アナザーワールドSRS
■ 『 異端・異端犯罪者 辞典 』 ■
2009年9月〜2015年10月まで

※公開リプレイ、未公開リプレイともにラスボスキャラのネタバレあります。




■相庭 脩駕(あいば・しゅうが)
 『アウトレイジ エリア』に登場する異端犯罪者。
 人喰い鬼の魔族。一族はとうの昔に滅び、ごく普通の人間として過ごしていた。十五歳のとき『負の感情』を得たいという異端の本能に目覚める。原始的欲求に抗えなくなった十七歳のとき、病院に侵入し、入院患者十名を殺傷、捕食。この事件は大々的に表の世界に報道され、「十代の少年が起こした猟奇殺人」だと日本中を騒がせた。後に警視庁能力調査課の調べにより「犯人の少年は異端の一族」だと発覚。唐突な情報規制が敷かれることになった。
 『多重霊魂』という稀有な能力者。通常の人間には「一つの器につき、一つの魂が宿るもの」だが、脩駕は生まれつき複数の魂(確認が取れるだけで二十体)を持っていた。一人のキャラクターなのにキャラクターシートを二十枚も所持、一人一人のクラス編成もバラバラで、二十回「とどめを刺す」をしなければキャラロストもしないという、単純な戦闘能力だけならおそらく異端犯罪者至上最強の存在。
 病院での猟奇殺人を犯した人格は、教会の手によって封印された。現在は、十五歳まで主人格として振る舞っていた通称『セルフ脩駕』が異端刑務所で受刑者として過ごしている。セルフ脩駕の性格は少し退廃的ではあるが、読書が好きなマイペースな少年なので更正の余地は充分あるとされている。
 教会が封印したのは危険性のある人格のみ。他人格の多くは自分が多重人格者であることを知らずに過ごしており、自身が多重霊魂であると知っているのはセルフ脩駕のみ。セルフ脩駕以外には、「品行方正で弁護士になりたがっている性格」や、「朗らかで兄貴分な性格」、「赤子の性格」など様々存在している。


■明日田 アキ子(あすだ・あきこ)
 『狂気の使者は我にくる』に登場する異端。
 愛称は「アッコ様」。明桜建設の女社長。半世紀近く生きている筈だが非常に若々しい外見をしており、数々の番組に出るほどの美魔女。目が細く、いつも豪華な着物を着ている。
 悪狐(あっこ)。かつて『機関』の最高責任者・狭山にペットとして飼われていた獣。『機関』の遺志を継ぎ、邪神復活のため百人近くの人間をお得意の幻術で誘拐し、儀式の贄へと捧げる。


■アポクリズモス
 『アポクリズモス ピリア』に登場する異端。名の意味はギリシャ語で「封鎖・封じ込め」。セッションの元ネタがアドベンチャーゲーム『鎖』であることからこの名が付けられた。
 海上の船を乗っ取る異端。普段は海の底に生息しており、近づいてきた船に乗り込んで、物理的に人間を食らう。形状は巨大なクラゲのような半透明の体をしており、中に五つの赤い目(一見、掌サイズの赤い石)を持つ。その五つの赤目が脳のようなもので、一つ潰されるたびに能力が激減する。
 海上の逃げ場の無い閉鎖空間で混乱し、恐怖する人間達を追い詰め、食らっていく。船の中に異端を倒せる能力者がいない限り、助けが来ない海上ではまず助かることはない。その凶悪さから長年討伐することができずにいたため、恐ろしいレベルにまで成長しきっていた。


■アミバ
 入れなきゃいけない気がした。


■アリス=ブロッサムズ
 『ワンダフルワールド』に登場する異端犯罪者。
 イギリス出身の魔術師の少女。教会が各国から招いた交換留学生。一見どこにでもいるような、ごく普通の金髪の女の子。
 イギリスの某田舎町で生まれたアリスは、両親が黒髪黒眼にも関わらず銀髪、右目は緑色、左目は紫色というちぐはぐな《六色の光》の持ち主だった。その外見から村中から忌み嫌われてしまう(現在は、魔術で姿を変えている)。
 「肉体から魂を引き抜く(どんなに【HP】が残っていても「タイミング:オートでとどめを刺す)」という特殊能力を有している。あまりにも凶悪な異能を持ち、村から悪魔として畏れられていたが、その能力を見込んだ魔術の一族ブロッサムズ家に養女として迎えられる。ブロッサムズ家もアリスを魔術の後継者に仕立てあげるのではなく、「魂を引き抜く」という異能を我が物にするために引き取った。
 ブロッサムズ家は「魂の研究」の先駆者である仏田家(『機関』の管理者)と交流があり、実験体としてアリスを日本に送り込んだ。その矢先に『機関解体事件』が発生。ブロッサムズ家にも捜査が及び、被害者とされたアリスは保護される。帰るブロッサムズ家は失ったアリスは、田舎にも戻りたくないため表向きごく普通の留学生として日本に滞在することになった。
 その後は友人と共に平和な日々をエージェントとして過ごしていたが、N市に出没した吸血鬼討伐事件後でとある少女を救うために人間に手をかけてしまう。死者は幸い出なかったが、それでも彼女は異端刑務所にて囚人生活を送ることになってしまった。


■イースの大いなる種族
 『越境ソドム』『春を呼ぶ円環』『人外夜会・ロストワールド』に名前だけ登場する異端。
 イースの偉大なる種族、イス人とも呼ばれる精神寄生体。人類以前に繁栄した種族。様々な時代や種族の肉体に、時間を越えて寄生する。
 知的好奇心を満たすために様々な時代に出現し、世界の知識を無遠慮に集める習性がある。
 多くの時代に文明を凌駕する「落とし物」をしており、イス人の技術の結晶体(ビーズのような小さな物体だったり一冊の本だったり)を持つ者は、龍の聖剣のような時間跳躍が可能となる。


■器守 大山(うつわもり・おおやま)
 『エンジェルダスト』『悔いなきセレクシオン』に登場する異端犯罪者。
 超人類能力開発研究所『機関』の上層部である男性。機関本部のメンバーとして、最高責任者・狭山をサポートしていた。狭山とは腹違いの兄弟である。
 いつもニコニコと笑みを絶やさない、冗談好きな明るいおじさん。争いごとを好まない穏やかな性格で、子供と目線を合わせて話をする。情に厚く、ちょっと気弱で格下に見られやすい。それでも魔術師の腕は一流で、令呪研究のエキスパート。「本人の意志が無ければできない契約を、洗脳状態でも可能にする研究」を長年続けてきた。「人類皆奴隷計画」なんてセンスが無いが判りやすく、えげつない研究を大真面目にしていた人。
 魔術の研究や異能力が好きというより、能力者というもの自体が好きで、「能力者をペットとして可愛がりたい」という嗜好の持ち主。研究とは別に、捕らえた能力者を愛玩用に開発・教育・調教する商売にも手を出していた。むしろ令呪研究よりも、能力者売買と調教の方が本業とも言われるほど精を出していた。
 調教する相手は老若男女問わないが、大山の個人的な趣味で「成人してない人外幼女(エルフ幼女とかネコミミ幼女とか最高。天使とかマジ天使)を清いまま教育する」のが一番だったとか。へ、ヘンタイだー!


