■ do do.



 なぁに。寝台に忍び込んで来るのがそんなに驚くようなこと? そんな顔見たくなかったよ。

 どうしてさ。いつだって僕とシていたじゃないか。別にそこがベッドじゃなくたっていっしょになってた。あんなに沢山求め合っていたのにこの躰になったら気が引けるの? 可笑しいの、不思議なの。そんな普通の人間らしい言峰なんて想像もしなかったな。きっとお兄さんが聞いていたなら全力で否定するだろうね。『お前に人間と言うだなんて』って。でも言峰は人間で全くその通りなのに、何でこんなに可笑しいんだろう。

 確かにこの小さな躰じゃ直接スイッチを入れるのも大変だし、挿れるのも大変だし。言峰の大っきいの入らないだろうし、もしかしてそれをしただけで死んじゃうかもしれないから気が乗らないのも十分に判るけど。子供の僕は率直だから考え無しに強請ってるとか思ってるんでしょう。言峰は大人だから特にそう考えてるのもあるだろうけどさ。

 でも、だからってちっとも触ってくれないのは極端過ぎると思わない?
 淋しくて抱いてほしいって思うのはいけないことなのかな?

 あの行為が特別好きって訳じゃなかったけど、毎回していた事がいきなりしなくなるのは気分が悪いからさ。……この躰は弱いから? それとも、『もう僕のことを愛してくれなくなった』とか?

 そんな気持ち悪い顔しないで。言峰は笑うかもしれないけれど、これでも僕は真剣に訊いているんだよ。大切なマスターが自分を求めなくなったんだから心配してるんだ。それも全て僕がこんなに変わっちゃったせいなのかなって。だって、確かあれからだよ。言峰と僕と、『あっちの僕』との関係以来。

 あぁ、昔はすごくたくさん色んなことシたよね。大きい方だって嫌がっているようにしか見えなかっただろうけど、何もしないよりは良かったさ。それも全部無くなっちゃって、すごくつまらないって思ってる。大きい僕もあんな風に見えて楽しがってたし、とっても嬉しがっていたんだよ。だって大きい僕は言峰のこと、大好きだったんだから。……嘘はついてないよ。今だって、――――――ほら、こんなに欲しがってる。

 分かるよね? 意地っ張りな大きな僕もそうだけど、小さな僕だって大好きなんだ。僕もあっちも同じなんだから、僕が求めているんだからあっちも求めているってこと。
 あっちは何も言い出さなかっただろうけど、僕はあっちよりちょっと素直なんです。素直な子供だから、欲しいものは直ぐ口にしちゃうんです。いくらでも言うよ。してくれるまでずっとここから離れないんだから。早くあげないと泣いちゃうよ。……ねぇ、ここまで言わせておいて、させない気?

 はは、観念したようだね。何で困ってるの? もう今日のお仕事は全部終わったんでしょう? だって僕、それを狙って来たんだから。

 大丈夫、自分から誘っているんです、ちょっとのリスクぐらいどーってことありません。言峰が心配していることなんて何とかなるよ。それこそ『愛の力』でも何でもさ。なーんて、情に脆い魔術師みたいな事は言わない方がいいかな? え、寒気がした?
 心配なんかより、誘いを受けてくれた嬉しさの方がずっとずっと大きいんだから、もう何でもこいって感じです。



 ねぇ分かってくれるよね、僕がすっごくしあわせだってこと。不感症な言峰に言って完全に理解してもらえるとは思っていません。けど僕はしあわせなんです。
 だって、大好きなマスターに抱かれているんだから。





 END

 05.11.27