■ 「次のライナーはうまくやってくれることでしょう」



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 アンケートご協力ありがとうございます。

 「謎のハイテンション」と「ショタライベルの鬱」があったので、
 「謎のハイテンションのショタライベルの鬱」、かわいい。

 世界観にそぐわない演出を含みます。苦手な方はご注意ください。



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ライナー「ベルトルト、お前だけでも生きていてくれれば、俺は……!!!」



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べるとると「…………ライナーが、死んじゃった!」

べるとると「無知性巨人に食べられて、ライナーが死んじゃった!」

べるとると「これから壁を壊しに行く予定なのに、ライナーが食べられちゃった!」

べるとると「アニには壁を壊す直前の日まで会えないし! ベリックももうずっと前に食べられちゃったし! 僕は1人で壁のところまで行かなきゃいけない!」

べるとると「ライナーのバカ!」

べるとると「僕が1人じゃ任務なんて無理だって言ってたくせに! 僕は自分を守ることすら出来ない鈍間って知ってたくせに!」

べるとると「ベリックの真似して僕を庇って食べられちゃった! バカ!」

べるとると「すっごくバカ!」

べるとると「バカ!」

べるとると「ひっく! えっぐ!」

べるとると「まだ壁まで遠いよお!」

べるとると「どんだけ1人で歩かなきゃいけないんだ! 1人で!

べるとると「僕を1人にするなぁ!!」

べるとると「うわあああん! 1人で壁まで行けないよう! ふざけんな! ちくしょうめ! どうしてくれるぅ!」

べるとると「どうもならないよっ! 僕1人じゃ! 何にも出来ないもん! うわああああああん!」

らいなー2「これだから泣き虫トルトは困った奴だな!!」

べるとると「キック!!!」

らいなー2「痛い!? この蹴りで人類が奴らに支配されていたことに気付く! それぐらい痛い!!」

べるとると「うわああああん! ライナーが蘇った!? 僕の涙に治癒能力が付与されたよ!? やったー! このままいくじなしの僕は後衛タイプのキャラクターで落ち着きたいぐらいだあ!」

らいなー2「ベルトルト落ち着け! 俺は突然目覚めたベルトルトのヒロイン力により蘇ったんじゃない! まあ俺にとってお前はとっくの昔に俺のヒロインだけどな!!」

べるとると「その反応! ライナーだ!! ライナーが生きてる! ライナーが蘇ったぁ!!」

らいなー2「違う! 俺はライナーであってライナーじゃない! ほらあそこに俺の下半身が落っこちてるだろ!? あの俺は死んだ! 俺は2人目のライナーだ!!」

べるとると「なるほど僕を守ってくれる戦士にはスペアが用意されていたんだね! 前の戦士が死んだことで新しいライナーが送り込まれてきたってことか!」

らいなー2「理解力もある上に情報把握も完璧だな! いやそれにしても理解しすぎだろお前っ!!? もうちょっと動揺していいんだぜ!?」

べるとると「ライナー!!」ダキッ

らいなー2「ベルトルト!!」ギュウッ

べるとると「君にまた会えて嬉しい! もう二度と君に会えないんじゃないかと思った!! もうどこにも行かないで、僕1人じゃ何も……!!」

らいなー2「おいおい、そんなこと言ってたらこの先任務なんてやってらんねーぞ! 前の俺の死んだ理由は何か、言えるか!? 言え!」

べるとると「僕が……ノロマだったから!」

らいなー2「よし、これからは俺の死を乗り越えるたびにきちんと何が悪かったか学ぶんだぞ!」

べるとると「でも僕、巨人を前にすると……怖くて涙が出て、動けなくなって……!」

らいなー2「そんなの訓練次第で何とでもなる! 前のライナーの死を無駄にするんじゃねーぞ!」

べるとると「ねえ、前のライナーがやっていたことは覚えてるの!?」

らいなー2「いや、俺は前の戦士が死んだからここにポイッと放り出されただけで前の戦士がどうして死んだとかどんなことをやっていたかまでは判らない! 前任者がお前と何を話してたとか記憶の継続まで出来ないが、ただ自分の任務がどれぐらい進んでいるかだけはちゃんと把握できる!」

べるとると「僕のことも忘れちゃったの!?」

らいなー2「忘れたというか経験が無い状態だからな! 前のライナーは俺であり俺でないというか!」

べるとると「タックル!!!」

らいなー2「いきなり痛い!? 今ので人類が後退するぐらいには痛い!! お前タッパだけはあるんだから突撃ダメージが超半端ないなってか何だよっ!?」

べるとると「前のライナーは僕に酷いことをした! その酷いことを君は知らない!! 僕はこの怒りを誰にぶつければいい!? そう君だ!!」

らいなー2「痛い! 何度もタックルすんな!! 超大型巨人とは思えぬ俊敏なタックルで受け身すら取れないじゃねーか!!」

べるとると「それぐらい僕は怒っている!」

らいなー2「怒り? 誰にぶつければいいって? そんなもの全人類にぶつけてやれ!」

べるとると「君に抱いた怒りだよ!? とんだなすりつけはやめようよ! どうして全人類にアナルを掘られた怒りをぶつけなきゃいけないのさ!? 人類代表に『何故こんなことをしたんだ!』って問い詰められて説明するとき少年誌に掲載できない台詞になるよ!!」

らいなー2「全ての理不尽な怒りを人類に叩き付けることで奴らをってえええええ!? ベルトルト、ケツ掘られた!? おい!? 前の俺は何やってんだよぉ!!?」

べるとると「君と同じ声で『故郷に戻りたいな。お前だって故郷が恋しいんだよな? 慰めてやるよ……』って言われて押し倒されたんだよ!! 何回もね!! おかげですっかり僕はライナーが居なきゃ体の疼きも治めることができないという子供ながらに変態腰巾着キャラに定着しようとしてるんだよ!!」