■梅園 のぞみ(うめぞの・のぞみ)
 『ドロリア ホロアタ』に登場する英霊。
 キャスターとして召喚された英霊。真名は「聖杯のカケラ」。「梅園のぞみ」という偽名は同じキャスターとして現界している少年「櫻庭祐希」をもじって名乗っている。
 彼女を召喚したマスターは、「星の聖杯」。聖杯が中断されてしまった聖杯戦争を再開させるために送り込んだスパイのようなもの。平和な日常を過ごしてやがる英霊やマスター達のもとで事件を起こさせる(親しい人を殺す、戦いの火種を撒く)ことで、聖杯戦争を再度動かそうと画策していた。
 スパイ少女というとクールで格好良かったり腹黒美女だったりするものだが、残念なことに何を間違ったか一人称は「あっし」。語尾は「ヤンス」、笑い方は「イーッヒッヒッヒ!」という史上稀に見る残念系女子。元は「甲斐甲斐しく誰にでも好かれそうな可憐な敬語の女の子」だったが、付いたアダ名は「ベネッ子」。
 光の角度で緑色にも見える美しい髪と豊満なボディの持ち主なのだが、犬耳と犬シッポが生えているように見える。クールとは一体。逆に愛せる敵キャラになって良かった。


■エアガイツ
 『ダブルダウン』に登場する異端。
 教会によって「エアガイツ」というコードネームが付けられているが、その実態は一体の異端ではなく、二人組の少年。ライオンのような獣に変身する狂戦士と、そのマスターである領域遣いの少年が二人一組で活動している。
 二人とも本名不明。本人達も忘れてしまった。獣の方は「空」と名乗り、それを操る術師の方は「大地」と名乗っている。
 いずれも『機関』が「異端狩り」という名目で行なった能力者狩り(罪の無い能力者一家や稀人の村落を襲い、拉致していた)によって囚われた子供達で、異能開発研究に使われていた被験者。来る日も戦闘訓練という拷問の日々を送り、人間に不信感を抱いている。『機関解体事件』後に孤児院に引き取られたが、そこでの生活も人間に対する恐怖から馴染めず、二人で逃亡。各地で「年若い少年少女達を惑わせる事件」を起こしては逃亡する生活を送っていた。
 人間達から拷問を受けたことへの復讐心や、魔族である本能から人間を殺そうとしていたが、内心では「人間と一緒に生きたい」「一緒に暮らしてくれる子達と友達になりたい」「もう傷付けたくない」と苦悩していた。だが誰も苦しめたくないという優しい心に苛まれながらも、「食事をしたい」という本能から凶行を止められずにいた。
 幻術で普通の少年少女達の中に入り込み、学校を内部から破壊していき、クラス全体が精神を病むほどの『負の感情』を得たらまた別の学校へ移っていく。本来なら物理的な食事(肉食)をした方が満足できるのだが、死者を出せずにいるところが二人の葛藤がよく表れていた。


■エボラ出血熱
 『人外夜会・死者のストンプ』『嵐のメロディ』に登場する英霊。
 病原菌がライダー(またはバーサーカー)として人型で現界した英霊。外見は身長2メートル近い黒人男性(スーダン人)。何故か原色テカテカヤクザスーツに身を包み、広島弁で話す。
 同じ病原菌の異端であるインフルエンザ菌からは「エボラ先輩」と呼ばれ畏れられ、いや、慕われている。とはいえ初めてエボラ出血熱が現れたのは、1976年。未だ数十年しか生きていないが、何故「先輩」と言われてるかというと四年に一度だか四十年に一度だかに開催される「天下一ウイルス武道会」で致死率90%の圧倒的殺傷力で優勝してしまったから。以後、ウイルス界では喧嘩を売ってはいけないヤベェ超大型新人として知られるようになった。
 何故か広島弁を喋るヤクザ風貌でも性格は武人の中の武人で、正々堂々とした暴力が好き。回りくどい戦術(感染方法)ではなく、光速で腹部を攻撃して鼻血を噴出させるという潔い必中必殺を繰り出す。冷酷ではあるが、殺人快楽者ではない。礼儀正しい相手には礼節を守り、外道はたとえ格上であれど粉砕する。
 異端犯罪者・乱橋 譲二に「人殺しに特化した英霊」として召喚された。だが本来の召喚方法ではないイレギュラー召喚だったため「お天道様の下によう立てるのぉ、世の中にゃぁやり方っちゅうもんがあるじゃろう!」と大変ご立腹な様子。道を外れたマスターと判った途端、頭を引っ掴んで壁に叩きつけるぐらい男気溢れるナイスガイ。
 謹厳実直だろうが「人類が発見した最も危険なウイルス」であることは変わりなく、「生き物を殺すことに特化して生まれた」本能に則って生きている。正々堂々殺す! 慈悲は無い! マジエボラパイセンパネェ偉大ッス!


■奥田 直人(おくだ・なおと)
 『ビクティムガール』に登場する異端犯罪者。
 魔術結社『第弐基関』の一員。第弐基関は元々『機関』から派生した一派だったが、『機関解体事件』後でも少数人で活動を続けてきた。世界遣いの研究をメインに行なっている。
 若干十四歳にして、魔道具開発の天才少年。芸術の才能に溢れ、それだけなく魔術理論をいち早く頭に叩き込んでしまった彼は次第に「世界を救うための物を作りたい」と考えるようになり、世界遣いの研究に力を入れていた第弐基関に入門。そこで「《世界創造》をアイテム化」させてしまったクロウリー=バルトフェルトによる奇跡の研究をもとに、「何でも願いを叶えるものにする=器に神を下ろすことができる魔道具《クェでむ》」を生み出した。
 異端を生む『欺く神』の魂を、誰でも殺せる「貧弱な少女」達に下ろし、少女のうちに殺せばあっという間に『欺く神』が殺せるという作戦は大成功。確かに『欺く神』は簡単に殺せた。だがそれは、十体の神を殺すためには十人の罪の無い少女を殺すという手段でもあった。
 直人の過去は特別不幸な境遇であった訳でもない。「異端が蔓延る世界が許せない」という正義感を抱いたただの少年であり、「異端がいつか自分の好きな女の子に牙を向くのではないか、そんな世界を変えたい」と思っていただけだった。世界を救うためには犠牲は必要という研究者のエゴを貫き、少女達の体に邪神を下ろしていく。……自分の好きな女の子が神の器になってしまったことも知らず。


■上門 狭山(かみかど・さやま)
 『悔いなきセレクシオン』『さわれぬ神 憂う世界』に登場する異端犯罪者。
 超人類能力開発研究所『機関』の最高責任者。全ての部に口出しできるトップ。
 血は薄いが、堕天した『欺く神』の末裔。「神の血を引く選ばれし者達は世界を導く使命がある。我らが神を今世に降臨させ、全人類を救済する」という崇高なる意志のもと、裏社会を牛耳っていた。
 綺麗な言葉を並べながら悪行を重ねてきた人物だが、恐ろしいのは彼が心の奥から「人類の救済」を願っていたということ。「邪神召喚による世界の白紙化」のために一生を捧げており、曇りのない《絶対の自信》を目の当たりにしてしまうと否定的だった人でも「アッハイ」としか言えなくなるほど。真面目で真っ直ぐ、誠実な性格であり、敵対する人物には容赦なく、かつての身内であれど鉄拳制裁も辞さない人物であった。
 能力者としては最強、研究者としても天才的、経営者としてもこれ以上とない先見の目の持ち主だったが、『欺く神』への盲信ぷりが全てをあらぬ方向へと持っていってしまった。機関解体事件後に教会によって拘束され、処刑されたらしい。その際に「いずれ我らが神は復活する」など多くの呪いの言葉を残したとも言われている。
 1ラウンドに8回攻撃という、なんかもうそういうのやめてくれませんかねってぐらいダイスを振るう戦闘マシーン。体育会系みたいな顔してるけどさ、ウソみたいだろ、文系なんだぜ、それで……。
 ちなみに、何人もの妻の間に子供を残している。妻の一人に「高坂」という姓の女性もいたりなんなり。


■神々の装具
 『アナザーワールドSRS』全体に出てくる超越的存在のこと。『正なる神』と『欺く神』の部下や手足にあたる者達のことを指す。
 異端ではないが、「正五神」や「邪神八柱」が掲載されているのでついでに載せる用語。
 それぞれに本名があるのだが、通り名として「神様の装身具名」が与えられている。
 金髪ツインテールゴスロリ六歳幼女には、正なる神エーデンアイデインの「龍の聖剣」。
 金髪碧眼美青年フリーランス営業マンには、正なる神ルージュイルの「空の魔剣」。
 後に「悟陀様」と呼ばれる土地神様には、正なる神エーデンアイデインの「黒曜の羽衣」
 聖杯戦争に使用された究極の願望器には、正なる神アズラエンの「星の聖杯」。
 金銀の刃を振り回す殺戮天使には、欺く神ドースンマナンデイの「金色の大太刀」
 最近巷で話題の悪魔っ娘には、欺く神タイマストトバールの「蠱毒色の魔鏡」。
 「○○の○○」という神様達が身に着けている何かの名前を与えられた彼らは、世界に住む者達と直接接触することができ、神様の力を半分以下の出力だが使用できる。本来神様は世界の創造物と直接交流できないが(やると世界が壊れてしまう)、『神々の装具』達は世界に介入することができる。
 大抵の神々は『神々の装具』達を使おうとするが、神自ら出力を落として『神々の装具』になることで直接世界に介入することも可能。この行為を「堕天」と言う。
 『ハルスの悲鳴』の悟陀様こと「黒曜の羽衣」も元はこのケースで、彼女は正なる神だったが興味本位で世界に降り立ったら神様の世界より居心地が良かったので、正なる神エーデンアイデインに頼み込んで装具にしてもらい、余生を人間達と過ごすことに決めた物好きである。「金色の大太刀」「蠱毒色の魔鏡」も同じケースで装具にしてもらって堕天した例だが、『バッドルイド』に登場する新伝 小陰とヤミイロは堕天していてもそのうち神様の世界に帰る気でいるので装身具名は無い。



