■ 「 SEXしなければ出られない部屋×ぐだ新殺 」
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「アサシン……それが、アサシンの真名?」
「その通り。もうマスターに隠し事をするのはやめるよ。我が主、我がマスターよ。この天巧星・燕青、命の全てを捧げてお仕えしよう」
「アサ……え、えんせい……」
「…………なーんてね。格好つけたが、単に自分が素直になりたかったからさ。あ、今更真名で呼ぶのも難しいよな? いいよ、マスターの好きな方で呼んでくれ。真名を明かしたのはマスターを信頼しているからさ。この拳はあるじと共にあると誓う。遠慮なく、こき使ってやってくれ」
「……その。アサシン、オレ達、何も変わらないよな?」
「マスターにとって絆ってやつは、そう簡単に無くなるものかい?」
「いいや! ……その、オレも素直に喋るのは苦手だって、ずっと一緒にいたなら判るだろ……? あっ、で、でも! 真名を教えてくれたのは嬉しいよ、本当だ!」
「判ってるってマスター。……さて、早速騒ぎに行くとするか。いつも通り頼むぜ!」
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知らない男達に跪き、身を晒す燕青。オレのサーヴァントがある男の性器に口付け、唇で奉仕を始める。
凛々しく猛々しい立ち振る舞いの彼はいない。オレをからかうことが好きだと陽気に笑っていた彼もいない。けどあの声は、間違いなく燕青だった。
切れ長な目。長く美しい黒髪。薄汚れた着物の下には誰もが見張る華やかな刺青。オレが知る燕青が、喉でペニスをシゴき上げていく。
……なあ燕青、何をしている? どうしてそんなことを?
唖然とするオレを無視して、燕青は男棒に身を任せていた。
「さっさとしゃぶれ。後がつっかえているんだ。お前さんだって早く飯が欲しいだろ?」
卑しい男に命じられ、ジュルジュルと水音を立てる淫猥なパフォーマンスが始まる。
付き纏う淫音はその気が無くても加虐心が燃え盛りそうで、今の彼は大勢を愉しませる見世物となっていた。
「こいつ、あの質屋で働いていた坊主だろ? 今日も何かい、旦那の命令でここに?」
燕青は何も口応えをしない。纏う薄布を乱暴に剥がされても体を差し出すだけだ。
白い肌に厭らしい指が何本も這い、華麗に咲く花々を弾いていく。
男の一人が「喘げ」と命じると、燕青は小さく謝罪して声を上げ始めた。
「ぁ……。ぅん、はあ、ふぁ」
何故そのような命令に従わなければならないのか――燕青には欲しい物があった。そのために男達に従順になっている。
全ては、『どうか飯を』、このために。今日の食事のためだけに。
しかもその飯は自分のものじゃない。燕青はここにはいない主人のために陵辱を受けていた。
彼は他人のために、自分を穢すことを躊躇わない男だった。
「ほら、しっかり受けとめろ。本当は早く挿れてほしかっただろ?」
衣服を剥がされた燕青は四つん這いにされ、犯され始めた。
「あっ、んんぅっ、太いぃ、ああっ……」
「気持ち良いか? いきなり突かれても感じちまうなんて、大した奴だ」
「あうっ、んんん、大きくて、中ぁ……いいよぉ……んんぅっ」
男がガツンガツンと激しく燕青を責め立てていく。
燕青が声を上げれば、また大勢が興奮する。絶え間なく続く淫靡な歌声に、違う男が下卑た肉棒を口へと突っ込んだ。
そうして前も後ろも、両掌も、刺青が刻まれた背中も腹も。加害者と共犯者達は揃いも揃って彼へ精を注ぎ込む。
――ところで。『英霊と契約したマスターは、サーヴァントの生前の記憶を夢として見る交感現象がある』らしい。
守護英霊召喚システム・フェイトによる契約関係では滅多に発生しないようだが、どうして今になって燕青の過去を見てしまったのか?
考えられるとしたら……ようやく『新宿のアサシン』がオレに真名を告げ、真のマスターだと認めてくれたから? オレも彼をもっと知りたいと強く想ったから……?
これは自分なりのこじつけだが――かつて燕青は、主人のため翻弄した男だった。
金も立場も失い、忠誠心だけで主人を追ってどんなことでもしたという。燕青が過ぎた男であると星に記憶が刻まれていて、英霊を創る一端としてこの陵辱劇が含まれていた。
強い絆で結ばれたオレは燕青を知りたいと想うあまり、この記憶を読み取ってしまった……?
そんなまさか! 酷すぎる! いくら美談でも今のオレは知りたくなかった!
男に突かれて悶絶し、舌を出してペニスを強請る姿なんて……だって、こんな夢を見てしまったら、これからどんな顔をして彼と会ったらいい? きっと性的な目で見てしまう!
そんなの、彼と親友でありたい藤丸立香には拷問でしかなかった。
夢の中で精液を浴びる彼を見て、ひどく興奮するオレ。
そのときからオレは、立派な陵辱者の仲間入りを果たしていた。
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「目覚めたとき絶望したよ。オレは親友をオカズに卑猥な夢を見た。これからどんな顔をしてアサシンに会えばいいんだって……一人で汚れた下着を洗いながら……情けない話だけど泣いちゃったんだよ」
この程度で泣くなんて馬鹿らしいかな。けどオレにはこれ以上無い一大事だった。
だって燕青はオレの大切な友人だった。炎の中で戸惑うオレとマシュの前に現れた最初の希望で、戦いなんて何も判らぬオレを導く先生でもあり、そして……どんな場所でも傍にいてくれた戦友でもあった。
「それほど大事な人だったから、アサシンを夢で穢してしまったことがショックで……」
「んんぅ、んはっ……。寂しいことを言ってくれるねマスター。『大切な友人だった』とか『大事な人だった』とか。もう過去の話なのかい?」
「今も友人だと思っている、アサシンはオレの大事な人だよ! ……しゃぶって」
「ああ、一休みしていただけさ……。あむっ」
燕青はフェラチオを再開する。太く反り立つ肉棒を咥えた彼は、わざとらしく音を立てて喉でシゴいていった。口内全体で包み込み、時に口を離してペロペロと舐める。
さらには舌で尿道口を突く技すら見せた。男が興奮するポイントを熟知しているようで……思わず気分良く空いた手で、艶のある黒髪を撫でてしまう。
「アサシン、凄く美味しそうにしゃぶるね……これ得意だったの?」
「んん、んぷぅ、じゅるっ、ぁっ、ふぅ……。そうでも、ないよぉ」
夢の中にいた男達は燕青の頭に精液をかけたり擦りつけていた。
オレはしない。絹のような柔らかな髪を愛撫するだけで満足だ。それだけで腰を震わせてしまうぐらいだった。
「ああ、アサシン、その動き。オレ、それ『見るの』好き……もっとチュウチュウして」
「じゅる、じゅるぅぅ、んんんんぅぅ、ふぅ、んんぅっ。……んぁっ!」
突如、燕青が咥えていたペニスが予告無く射精した。
今日だけで何度このペニスは精を放つ気だろう? もう何本目だろう?