らいなー2「さっきの泣き言はそういう意味の『僕を1人にするな!』だったのかよ!? 前任者はさぞ愛されてたんだなって感動しながら遠くから飛ばされてきた俺の一瞬の嫉妬すら勿体無い!!」

べるとると「そして今! 新しい君がノーマルの反応をしているだとぉ!? 僕のアナルの疼きを治めてくれるライナーはいないって知って僕は絶望顔芸をしてもいい頃合いだよね!?」

らいなー2「お前ケツは大丈夫なのか!? 見せてみろ、そんなもの俺が上書きしてやるから脱げよ!!」

べるとると「結局君も同じ事しようとしてるじゃないかぁ!!?」

らいなー2「前のライナーがやっていたことをして何が悪い!? 俺達は相棒同士! これから壁を壊しに行く仲だぞ!? お互いの傷を舐め合ったってなんらおかしくはない!! もっと深いところまで知るためにもまずはお前の体を隅から隅まで!!」

巨人「ガオー」

べるとると「あ」

らいなー2「ベル、逃げ」カプッ



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べるとると「えっぐ! ひぃっく! ふええぇ! またライナーが巨人に食べられちゃったよう!」

らいなー3「前任者のライナーはふざけた野郎だった! 次のライナーはうまくやってくれることでしょう!!」

べるとると「ってわあああっ!? 前のライナーが死んだらホントに新しいライナーがやってきたぁ!?」

らいなー3「戦士が死ぬたびにスペアがやって来るっていう説明はされていたみたいだな!? そう、俺がお前を守る新しい戦士で……!」

べるとると「キック!!!」

らいなー3「人類が支配されていたことに気付くぐらい痛い!!」

べるとると「タックル!!!」

らいなー3「ウォール・シーナまで生活領域を後退させるぐらい痛っっって何するんだベルトルトぉ!!?」

べるとると「うわああああんライナーだあああまた同じことするんだろどうせえええ!! 『また寂しさを紛らわすためにケツ貸せ』とか『切なさを埋めてやるからケツ貸せ』とか言うんだろうライナーだからああぁぁ!!」

らいなー3「前の俺達は何を言ってたんだぁ!? そんなにベルトルトのケツは魅力的なのか!? よし確かめてやるからズボン脱いでケツの穴を見せてみろ!!」

べるとると「蒸気!!!」ブワッ

らいなー3「あっつう!? すまん冗談だ! 真っ白で何も見えなくなるから蒸気を出すのはやめろぉ!! こんなときにまた巨人に食われたらシャレにならんぞぉ!!」

べるとると「そうだよ! 何で2人目のライナーは食われてるんだよ! 僕を守るとかそういう問題じゃない見事の食われっぷりだったよ!! そんなので壁まで行ってちゃんと任務を果たせるの!? 君みたいな人と一緒で任務が果たせると思えないし故郷に帰る気はあるの!!?」

らいなー3「ごめん」

べるとると「う」

らいなー3「次の俺は絶対にヘマしない」

べるとると「ん」

らいなー3「ちゃんと任務を果たすし、故郷に帰る」

べるとると「……」

らいなー3「一緒に帰ろう。傷、早く治せよ。またいっぱい歩くんだから」

べるとると「…………。ひっく、ごめ、ぇぐ、ごめん、なさい!」

らいなー3「なんでベルトルトが謝るんだよ」

べるとると「僕の方が……何も出来ないのに、君に頼ってばっかで……1人じゃ何も出来ないのにね! なのに、何を言ってるのかな、僕……! えっぐ! ごめんなさい……!」

らいなー3「…………」

べるとると「ふええ、えっぐ、うぇええん……!」

らいなー3「泣くな! 行くぞ!」

べるとると「ふぇ……!?」

らいなー3「俺達は壁に向かう! そうだ、俺達は早く故郷に帰るんだ!! 約束する!」

べるとると「う……うん! 僕達は、帰る! 約束!」

らいなー3「行くぞ! ほら泣いてぐずぐずしてるような奴は置いてっちまうぞ! 俺は気が短いからな!」

べるとると「お、置いていかないで!」

らいなー3「お手!」

べるとると「えっ!?」

らいなー3「お手って言われたら手を出すだろ普通! 俺と手を繋ぐのがそんなに嫌か!?」

べるとると「う、ううん! 嫌じゃない! 前のライナーとも手、いっぱい繋いでた……!」

らいなー3「……ああっ、不甲斐ない最期を迎えた前の奴の話はするなよ! 今度は俺と一緒に帰る、これは俺との約束だ!」

べるとると「うんっ!」

らいなー3「ほら行くぞ! 壁までまだまだ遠いんだから急ぐぞー!」

べるとると「ま、待ってよー……!!」



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べるとると「ひっく……! えっぐ! ひぃっくぐぇっ、びええ……!!」

らいなー4「前任者の俺はとんだ愚か者だった! まさかこんな所で命を落とすとは! だがもう泣くな、今度の俺は完璧な戦士だからな!! この死を乗り越えることでお前はまた一つ賢くなり……! おら、傷をとっとと治して行くぞ!」