■キヴァタテオ
 『人外夜会・ザ・ムービー』に登場する異端。
 魔王に仕える一魔族の女性。アステカ民族に伝わる吸血魔女。子供を好んで吸う。
 「もっとも手っ取り早く世界を滅ぼす方法は、魔王が本気を出せばいい」という考えのもと、日本の教会で禁書研究やらPC達への資料作りをしている魔王のもとへ「本気を出してください!」と言いに訪れた。だが、その魔王に「私には他にやることがある(ぶっちゃけめんどい)」と世界を滅ぼすことを断られる。別れ際に「君もせっかく日本に来たんだから、ここの人達に良くしていけばいい」と提案(という名の、令呪じみた命令)をされたので、自らN市にいる者を「良くする(自分に素直な性格にさせる、快楽に走らせる)」結界を張った。
 SM嬢のようなきわどいボンテージ服に、黒光りするマントを羽織ったセクシーな女性。妖艶で凄まじい魔女オーラを放ってはいるが、わりと振り回され上手な苦労性。


■キノトグリス
 『悔いなきセレクシオン』に登場する英霊。
 毒を操る少年。黒髪和装の十歳前後の容貌をしており、半身が紫に変色して焼け爛れている。
 とある魔術結社で生まれた毒使いの男と、クトゥルフ神話の神性をミックスして創られたデミサーヴァント。
 キノトグリスとは、「形なき神」「変成と混沌の神」「腐敗の神」「あらゆる物を変化させる者」などと呼ばれる謎の神。「キノトグリスという名前の、毒を司る神に関係する魔道具」だけが世界に残されているという、詳細不明の存在。
 毒使いの男を召喚する際に、無名の魔術師を召喚することが難しかったため彼の魂と比較的似た能力の英霊を触媒にすることになった。そのときに選ばれたのがこのキノトグリスというだけで、実際キノトグリスがどんなものなのかはまだ判明していない。しかし青年の名前を隠すため、通り名で「英霊キノトグリス」を呼ばれるようになっている。


■クリスマスツリー
 『ウズマキ美化委員会』に登場する異端。
 駅前に飾られた大きなクリスマスツリーに、「リア充爆発しろ!」と嘆き叫ぶモテない人間の怨念が憑りついて自立歩行を始め、ついにはクリスマス滅亡運動を始めた悪しき存在。
 必殺技は、「世界滅亡ビーム」。効果は、「命中を外すと世界が滅亡する」。なので、対象は絶対に自ら当たりに行かないとならない。もしビームが命中対象から外れてしまったら世界が滅亡してしまうからだ。ちなみに当たってもちょっと不快なぐらいで死なない。なんて無意味な嫌がらせ攻撃だ。


■クロウリー=バルトフェルト
 『ギフト メモリーホール』に登場する異端犯罪者。
 好き勝手に魔術や異端の研究をしているおじいちゃん魔術師。《魔法のローブ》を着て三角ハットを被り、杖を持っている典型的な魔法使い。陽気でフレンドリーなお茶目ジジイだが、浸蝕者というスライム異端を創造してしまったり、《世界創造》を確実に成功させる魔道具を発明してしまったりと、わりとヤバい研究をポコポコ生み出している。しかも趣味で。
 ちゃんとした組織にいて、厳格な態度で研究していたなら凄い人だと信用されていただろうが、亀仙人チックにファンキーな生き方をしていたため、死後に遺族が、彼が造った魔道具を「ちょっと綺麗な宝石やアクセサリー」としてヤフオクなどで大量に売っぱらってしまった。世紀を揺るがす研究資料や世にも珍しい禁書もブックオフや廃品回収に渡してしまったとのこと。生前は普通の魔法使いじいちゃんだったが、死んだ後にとんでもない事件ばかりを引き起こしているという、まごうことなき異端犯罪者。


■ゲータッティング
『マッドネス リターンズ』に登場する異端。
 姿形の無い精神体の異端。実態化するときは対象の記憶を読み取り、「自分にとって一番恐ろしいもの」に化けて現れる。
 知覚されればされるほど強くなる化け物。自分のことを知る人物が多くなればなるほど能力が増していくという特殊な力を所有している。餌としてターゲットにされた人物の周囲を傷つけていき、「周囲で不幸が起きている」と気付いた頃に精神的に疲労したターゲットの前に「恐怖の化身」として現れ、食らう。集団で倒すことができないという厄介な異端。


■剣菱 一本松(けんびし・いっぽんまつ)
 『灼炎の鬼神』『悔いなきセレクシオン』『さわれぬ神 憂う世界』に登場する異端犯罪者。
 戦士として数々の戦場を渡り歩いた異端狩りのプロであり、『機関』所属の処刑人。無数の剣、巨大な斧、多種多様の銃など、武器であればなんでも使いこなす。
 生まれながら優秀な異能を持ち主で、若い頃は「自分が持つ力を無駄にしないために」と異端との戦いに明け暮れていた。命令があれば各地に飛んで化け物を狩り続けてきたが、のちに指導者として年若い者達に技術を教え込むようになる。年月を重ねても変わらぬ戦闘能力は「彼と共に戦場に出れば生きて帰れる」とまで言われるほど。命令に忠実に従い、黙々と確かな技術を後世に伝えていく姿勢は、多くの者達に慕われていた。
 生粋のサディスト。実は生まれ持っての破壊衝動や、内秘める殺戮願望を異端にぶつけていたに過ぎない、闇の衝動の持ち主。自分が誤った感情を抱いていることを少年時代から気づいていた一本松は、過ちを起こさないために自らを戦場に置き続けた。異端を殺し続けなければ、いずれ人間を殺してしまうと予知しながら。
 四十歳を過ぎてから最前線に立てなくなってきた彼は、「無限に殺戮が行なえる舞台を作れないものか」と考え始め、ついには『欺く神』に触れ、この世界ゼフィロスの仕組みを知ってしまう。「閉鎖空間での殺人事件が起きる世界をループできれば、一生自分は満たされる」ということを考え付いた彼は、ついに無限の殺戮世界を完成させる道へと歩み出してしまった。
 無愛想で冷淡な男性。部下には饒舌。食いしん坊キャラで、カレーが好き。カニバリストなので、好きなカレーの具は人肉。


■悟陀(ごだ)
 『ハルスの悲鳴』に登場する正なる神。
 神々の装具名は「黒曜の羽衣」。古徒海村に舞い降りた正なる神。
 時は空前のボランティアブーム、夏休みの大学生が海外に奉仕活動に行くように神様も「下界で生き物達と触れ合おう!」が流行。正しい神であった悟陀は、江戸時代の古徒海村に降り立つ。そこで見たのは、険しい山と豊かではない海の猛威に震えながらも他で生きることができない貧しい村人達が、勇ましく前向きに生きている姿だった。
 えらく感動した悟陀は、同僚である正なる神エーデンアイデインに頼み、自分を下位存在にしてもらって「黒曜の羽衣」の名を貰う。そして改めて古徒海村に下り立ち、村民達と共に生きることを選んだ。ボランティアで訪れた発展途上国の魅力に取りつかれた女がそこで復興アドバイザーとして活動し始めたようなもの。
 村人達にしたことは非常にシンプルで、村人達と交わり、高い身体能力を与えるぐらいである。悟陀と交わって生まれた子供達は【体力基本値】が総じて30以上あるようなパワータイプになり、とにかく生命力溢れる子供達によって田は耕やされていった。単純に強くなっていった子供達は何でもできるようになり、神童がポコポコ生まれるようになったのだから、悟陀は村で大事にされた。
 女性の形はしているものの、交尾の際は本来の姿である毛むくじゃらのイソグンチャクのような形に戻り、人間を飲み込み、相手を即日受胎させる。まだ子供の産めそうにない幼女でも、たとえ男体であっても受胎させることが可能。むしろ「力のある子の方がいい」という単純な理由で、体力自慢の男の方が母胎に選ばれることが多かった。
 だが、二千年を過ぎた頃に悟陀にも寿命が訪れる。姿形は変わらなくても年老いた悟陀は、徘徊老人のようにうろついたり、無意識に力を行使してしまうような痴呆患者となってしまった。数百年間「誰かのため」という純粋な心で人間に奉仕してきた神だったが、相手を選ばず異能を振るう姿は異端となんら変わりなくなっていった。


