくな、ジークのアパート……いいかげん家賃払えよ。
ジーク/オーウェルもホテル暮らしじゃなくて俺のアパートに来てもいいんだよ。一緒に住んでもいいよ。家賃を代わりに払ってくれれば。
オーウェル/なんで他人に払わせる気なんだよ!?(笑)
GM/エルスのエージェントを発見、無事救助してくれたということで任務失敗ではあるが報酬は出るようだ。依頼主からは苦い顔をされるだろうが、魔導生命体が暴走してたとかミサイルを撃ち込まれるとか事情を説明すれば判ってくれるに違いない。……トプさんとユーキはジークの家に行くらしいけど、ドリスが助けた魔族はどうする?
ドリス/えっと……オレの家に連れていって匿うでいいかな?
オーウェル/匿うって……匿えるのか?
ドリス/能力者のお父さんと、理解のある双子のきょうだいがいる設定だから。魔族のドレークとも知り合いの人達だよ。だからこっちも事情を説明したら彼を匿ってくれると思う……。
ジーク/そうだな。それにドリスはギガースの中の人と契約した訳だし、主従関係になったと言えば能力者のお父さんも家族が増えたって判ってくれるかも!
オーウェル/いや、いきなり息子が怪我人を家へ連れてきたらビビると思うよ……(笑)
GM/……という訳で、残念ながら任務失敗になっちゃったけどこれにて今日のセッションは終わり! 「トプさん&ユーキと合流する」「新しいドザエモンズを出す」「オーウェルの過去設定を拾う」を目指したシナリオ、これにておしまいにさせてもらいます!
ジーク/次回は気持ちを改めて、成功させるぞー!
一同/お疲れ様でしたー!


 アナザーワールドSRS・リプレイ
  〜 ワンアンドアナザー ・ 第3話「苛烈を極めるコンティニュー・前編」 〜





END


 ――おまけの、マスターシーン。

 炎が上がる硲村。結界という透明な壁一枚を隔てた向こうは平和な廃墟、しかし逆方向は灼熱地獄。
 ……灼炎の中から、ぴょこっと赤い『それ』は現れた。
 ミサイルが上げた火など気にせず、傷一つ無い平然とした顔で現れた小さな二足歩行猫型ロボットのような『それ』は……何の変哲も無くてくてくと歩く。
 しかし、結界からほんの数メートル離れた場所から現れた男に、むんずと掴まれた。

「はーい、発見。俺達と一緒に来てもらうよー」

 小学校を模した研究所の中で、斧を振るっていた男が王ドザの首根っこを掴む。
 ジタバタと逃れようとする王ドザだが、あっという間に抵抗の意思を失くし……ぷらーんとぶら下がったまま。
 ぷらーんぷらーんとぶら下がる王ドザを、血気盛んな槍の男と、冷徹な剣な男は小突く。軽口を叩きながら、3人の男達は村を後にした。

「マーティ。傷の具合は大丈夫? 思いっきり獣人の強化人間に肉を剥がれちゃったけど」
「これが大丈夫に見えるか、バカ。クソ、止血はしたが痕は残りそうだ……あーあ、早く戻ってベッドで寝たいぜ」
「…………ああ、任務は成功した。『邪神』は捕獲したんだ、早く戻るとしよう」


→第4話に続く