べるとると「バカ! ライナーのバカ! ライナーはバカ! ライナーでしかもバカぁ!!」

らいなー4「な、なんだよそのバカ連呼!? 前の俺がどんな死に方をしたか知らないけどそんなに言うことないだろ!?」

べるとると「だってライナーはバカだもん! なんでみんなベリックの真似みたいなことをするんだよぉ……バカバカ……うええええん!」

らいなー4「お前は他人を罵る言葉をバカしか知らないのか!? ちょっとベルトルトさんは頭が足りないんじゃないですかぁ!?」

べるとると「ライナーはバカ以外で怒ると本気で落ち込むからブタゴリラとか他の言葉をを封印してるんだよ!! 配慮に気付けよ!」

らいなー4「お気遣いありがとう!! ブタゴリラは小学生ぐらいの男子には悲惨すぎて俺まで泣き始めてしまうから今後とも言わないであげてくれ!」

べるとると「言わないようにするからもうバカなことやめてくれよぉ! ライナー……ぶ、ぶたご……り……うわあああん!」

らいなー4「ほんと何したんだよ、前の俺!? ほら……いつまでも前の俺の死体にしがみ付いてるなよ!」

べるとると「うえええん!」

らいなー4「そのライナーは死んだんだから! さっさと行くぞ!! ……故郷に帰りたくないのか!?」

べるとると「……戻る……そういう……約束……」

らいなー4「したよな? 約束したんだよな? じゃあ行くぞ!」

べるとると「……ひっく……」

らいなー4「まったく、よく死体にしがみ付いて襲われなかっ……。おいまさかベルトルト、巨人の居ないところまで俺の死体引き摺っていたんじゃないだろうな!? バカ、死体なんてすぐに置いて自分が逃げることだけを考えろ! 俺が駆けつけるのが早かったからいいけど……!!」

べるとると「だ、だって……!」

らいなー4「さっさと壁に向かう! 悪魔の末裔達を根絶やしにする! 故郷に戻る! そう俺と約束したんだろ!? ……歩け!」

べるとると「う、うん! 歩く!!」

らいなー4「歩く!」

べるとると「歩く!!」

らいなー4「歩くぞ!」

べるとると「歩くよ!! ……ねえ、ライナー!」

らいなー4「なんだよ!? もう疲れたのか!? まだ全然進んでないから休まねーぞ!」

べるとると「…………前に話してくれたこと、覚えてる?」

らいなー4「記憶は引き継ぎしないって前任者に説明されてないのか!? おい前の俺、なに仕事放棄してるんだよ! 死んでも仕方ない奴だな!!」

べるとると「ち、違う! ライナーは悪くないっ! ……あのね、その! 夜に、僕にお話してくれたこと、覚えてないかなって思っただけで……!」

らいなー4「んなこと知らないに決まってるだろ!?」

べるとると「そ、そうだよね! ごめん……!!」

らいなー4「さっさと足を動かせ! ここから離れるぞ!!」

べるとると「うんっ……!」

らいなー4「…………」

べるとると「…………」

らいなー4「…………。なあ、俺と何を話してたんだ?」

べるとると「えっ!? えっと! で、でもっ! もう僕何も話さないから!! ごめん!」

らいなー4「気になって気が散ってまた俺が失敗したら大問題だろ!?」

べるとると「ひっ!?」

らいなー4「お前が消極的で内気で引っ込み思案なベルトルト=フーバーだって知ってる! でもお前の表面的な情報しか知らないんだからちゃんと話してくれなきゃ連携も取れない!」

べるとると「ガンダム!!」

らいなー4「ガンダム!!?」

べるとると「ガンダムかっこいいよなって話! 僕よくガンダムのこと知らないから教えてもらってたの!! そんだけ!」

らいなー4「なんでガンダムの話なんてしたんだよ俺は!?」

べるとると「し、知らないよ! 君がダブルゼータが一番好きだっていきなり言い出してきて……!」

らいなー4「はあああ!? なんでダブルゼータなんだよ俺はウイング派だろおお!?」

べるとると「なんで僕の胸ぐら掴むのおお!? 君のモビルスーツの好みなんて知らないよお!! スペアなのにどうして好みが変わってるんだよぉ!?」

らいなー4「歩く!」

べるとると「歩いてたのに君が掴んで止めたんだろガンダムブタゴリラァ!!」

らいなー4「俺もお前も泣きながら歩く!! でもこの辺で野宿するか! お前の顔も真っ赤だしな!」

べるとると「主にライナーのせいだよ!!」

らいなー4「はあ!? 別にそんなに強く首なんて絞めてないだろ!?」

べるとると「ガンダムのせいだよ!!」

らいなー4「ガンダムのせいだよ!!?」

べるとると「君は知らないだろうけど前のライナーは僕のアナルを掘りながらガンダムの話をしたんだよ!! おかげで今の僕はガンダムと聞いただけでアナルが濡れるとんだ変態野郎なのさ!!」

らいなー4「器用な体だな、お前!? 一体どういうケツの仕組みしてんだよ!? ガンダムガンダムガンダム!!」

べるとると「ここぞとばかりに連発するなぁ!! やだ……もう……僕のアナルはグチョグチョだよぉ……!!」

らいなー4「まじか……そんな、発情した顔をしやがって……!」

べるとると「ああ、ライナー……やめて、それ以上はガンダムって言わないで……僕、感じ過ぎちゃう……!」ビクビクッ

らいなー4「……いやいや! その体はどうかした方がいいよな!? ガンダムなんて壁の中の野郎どもが次々に口にする言葉だぞ!? そのたびにお前がフェロモンを出したら困るだろ!!」

べるとると「そういう体に作り替えたのはライナーだよ! ライナーのせいなんだから責任取れ!」

らいなー4「いやいやいやお前の体なんだからお前が何とかしろよ!? このままでいいとはお前だって思わないだろ! これから訓練所に入って食堂で何気なく坊主頭や馬面の男子が『ガンダムのヒロインの中で誰が好きだった?』『俺はティファかな、無口な黒髪清楚系だし』って話をしてる後ろでお前が発情してたら俺はその場を公開ハッテン場にしかねないぞ!!」