喉へ熱い濁流を流し込んだペニスが後ろに下がる。そしてまた、新しいペニスが現れた。
「アサシン。全部飲んで。出来るよな? あんなに大人数を相手にしたときだって……いっぱい飲み込んでいたもの」
「んはっ。マスター、それは……言ってくれるなよぉ」
苦々しい顔をしていた燕青だったが、最終的には全て白濁液を飲み込んでくれた。
どんなことでも主人のため身を捧げる自己犠牲の心。
それが良い。美しい。それこそ彼が英霊となった証拠であり……美しいと同時に、悲しいとも感じてしまう。
そうだ……オレは、やめても良かった。
燕青の口から「こんなことしたくない」と言い出してくれたなら終わっても良かった。
燕青が素直な言葉でオレを拒否するなら……オレは泣いてしまうかもしれないけど、尊重しよう。
だってオレは自分に素直になって今がある。同じように燕青にだって素直になってほしい。
我儘を言っている自覚があるからこそ、燕青の意思を大切にしたい。
嫌なら嫌だと言ってもらいたいし、気持ち良いことを求めるなら更なる快楽を与えてあげたかった。
「マスター。満足したかい?」
ふと、燕青の口元から流れる溢れた涎を見つけてしまった。一滴の雫だけでエロチシズムを感じずにはいられない。
尊重したいと思いながら、また自分本位に事が進む。
ああ、またその口に溢れんばかりの精を注ぎ込んだらどんな顔をするかな。ペニスをブチ込んだら、激しく犯したら。
オレを見る従順な瞳にさらなる欲求がこみ上げてくる。
「満足できない。もっとしたいよ。……ううん、ううん、オレはしたいんじゃなくて、本当は……アサシンに……」
「何でも言っていいよぉ。まずは……下ろして。『こいつら』を、下ろして」
笑う燕青が周囲を取り囲む何十本ものペニスを拒絶したので、オレは素直に全てを消滅させた。
「アサシンの肌っていつ見ても綺麗だよね。刺青の話だけじゃないよ。すべすべして気持ち良くて、ずっと撫でていたくなる」
オレの『膝に乗ってもらいたい』という素直な要求に、燕青は困った笑みを浮かべながらも従ってくれた。
二人羽織りをするかのように燕青の背中をギュッと抱きしめる。
「そりゃどうも。この体は俺が唯一自慢できるものでね」
似た身長でも体格は燕青の方が逞しいので、後ろから抱いても腕の中に収まらない。
それでも抱き締め、燕青の肩に顎を置き……おもむろに耳を舐めてみた。
「ぁっ! ち、ちょっと待ったマスター! それ恥ずかしいって!」
彼の耳に舌をこじ入れながら、両手は体を弄る。
すっかり勃起したままの乳首をこねくり回すと、予想通りか細い悲鳴を上げた。
「マスター、やめ、ぁっ、あっ、胸っ、クリクリって……そこは、ぁっ」
「こんなの物足りない? オレ……アサシンの乳首を苛めるのが好きだから、ついね」
背後から乳頭を指で弾き、ついばみ、また弾く。
親指の腹でどちらも均等に刺激し、押し潰し、キュウッと強く引っ張ってみた。
「はぁっ、んぅっ! た、『大切な友人』じゃ、なかったのかよぉ。友人にこんな……」
「胸で感じるようになった世界が悔しい?」
「ぁっ! や、やめっ、乳首、それ以上っ、グリッて……んんぅっ……!」
――オレと燕青は長い時間、共に過ごしてきた。世界を救う戦いの中で、オレの傍には必ず燕青がいたぐらいだ。
彼との関係は、主人と従者の仲だけじゃない。年の近い兄弟のようで、駆け出しマスターと指導者で、苦悩を分かち合う大切な仲間で……。
大切で大切だったからこそ、オレは壊れかけた幻想と向き合えなかった。
『燕青は力強く猛々しい拳闘家だ』という実感と、『燕青は情婦だ』という夢で通じた雑音。
どんな過去があろうとも軽蔑なんてしたくないのに、オレは燕青の顔を見るたび興奮を覚えていく。
……ああ、どうしてオレは「傍にいてくれる燕青が一番だ」と叫べない!
どうして……男に組み敷かれる燕青のことばかり考えてしまうんだ!
「ぅぅう、マスター、ぁぅう! そこばっかり……くぅっ!」
「ジタバタしているアサシン、可愛いよ。うん、オレの本当の目的は……。んちゅっ」
「うぅぅっ! マスター! 耳にキスするのはぁ……頭が変になるぅ」
友人に対する情欲は高まる一方で、いつしか『自分も夢の中の男達のように燕青を押し倒したい』と考えるようになってしまった。
それだけじゃない。夢の連中に嫉妬までしてしまう始末だ。
美しい彼の淫らな表情をこの目に納めたくて、あいつらがやっていないことがしたくて、そうでないとオレは奴らに負けてしまうんじゃないかと思い始めて、愛の深さで敗北すると不安で不安で……!