■蠱毒色の魔鏡(こどくいろのまきょう)
 『さわれぬ神 憂う世界』に登場する欺く神。
 バルムンク。赤髪紫眼の女性。愛と欲望の神である欺く神・タイマストトバールの眷属。妖艶な雰囲気を漂わせる魔女。
 ウズマキを舞台にドンパチしていた「スーパー神様大戦」で敗北し、ウズマキの中で体がバラバラになったところ、毒の炎がウズマキの壁をも突破し、世界に隕石として降り注ぐ形になった。西暦を迎えた世界各国に堕天した魔鏡は、バラバラだった体でも次第に周囲の魔力を吸収、人間の女性の姿となって各地で悪事を働き始めた。歴史上にたびたび現れる有名な「悪女」は彼女か、彼女の恩恵を受けた魔女達であろう。
 恋多き女性、というか愛され上手。世界各国色んな権力者の寵愛を受けている。ただし、男運は無い。


■金色の大太刀(こんじきのおおたち)
 『さわれぬ神 憂う世界』に登場する欺く神。
 金髪碧眼の女性。豊満なボディと、少女らしく愛らしい言動が印象的な聖女。人間に慣れきって堕落した猫のような人。「あらあらまあまあ」とほっぺたに掌を添えるのが似合う美女。
 よく多くの人が素直に、享楽的に生きたらいいという親切心で人を誘惑する。人が落ちぶれていったり苦しんでいくのが好きな異端や『欺く神』達とは違い、純粋に正直な生き方をしている人達をサポートしたいという優しい慈母心から異端堕ちさせてくれる。なので誘惑する言葉はまるで天使のよう。「○○したいよママー!」と甘えて口を開ける坊や達には可能な限り無償で力を授けてくれる、まさに神キター。
 同じ『欺く神』である「蠱毒色の魔鏡」とは非常に仲が良い。というかお姉さまと妹な百合関係である。仲良くなった所以は……「蠱毒色」と「金色」だからきっと出席番号が隣同士だったとかそんなんだ。
 「龍の聖剣」と、「空の魔剣」の母。


■サークルビショップ
 『サークルビショップ テラー』に登場する異端。
 「領域を統治する者」を意味する異端。「閉鎖空間の主」という概念を擬態化した異端であり、風貌はその空間によって最も適切な形に変化する。幽霊屋敷が舞台ならシーツおばけ、吸血鬼城が舞台なら黒マントの吸血鬼のように。
 舞台を「クローズドサークル」に変え、ゲームと化した世界のクリアー条件を満たさなければ決して出さないという領域を生み出すという特殊能力を有している。物理的にサークルビショップ本体を叩いても領域は消滅せず、サークルビショップが課した謎を解いたり、特定の鍵を開けたりしなければサークルビショップが創り出した世界から脱出することができなくなる。そのかわり、クリアー条件を満たしてしまえば弱体化させることが可能。
 人々を閉じこめて理不尽な恐怖を味合わせ、謎に翻弄されて苦しむ『負の感情』を主食としている。その場に応じた変身能力を有しているが、本体は顔の無い黒い影。物凄く速い動きをするので、弱体化させない限り捕まえることができない。


■榊原 始(さかきばら・はじめ)
 『狂気の使者は我にくる』に登場する異端犯罪者。そして異端の被害者。
 ごく普通の一般人だったが、能力者開発を行なっていた『機関』の異端集団に捕らえられ、脳に直接異能の知識を植え付けられて能力者に開発される。そして令呪によって縛られ、無理矢理に『欺く神』召喚の儀式を行なわされることになった。開発の際に焼け爛れた体をガスマスクやコートで覆い、苦痛を噛み殺しながら地獄のような世界を終わらせるため、暗躍する。


■シザーブレイン
『デイズ フォールエス』に登場する異端。
 人から人へと乗り移り、洗脳した人間の体を使って猟奇殺人を行なう精神体の異端。
 シザーブレインに体の中へ入られた人間は、二十四時間休まず「コロセコロセコロセコロセ」という引っ切り無しの殺人コールを聞かされ、【意志】判定に失敗すると、身近にあった刃物で人体を切り裂きたくなってしまう。
 殺人をすることで相手が苦痛に歪んでいく快感と、勝手に体を操られる宿主の苦痛の快感という二つの『負の感情』を主食としている。肉体の無い異端なので霊力ダメージで精神体を弱らせるか、器になっている体を殺すしか対処するすべが無い。


■渋谷 速見(しぶや・はやみ)
 『ラブアゲイン シンドローム』に登場する異端犯罪者。
 教会のエージェントとして人々を守るために活動していた女性。学生時代から能力者として異端と戦っていた。本名を知る者は一部で、最近は「ハヤミ」と下の名前で呼ばれることが多い。古参のエージェントであり、かつてはコードネーム(現総支配人になる前の教会では、エージェントはコードネームで呼び合う習慣があった)で名が通っていた。ちなみに、当時のコードネームは「グラース」。
 「自分には異端と戦う力があるから」と教会に協力する真っ当なエージェントだったが、実妹の渋谷 千速が魔族の少女・矢島 祭の感応力によって植物人間にされてしまう。祭は無意識のうちに異能を使ってしまったのだが、それでも妹は三年が経っても目覚める気配が無い。妹を看病していた速見は、犯人である祭に償いをさせたいと考えるようになっていった。
 三年後のある日、祭に接触した速見は「貴方なら《贄の儀式》で《世界創造》ができる。犠牲者を出せば何でも願いが叶えられる」と教えた。罪の意識があった祭は「千速を蘇らせる」という願いを叶えるために人々を襲い始める。こうして速見は不慮の事故を起こした祭を異端犯罪者に仕立て上げた。もし願いが叶って妹が救われれば万々歳、また、異端犯罪者となった祭を正式な手筈で処刑できると考えた。
 平和な暮らしを送る女の子を陥れる計画を考えてしまった速見は、彼女なりに苦悩はしただろう。だが、少女時代から異端を倒してきた身として「人を不幸にした祭を処罰したい」という想いと、「大事な妹を救いたい」という心に理性は勝てはしなかった。