べるとると「見てきたような妄想はやめてよ!! なんで僕こんなに理不尽な快楽責めと羞恥プレイの未来予知をされなきゃいけないのかなぁ!?」

らいなー4「そんな鬼畜な戦士な俺もカッコイイけどさぁ!」

べるとると「ライナー、抱きついていいかな!?」

らいなー4「お、早速惚れたか!? 来い、抱き締めてやる!」ギュッ

べるとると「蒸気!!!」ブワッ

らいなー4「あっつう!!!」

べるとると「この反撃も君は忘れてしまってるんだね!」

らいなー4「忘れたっていうか知らねーよ! なんだよその技!? 高温蒸気が出る前の縮こまって『ぷんっ』て顔がカワイイなぁオイ!? 犯すぞ!?」

べるとると「は、恥ずかしいなぁ! 許可を取らなくてもいいから犯しなよ!」

らいなー4「いいのかよ!?」

べるとると「だってライナーだし!」

らいなー4「お! ……お、おう」

べるとると「…………」

らいなー4「い、いいのか?」

べるとると「なんでそんなこと訊くんだい?」

らいなー4「い、いや、だって、一応! ……俺とお前は初対面の幼馴染だし!?」

べるとると「初対面の幼馴染という言葉に猛烈な違和感しか生じないね!」

らいなー4「俺もそう思う!」

べるとると「……でも……ライナーは……ライナーなんだろ」

らいなー4「確かに、そうだが……」

べるとると「……『幼馴染』ってことだけは、君の中でも変わってないんだね」

らいなー4「うっ」

べるとると「……一番最初のライナーから……変わってないこともあるんだ……」

らいなー4「…………」引き寄せてギュッ

べるとると「……」抱きついてギュッ

らいなー4「…………」強くギュウ

べるとると「……別に、ライナーがしたくないならいいよ。君は初めてだから僕のことそんなに想ってなくても仕方ないし、でも僕は、君のことをずっと……」

らいなー4「抱く!!」

べるとると「お、大声出さなくていいよ!」

らいなー4「前の奴のことなんて忘れるぐらい激しくしてやる! ずっと守ってやるからな! その前報酬として俺の童貞をくれてやる!!」

べるとると「や、やっぱ君って新しくなるたびに未使用になるんだ!? って、いちいち宣言しなくていいよ!!」



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らいなー5「今度の俺はうまくやってくれることでしょう!! ほら、傷を早く治せ!」

べるとると「…………ひっく、えっぐ……!!」

らいなー5「そんなに泣いても前のライナーは死んだ! 早くしないとアニと約束した日に間に合わなくなる! 遠回りしてないで向かうぞ!!」

べるとると「……ふええっ、ぐぅ、えっぐぅ……!」

らいなー5「まったく! なんでこんなに遠回りしてたんだ、お前と前の俺は! そりゃあそこの山はわんさかデンジャラスゾーンがあるのは判るけど!」

べるとると「そ、それは……僕が……怖くて動けなかったから……巨人を前にすると、つい、何も出来なくなって……」

らいなー5「こんなんじゃ当初の予定に遅れちまうだろ!」グイッ

べるとると「ら、ライナー……引っ張らないで、手、痛い!」

らいなー5「ベルトルトが歩くのが遅いからだよ!!」

べるとると「いつも僕はこれぐらいの速さだよ……!」

らいなー5「じゃあもっと早くしろ! 前の俺が何て言ってたか知らないが、俺達のせいで予定が遅れてアニが大変な目に遭ったらどうする!? 言え!」

べるとると「泣く!」

らいなー5「もうお前は既に泣いてるけどな!! そして!?」

べるとると「そして困る!」

らいなー5「困るよな!? 判ってるじゃないか! じゃあ行くぞ! 早めに約束の場所に到着して休息を取らなきゃいけないんだしな!」

べるとると「なんで!?」

らいなー5「なんで!? だと!?」

べるとると「なんで!? だよ!」

らいなー5「ベルトルト、少しは自分で考えろよ! ……お前は疲れた状態でも巨人にすぐなれるのか!?」

べるとると「な、なれないかも……!」

らいなー5「そうだよなれないんだよ! それぐらい自分で考えておけ!! 考える練習ぐらい付けろ! 俺がいるから大丈夫だけど咄嗟に判断できなきゃお前絶対死ぬぞ! 1人になったときに死ぬかもしれないんだぞ!!」