だってオレは燕青のことが好きだ! 彼と一緒に過ごし、好きになってしまったんだ!
どんな姿だって見たいと思うのは当然だろ? これからもオレの傍にいて、隣で陽気に笑ってほしいと思うのは普通だろ? あいつらより良い想いをさせてあげたいと、あいつらがするより気持ち良くて楽しいことを味合わせてあげたいと思うのも……! だから!
「アサシン。嫌ならオレを吹き飛ばして。抵抗して。そしてここから出ていけばいい」
「あ、んぅ……出口なんて無いのに、どうやって出ていけばいいんだよぉ……。や、やめてくれ、本当に……頭が、融けそうなんだ……変になっちまう……」
オレが見た夢の陵辱者達は、こんな丁寧な愛撫をしていない。
鮮やかで華麗な刺青を撫で、乳首を調教し、耳から犯すなんてこともしていなかった。
これは、オレだけが燕青にしていること。オレが、燕青を大切だからしていること。
愛しているからこそ。そんな記憶と情報を、もっともっと増やしていきたかった。
この心、燕青だってもちろん判ってくれるだろ?
「アサシン……変になっちゃうのも良いけど、ちゃんとその姿をオレに見せてね」
「……マスターは、本当にオレのことが好きだなぁ。おそれおおい話だ……んぅっ!」
燕青の体がビクンと大きく震える。彼の両腕がおもむろに股間を隠した。
間近にある顔を覗き込むと、飄々とした彼とは思えないほど赤面している。
……まさか、乳首責めと耳責めでイったとか……?
その達成感と言ったら! 嬉しすぎて、前置き無しにキスをしてしまった。
ベッドがあるだけで二人しか何も無いこの世界、前置きなんて必要は無いけれど。
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どれだけ爛れた夜を繰り返したのだろうか。粗末な造りの寝台に寝かされている燕青は、侵入を許した巨根に咽せ返っていた。
何度も男達の性を浴び、男棒の往来に喘ぐ。濡れることのない体は暴力に悲鳴を上げ続ける。寝台に身を沈め、腰を高くして挿入を耐える燕青の姿は涙ぐましかった。
これもすべて主人のため。健気な従者は心を隠して行為に及ぶ。
……燕青の主人はこのとき捕らえられて拷問を受け、空腹に苦しんでいた。何も持たない従者の彼は忠誠心だけを胸に抱き、誇りを捨てて自分の体を差し出していた。
大男に貫かれた燕青が、半分も呑み込めないうちに限界だと首を振るう。
しかし男は止めない。燕青を金で買っているのだから、払う分だけ働けと虐げていく。
ガツガツと犯される燕青の憐れな姿を見て、周囲にいた男達が嗤う。
ひいひいと奇妙な呼吸すら楽しいというかのように、涙を流して嫌がる艶姿を肴に酒を飲んでいた。
涙を呑む燕青に、行為を終えた男が厭らしく暴言を吐く。
どんな責め苦よりも燕青にとっては主人を貶す言葉こそが苦痛だろう。けど、それで動転する彼じゃない。
主人の話をされた彼は、自分の為すべきことを思い出し、覚悟した顔で口を開いた。
「今の俺は……貴方様に使われるためにあります。もっと、ください。この卑しい穴に」
さっきまで悲鳴を上げた口は何処へやら。自らの指で尻穴をこじ開ける。先ほど放出された精液が、尻穴からドロリと滴り落ちた。
「いくら注いでもらっても……まだまだ足りません。この体、好きにお使いください」
そして、にこり。涙と涎が渇き切らぬうちに微笑みを浮かべてみせる。
優位に蹂躙を尽くしていた男達が皆、赤面していった。
数秒で淫靡な美青年の虜になり、問答無用で襲いかかる。
罵りもない。下手な小細工もない。ただ燕青の体に擦り寄り、中を揺さぶり、放出する。あっという間のことだった。
――あの淫夢は、夜のたびに訪れた。
夢を見たくないあまり眠りたくなくて、自室で読書に耽ることもあった。
すると燕青が現れ、ベッドへ連れて行かれた。
毛布を無理矢理掛けられて「寝ろ寝ろ」と笑顔で消灯される。
闇の中でも燕青がオレを大事に守っていてくれることを感謝しながら、オレは……あの淫夢に侵食される日々を送った。
虐げられ涙を流して悶絶し、かと思えば艶美に微笑む淫猥な過去。あれが燕青の愉悦の記憶なら何も感じなかった。
けど、そうじゃない。あれは燕青が心を殺して主人に仕えていた記録だ。
彼は使命感で自分を殺せる。陵辱の末に報われることもないのに。
いや、待つんだオレ。
彼は彼の信念で主人を守るためにした行為だ。友を侮辱してはいけない。
なにより、身勝手に彼を穢してどうして悦になっている?
くそ。オレは最低だ。
興奮している朝が悔しい。憂鬱になる。壁に何度も頭をぶつけたくなってしまうぐらいだ。
そんな葛藤が、何日も続いた。
……本当にオレは一体何をしているのだろう? こんなことばかり悩んで……オレにはしなければいけないことがあるというのに。オレにしか出来ない何かがあるというのに……何か……。
何って、世界を救うことだよ。
人理を救い、未来を救わなきゃいけない。
誰も「崇高な英雄になれ」とは言わなかったけど、そうならなければ果たすものも果たせない、守れるものも守れない……だというのに、今のオレはいくらなんでも俗物すぎる……友を無意識のうちに性欲の捌け口として使っているなんて!
マシュには相談できない。ドクターやダ・ヴィンチちゃんは何て言うだろう、「若いね」の一言かな……。
これって若いって問題なのかな……。オレ、どうして、こんな。
ああもう何も考えたくない。
ただ自分の殻に閉じこもっていたくなってしまった。
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オレの本当の目的は? やりたいことは? 願いは……? 何度頭を抱えても、言葉にするのは難しい。
燕青を抱きたい? ……ううん、嘘じゃないけど何かが違う。
燕青を……素直にさせたい。うん、これだ。
自分自身を潰して主人に仕えてきた燕青は、報われていい存在だ。悲しい別れをして、それでもなおオレの隣で従者として生きようとする彼に……ご褒美をあげたい。
恥ずかしがる必要は無い。自分なんかがと謙遜することもない。誰も見てない場所で、彼だけが満足する時間を与えてあげたい! ……他ならぬあるじであるこのオレが!