■灼炎の鬼神(しゃくえんのきじん)
 『人外夜会シリーズ』『灼炎の鬼神』『さわれぬ神 憂う世界』に登場する異端。
 アクセン=ロズワルド=アウル=アルトザパリェア。魔王。赤い髪のルーマニア人。ありのままを話すと「いつの間にか異端の王になっていた」。何を言ってるかわからねーと思うが、いやほんとなんでこうなった。
 実の祖母が欺く神「蠱毒色の魔鏡」。祖父はルーマニアで有名な吸血種の真祖。神からたった三代しか離れていない直系の長男。
 《魅了の魔眼》の亜種《タイマストトバールの魔眼》という、セットアッププロセスに範囲攻撃で【MP】を80点ほど減らす特技や、異端を無条件降伏させる《器の支配・改》など特殊な能力を所有している。吸血種ではあるが太陽の下でも活動でき、血を吸わなくても生きていける。ただ「十四歳処女は極上」と言うあたりそれなりに吸血はしてるっぽい。
 『欺く神』の末裔として異端達からは「魔王」だと期待の眼差しを向けられていたが、無感情かつマイペースに五百年ほどルーマニアにある森の古城で眠っていた。しかし、数年前に『機関』によって襲撃を受けてしまう。
 襲撃され負傷した彼を、とある人間が献身的に救おうとしてくれた。傷つき混乱する中で無償の優しさを味わい、「そのような聖人になりたい」と心から感動、その人間と共に歩んでいこうとする。だが、その人物も人間の手によって殺されてしまう。
 もう二度と微笑んでくれない死体を持ち帰り、大切に保管した彼は、「いつか蘇らせてみせる」と決意。そのために世界中の禁書をかき集め、使命そっちのけで日々研究を進めている。教会上層部・ときわがその力を見込んで「資料作成に協力してくれるなら、教会で保管している禁書を見せよう」と取引したため、協力者として教会に身を置いている。
 愛した人間を生き返らせるためなら、たとえ人類が滅亡したとしても、全異端が消滅しても、世界が破壊されることも、何も躊躇は無い。
 ……というのが、「灼炎の鬼神」の前提。世界線が違うと彼は動きを大きく変える。どの彼が出てくるかは、そのときの世界によって様々。
 1/人間としての世界
 吸血鬼ではあるが正体を隠しながら、一般人の文系学生(日本の古文書=禁書を読みにきたという名目で)として過ごしている。
 2/異端としての世界
 研究のために、表沙汰にならない程度に人間を使って禁書に記された儀式の実験を繰り返している異端。話しかけられた人は知らずうちに実験体にされることもしばしば。
 3/魔王としての世界
 荒廃した世界『ロストワールド』で「魔王」と呼ばれるもの。異端を率いて人を襲い、捕まえた人間を贄に研究や実験を堂々と行なっている。
 燃えるような真っ赤な髪と、炎を操ることから「灼炎の」という二つ名を付けられた。
 あまり血筋やらトップやら異端の本能やらには興味は無く、本人的にはマイペースに読書をしていたい性分。なので「人間としての世界」が彼自身一番求めている形と言える。



■邪神八柱(じゃしんはっちゅう)
 『ワンアンドアナザー』『狂気の使者は我にあり』などに登場する欺く神。
 邪神と呼ばれる代表的な八つの存在。正なる神『正五神』と対立し、異端を生み続けている。
1/ドーマサキエル
 銀髪紫眼。時空、時間、宇宙を司る邪神。
 巨大な一振りの剣。電波。
2/ツヴァイククウオウタア
 紫髪緑眼。闘争、力、文明開化を司る邪神。
 竜王。ダンディ。
3/トゥルウスタリアルウス
 緑髪緑眼。治癒、安息、安らぎを司る邪神。
 夢魔。修造。
4/ユウメイイスタディオ
 橙髪金眼。光、生命を司る邪神。鳥。鬼畜生。
5/ユウストタディアス
 銀髪赤眼。闇、死を司る邪神。死神。ふえぇ。
6/ドースンマナンデイ
 金髪碧眼。自然、知識、知恵を司る邪神。
 ヴァリガルマンダ。メリケン。
7/タイマストトバール
 赤髪赤眼。愛、希望、欲望を司る邪神。
 大蛇。お笑い担当。
8/ジェリドカティ
 緑髪橙眼。公平、裁判、虚無を司る邪神。
 審判官。毒舌ショタ。
 余談。『正五神』と呼ばれる女神達(アズラエン、ルージュイル、ブリギッドブリード、エーデンアイデイン、ティニイチールスの五柱)と八人の男性がゲーム盤を取り囲んで世界をあーだこーだしていて、それを見守る「マスター」と呼ばれる創造神がいるのが『AW』の世界ゼフィロスの構図である。


■蛇紋の血鎗(じゃもんのちそう)
 『ミズガルズの聖女達』に登場する異端。
 欺く神・タイマストトバールの『神々の装具』。


■書道アーティスト
 本名不明。『狂気の使者は我にくる』に登場する異端犯罪者。
 元は、純粋に書道家を夢見て上京してきたアーティストの若者。鼻血アートを発表中。
 夢に破れ、自暴自棄になり、更なる芸術を求めるあまり血液を使ったアートを始める。血を使った芸術など認められることもなく、誰にも理解されず、というか何の血を使ってるか知らないけど迷惑だし危ないし放っておけないのでとりあえず刑務所に入れられている。そして無意味に脱走しては騒ぎを起こしている。
 狂気の芸術家。まさに『狂気卓』に相応しいキャラクターである……ってGMが把握していないところで暴れるんじゃない。


■浸蝕者(しんしょくしゃ)
 『ギフト メモリーホール』に登場する異端。
 魔術師クロウリーが開発した人工生命体。毒を操るスライム状の異端。酸を吐き出して攻撃を行なう。移動すると通った後が焼け爛れるなど、攻撃性が高い。分裂することで一度に三体まで行動することができる。ただし分裂した個体は、元の能力よる数段劣る性能になる。
 性格は「強くなるため強者を取り込もうとする」という単純なものだが、人の目を避けて効率的に回復をする、より良いレベルアップ手段を確保など、人間的な狡猾さ備えている。
 クロウリーによって造られ、育てられていたが「クロウリーを食べれば経験値になるんじゃね?」と気付き、隙をついてクロウリーを捕食。それによってスライムにしては高度な知能と、人間的な思考を手に入れた。人間を多く取り込むことで器用に動く二足歩行を、獣を取り込むことで素早く動く感覚を入手するなど、学習能力が凄まじいスライム。


■スコット=バートン
 『アナザーイブウィークス』に登場する異端犯罪者。
 イギリス出身の魔術師。ホムンクルス研究に長けた魔術師としてそこそこ有名。より高性能な魔導生命体を生み出すため、感情を食べて成長する異端を組み込んだ人形開発をしていた。
 退魔組織の協力者として何度か異端討伐部隊に参加していたが、その際に捕らえた異端『ランダー』を自分の研究のために押収してしまう。その後、ランダーを改良していくうちに異端の持つ独特な能力に魅了され、ランダーをさらに強化しようとショッピングモールで火災事件を起こす。大勢の人間を食わせて強力な使い魔にしようとしていたスコットは指名手配犯として各国を追われることになった。多くの国を逃げ回った後、アメリカで自分の体を魔法の炎で焼いて自殺。だが実際は、ランダーの体に自分の魂を移し替え、レベルアップ済みの異端として第二の人生を歩んでいた。
 赤茶色の髪の美丈夫。経歴はどうであれ、立ち振る舞いは紳士。申し訳程度のポエムスキルを嗜んでいる。
 『ワンダフルワールド』に登場するアリス=ブロッサムズとは交流があり、共に過ごした時間は数日だが師弟関係である。


■ストームブリンガー
 『ドロリア ゼロ』に登場する英霊。
 マイケル=ムアコックのファンタジー小説『エルリック・サーガ』に登場する、悪名高き混沌の剣。刀身までびっしりと奇妙なルーン文字の刻まれた巨大な黒い剣。
 あらゆる物を斬り、斬った対象の魂を吸い取り己の糧にすることができる。剣自体に独自の自我を持っており、時に独りでに動くこともある。基本的には手に取った人物を操って攻撃するか、手に取った人物に力を付与させて攻撃してもらうという手段で戦う。一応、分類的には精神体の稀人。
 聖杯戦争にアサシンとして現界した。聖杯に求める願いは「自分で戦いたい(自分の手足が欲しい)」。剣の姿ではなく人になりたいと願っている。一人称は「ワタシ」。英霊限定女子会トークに参加しているので、多分分類的にはメス。
 コップに突き刺すと中に入った水が飲めるらしい。その際、ちょっと刀身が色で染まる。
 ストームブリンガーを召喚したマスターは「マリオン」という名の女性で、戦闘快楽者の殺人鬼。抑圧した殺人衝動を抱えていたが、聖杯戦争では「マスターは殺していい」というルールを知って合法的に人の殺せる舞台へ飛び入った。事故に見せかけて一般人をも巻き込んで殺してしまおうと考えている危険思想の異端犯罪者である。