べるとると「……で、でも、僕は1人にならない……」

らいなー5「はあ!?」

べるとると「だって……ライナーが、いつも居てくれるし……」

らいなー5「俺がいなくなったときに死ぬだろ!?」

べるとると「死なないよ! だってライナーいなくならないじゃん!」

らいなー5「じゃあ俺が死んだらお前は死ぬのか!?」

べるとると「今のライナーが死んでも次のライナーが来てくれるから大丈夫だよ!!」

らいなー5「…………」

べるとると「……そうだろ……だから、そんなに怒鳴らないで……」

らいなー5「今回の俺で最後だ」

べるとると「え」

らいなー5「今回の俺が死んだら、次の俺は来ない」

べるとると「そんな」

らいなー5「そんなにスペアがいっぱいいると思ったが? 無限に飛ばされてくると思ったが? そんな訳が無い」

べるとると「……君で、最後?」

らいなー5「そうだよ」

べるとると「……最後、なの……?」

らいなー5「そうなんだよ! だから考える練習をしておけよ」

べるとると「……ふぇ……」

らいなー5「こ、これぐらいで泣くなよ! 1人で動ける練習をするぞ! それぐらい出来るだろ、お前だって選ばれた勇敢な戦士なんだから!!」

べるとると「……うん……」

らいなー5「……お前は、言われたことはちゃんとこなす凄い奴なんだから……」

べるとると「……」

らいなー5「……出来るまで、ちゃんと練習しような」

べるとると「……」

らいなー5「ちゃんと最期まで、付き合ってやるから」

べるとると「最期なんて言わないでくれよッ!!」ダキッ

らいなー5「うおっ」ドスン

べるとると「最期……とか、言わないで……もう、ライナーが死んでも……とか、冗談でも言わないから……もう……ふええぇ……」ギュウウ

らいなー5「す、すまん」

べるとると「ライナー……ライナー……もう、ベリックの……」

らいなー5「ベリックの?」

べるとると「ベリックの、真似は……やめてよぉ……僕、何度も何度も……あれ……見るの……もう、嫌なんだよぉ……!」

らいなー5「…………」

べるとると「ひっく! 僕が、どんくさいから……! だから、ライナー……いつも……知ってる! 知ってるけど……!」

らいなー5「……そうだ。だからお前には頑張ってほしいんだ。このままだと、俺がいない限りお前は……」

べるとると「ライナーは、もう……僕のこと、庇わないで……! 僕を、見捨てて、逃げて……うえええええん!」

らいなー5「……そればっかりは出来ない。お互い頑張ろう。もう俺が最後なんだから、お前が1人でも生きていけるようにしなくちゃいけないんだよ…………」



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べるとると「うそつき!」

らいなー6「ウィッス!!」

べるとると「6体目が来たじゃん!! 思いっきり嘘だったじゃん! いっぱい来るんじゃん! 2年分ぐらいの涙が出たよ!? ゴリライナーのうそつきクソ野郎ー!!」

らいなー6「前任者のライナーはとんだ中途半端な嘘吐きクソ野郎だったみたいだな! 知るかそんなもん!! そもそもそう言わせたベルトルトが悪いんじゃねーか!?」

べるとると「うそつきはドロボーの始まりだよ!」

らいなー6「ドロボーよりも重罪を犯しに行くから問題ねーな!」

べるとると「そうだねそうだったよ!! 君はもう既に窃盗罪以外に強姦罪とか沢山してるよね! 僕に! 今更な重犯罪者レッテルだったね!!」

らいなー6「いきなり言われなき罪を擦り付けられて俺泣きそうだよ!? でも前の俺のおかげで俺が死んだ直後に何をすればいいか学んだみたいじゃないか! よしよし! これでお前1人になっても何とかなる!」

べるとると「な、撫でないでよ! ……結局、前のライナーに『逃げろ』って言われたから逃げられただけだもん……やっぱ僕1人じゃ何にも出来ない……無理なんだよ……!」

らいなー6「でもこうして『お前が無傷でいる』ってことは、前より成功してるんだよ!」

べるとると「……僕、何もしてない…………」

らいなー6「前の俺も、そのお前の俺も、そのまた前の俺もお前の元に駆けつけたとき……重症だったんだろ? それが今は無傷だ。よくやった!」

べるとると「う……うううう……違う……違うんだよ……!」

らいなー6「もう壁まですぐそこだ。辿り着く前にお前が何歩も成長したなら良かったんじゃないか? 前の俺も死に甲斐があっただろ!」

べるとると「キック!!!」

らいなー6「人類は気付いた痛い!?」

べるとると「そこは同じなんだね!」

らいなー6「今、ただただ俺の反応を試すだけにキックをしたよな!? それならもっと良い方法とかあったよな!? 本当にベルトルトのキックは人類が奴らに支配されていたことに気付くほど痛いんだぞやめろよぉ!!」

べるとると「そろそろ休もうよ! 僕歩きすぎて疲れた!」

らいなー6「休んでやるけどせめて謝ってほしいなぁ!!」

べるとると「ライナー、ご飯は?」

らいなー6「謝らない気だコイツ!? メシなんて持ってねーよ! 来たばっかだからな! 前の俺はあっちで食われて死んだんだから荷物なんて何も持ってねーよ!!」

べるとると「うん、今までもそうだったよね。だから、ハイ」

らいなー6「おっ!?」

べるとると「ご飯はね、僕が持つようにしてるんだ。食べよ」

らいなー6「さんきゅ! 食ってさっさと寝るか!」

べるとると「うん」

らいなー6「もぐもぐ!」

べるとると「ライナー」

らいなー6「ん?」

べるとると「お話して」

らいなー6「……あ?」

べるとると「ライナーはいつも食事中、何かお話をしてくれるんだよ」

らいなー6「そうなのか?」

べるとると「……今回の君はそういう反応をするんだ。みんな微妙に違うんだね」

らいなー6「前のライナーとの記憶は継続しないって前任者から説明を受けてなかったのか?」

べるとると「その話はちゃんと聞いたよ。ずっと前のライナーに」

らいなー6「あー、じゃあ、えーとなー」

べるとると「もぐもぐ」

らいなー6「…………壁の中ってどんな所だと思う?」

べるとると「あ、今回はガンダムじゃないんだね」

らいなー6「今までガンダムの話をされてたのかッ!?」

べるとると「2分の1ぐらいの確率で初日はガンダムの話だよ。でも他のライナーも初日にしないだけで全員ガンダムは好きだったみたい」

らいなー6「何者だよ俺達!? でも俺はガンダムSEEDしかちゃんと見てないぞ!」

べるとると「けどデスティニーだけじゃなくスピンオフ作品のアストレイまで読んでるんでしょ?」

らいなー6「その通りだよ! お前よく知ってるな!? どんだけガンダム好きなんだよ!?」

べるとると「僕じゃなくてライナーがガンダム好きなんだよ! 僕は初日のたびにどのガンダムが好きかって問われるところから君との関係が始まるからいつの間にかガンダムに詳しくなっちゃったんだよ! 僕、ちゃんと実物見たことないもん!」