そうとなれば有言実行! オレには何でも出来るだけの力があるのだから!
「……マスターは、こういう趣味があったのかい。俺を置き物のようにしたい趣味が」
そんなオレの葛藤はともかく、まずは燕青を愉しませる準備を終えた。
とにかくベッドの頭のところに赤いロープで燕青の両腕を括りつける。
万歳のポーズで白いシーツに寝そべる彼の姿は、何度見てもセクシーだった。
「うん。自分でも驚いているけど、あったみたいなんだ。現に、ほら、オレ……凄く興奮してるでしょ。もうこの時点で満足しているぐらいには好きらしい」
ちなみに下衣も全部剥いでいる。上半身と同じく刺青が刻まれた両脚は、何も身に着けない状態でM字に開いて赤いロープで縛っておいた。
膝を折った状態で結ばれた足も、内に閉じられないように更に括りつけてある。
股間もアナルも剥き出しな状態で固定されているなんて、まな板の上の鯉みたい。
だけどこれから料理されるというのに、燕青は怯えもせずにオレを見上げて笑っていた。
「はは……満足してくれているなら外してくれるかね? さすがにこれは、恥ずかしい」
「いつも裸なのに?」
「マスター、それは訂正してくれ。俺がいつチンポを放り出していた?」
「あはは、ごめんよアサシン」
目を見張る程良い筋肉と、龍を刻んだ肩や腕、腹部に広がる鮮烈な刺繍。
ベッドに転がり腕を上げていることで秀麗な龍の顔や、鮮やかな花々を間近で観察できる。
拘束なんてしなくても、オレと燕青の仲であれば近くで刺青を見ることはできただろう。
けど敢えてこの姿勢で眺めたかった。
オレより逞しい燕青を下に敷く、全部オレの支配欲を満たすために必要な儀式だった。
「アサシン。前も言ったけど、オレはアサシンに気持ち良くなってもらいたい。アサシンが知らないような快楽を味わってほしいんだ」
両手首を頭の上に固定されて寝かされた燕青は、普段通りの調子で笑っている。
けれどオレが指を性器に触れさせると、空気が変わった。
そりゃそうだ。卑猥な格好で縛られ、敏感なところを刺激されたら。セックスに慣れていたとしても平常は難しい。
「…………マスター。手に持ってるそれ、何だ」
「バイブレーター。聞いたことはある? 孔に挿入してね、振動で性的快楽を与える道具なんだ。張型ならアサシンがいた時代にもあったと思うよ。……それと、こっちは電動オナホールといって、おちんちんを挿し込んで中を振動させることで……」
「マスター。……それ、『どこ』から出した?」
そんなことはどうでもいい。
引き攣っている燕青の唇にキスを落とし、舌を攫ってから剥き出しの性器にオナホを被せていく。
中は都合良くトロッと湿っていた(そのように創造したからだ)。窮屈な入口だったが、力を込めて奥まで入るように押し込んでやる。
すると燕青らしい「んぐぁっ!」と可愛い嬌声を上げてくれた。
「ぁっ、ぁふっ、ぅう……ま、マスター……」
「きつくて痛いことはないと思う。アサシンが一番感じる形を用意したし。ゆっくり腰を引いて……って、仰向けだから無理か。じゃあスイッチを押すね」
「あっ! ……んああっ! んんぅあっ! ひあっ!」
ボタンを押すと中が蠢き、燕青のモノを締めつけていった。
湿り気のあるドロドロのオナホが、ヌチュヌチュと卑猥な音を立てていく。
音は一定のリズムを刻まず、自由奔放な動きで無知な彼を翻弄する。
出力は最弱だったが、初めての感覚に燕青は戸惑いの声を拭えずにいた。
「あっ、あっ! ぁっ、ああっ! ひ、んんぅあっ! ます、たぁっ、あっ!」
腰を引いて逃げようにも、M字に足を開かされて寝かされているため逃れられない。
辛うじて左右に動かせる腰を捩っていた。
早くも搾り取られる快感に端整な顔を歪めて、助けを乞うように声を上げる。赤く染まる頬には大粒の汗が零れた。
「アサシンはきっと一方的な刺激って味わったことないと思うんだ。おちんちんをこんな風にされることもなかったよね。じゃあ、今度は後ろ。お尻の方は慣れているかもしれないけど、未知の快楽ってやつをあげる」
「ぁぁぁぁぁ……マスター……んんんんんん……」
刺激から逃れようと腰を動かしている燕青の尻を、割って開く。
前がオナホでブルブルと震えて目を奪われかけたけど、堪えて指でこじ開けた。
そのままアナルにバイブを突っ込むこともできたが、まずは軽く穴に舌を滑り込ませる。
「ぁっ! そっ、そんなとこぉっ? 舐めっ……舐めなくても……!」
「んちゅっ、じゅるっんうぅ」
「ああっ……! ぁぁ、やぁっ、マスター……俺に、そんなことぉ……」
M字に開いた両脚に頭を入れ、舌を突き刺す。
実際こんなことを誰かにしたのは初めてだ。でも案外すんなり出来た。
おそらく……オナホで気持ち良く搾られている燕青の声のおかげだった。
気持ち良さそうな喘ぎ声を聞いていたら、もっと声を出してほしいと思って、ついつい追い打ちをしてしまった。
「ぅぅぅぅう……マスター……俺、壊れちまうよぉ……」
とても長い時間アナルを舌でこじ開け刺激し、少しずつ指を挿入していく。
一本、二本、三本と指を増やしていき……スルスルと行き来できるほど湿らせた肛門に、バイブの先端を押しつけた。
ビクンと触れ上がる燕青が首を左右に振るったが、ここまできて戻れやしない。
膝の上へ持ち上げて、ズプズプとバイブを押し入れていく。
「ぁ、ぁぁぁぁぁ……! んぁ、おっきいの……挿って、いくぅ……!」
「ケツの中に入れるだけじゃないよ。これはね、中で無限に……アサシンを気持ち良くさせてくれるんだ。こんな風にさ……」
「あっ、ぐ、……ぐああああああっ! んぐんんぅっ! あぐっ! んんん、なっ、なんだよそれっ、あっ、中っ、動い、動いてぇ、はあああぁっ」
中を虐げるためスイッチはすぐに入れてあげた。
最初は弱く、だけど次第に強く。
最弱出力に設定していた電動オナホも少しずつ動きを増していく。
「あああっ、あっ、こ、こんなっ……耐えられっ、んいひぃっ、ぁぁぁっ」
燕青は前も後ろも責められ、声を上げた。
これで誰かの手に触れなくても、無数の汚い手に翻弄されなくても、存分に自分だけが気持ち良くなれる筈だ。
「あああああ、あああああああっ!」
白く何も無い部屋に、燕青の悲鳴だけが響く。