■関 秀行(せき・ひでゆき)
 『十三歳のアシテプト』に登場する異端犯罪者。
 廃工場をアミューズメントバーに改装し、不良少年や裏社会に精通した人間、快楽を求めてさまよう蝶達の溜まり場を提供してきた敏腕オーナー。
 非行の斡旋を仕事としており、少年達の様々な「やましいこと」を手助けすることが趣味だった。若くてエネルギッシュだけど知識が無い若人を導きたいという根っからの先生気質だが、若さ故の過ちによって途方に暮れる絶望した子供達の『負の感情』をおいしく頂いていたに過ぎない。
 サービス業の事業者としてはかなり優秀で、もし『負の感情』に魅せられてなければ、名の知れたコーディネーターになっていただろう。
 彼が一番力を入れていたのは、公開手術ショー。滅多に見られないオペ風景を、お酒を飲みながら楽しめるというショーは過激な刺激を求める者達に大ヒット。さらにはお客様の意見を取り入れ、「素人が実際に手術にチャレンジできる」「素人なりに独創的な手術が自在に行える」「素人を使っての手術がうまくできるかギャンブルコーナー」などを行ない、次々に成功していった。自作の魔道具を患者に埋め込むなど、手術後にも楽しめる仕様にしていたという、とっても独創的感性の持ち主。
 発想が吹っ飛んでいて破天荒な男だが、「お客様により楽しんでもらうためには?」と真剣に取り組む経営者としての姿勢は真面目。ストレートで医大を出て医師免許を取得しているが、医師免許を取った理由も「手術をショーにしたい」「自分がショーに立ちたい」という願望からだった。歪みねえよ、オーナー。


■ツクヨミ
 薩川 双葉(さつかわ・ふたば)。『楽園失格』に登場する異端犯罪者。
 デーモン(デモネス)の魔族。生まれつき「人を喰いたい」という闇の衝動を持ってはいたものの、ごく普通の人間社会の中で育ってしまったがために葛藤していた。普段は普通の人間の姿をしているが、真の姿になれば角、コウモリの翼、尖った尻尾といった悪魔の特徴を見せる。
 隣人を殺すしか生きていけない自分に意義を見出せず、「生きていても苦痛しかない」「苦しいだけの世界を変えたい」という想いから《世界創造》をすることを決意。だが大量殺戮に手を出せるほど冷酷になれなかったただの日本人の子供は、《世界創造》を行なえる魔導書「時檻の禁書」を教会から盗み出した。その途中で、親しかった友人を殺めてしまう。
 その後は友人を蘇らせて、正気を失ったまま「自分にとっての理想郷」を作り出すように暴走していく。


■ナーブリム
 『春を呼ぶ円環』に登場する異端。
 液状に近い黒いスライムの異端。言葉巧みに人間を誘惑し、宿主となる人間の体内に入り込み共存を成り立たせている。宿主となった人間はナーブリムから強大なバックアップを得られる。モブ操作能力に長けており、宿主以外の対象にも支援効果を与えることができる。
 多くの異端と違わぬ「大量の死を味わうことで成長しようとする」異端中の異端。人間の体を利用はするものの、価値を見出せなくなったら簡単に見捨てる。
 教会のエージェント・野尻 竜一という男を唆し、教会が所有していた「時間跳躍を行なえるようになる魔導書・イースの禁書」を盗ませた。第二次大戦中の日本へ時を遡り、史実以上に大勢の戦死者を出そうと画策した。


■ナグイェブ
 『ドロリア』に登場する英霊。
 聖杯戦争に召喚されたアヴェンジャー。正体は、クトゥルフ神話に登場する双子の神性『Nug and Yeb』。旧支配者に所属する。恐怖の儀式を取り行う象徴。
 聖杯戦争は二人一組のマスターとサーヴァントがチームを組んで戦い合うものだが、勝利と利己的な目的を優先した魔術師・黒須 柊によって二体目のサーヴァントとして召喚された。英霊は自身の魔力が切れるか召喚主が望んだ召喚の理由を果たすまで昇華されず、ナグイェブは「聖杯戦争を永遠に続ける・盛り上げるために引っ掻き回す」という目的で現界した。
 お互いに手を取り合った者達を仲違いさせるべく無理矢理の『狂化』を施したり、戦う理由を与えるために一般人を殺めたりと邪悪極まりない行動を率先して行なう。だがあくまで破壊活動を使命として行なっているだけで、本人は超がつくほど無気力。働いたら負けだと思っている。立ち上がるのメンドクサイ。移動するのもメンドクサイ。動きたくないから床で寝る。付いたアダ名は、「綺麗な雑巾」。
 赤髪に、右目が黒、左目が紫、ゴシックホラーテイストの衣装とグロテスクな肉触手を纏った男。気怠く憂鬱そうな表情と、世を儚んだ退廃的な言い回しを好む。殺傷力の高いポエムを吐き、周囲を混乱させる。


■西大家 銀之助(にしおおや・ぎんのすけ)
 『さわれぬ神 憂う世界』に登場する異端犯罪者。
 料理人。365日休まず、朝から晩まで料理を作り続ける男。ロボットのように正確で、熟練の職人でなければ不可能なほど繊細な料理を提供する。あまりに崇高な技術と、生と食へ過剰な徹底さとから、畏怖を込め「マ王」なんて異名がつけられた。
 人間を使った料理が得意。また、死亡すれば光になって昇華されてしまう稀人を特殊な調理法(魔術や薬物)で肉塊に仕上げて提供するという独自の技術を編み出した。これによって「妖精の刺身」や「獣人の丸焼き」などが可能になった。
 「他者の血肉を直接取り込めば、相手の能力をそのまま得られる」という一族の生まれであり、ただ血肉を啜るだけでは芸が無いという凝り性な性格から、食として楽しむことを考え始め、成果を出してしまった。カニバ料理人ではあるが、本人は至って普通の嗜好。あくまで「可能だからしている」だけであって、「もっと美味しい食材は世の中たくさんあるのに」と溜息を吐きながら、連日需要のある人肉料理を物好き達に提供している。
 自分の計算から外れた事態が起こることを何よりも嫌う完璧主義。たとえ数分でも遅刻は許さず、不届き者がいたら簡単に指を切って料理に使ってしまうほど。
 彼が作ったカレー(通称「機関カレー」)は、何故か涙が出るほど美味しいとか。


■ハーリケイン
 『嵐のメロディ』に登場する異端犯罪者。
 乱橋 譲二(らんばし・じょうじ)。魔術で姿を自在に変えて、日本全国どこにでも現れる暗殺者。
 インターネット掲示板で殺人の依頼を引き受け、ターゲットを仕留めた後に、殺人依頼をした依頼主を精神的に追い詰めて殺すというスタンスを楽しんでいる享楽的な男。
 己の快楽のために大勢の暗殺依頼を受け、大勢の依頼人も殺し続けていくうちに「二人ずつ殺すやり方ではなく、大量殺人を体験してみたい」と考えた彼は、「人を殺すことだけに特化した英霊」を召喚することを決意。少しずつ犠牲者を出しながら、その血で英霊召喚の儀式を行なう。そうして英霊「エボラ出血熱」が召喚されたのだが、これが運の尽きであった。
 決して魔術師としての腕は悪くないのだが、プライドが高すぎる英霊に立場を逆転されてしまう。きっと性格がスネオぽかったのがいけなかったんじゃないかな。


■ブラッディウィドー
 『ユアタイム』に登場する異端。
 上半身が人間の女、下半身が蜘蛛の、全長二メートルほどの異端。
 山奥に生息しており、百匹ほどの群れで行動する。決して単体では行動せず、主な活動が真夜中であり、山奥に訪れた柔らかい人間(主に女か子供)を襲って確実に食してすぐ逃げるという警戒心が強さから、なかなか討伐することができずにいた。