らいなー6「壁の中の話よりガンダムの話をしようか?」

べるとると「それは明日からでいいから君がしたかった話をしようよ!」

らいなー6「そうだな! ……で、壁の中の話だが……」

べるとると「うん」

らいなー6「面白いカラクリがいっぱいあるらしいって話は聞いたことあるか? そりゃガスを噴出してワイヤーとを絡ませないようにして大人一人を持ち上げるようなモンがあちこちあるような場所なんだから、きっと……!」

べるとると「うん、知ってる。前にライナーが話してくれた」

らいなー6「……じゃあ、映画ってものがあるっていうのは」

べるとると「うん。それも前の前のライナーが教えてく……」

らいなー6「寝るッ!!」

べるとると「もう話さないの!? まだ僕、2つしか話の腰を折ってないじゃないか! 諦めるの早すぎじゃないのかい今回の君は!?」

らいなー6「俺は今猛烈に不機嫌だ! 寝る!!」

べるとると「も、もっと話そうよ……まだ君とは初日なんだから……!」

らいなー6「寝る!! 俺は疲れた! さっさと寝ろぉ!! じゃないとケツの穴掘るぞ!!?」

べるとると「そうだ訊きたいことがあったんだ! なんでライナーは毎回ケツって単語が好きなんだい!? 君の根本に何があったんだい!? どうしてそんなにケツという言葉に対して深い感情を……!」

らいなー6「うるさい俺はそんなにケツケツ言ってないやい! まだ1回だけやい!! だから寝ろ! 次の朝のライナーはうまくやってくれることでしょう!!」

べるとると「うまくやってくれなきゃ困るよ! 君のことがよく判らなくて連携が取れないのはもっと困るよ!! だからライナーの話、いっぱい聞かせてくれよぉ……!」



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べるとると「……ひっく……ぃっく……!」

らいなー7「…………」

べるとると「ということが、ね……えっぐ……ライナーとね……あったんだよ……それでね……!」

らいなー7「……おう」

べるとると「で……結局……ライナーはいっぱい話を……してくれたけど……なんでそんなにケツケツ言うのかは……教えてくれなかったな……!」

らいなー7「……そうか」

べるとると「なんで……なのかな……教えてくれないのかい、君は……ひっく……!」

らいなー7「さあな。もう死んだ俺の考えていることなんて判んねーよ」

べるとると「だ、だよね……ごめんね……君にも……前の記憶、無いんだった……ごめん……ごめん……えぐ……!」

らいなー7「……ベルトルトが泣き止んでくれたら理由を話してやっていいかもな!」ギュッ

べるとると「そ、そんなに訊きたい話でもないんだけど……!」ギュウ

らいなー7「じゃあ言わないでいいよな。それとは別に泣き止めよ! 目真っ赤になってるぞ!」ギュウギュウ

べるとると「うう! もう泣き止む! ごめんね! あとちょっと苦しい! ぎゅうぎゅうしないで……!」

らいなー7「はは、よしよし!」

べるとると「…………。ありがとう、落ち着いた……もう僕、大丈夫……明日からちゃんと動く……」

らいなー7「ああ、ちゃんと動いてくれよ。まあ、お前は失敗なんてしないだろうけどな」

べるとると「……失敗したから、巨人に捕まって……ライナーがいつも食われているんだよ」

らいなー7「そうだけどさ。俺がここ1週間見てる分には、お前の避け方が神業的に上手く見えるんだが?」

べるとると「それは、全部……ライナーのおかげだよ……」

らいなー7「うん、そういうことなんだな。しっかり俺に感謝しておけよ!」

べるとると「……感謝しても……君には……感謝しきれないよ……いつも守ってもらってばかりで……君が指示を出してくれるから……」

らいなー7「俺の指示が無くてももう大丈夫だろ?」

べるとると「……僕、巨人を前にすると怖くて……動けなくなって…………それで君が……」

らいなー7「寝るか。そろそろ体力を温存しておかなきゃ本番に動けないからな。ちゃんと寝るんだぞ。おやすみ!」

べるとると「…………」

らいなー7「…………」

べるとると「…………」ゴソゴソ

らいなー7「……なんだ。いきなり腕を引っ付いてきて」

べるとると「……いつもライナーはね……寝るときに、僕をぎゅっとしてくるんだ……」

らいなー7「俺、そんな子供っぽいことしてたのか?」

べるとると「……ライナーも僕も、子供だもん……だから、いいだろ……だめ?」

らいなー7「いいけど。判った。ほら、こっち来い!」

べるとると「……ん」

らいなー7「よしよし!」

べるとると「……ん……」

らいなー7「おやすみ」

べるとると「…………ライナー」

らいなー7「んー?」

べるとると「……その……やっぱライナーは子供じゃなくて……」

らいなー7「は?」

べるとると「……ぎゅ、とか。ちゅ、とか……。大人っぽいこと、僕にしてきたっていうか……。なのに、どうして君はしてこないのかな……?」

らいなー7「お前、そうやっていつも俺を誘っているのか?」

べるとると「ち、違うもん! 途中までライナーの方から触ってきてたんだよ……!」

らいなー7「と言うことは、途中からはベルトルトから誘ってきたってことじゃないか!?」

べるとると「ライナーのバカ! こんな僕にしたのは君だろ!!」

らいなー7「冤罪だ! 俺を今までのケツ好きの変態どもといっしょにするな!」

べるとると「…………違うの?」

らいなー7「少なくとも俺は違う! ほら、ガンダムの好みが違ったみたいに俺それぞれにも個性があるっていうか! 今までの俺とこれからの俺は全然違うんだよ!」

べるとると「でも君、Gガンダムが好きって初日に言ってたじゃん!」

らいなー7「他のシリーズとGガンダムは決定的に違うものがあるだろ!?」

べるとると「でも大抵の君は僕のこと掘りたがるじゃないか! ライナーってそういうものなんだろ!? 僕に惚れるんだろ!?」

らいなー7「お前大した自信だなぁ!? 消極的で内気で引っ込み思案なベルトルト=フーバーはどこにいったよ!? 仮にも初対面の幼馴染に対してそんなこと言うなよ、このビッチトルトが!!」