甘くも悲痛極まりない絶叫を上げてはいるが、全身が歓喜していることは一目瞭然だった。
「あぁぁぁっ、やっ、ちんぽっ、変になるぅっ、なってるからああっ! んひっ、ケツの中もぉ、ぁああっ、んはぁぁぁっ……!」
「アサシン、凄い声。そんな声聞いたことないよ。気持ち良い?」
「まっ、ますたぁっ、もうイっ、イキっ、んんんぅっ、あああああぁぁっ」
腰を左右に動かし、早くも絶頂を口にする。
喘ぎ狂っていく声を聞いて、オレの中がジィーンと痺れていくのを感じた。
頭を振って快楽を逃がそうとしている黒髪を撫でる。
「あああっ、きっ、きもちいいっ、イイからっ、ぁぁっ、外し、外してっ、あああっ、抜いてくれよぉっ、ぁぁぁっ、中ぁぁそこぉっ、そこ当たるのだめぁ、イクゥウゥウウ!」
彼に経験がないほどの悦楽を肌で感じた。
オレは髪を撫で、掬い、口づける。とても嬉しくなった。
……何故って? 何故って……何度も苦悩した通りだ。
彼は愛する人に尽くして尽くして、報われずに終わった。どれだけその身を捧げても振り向いてもらえなかった。
主人の栄華を望み、涙を零して尽くしたというのに、受け入れてもらえなかった。
苦痛と努力の先が報われないなんて悲しすぎる!
辛かったなら、辛くないことをしなきゃ!
あんな痛くて苦しくて心を殺さなきゃいけなかった行為があったなら、それを全部塗り潰すぐらいの新たな思い出が必要だ!
魂に刻まれた痛みをオレはマスターとして知ることができた。あの記憶は、早々消えない。
消えないならそれ以上のもので覆ってあげよう。全部どうでもよくなるぐらいの強烈な衝撃が必要だ。
オレは燕青のことが大切だから、そのための一手間なんて全然惜しくもない……。
「あ」
――気付いたときには、燕青が消えかけていた。
笑い話みたいだが、オレがちょっとした自問を繰り返している六時間の中で……燕青は絶頂に絶頂を重ね、なんと体を形成できないぐらいイっちゃったらしい!
金色の光に消えかけるほど体力を消耗した絶頂。
それって普通の人間なら……『息が止まるほど、死ぬまでイかせられた』ってことだよな? それは燕青に苦痛を強いていた陵辱者と何も変わらない。
ああ、大失敗だ。
無尽蔵の魔力で彼を蘇らせながら、「ごめんな、アサシン」と謝罪した。
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「2016年頃に流行った創作で『デスゲーム・ジャンル』というものがあるんだ」
「2016年って、マスターがカルデアにやって来た年だよな?」
「うん。総合的に見てその頃に流行したと言われているだけで、太古の昔からよくあるストーリーテイストだよ。……複数人が箱庭に閉じ込められて、ルールに縛られた世界で生き残りをかけたバトルをする。理不尽に振り回される登場人物達の葛藤をいかに魅力的に描けるかが人気の理由なんだ」
「……聖杯戦争みたいだ。ほら、2000年頃に冬木で行なわれたやつ」
「アサシンは勉強熱心だね。……冬木の聖杯戦争はバトルロイヤル方式のデスゲームをしたそうだ。ダ・ヴィンチちゃんが言うには、違う世界で行なわれている聖杯戦争は大抵そういうルールで、オレ達がしている聖杯探索の方が珍しいみたいだよ」
「俺は博学多才だが、平行世界とかその手の分野は専門外なんだ。サッパリだね」
「オレだって詳しくないよ。……話を戻すね、アサシン。別にデスゲームは、殺し合いに限った物語じゃないんだ。作者も読者も単純なクローズドサークルの中で苦悩する人間達のドラマを求めている。『ほんの一行で終わるルール』ですら存分に楽しまれたんだ」
「具体的には?」
「特に流行ったのは、『●●しなければ出られない部屋』シリーズかな。無理難題に近く、それでいてクリアーできないこともないお題をぶつけられて、脱出不可能からどう抜け出すかを考えるんだ。さっきも言った通り、『理不尽に振り回される登場人物達の葛藤』を空想するのが楽しいんだよ。空想に浸る遊びぐらいしたことあるだろ? 『あの人がある場所に閉じ込められたら? こんなことを強いられたらどんな反応をするかな? どんな新しい顔を見せてくれるだろう?』って考えたら止まらない……」
「判らなくもない。……マスター、そろそろ本題に入ってくれないか? いきなりその話を始めたからには『この部屋は、何かをしなくちゃ出られない部屋だ』ってことかな?」
「ご明察。推理も何も簡単すぎる導入だったかな?」
「推理ごっこは教授か探偵大好きな後輩ちゃんにやらせろよぉ」
「あはは……。これでもオレも焦っているんだよ。オレの部屋みたいな場所に三日三晩も閉じこめられて、どこからも通信が届かない状態……。マスターが三日も行方不明になれば誰かしらが動く。でも誰も救助も来ないってことは」
「『ここ』は、『誰も気付かぬ可能性のある異常空間』。マスターの自室に似ているが、出口も無ければ俺の宝具を受けても壊れない壁がある時点で謎空間には違いない。なによりおかしいのが、体感三日も経っているのにマスターの腹が減らなければトイレにも行きたがらない。意識はあっても時間が進まぬ異空間……。そういう特異点かな、ここは」
「実はオレ、ここが何の部屋なのか判ったんだ。多分オレが招いた異常事態だよ、これ」
「おや?」
「どうしてオレとアサシンの二人きりなのか、なんでオレの部屋に似ているのか、どうすればこの異常を終わらせることができるのかも……なんとなくだけど判ってきた」
「なんだぁマスター、意地の悪い人だなぁ? 判っているならさっさと言ってくれよぉ。何かルールでも発見したのかい?」
「そうだね……簡単に言うなら、ここは……」
「まさか『セックスしないと出られない部屋』とか? だとしたら俺が一肌脱ぐしかないかねぇ! まあ、脱ぐ服なんて無いも同然なんだが! あっはははは!」
「『オレを殺さないと出られない部屋』かな」
「…………は?」
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頭がおかしい。オレはもう少し冷静で理知的な判断のできる人間だった筈だ。
なのに、おかしいよ、だって、どうして燕青を陥れるようなことが正当化できるんだ?