■ブリジット=プランツ
 『人外夜会・ロストワールド』に登場する異端犯罪者。
 異端が闊歩する世界になってしまった荒廃したアナザーワールドこと『ロストワールド』で、逃げ隠れる人間達を見つけてはいたぶる悪魔として生きている青年。
 時代が生んだエロカワモンスター。自称「美少年を経た美男子の美青年」。出会い頭にキスをして、事あるごとに「脱げよ」を連発。道端でも供給(隠喩)を迫り、タチでもネコでもどっちもオッケーだし男女構わず食うという、忠実にリプレイに起こしてしまうと18禁になるという、歩く核弾頭。
 異端を狩りたいがために、一般人をも犠牲にする戦法を平気で取る。また、健全に生きていた能力者や人外を言葉巧みに自滅させ、『異端堕ち』させて異端として狩るという、愉悦優先の自己中心的な振る舞いを行なっている。
 幼い頃に異端の群れに捕らわれ、身も心も人生も滅茶苦茶にされた過去を持つ。「異端を狩れば気持ちが晴れる」という快感を覚えた彼は、「自分で異端を増やして狩ろう! そしたらキモチイイがループする!」という狂気に行き着いてしまった。のちに「魔王」と契約関係を結んだおかげでその破滅的な活動は収まったが、魔王を盲目的に愛するようになってからは、尽くすあまり危険な禁書を盗んだり、『欺く神』の召喚を画策したり、人間を見つけ次第襲うというトリガーハッピーと化した。
 口が悪く、趣味は青○と触手プ○イ。でも本人は漫画だと十ページ以上心理描写に費やした後の正常位じゃないと萌えないという物凄く面倒な体質。しかし純情、直情、演技が下手で顔に出やすいタイプという、やっぱり物凄く面倒な人物。
 彼の実父はブリジットという名前を「正なる神ブリギッドブリードのように優しく気高く生きなさい」という意味で付けたのだが……女神、女神って何だ。振り向かないことか。


■ベラーター
 『傍らに立つ囀り』に登場する異端。
 セミのような形をした虫だが、人間の頭に張り付くとそのまま頭蓋骨をすり抜け、脳に浸蝕する。特定の条件が揃った水中でなければ繁殖しないとされており、主にアフリカ大陸に生息している。
 非常に知能のある異端。「感情を反転させる」という特殊な力があり、ベラーターに憑りつかれた者達は『負の感情』が『正の感情』になってしまう。怖いものが気持ち良くなり、悪行が善行だと思ってしまい、狂乱の末に死亡してしまうようになる。快楽の中で死んでいく人間達の感情を使い、親玉(欺く神)を召喚すべく暗躍することもある。


■星の聖杯(ほしのせいはい)
 『ドロリア』に登場する英霊。
 上野で行われた聖杯戦争の景品となった『神々の装具』。聖杯戦争で勝者となった人物の願いを叶える力を持った女性。
 金髪碧眼の美女。銀を基調とした清楚なドレスを身に纏い、世の美しさを表現したような完璧な姿で現界している。
 英霊が昇華される際に解放される魔力を吸収し、膨大な魔力を全て吸い取った後に確実な《世界創造》(通常の《世界創造》は6・6・6が出なければ行なえないが、聖杯なら自動成功)を行なう。普通の能力者ならたとえレベル20でも最大【MP】100が平均な許容量だが、無限に近い魔力の器を有している聖杯は千〜億に近い【MP】を溜め込むことができる。魔力はコンピュータでいうとこのメモリのようなもので、高性能のハードである聖杯は、膨大なメモリ(昇華した全英霊の魔力)を処理し、通常の何千倍も精密な《世界創造》を行なう。
 星の聖杯も他の『正なる神』の装具達と同じように、「神様らしい気まぐれ」で、自由に生きる人間達に奉仕するべく数年に一度堕天していた。だが魔術師達の駆け引きの材料にされているため、他の『神々の装具』のように自分の意志で人々に奉仕する気が薄れている。多くの魔術結社は聖杯の堕天を研究、観察したいため「神の気まぐれ」に全面的に協力し、聖杯戦争を裏社会の一大イベントに仕立て上げた。数年に一度開かれる魔術師達のアンリアルな殺し合いが容認されている理由はこれ。「アイドルである自分」が好きな聖杯にとってはその程度のこと、些細な問題。
 年頃の少年の恋心を鷲掴みにしてしまうような美しい聖女の姿をしているが、実はサバサバとした気の強い女性。優雅に紅茶とケーキでティータイムを楽しむ上品なお嬢様を気取っているものの、ひとり焼肉とか気にせず入るタイプ。英霊(特にナグイェブ)に対しては、わりと暴言を吐きまくる。元ヤンの香りがする。


■魔鏡のカケラ
 『ビクティムガール』『楽園失格』『傍らに立つ囀り』に登場する異端。
 欺く神「蠱毒色の魔鏡」の末端。『教会』の手によって封印された魔鏡が、目覚めるべく意識を世界に放ったもの。実際の魔鏡に比べればその力は数百分の一にも満たないが、「異端を生み出す」「異端堕ちさせる」といった『欺く神』の力を行使することができる。
 世界を滅ぼすという『欺く神』の本能のままに、迷える者には助言をして異端犯罪者になるように唆し、騒ぎの種をばら撒く悪魔。時には善人に妖しい魔道具を与えて狂わせ、時には人々を疑心暗鬼にさせて苦しませる。誰もいない空間から現れ、「殺したいなら殺せ」「奪いたいなら奪え」と囁き、世界を破滅へと導く。
 本来の魔鏡は成人女性の姿をしているが、カケラは所詮末端の破片なので十四歳ほどの少女の姿をしている。だが幼い姿の中に高貴な振る舞いと残忍さを隠している、妖艶な魔法少女。



■ミーゴー
 『冥夜行路の非常灯』に登場する異端。
 変幻自在の何の姿にも変身できるキノコの化け物。人間の姿にもなれるが、デコボコな、クレーターのような肌になってしまう。また、電磁波を操る胞子を噴出する。機械の微かな隙間に細かい胞子を忍ばせ、現代機器の電波と波長を合わせ、機械を操作することができる。
 胞子を吸い込んだ人間を自分と同じミーゴーにしてしまうという特殊能力もあるが、大抵の人間は皮膚の表面だけでなく体の中(内臓)までデコボコになってしまい、見るも無残な姿で死んでしまう。一見、胞子が体内に入ったかも判らず(喉からの侵入時に、やや息苦しさを感じる程度)、ミーゴーになっていく異変は数年単位で行なわれるため「気付いた頃には異端になっていた」というケースになってしまう。


■ミッチェル王子
 『王子の試練』に登場する異端。
 遊園地シャイニアの新作クイズアトラクションに登場する王子様の格好をしたキャラクター。訪れた子供達を案内しながらクイズを出すという深い設定は特に無いキャラだが、そこに異端が憑りついた。アトラクション全体を自身が作った結界で覆い、恐怖のアトラクションを生み出してしまった。
 異端らしく『負の感情』を好むだけでなく、「『正の感情』から『負の感情』に切り替わる瞬間の、ジェットコースターのように転がり落ちる感覚」を好物としている。高低差があればあるほど味が良くなるため、驚きや不条理感から見舞われる恐怖を求めている。


■ムーンスローター
 『越境ソドム』に登場する異端犯罪者。
 木ノ本 小春(きのもと・こはる)。家の書庫にいくつもの魔導書や魔道具が眠る魔法使いの一族に生まれた少年。幼い頃から不思議な本やアイテムに触れて生活していたおかげか、若くても優秀な能力者だった。
 ある日、妹の友人達と楽しく遊んでいたところ、何の手違いか友人二人は頭を強く打ち、植物人間になってしまう。なんとか二人を目覚めさせたいと考えた小春は、実家にある魔導書を読みあさったが二人を蘇らせる手段は見つからなかった。だが知識を増やしていくうちに「この世界は巻き戻りやすい」「異端が悪さをしたとき、無かったことにするため時間が戻るケースがある」というルールに気付いた小春は、自らの手で異端を召喚し、時間を「大切な友人が植物人間になる時間の前まで」巻き戻そうとした。そうして召喚してしまったのが、ムーンビースト……ただの異端ではなく、もっと上位存在・欺く神の眷属だった。
 ムーンビーストは「生贄をもっと捧げれば、時間なんて巻き戻さなくても願いを何でも叶えてやる」と小春に持ちかける。提案というより半ば強制的なお願いだったその言葉に首を振れなかった小春は、ムーンビーストを使って猟奇的な儀式を行なってしまう。ムーンビーストが脅して儀式を決行させたというより、小春の本心が「どうせ悪魔を呼び寄せてしまったのだから、何としてでも友人達を救いたい」と思っていたのが、悲劇の始まりだった。