べるとると「初対面の幼馴染って違和感の塊だね! 久しぶりに言ったよ! で!? 触るか触らないかハッキリしてくれよ!! この淫乱ビッチトルトを前にしてライナーは我慢できるって言うのかい!?」

らいなー7「あざっす触らせていただきます! 俺が死ぬ前に俺の童貞貰ってやってください!!」ガバッ

べるとると「んっ」

らいなー7「…………」

べるとると「…………」

らいなー7「…………。ベルトルト。なんで泣いてる?」

べるとると「ひっ……えっぐ……これは……生理的な涙ってやつだよ……真剣なエッチを描く小説でよく見られるツウッと宝石のような輝きを放ち流れるっていう……!」

らいなー7「そんな小説知らねーよ! なに読んでんだ!?」

べるとると「…………ライナーが……死ぬ前に、とか、言うから……だよ! 前のライナーの最期を……いっぱい……思い出しちゃったじゃないか……!」

らいなー7「ん……」

べるとると「……えっぐ……ひっく……」

らいなー7「ああくそ! 前のことはよく判らないんだよ! ……最後にすんぞ!!」

べるとると「えっ……?」グスッ

らいなー7「シガンシナ区の壁は目前! アニと約束した日は近い! そこまでだったら何事も無く行けるだろ! 俺とお前だったら! だから俺の最期は最後にする!!」

べるとると「う……一瞬意味が判らないよ……」

らいなー7「一瞬じゃなくていいから判れよ!!」

べるとると「…………」

らいなー7「……一緒に行こうな」

べるとると「……うん」

らいなー7「……俺を最後にさせてくれ」

べるとると「…………」

らいなー7「信頼してる。お前はここまで来る間、色んな経験を積んだんだから……もう俺が言わなくったって」

べるとると「ライナー! キスしよ! エッチ中にキスをしなかったライナーはいないよ!」

らいなー7「お、お前な!」

べるとると「…………」

らいなー7「…………。もうすぐなんだから……頑張れよ……」



 /8

べるとると「……」

巨人「ウガー」ガジガジ

らいなー8「ひっ……ぎっ……」

べるとると「……」

巨人「ガー」ガジガジ

らいなー8「ひっく……えぇっぐ……」

べるとると「……」

巨人「アー」ガジガジ

らいなー8「ぐぐぐっ……っぐ……ひっく……」

巨人「アーアー」ガジガジボキッ

らいなー8「ううう……えぐ……っく……」

巨人「グアー」ボキボキムシャァ

べるとると「……」

らいなー8「……ば、ばか……何、ぼうっと、してるんだよ……」

べるとると「……」

らいなー8「あ……お、お前……あの、な……ぐ、ぐぐ……」

べるとると「……」

らいなー8「……ぐっ……ば、か……」

べるとると「……」

らいなー8「…………」

巨人「ガア」ムシャボキムシャ

らいなー8「……」

べるとると「……」

巨人「ガ」ボキィッ



 /7

らいなー7「あ、最後、とか言った、のに、ごめ……また、同じになっ……ちまって……」

べるとると「……」



 /6

らいなー6「お、れ……まだ……話してないこと、あっ……て、話し、たっ……い……」

べるとると「……」



 /5

らいなー5「おま、えを、見捨てること、なんて、でき……」

べるとると「……」



 /4

らいなー4「前、の奴より、俺は、お前を、守っ」

べるとると「……」



 /3

らいなー3「ヘマ、した、ごめん、いっしょに、帰、やくそ、く」

べるとると「……」



 /2

らいなー2「ベル、逃げ」

べるとると「……」



 /1

ライナー「ベルトルト、お前だけでも生きていてくれれば、俺は……!」

べるとると「らい、な」

ライナー「逃げろ!!」

べるとると「!」ダッ

ライナー「…………」



ライナー「やっぱ、あいつ……俺の言うことは……ちゃんと、聞」ゴリッ



 /8

らいなー8「なんでぼうっとしてるんだよ!!? 黙って見てるだけかよ!?」

べるとると「だって! どうしたらいいか判らないんだもん! 何度も言っただろ、僕は怖くて何も出来ないって! ……何もしてないって!!」

らいなー8「いつもそうなのかよ! そうだったのかよ!? 『今までのライナーのおかげで逃げられるようになったんだ』じゃないのかよ! これだけ犠牲にしておきながら!!」

べるとると「君が身を挺して右に逃げろって言ってくれたから右に逃げたんだ! それだけだよ!!」

らいなー8「『無傷で済むようになったんだ』じゃないのかよ! これだけ俺達が死んでいながら!!」

べるとると「君が身を挺してしゃがめって言ってくれたからしゃがめたんだ! 走れって言ってくれたから走ったんだ! それだけだったんだよ!!」

らいなー8「それじゃあ俺が居なきゃ何にもできないただの子供じゃないか!?」

べるとると「そうだよ! 僕は何にも出来ないただの子供なんだよ!!」

らいなー8「お前だって選ばれた存在だろ!? なのに、どうやってこれから生きていくんだよ!?」

べるとると「ただ大きいだけの巨人に何ができるんだよ!? 今まで助かってきたのは君がいてくれたからだ! だから! これからも! 君に寄りかかって生きさせてくれよ!」