「アサシン、おはよう。さっきはごめん。六時間もイキっぱなしの連続絶頂って死ぬほど辛いんだね。まさか本当に消えかけるとは思わなかった」
「ぁ……ぁぅっ……ぅぅっ……ま、マスター……」
燕青は苦しいセックスしか知らない。
だから最高の快楽に溺れさせよう。それが報われずにいた燕青のためになる。
……それ、いくらなんでも傲慢じゃないか? そんなことしなくったって、そんな手を取らなくたって……。
「でもさっきのイキっぱなし、良かっただろ? オレも半分意識が飛んでいたけど、アサシンのアヘ顔は見ていたよ。オレ、アサシンにはもっと良い想いをしてもらいたい」
「マス、ター……。ま、満足、だろ……これで……」
そんな手を取らなくったって、って、あれ? なんだこれ、どうしてオレの手、二本だけじゃなく、三本も四本も、十本もあって、長くて奇妙の色と形をしている?
まさか頭だけじゃなく腕や足までおかしくなっちゃった?
少し頭を冷やそう。オレはどうしてこの部屋にいるんだ?
「満足なんてできないよ、アサシン。お前が満足して笑うまでオレは……。今度は消させない。もう六時間放置はしないよ。ずっとずっと最高の想いで生きていこう」
「マス……ター……。こうも『磔』は、酷くないかい……?」
「さっきアサシンの気持ち良いところを発見したんだ。だから今度はそこだけを重点的に刺激しようと思う」
――オレは確か、燕青と二人きりで過ごしたいと考えていた。
「ひっ! あ…………あ、んぁぁぁぁぁっ……!」
「ここ。中のここが好きなんだろ、チンポ触手でズリズリされるの……なあアサシン?」
もう何日前の話だ?
親友が、明かさなかった真名を教えてくれた。動転した。困惑が止まらなかった。
ずっと傍にいた友人との関係が変貌してしまうのではと怖くて、心細くて……。
そして夢を見た。
親友に欲情した。日々欲情した。
彼の顔を見られないほど混乱した。どうしたらいいか判らなかった。
このままじゃいけないと思った。
燕青は自分に素直に生きるため名を明かしてくれた。オレを信頼して拳を捧げてくれた。
そのオレが邪な目で彼を見て、本当はオレだって素直になりたかった、けど、悩みは募って、誰にも相談できなくて、大事な後輩にもサポートしてくれる彼らにも申し訳なくて話せなくて、最も信頼していた友人である彼にも打ち明けられなくて、悶々と一人で考えていたら。
『ああもう何も考えたくない。ただ自分の殻に閉じこもっていたくなってしまった』。
「まっ、待ってぇ、そんなっ……そこはぁっ……!」
「あれ? 違った? じゃあこっちの方が気持ち良いのかな。よし、いっぱいあげよう」
こんなのが人類最後のマスターとか、誰にも知られたくない。失望される。
自分に素直な心が露わになればなるほど弱い本音ばかりが出てきて、気が付いたら、手にした聖杯を全て抱えていた。
その数、十個。聖杯が十個。オレが自由に使える聖杯が十個もあった。
「ぐうぅっ! ぅぅっ! んああああっ! そこはぁっ、またぁ、イっちゃ……!」
――ところで、多くの特異点を旅して判ったことがある。
特異点の中央にいた人物は、『思うが儘の世界』を描いていた。
ある男は敬愛する少女によく似た理想を創り出した。
ある女は恋した仇役を自分好みの姿で創り出した。
どれも人類史を滅ぼす脅威だったが、浅はかなオレでも理解できる『小さくて細やかな願い』から生まれたものだった。
「んんぁっ、いぃぃっ、いいっ、いいよぉ、そこぉっ、またイくうううっ!」
今となっては……なんて羨ましい。
理想を追い求めた結果、笑って世界を創造する彼らが羨ましくなっていた。
オレも理想を描いてみたい。オレだって『理想の殻の中』に閉じこもって悦になりたい。
……多くはいらない。世界は小さくていいんだ。
――できれば『涼しく清潔で、自室みたいな過ごしやすい部屋でいい』。
――そしてそこに『大切な人が、素直な心で笑う彼が、たった一人いればいい』。
「イクイクぅっ、いいいいぃっ! ……ぁ、ぐ……はぁ、はぁっ、はぁ……!」
オレの部屋に彼がいてくれて……彼と満足できる生活がしたい。
例えば……気持ち良いことをしてあげられたり、その手助けになる物がいくらでも沸いて出たり……いくらなんでも都合が良すぎるかな?