■ムーンビースト
 『越境ソドム』に登場する異端。
 神々の装具名は「月の獣皮」。ヒキガエルの頭にピンク色の触手が生えた生物。クトゥルフ神話では残酷な拷問狂の魔物として有名。
 黒い肌と赤い目の男性の姿をしており、武器は槍。残忍な性格で、獲物を捕らえては生きていることを後悔させるほどの拷問をしてから殺す。異端と称してはいるものの、欺く神から名を授かった『神々の装具』の一人であり、かなり高位な存在。
 『イースの大いなる種族』が遺したアーティファクトを利用し、龍の聖剣やルージィルと同じ時間跳躍の能力を有している。時間跳躍を使おう機会は滅多に無いが、「たまに楽しく美味しい食事がしたい」というときだけ行使する。
 自在な時間跳躍、転移、空間隔離はお手の物。真の神々には到底及ばないが、普通の儀式より代償の少ない《世界創造》もすることができる。
 従者として奴隷少女(拷問の手伝いをする処刑人)を連れている。どっかの世界で拾ってきて、気が向いたら(使っている奴隷に飽きたら)別の時代から誘拐して交換する。
 欲に生きる人間が大好き。拷問した後はウットリと恍惚の表情を浮かべるなど、わりと顔に出やすくって判りやすい性格。


■柳葉(やなぎば)
 『傍らに立つ囀り』に登場する異端犯罪者。
 通称「ギバニャン」。警視庁能力特命課に所属……していたと思わせていた男。
 そんな人間は、いない。


■矢島 祭(やじま・まつり)
 『ラブアゲインシンドローム』に登場する異端犯罪者。
 カウンセラーを目指す大学生。友達が多く、明るい性格。高校時代まではプロフィギュアスケート選手を目指すスポーツ少女だった。
 本人に自覚が無いが、人間ではなく魔族である。彼女の両親も一切自分達のルーツを忘れており、家族全員ごく普通に生活を送っていた。だが祭がフィギュアスケートに精を出す高校生の頃、感受性豊かにスポーツに励み、その『正の感情』を得て感応力師と異端者の能力に目覚める。もし身内に異能に精通した人や裏社会への繋がりがあったなら、能力の制御を学べたかもしれない。だが基本的に一般人に能力を秘匿し、大々的に宣伝もしない世界では異変に気付かれることはなかった。
 始めは《瞬足》で素早く競技が行えるぐらいの変化しかなかったが、良き友でもありライバルの渋谷 千速を《アンドショック》で植物人間にさせてしまう。三年以上経つ現在も千速は目を覚まさない。能力のコントロールどころか力があることを知らない祭は目覚めさせることすらできない。事件をキッカケにして祭はフィギュアスケートを辞めた。一時期は塞ぎ込んでしまったが、数年後に立ち直り、カウンセラーになることを目指して大学に入学した。
 だがある日、とある教会のエージェントから、「祭自身が千速を眠らせたこと」「異端者の能力を使えば何でも願いを叶えられること」を教えてもらう。未だ目覚めない千速を目覚めさせたいと考えた祭は、《贄の儀式》を行ない、《世界創造》を発動させるためにN市の人々を昏倒させる事件を思いついた。


■ヤミイロ
 『バッドルイド』に登場する欺く神。
 欺く神として、「世界にとって害のある者」を生み出していく女性。彼女の創造する生き物はみな活動的で優秀な能力を持つ駒ばかりだが、総じて「空気が読めない最強」で、簡単に世界のバランスを崩してしまうものが多い。自信作は、音速で動く獣の異端「ダークカラー」。
 性格は無邪気。神として紡ぐ物語はとても素晴らしい出来が多いが、「自分が格好良ければいい」と考える自己中心的な創造者。「私の作った最強の○○が一番!」「うちの○○は強いから弱い子達なんて皆殺し!」という典型的な最強厨で、次々に問題のある異端を生み出していく。


■横山 忠志(よこやま・ただし)
 『鍵のかかる夢』に登場する異端犯罪者。
 工具箱を持ったピエロの格好をした快楽殺人鬼。人間を生きたまま解体し、死ぬまでの恐怖に打ち震える人々を見ることに興奮する男。
 数年に一人誘拐し、手術台(作業台)に拘束した人間を、精密機械を解体するかのように少しずつ崩していく。自分のしていることが悪事であるという自覚はあるが、罪悪感は無い。見つかってはいけないことだと判っていても、快楽を得ることに何の躊躇は無いという根っからピュアなサイコパス。正真正銘の人間であり、『負の感情』を得なければ生きられない魔族でもない。あくまで趣味で、昆虫採集や機械いじりが好きな人のように殺人を繰り返している。
 普段は中央駅すぐそばの丸丸百貨店にあるアクセサリーショップの店長として過ごしている。社交的な男性として振る舞い、異端犯罪者としての顔は一切見せない。仕事と趣味は徹底して分けているデキる男。


■ランダー
 『アナザーイブウィークス』に登場する異端。
 人間の体内に侵入し、人間を洗脳する。生体侵入した運動性能を爆発的に肥大化させる憑依タイプの異端。憑依された人間は発熱、痙攣など重めの症状が出るが、数日で治まるためランダーに乗り移られたか判断しにくい。
 元は目にも見えないほど小さな虫の異端だったが、魔術師スコット=バートンによって多くの力(身体能力向上、炎属性の付与など)を授けられ、羽虫ほどの大きさに進化した。


■ランバネイン
 『とおりゃんせ』に登場する異端。名の意味は、ギリシャ語で「掴む」。
 地下水に生息する異端で、普段は霊体化しているが姿は二〜三メートルほどの大きな腕の形をした化け物。巨大な手で人間を掴み、自分の住処(水中)に引きずり込んで食す。
 大昔から泉に住み、「らいばね様」という名で人間達から恐れられていた。水害を多発させていたところから、僧(魔術師や聖職者などの能力者達)によって封印されていた。その泉は現代日本の技術によって埋め立てられたが、霊体の巨大な手として人々を襲っていた。


■リー・ホンファ
 『悔いなきセレクシオン』に登場する異端犯罪者。
 キョンシー(ホムンクルス)遣い。
 父は日本政府の高官、母は旧き魔術一族の間に生まれた一人娘。裕福な暮らしではあったが中国では日本人であることで虐められ、日本に帰国しても幼い頃から中国で過ごしてきた彼女は中国語しか話せず、日本人のクラスメイトからも敬遠されてしまう。自分の居場所が無いまま信じられるものは母が伝えてくれた魔術だけという寂しい少女時代を過ごし、その魔術を高く評価した『機関』の最高責任者・狭山に傾倒していく。『機関』のために成果を出す能力者ならば手厚く救済した狭山は、優秀な能力を見込んで彼女を『機関』に快く勧誘。以後、自分の心を救ってくれた『機関』であれば全人類を救済してくれるに違いないと盲信し、『機関』(というか狭山)と契約する。
 彼女に課せられた令呪は判りやすく、「欺く神を召喚しろ」「欺く神を召喚するために生きろ」「欺く神を召喚するまで死ぬな」という三つ。そんな大雑把な命令でも、令呪によるマスターの命令は絶対であり、生きるためにも死ぬためにも一生を『欺く神』を召喚するための研究、準備、儀式を遂行しなければならなかった。その令呪に縛られる生活は、女子中学生時代から四十半ばまで、三十年にも渡った。
 十年を召喚のための知識を取得、次の十年を儀式に使う材料の調達、最後の十年を儀式執行のための調整に使い続けた末に、彼女は何十人もの儀式の材料や最高の手札である英霊の召喚など、機密な作戦を実行していった。


■レッドキャップ
 『人外夜会・リリルラケシスの宴』に登場する異端。
 血で染めた赤い帽子を被った妖精。イギリスの民間伝承でも数多く登場する凶悪な異端。人殺しにまつわる血塗られた場所に出没し、出遭った人間を惨殺する。主な武器は斧だが、吸血種でもある。人と見ればその命を奪おうと強烈な殺意を持って迫ってくる、極めて残虐な性格。
 イギリスでは『リリルラケシス』という同盟が人間と吸血種の和親条約を結んでいたが、それを嫌ったレッドキャップが両種族問わず事件を起こし、条約そのものを崩壊させようとしていた。
 残忍な性格であり一般人にはかなり有害な存在ではあるが、能力自体は下の下。一端の能力者であれば簡単に倒せる程度の力しかない。そのかわり、狡賢く立ち回って被害を拡大させていく。




2015.10.