■ 俺とお前とお前の関係



 ―――結局俺達って何なんだ?



 朝起きて、隣に眠る二人を叩き起こす。

 ―――オラァッ! 早く起きやがれ!!

 文句を聞き流しつつ二人の準備をしてやって、飯を食わせて今日の予定に出発。
 訓練でミスりそうになった時はカバーしてやり、怒られる時は……嫌だが三分の一ぐらいは庇ってやる。
 また飯を食わせてやって整備調整に入って、直ぐ飽きてうざいだのつまんないだの言う二人に喝を入れる。

 ―――それは自分の機体だろっ、自分で整備しやがれ!!

 時には手伝ってやることも屡々。
 休憩時にはお互いの趣味を尊重しあい俺は読書を……しようとすると構えとどちらかが手を出してくる。クロトだったゲームを一緒にしよう、シャニだったら枕になれ、と。時々同時に来る事があるが、その時はシャニを左膝に寝かせておいて右側にクロトを置く。云時間続く訓練よりもこの休憩の方が俺にとってはキツイ時も有る。
 そんな事をしていれば次の時間、夕食と薬を貰って部屋に戻る。薬はマズイから飲みたくないと言うがその時はどんな手を使ってでも飲ませる。

 ―――早く飲めっ、また苦しい想いをしたいのか!?

「……でも、だって……」
「僕は、僕はね…………この薬大嫌いなんだよっ!」

 叱る度に泣きそうになる顔を見るのは心が痛い。だが二人の為にもきつく言って自分も飲む。…………ずばりマズイ。
 就寝時間だと言われ部屋に閉じこめられる。今度こそ読書が……と思うがまだ甘い。再度構えと二人が襲いかかってくる。先に俺のベッドを占領しているか、服を脱いでやってくるかのどちらかだ。……後者の場合、後で俺が脱ぎ捨てた二人の服を回収しなくてはならないのでまた叱る事になる。いいかげん学習しろ。とりあえずまだやると決まってない段階から脱ぐなよオラァッ!!

 夜は、……俺がストレスが堪っていない限り二人に任せる。成る可く会話には加わらない。加わると後が大変になるからだ。とにかく黙って二人の話を聞いている。

「今日はシャニが下だからね!」
「……クロトがやれ〜」
「僕は昨日やった!」
「……俺、三日連続だった〜」
「昨日オルガ元気だったから僕疲れてるんだよっ」
「俺、今日寝違えたから……」
「じゃあ先に寝てれば?」
「…………クロトうざ〜い」
「何をーっ、撃・滅!!」
「うっせーよお前らぁ!!」

 ……寝間着で戦争が始まる。つい早とちりして早めに脱いでしまった体が寒い。とりあえずこのままだと枕投げの開戦してしまうので、喧嘩を止めに入る。何度目注意なんだよお前等。
 こんな感じな一日を送っている。あまり変わり映えのない生活だが退屈はしない。疲れるとは思うが、二人との関係は満足している……筈だ。

「……辛いんだったら、今日はしなきゃいいだろ」
「えー……っ、ヤんないの……?」
「別に俺はいいけど、苦しいんだったら我慢しないで言えよ。ホラ、自分の寝床戻れ」
「じゃあ今日はやめよっか……。でも僕はオルガと一緒に寝るよ!」
「ん〜……俺も〜……」

 寝間着の二人がベッドの中に入ってきた。
 左腕を枕にシャニが入り込み、右側にクロトが抱きついてくる。

 ……ていうかまだ俺、早とちりの裸状態なんですけど……?

「…………おぃ、どけ……」
「いや〜、オルガはハダカ〜……」
「全・裸!で寝ろよっ!」
「……」

 腕を枕にしているシャニは退く気など一切無く目を閉じ、クロトも同じように引っ付いたまま離れようとしない。
 囲われて、着物をひったくられている一人……。
 端から見れば妙な絵図だ。

 ―――退けやオラァ! 服着させ…………

「……まぁ、いいか」

 最後のはつい諦めて自分も瞼を閉じる。
 ……一体一日にどれくらい彼奴等見てんだ、と嫌気がさしながら。





 END

 04.3.12