らいなー8「そんな奴に命を預けなきゃいけないこれの先の俺のことも考えろよ!!」

べるとると「いっぱい考えてるよ! だから悔しくてこんなに涙が出るんだ!! これだけ君を殺して悔しいって思ってるから泣いてるんだ!!」

らいなー8「じゃあ前に進んでくれよ! 俺達を安心させてくれよ!! 俺達はお前を殺したくなくて、次のお前はうまくやってくれると信じて、俺達は……!!!」

巨人「」ゴクン



べるとると「…………」

べるとると「無理だよ」

べるとると「きっと、あと5年経ったとしても、僕には無理だよ」

べるとると「君に頼らず生きるなんて。そんなの」

べるとると「僕は、君の言われた通りにしか、動けないんだもの」

べるとると「う」

べるとると「ううう」

べるとると「う」

べるとると「早く」

べるとると「早く、来て、ライナー」

べるとると「じゃないと、死んじゃうよ」

べるとると「駆けつけてくれなきゃ、僕」

べるとると「来てよ」

べるとると「ライナー」

べるとると「来ないの?」

べるとると「僕から動かなきゃいけないの?」

べるとると「やだ」

べるとると「君の声がないと、死ぬ」

べるとると「そう」

べるとると「君の声があれば、生きていけるんだ」

べるとると「そうだよ」

べるとると「だから」

べるとると「……ライナー……」



らいなー9「――――」



 /9

あに「…………ベルトルトの奴、約束の時間ピッタリに来たね。やっとと言いたいけど、時間通りだから黙っておこうかな」

らいなー9「ここまで来る間に前任者の俺が食われたんだ。少しぐらい遅れても仕方ない。なんとか1人で逃げてきたんだから後でちゃんと褒めてやろう」

あに「なんでアンタ、すぐにベルのところに駆けつけてあげなかったの?」

らいなー9「もう目的地近くだったし。アニのことだって心配だったし。それに、ベルトルトは本当は大丈夫だと信じたかったから」

あに「……今更だね」

らいなー9「ああ。……なんでか判らないけど、今回はすぐに駆けつけてやったらいけないと思ったんだ」

あに「アンタ、ライナーのくせに珍しいことを言うね。本当にライナーかい? すぐにベルのところに駆けつけてアレコレしろって言ってあげるのがアンタという男だったのに」

らいなー9「……それじゃ、駄目だったんだよ。8人犠牲にして、8人分辛い想いをさせてようやく気付いたんだ。何故か判らないけど、どっからともなくそういう情報が届いたんだ」

あに「8人分のアンタの亡霊のせいかね。よく判らないね。で、何が駄目だったの?」

らいなー9「ベルトルトを俺無しでいかせること」

あに「それ無理だろ」

らいなー9「無理だった。気付いた。ようやくな」

あに「酷く疲れた顔だね。アンタは何もしてない童貞のくせに」

らいなー9「言うなよ。その代わり判ったこともある」

あに「なに? ……あ、ベルが来たよ。ベル、元気?」

べるとると「………………アニ、久しぶり」

らいなー9「よう。よく無事だった。体力は大丈夫みたいだな。ベルトルト、いけるな」

べるとると「…………」

らいなー9「壁を壊すのはやっぱり怖いか。だけどこの任務のためにお前はここまで頑張ってきたんだから……判ってるな」

あに「巨人は私がちゃんと呼び寄せる。ライナーだって準備は出来てる。だから……ベルも、やれるね?」

べるとると「…………」

らいなー9「やれるよな」

べるとると「…………」

らいなー9「これから俺達は悪魔の末裔共の拠点に入る訳だ。……今後、俺は補充されない。壁の中までは俺は飛んでこられないから」

あに「アンタが今まで飛んでくる方がおかしかったんだよ!」

らいなー9「それを言うな! ……もう俺が死んでもお前を守る奴は現れない。それだけはちゃんと頭に入れておけよ。でも、今までいっぱい学んできたから、大丈夫だよな!?」

べるとると「大丈夫」

あに「……おっ……」

べるとると「ライナー。はっきり言って。僕に」

らいなー9「…………」

べるとると「指示を。ライナーの言うことだったら守れるから」

らいなー9「…………。結局お前は、8人犠牲にしても成長してない」

べるとると「ううん。ライナーの言うことだったらちゃんと守って成功させるって自覚はできたんだよ。1人で何かをするのは無理だけど、君が言ってくれたことは必ずこなす。それだけは自信ができた」

らいなー9「…………」

べるとると「この自信は紛れもない訓練成果だと思うよ。ライナー、どんなことでもやるから言ってみて」

らいなー9「…………。ベルトルト、巨人になって壁を壊せ。壊したらすぐに逃げろ。アニの巨人の方に向かえ。すぐにアニが回収してくれるから。何も考えるな。壁内の人間を滅亡させることだけを考えろ」

べるとると「うん」



アニ「時間だ」

ライナー「故郷に、俺達と一緒に帰れ。……行け!」



ベルトルト「うん」ガリッ




END

ショタライナーが多すぎてかわいい。ショタベルトルトは1人ぼっちでかわいい。ガンダムが好きな複製体ライナーと何にも出来ないベルトルトくんのテンションの高いギャグ。真面目な長編を書いている中、息抜きに鬱でも飲みましょう。ピクシブで募集したアンケートに「謎のハイテンション」と「ショタライベルの鬱」があったので、配合して「謎のハイテンションのショタライベルの鬱」にしてみました。思いついたらやらずにいられなかった。
2013.11.30