ううん、それすらも可能だ。
『この膨大な魔力を貯蓄できる霊力保管器』があれば、『願望機が十個もあれば』、失敗しても『すぐ創り直す』ことすら可能なんだ。
「イったね? でもチンポ触手、まだ足りないよな? もっと増やしてあげるよ」
オレの足元に広がる肉の塊――魔力の渦から、燕青の体を支える触手の数を増やす。
タコの手足のような湿った肉に両手両足を絡まれた燕青は、大の字になって宙に浮いている。
清廉された魔力行使ができない未熟者のオレは、何を創るにも不格好だった。
物を創造する粘土の質からして悪く、見た目もグニョグニョでちっとも美しくない。
「もっと気持ち良くしてあげるよ」
それでも呪文次第でありとあらゆる物を生み出せる。さっきの『燕青を気持ち良くさせるだけの装置』も霊力ブーストによって創った物だ。
……今度はもっと、生きた快楽を与える物を創り出そう。
纏う布も何も無い産まれたままの姿で両手足を触手で獲られ、宙に浮かされた燕青は、なんともいえない顔でオレを見下ろした。
何かを茶化したいのか口が動いたが、それよりも先にオレは開かれた燕青の尻穴へ、細長い肉の触手を突っ込んだ。
「あっ……ぁあああ! またっ、奥にぃっ! 奥、突いてぇっ……ぃぃぃいっ!」
燕青の中へ、今度はゆっくりと触手を沈めていく。
彼が最も気に入る箇所をノックしてあげると、早くも華やかな体がブルブルと踊った。
「んぁっ! ぐぅっ! んぐぅっ! 中ぁ、もうっ、グチグチって、ぁぁぁっ!」
ぐり、ぐりりと中を進んでいく触手を次々増やしていく。
ビクンビクンと大の字の燕青が激しく跳ね上がる。
その時点で彼は小さな絶頂を迎えていた。
「はっ、入らないっ……! ますたぁっ、奥、もうっ、いっぱいでぇ……!」
ただの串刺しは苦しい、もちろんそんなことはしない。
さっき学習した『燕青が気持ち良くなるポイント』目掛けて、突くように数本の触手のズプズプと抜き差しする。
「んぁぁああっ! んいぃっ! そこぉ、またぁイっちゃ……何度もイっちゃうぅぅ!」
宙に浮く爪先がビクビクと痙攣していた。
大きく開かれた両手も両脚も震わせて、全身で快楽を味わっている。
閉じることができない股間のモノも、明らかに反応していた。
「ああぁ! イッ! イッて! またイってる、のにぃ! またっ、んあぁぁぁ……!」
気持ち良くて堪らない、これ以上の快感は無いと言うかのように、何度も何度も絶頂を口にしていた。
「イクウウッ! ますたぁ……イっ、いい、いやだ、マスター……マスター……!」
イく、イくイく、イっちゃう、イった、イッたよマスター……。
燕青の表情は快楽を堪能しきり、素直にヨガり狂ってくれていた。
嬉しくて、アナルだけに重点を置いていた触手を違う場所にも忍ばせてみる。
膨張した燕青の性器に細い触手を追加してみたり。感じすぎてピンと張っている敏感な乳首にボコボコと波打つ触手で撫でてみたり。さっき何十本も咥えさせた口に、オレのペニス状の触手を突っ込んだり……。
あっ、でも喘ぎ声が聞きたいからイラマチオは中断しよう。
燕青は、これ以上無いぐらい全身で悦んでいる。
ちっとも嫌がっていない、心の底から悦楽を味わって、嬉しそうに喘ぎ声を上げていた。オレの拙い魔力で燕青を喜ばせることができたなら、こんなに嬉しいことはない。
ズリズリ、ジュプジュプと彼の中を行き来する触手をベッドに腰掛け見上げながら……思わずふぅと息を吐いたとき、
「立香!」
と、燕青がオレの名前を叫んだ。
まさか呼ばれると思わなかった下の名前に仰天して、目を見開いてしまう。
「……………………………………あんたが、欲しい……」
連続絶頂を味わっていた燕青は、部屋の中央で触手に体の自由を奪われつつも、肩で呼吸をしながら……オレだけを見下ろしていた。
「お願いだ……あんたを………くれよぉ」
息も絶え絶えになり、ぐずるように泣きながら、それでもオレへと声を絞る。
「……道具とか、触手とかじゃなくて、俺は……欲しい……。ふぁ……ぁぁあ! あっ! またぁ、んぁっ、んぅっ、あああっ!」
その間も燕青の肉体は無数の肉触手に嬲られ、度重なる絶頂を強いられていた。
「ぐぅん、ぁぁぁぁぁっ……! あ、あんたと……セックス、させてくれよぉ……!」
――もちろんOKだ。すぐ触手を払い除け、オレが座るベッドへ燕青を下ろした。
小柄な体を抱きしめる。快楽にやられきった彼は、触れただけで達してしまうほど過敏になっていた。
けどそんなことも構わず、オレの体に縋り寄ってくる。
「アサシン、アサシン。オレは……」
抱き寄せると、すぐさま燕青から唇を奪われた。舌を捻じり込まれ、意識を奪われるようなキスが始まる。そして震える燕青の指が、オレの股間を的確に刺激した。
「……マスターは……俺を、抱きたいと思っていたんだろ……?」
行為が途切れたと思ったら、すぐにキス。
激しい口付けのままベッドに倒れ込む。
オレの上に覆い被さる彼は「なら、何の躊躇も無い筈だ……」と腰を押しつけてきた。
燕青は次々に囁いていく。
――ほら、目を瞑って、今更嫌がるなよ、もう俺のケツ穴はマスターのモノを迎えるために拡げられたようなものだから――。
何度も口付けを繰り返し、力を振り絞った燕青はオレの股間に跨るなり緩やかに腰を下ろす。
オレのモノを馴染ませるように自分の中へと押し入れていった。
「ぁ、ああっ……。ます、た……俺の中に、ぁああ……」
「あ、アサシン、アサシン!」
きっと今のオレの顔は、誰も見たことがないぐらい幸福に満ちたものだっただろう。
何故って? ……笑う燕青の顔が目の前にあったからだ。
オレに跨り、腰を下ろし、オレの性器を受け入れる彼。
その彼が正面で笑っている。
繋がれたことやあまりの気持ち良さからだけじゃなく、燕青が笑っていてくれる事実だけで蕩けてしまいそうだった。
「あっ、ああぁっ……! ふああっ、マスターのがっ、大きくっ、なって、んぅあぁぁ」
もちろん、繋がって揺さぶって……燕青の熱を実感するたび心地良さは増していく。
直腸から染み渡る快楽のおかげで、体は燃え盛るほどに熱かった。
燕青を胸の中に押し込んで抱きしめてしまいたい。
でもオレの腰の上で踊る燕青の顔も眺めていたくて、暫く為されるがままになった。
「はぁっ、ああっ、んぅっ! きもちいいっ、いいよぉ、いいよぉマスターっ!」
何度も責め立てられたというのに燕青は感じきった声で喘ぐ。
敏感に変貌した中を擦りつけ、唇を歪ませ、涎を垂らしながら腰を動かし続ける。
心は既に満たされていた。全身を駆け巡る痺れも、間違いないものなのだとオレに知らしめてくれる。
そう……オレの願いは叶ったんだ。
「ぁぁぁぁぁっ! イクうぅっ、マスターのチンポで、イっちゃうぅぅぅ……!」
その実感を得たとき、燕青の中に精を解き放っていた。
馬乗りになっていた燕青が全身を震わせ、お腹で全部受けとめる。
押し込まれる絶頂に身悶えを続け……オレの上へ倒れ込んできた。
震える指でオレの胸をまさぐる彼を抱きしめたい。
だが予想以上にオレも快楽にやられてしまったらしく、今度はオレがベッドの上で大の字になってしまった。
オレの体を撫でる右手とは別に、燕青の左手がオレの頭に触れた。
指が優しくオレの髪を撫で、彼の顔がまた近寄ってくる。
熱く繰り返す呼吸を制してでも、燕青はオレの唇に縋り寄ってきた。
「…………燕青……これからも、オレの傍で……」
そんな情熱的なキスをされたら、また求めたくなる。抱き締めるために力を込める。
いざとなったら触手で燕青の体を支えよう。新しいオレの器官で、聖杯によって増えたオレの体で愛していこう。
その前に、燕青の手刀がオレの中央を貫いた。
/7
始めは何が起きたか理解できずにいた顔が、次第に苦痛のものへと歪んでいく。
構わずマスターの体に埋め込んだ腕を引き抜き、鮮血を浴びた。
聖杯を何個も呑み込んだ悪と化した少年だったが、最期はただの人間らしく血を吐きつけるだけだった。
「……え、ん、せい……」
藤丸立香は元々未熟な魔術師。窮地における判断すらできる訳がなく、俺への反撃すらできずに動きを止めていく。
――俺は、確かにマスターに喚ばれたサーヴァントだ。
しかしそれ以前に、『人類史の危機から星を守るために現界した英霊』だ。
我欲ではなく、人理が消滅する緊急事態から世界を守るため召喚に応じた。
両手いっぱいの聖杯を手にした男を脅威と見なすのは当然。
それに俺は元々、『落ちるだけの主人なら俺が殺してでも止める』と決めていた。
聖杯は、没収だ。
――既に他のサーヴァントは消滅、隔離された空間で二人きり。
藤丸立香の描いた理想郷で歪んだ栄華に付き合うこと数日。痛くて苦しくて辛いことの最中でも長台詞は言えるぐらいの演技力がある俺は、娼婦の濡れた瞳で見つめ、淫語を垂れ流し喘ぎながら、主人を殺す。
それぐらいお手の物……の筈だった。
それでもやはり、長い時間を共に過ごした友だ。
胸を貫かれて苦しむ姿に、罪悪感を抱かないとは言えない。
「マスター……聖杯に魅入られた者がどうなったか、あんたは見てきただろ。……粛清されるんだ。これはあんたには過ぎた物。聖杯は没収させてもらう。それにこんな物を使うぐらいなら。いや、もう……寝ろ……」
体に穴を開けられ、震える瞼を掌で瞑らせる。
眠ってほしいというのは、本心だった。
「……マスターがそんなに俺のことが好きだったなんて、意外だよ。俺は見て通りの無頼漢で、主人の大成を叶えてやれない不誠実な男。……こんな不出来な従者を傍においてもらえるだけで嬉しかったんだぜ? あんた、判ってくれなかったけどさ……」
判ってくれないといえば……マスターが俺を大切だと言ってくれたように俺だって、マスターのことが好きだった。
……召喚されてずっと一緒にいたんだ。ならお揃いに決まっているだろ?
……マスターだけが苦悩していると思わないでほしかった。
俺だってマスターを、素直にさせたかった。
大切な友人だから、大事な人だから、立香に、素直に生きてほしかった。
だから俺が手本を見せようと、先に真名を教えて……。
――ああ、くそ、くそ。俺が出過ぎた真似をしたからか? 大好きだから、調子に乗っちまって、それで狂っちまったのかよ、くそったれ、良い人だな、あんたは……!
ふと自分の体が昇華の光に包まれていることに気付いた。
なるほど、俺という存在は彼の欲望で形成していた。
彼は俺以外の者と空間を拒絶し、俺とこの部屋だけがあればいいと願った。
創造主が死ぬのだから全部開け放たれる。
さあ、俺を閉じ込めていた部屋は崩れていくぞ。
それはつまり、救世主がこの星から消えたことを表わしているんだ。
絶望的な状況だが、俺には笑って彼の亡骸にしがみつき、動かない瞼に口付ける余裕があった。
何故って?
……『セックスをして終わる世界』、愛する人に名を呼ばれ絶頂を迎える幸福のせいだ。
あるじを死なせる俺が、これほど恵まれた終わりで良いのかな?
ああ、でも――素直な俺の心をそのまま暴露するなら。
セックスもいいけど、肩を寄せ合い、ただただ笑って、疲れたらベッドに二人転がるだけ。そんな時間が欲しかった。
この心、マスターだってもちろん判ってくれるだろ?
END
誰もが知ってるあの部屋を、ぐだ新殺で再現!!
2018年11月1日